« 山歩き:秋のコグルミ谷から御池岳 | トップページ | 山歩き:タイジョウからイブネ »

2015年10月26日 (月)

山歩き:秋のバラ谷ノ頭

山歩き:テント泊の聖地を見に、秋のバラ谷ノ頭へ

隣の県なのに近くて遠い、その未知の山域へ足を踏み入れる。
紅葉の名所の樹林帯はブナ・ミズナラ・ツガ・モミジなどそれは見事なもの。
バラ谷ノ頭(2010m)は深南部屈指の展望地という肩書きに偽りなし。
稜線歩きがほとんどだが、アップダウンが多くて歩き応えがありすぎてきつい。
Dsc08303

【山行日】2015年10月24日(土)    
【山 域】遠州南ア深南部:麻布山、前黒法師山、バラ谷ノ頭
【天 候】曇りのち晴れ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】野鳥の森(オオルリの門)付近の駐車地、起点
P6:52--7:08登山口--8:37麻布山--9:16前黒法師山--11:06バラ谷の頭11:44--
--13:23前黒法師山--14:04麻布山--15:44登山口--16:00P

赤石山脈は光岳の南方で枝分かれし、その先に黒法師の名のつく三山がある。
黒法師岳(2067m)、前黒法師岳(1943m)、前黒法師山(1782m)である。
今回は西の太刀持ち、前黒法師山を経てバラ谷ノ頭から主峰の黒法師岳を仰ぎ見る。

初めての山域は、そこまでの距離と時間の感覚がないので、夜中に家を出る。
約150kmの道のりは高速と専用道よりも細い山道の通過時間がほとんどを占める。
車のライトだけをたよりにして先のわからない曲がりくねった細い道を走る。
薄暗闇に光るものがあると、それは鹿で、数頭が道路にでてきてもいた。

水窪地区に入り林道に入ると、勾配が急になり一気に高度を上げていく。
天竜スーパー林道と他の林道と野鳥の森がどんな位置関係にあるのかわからないまま、
通行止めの道路標識に従うと、ナビの示す道とわかれ、向かう先に不安を覚える。
ここにきてはじめて通行車があり、分かる人に聞いてようやく目的地へ車を進める。
道路の通行止めはいたるところであり、そんな最新情報の入手も必要で大事と。
新・分県登山ガイド(山と渓谷社)は簡潔に要点を示しているが、時代の変化は早い。

先着車は2台、準備して通行止めの車道を1km余、登山口へ向けて歩く。
すぐに道路の崩落箇所。
Dsc08241

落葉の積もった道は紅葉の山肌や遠くの山を見る絶好の散歩道でもある。
Dsc08243

休憩所とトイレのある麻布山登山口に着く。
Dsc08244

Dsc08245

少し上がるとすぐに、朝日を受けて快適な登山道(遊歩道)がはじまる。
Dsc08246

この地点ですでに標高1300mぐらいで、最初から尾根に乗った稜線歩きになる。

道は少しのアップダウンがあり、全体としては緩やかに下っていく。
背の高い木々が多く、外に視界が開けない中をずんずんと歩いていく。
太くて立派なブナやミズナラが適度な間隔であり、森の長い歴史を感じる。
黄色、橙色、紅色、緑色の葉や多彩な落葉が深い秋を感じさせる。
樹木の名前がつけられた休憩用の東屋がそれなりの間隔にあり、遊歩道らしい。
上り勾配が続くようになると、やせ尾根の崩落地帯になり、左右に少し視界が開ける。

右前方に見えるのが前黒法師山だが、そんなに目立つ山姿ではない。
Dsc08250

やせ尾根の道は階段状に整備されているが、それ以上に崩れが多いらしい。
Dsc08252

振り返ると、登ってきた尾根がよく見える。
Dsc08253

青空と紅葉のきれいな自然林の中に上がり、道は徐々に緩やかになってくる。
Dsc08254

左の壊れてひしゃげたトタンの建物は、作業小屋廃屋らしい。
Dsc08256

右手をみると、朝日に黄葉が照らされていた。
Dsc08258

ここからはモミの林になり、歩きやすいが、どこもかしこも同じような気配になる。

山頂は表示でようやく気がつくところで、その先には休憩東屋がある。
Dsc08259

休む間もなく通過。

緩やかに下っていく。
遊歩道としての表示はなくなったが、ほぼ変らずに踏み跡や赤テープがある。
麻布山の上りで味わった紅葉よりももっと自然な感じの道を歩いていく。
途中には戸中山があるが、麻布山と前黒法師山の2山を合わせた名前でもあるらしい。

下りてふたたびゆるやかに登っていくと前黒法師山の山頂。
Dsc08268

視界は開けないが、少し明るい感じの、静かな山頂。

ガイドブック通りにここを目標に来れば、それなりの気分になるかもしれない。
バラ谷ノ頭を目指す者には、言い方は悪いが、単なる通過点にしかみえない。
ただ今日の歩きの大事な目安地点なので、ここまでにかかった時間と体調を省みる。

