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2016年2月10日 (水)

日記:詩人 茨木のり子とふるさと西尾

日記:詩人 茨木のり子とふるさと西尾

西尾茶臼山に行った帰り、西尾市岩瀬文庫で開催中の特別展に寄る。

茨木のり子没10周年で「詩人 茨木のり子とふるさと西尾」。
Dsc09484

1926年に大阪で生まれた彼女は父の転勤で6歳の時に西尾市に移り住み、
小学校と女学校時代をここですごし、その後、東京に移ったそうだ。
1950年(24歳)に結婚。その頃から詩を書き始め、
1953年(27歳)に詩人仲間と同人誌「櫂(かい)」を創刊。
1975年(49歳)、四半世紀を共に暮らした夫が先立ち、
以降、31年間にわたる一人暮らしが始まる。
そして、2006年に自宅で脳動脈瘤破裂により死去、享年79歳。
Dsc09485


よく知られた詩としては詩集の題名にもなった「倚(よ)りかからず」がある。


 『倚(よ)りかからず』 ※73歳の作品

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある

倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ


また、たくさんの人がぴしっとするのはこれだ。


 『自分の感受性くらい』

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


どの作品もはっとさせられる言葉遣いなんですが、
自分としては今回、これが一番印象に残った。
日々をだらっと過ごしているから余計にそう感じたのかな。
『売れないカレンダー』という詩で、一部分だけ抜粋。


今のカレンダーは未来永劫
 自分の命の続きそうな錯覚を売っておる
 自分の命数あと何日というカレンダーがあれば
 まちっと人も ましに生きられるんではあるまいか


また、彼女がひとりで過ごした家の間取りがとても興味を引いた。
必要最低限のものだけだが、それだけで充分に生活できる環境。
もちろん、あの倚りかかれる椅子も展示されている。

特別展は西尾市岩瀬文庫にて2月21日(日)まで。
入場は無料です。
Dsc09449


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コメント

 黒ビールなんです 川崎さん   

 誰かのH氏賞のとき 会ったことがあります  

 幡豆もんには 懐かしい 思い出  です

 
 年長のおねえさんでした   普通の    

投稿:  k | 2016年2月15日 (月) 20時21分

kさん どえらい遅い返事で申し訳あります。
だれかのH氏賞で会ったなんて、普通じゃないですね。
で、しゃきっと背の高いけれども普通のおねえさんでしたか。
そんなことが思い出せるなんて、kさん、
いい時間を過ごしてきましたね。
おそらく、今も。

投稿: 本人 | 2016年4月30日 (土) 00時51分

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