なんとか先へ(打越峠なのかバラ谷ノ頭それとも黒法師岳)へ進めそうだ。

ここから最低鞍部の打越峠へは250m下り、バラ谷ノ頭へは500m上がる。
出発時刻は7時だったが、遅くても16時には戻りたい。
ということは、折り返しの時刻は11時半で、12時では遅すぎる、と確認する。

鞍部へくだっていく稜線は太い尾根で、二・三重の線状凹地になっている。

下草はなく、どこでも歩けるような広がりのある美しい樹林帯というか雑木林。
Dsc08272

Dsc08280

Dsc08281

前黒法師山では倒木も多かったが、ここではそれが苔蒸してとけ込み、なるほど京風庭園だ。

いままで鈴鹿やほかで歩いてきた尾根道よりもっと広がりと深みがあり、疲れを忘れる。

鮮やかな紅葉に足が止まり、同じような写真を撮ってばかりいた。
Dsc08286

Dsc08287

左手に視界が開け、遠く赤石山脈や深南の山々が見えるのだが、同定できず。
Dsc08266

最低鞍部の打越峠周辺が一番見事で、体調によってはここで引き返す手もある。
Dsc08288

Dsc08289

Dsc08290

Dsc08291

さて、前方の樹間のむこうにはうっすらと山影があり、ずいぶんと高さを感じさせる。

しかも笹原があらわれ、500mの上りというのがじんわり不安になってくる。
Dsc08298

とにかく気持ちを切らせずに一気にいくことにする。

最初は低かった笹原も勾配がきつくなるにつれ高さを感じて厄介になる。
ところどころで笹原で一番いやな、笹の葉に水滴が付いていて、ひんやりびしょっと濡れる。
足元は気をつけていてもよく見えないので、倒木や木の根、石につまずいたりぶつけたり。
でもなんとかひたすらあと少しということで喘いでのぼりつめると空がどんどん広がってきた。

おお、もう上へあがっていくところはない。
むこうには開けた樹木の間から、遠くの景色が見えるようだ。
Dsc08301_2

バラ谷ノ頭は、今日の山歩きの山頂で、初めて展望のある頂だった。
Dsc08303_2

視界の先が素晴らしいこともあり、達成感のある山頂とはこういうことなのか、と納得。
Dsc08308

手前には燦然と屹立する黒法師岳、右手奥にはよく似た山姿の前黒法師岳。
その両山の間の奥で空中に浮かぶ美しい山姿は、富士山ではないか。

願望としてはこの先の黒バラ平や黒法師岳まで行きたかったが、これならあきらめもつく。

バラ谷ノ頭にはもうひとつ、日本で最南端の2000mの地、という名所がある。
開けた笹原を南に進んでいくと、それはあった。
Dsc08310

なんかこじつけっぽいし、すぐ目の前の先にも高いところがあるが・・・。

ここからは深い谷をはさんだ西方に、今日、U字にともJ字にとも歩いてきた尾根がみえる。
Dsc08312

山頂にもどり、黒法師岳とそのふところの黒バラ平を見ながら休憩する。
Dsc08314

「岳人」の記事では、テント泊の聖地とも言われ知られている「黒バラ平」。
Dsc08306

なるほど笹原にぽつんぽつんと樹木があり、包まれるような気分になれそう。

行きたいのはやまやまだが、急な坂を150m下り、50mの上りだ・・・。
黒法師岳だとさらに200m、急坂を上がらなければならない。
元気なら往復2時間でも可能だが、今だと3時間はかかりそう。
時間もなければ、体力もない。
帰りのことを考えれば、とても無茶な試みになる。
これができるのは、おどさんのような、もう一段階は上の、健脚の世界だ、と。

予定より少し長居をして、立ち去りがたい山頂をあとに、下り始める。

笹原の下りは上りよりもずっと厄介で、見えない足元が危なくて仕方がない。
倒木、木っ端、転がる石、急坂、バランスを保つために必死に笹をつかむことにする。
脛や膝をぶつけたり、転んだりした時のリスクの大きさを考えると必死だ。

緊張の時間を過ごし、打越峠まで来ればようやく一安心。

今後は登り返しもあるが、広い紅葉の尾根を味わいながら行く。
Dsc08331

この絡み合う木は、連理になれず、痴情のもつれか。
Dsc08330

往きとは光線の向きが変った森林は、おそらく同じなのに別のように感じる。
Dsc08334

Dsc08354

前黒法師山まで来れば、登り返しはあと少しで、楽になると思った。
Dsc08269

麻布山への上りもゆったりとこなし、その広い山頂に帰ってくる。
Dsc08355

ここら辺でもう一度休憩でも、と思ったがそこは貧乏性で心配性、時間と先が気になる。

まして往きに通った麻布山の山頂はもう記憶がほとんどなかった。
自分の意識の中では、ガイドブックにはないバラ谷ノ頭へのことだけで頭はいっぱいで、
自然遊歩道コースの麻布山周辺は、標示も明らかで楽々歩きだと思っていた。

だから往きに見落としていた麻布神社奥宮跡を訪ねたりしていた。
Dsc08366

Dsc08368

全体が平坦なモミの実生の林は、どこもかしこも特徴がなく、方角を失いやすい。

広い尾根にひきずられて尾根端に迷い込み、いつのまにか登山道からかなり離れていた。
そういえば遭難者を尋ねる表示もあったが、これは納得できる。
地形図とコンパスでなんとか登山道に復帰し、安心の踏み跡をたどっていく。

やせ尾根の急な階段状の下りの道にきて、ふたたび不安におそわれる。
Dsc08371

ここまで普通に歩いてきたが、ふだんはなんともない急坂で、足の踏ん張りがきかない。
Dsc08377

ほんの一瞬、緊張を解くと、ずるずるっと滑っていきそうで危なくて仕方がない。

ただ、そこも過ぎれば、もう安心。

往きに見た所でふたたび前黒法師山と、そのむこうにかすかなバラ谷ノ頭を。
Dsc08376

太くて立派なミズナラやブナ、紅葉の鮮やかなカエデ、シロヤシオの森を愛でていく。
Dsc08383

Dsc08381

ガイドブックによれば、シーズンになると新聞や雑誌で紹介される名所だそうで、納得。
ただし記述のように、あちこちでなごやかな話し声が聞こえることも、車もあふれてはいなかった。

最後に来て、歩き始めの緩やかな下り坂がずっと上り坂に転じて、これはじんわりきつかった。
Dsc08388

なんとか予定時間内で駐車地に戻れそうで、落葉の積もった車道をカサコソ音を立てて戻る。
Dsc08393

帰路は高速や専用道は使わず一般道を使ったが、30分ほど余計にかかっただけだった。

今まで縁のなかった深くて遠い山域は、独特の味があり、今後も訪れたい地になった。
Dsc08396

今日の反省や教訓

 新・分県登山ガイド「静岡県の山」(山と渓谷社)のコースタイムや記述は、著者がカモシカ山行をする猛者なので、襟を正して読み込む必要がありそうに感じる。
 ガイドブックには途中までしか紹介されていない今日のコースは結局、往きと還りが同じの4時間。
往きはよいよい帰りは辛いで、帰りは登り返しだけでなく下りがきついのでそこが要注意点。
 コースや踏み跡はたくさんの人が歩いているだけに分かりやすく、納得のいく道だと思う。
自分の経験や勘で、楽そうな道を切り開いていくと、遠回りや障害物に行き当たることになる。
 ブナやミズナラ、カエデの樹林帯はそれだけで味わう価値があり、満足がいく。
 野鳥の森としても名所だが、林道の道路状況のチェックは絶対必要。

それにしてもずっとよい天気が続き、紅葉に関しては近年にない当たり年に思える。
Dsc08395

|

« 山歩き:秋のコグルミ谷から御池岳 | トップページ | 山歩き:タイジョウからイブネ »

山歩き」カテゴリの記事

コメント

たそがれさん 今日は 御無沙汰しております。 
     
バラ谷ノ頭 一緒のコースで 私は2回ほど訪れています。
登山者にあまり合わなくて静かでいいですよねこの周辺の山は好きです。
一度黒法師とバラ谷 周回コースでいきたいと思っていましたがもう無理かな
隣の房小山も素晴らしい山ですよ、
一度是非どうぞ。

投稿: バーチャリ | 2015年11月 4日 (水) 13時18分

呼ばれた気がしたので、訪れました。(笑) バラ谷の頭から黒法師岳への稜線、以前行った時も素晴らしい感じでしたが、紅葉もバッチリで羨ましい限りです。 この周辺の山はまだ訪れていないところも沢山あり、近くの「黒沢山」へは先週行こうかとどうしようかと最後まで思案していた所です。 矢張り行けばよかったかなぁ。

投稿: おど | 2015年11月 5日 (木) 22時11分

バーチャリさん ご無沙汰しています。
2回行かれてますか。さすが、いい所をよく御存知で。
行って気に入ったので、他人様のレポをいくつか見ました。
周回コースはシブロク歩道を使うヤブ道ですね。
房小山というのも一部ではとても人気のある山ですね。
お勧め、ありがとうございます。食指は大いにあります。

投稿: 本人 | 2015年11月 5日 (木) 23時32分

おどさん お久しぶり。体調はよくなりましたか。
バラ谷の頭へ行った後で、貴殿が以前に歩かれていることを知りました。
おどさんもまだ若い頃で、現在とは違ってペース配分などで戸惑いを覚えていたようで。
笹原のヤブこぎの多いこの深南は、静かな山歩きのできるおどさん向きの山域ですね。
黒沢山にしても距離・時間が長く、深いヤブの道らしいので、お気をつけて。
レポを楽しみにしています。

投稿: 本人 | 2015年11月 5日 (木) 23時42分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 山歩き:秋のバラ谷ノ頭:

« 山歩き:秋のコグルミ谷から御池岳 | トップページ | 山歩き:タイジョウからイブネ »