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2016年3月14日 (月)

日記:天野千尋監督の舞台挨拶を聞く

日記:天野千尋監督の舞台挨拶を聞く

3月12日(土)19時より刈谷日劇にて天野千尋監督の話を聞く。
現在同館にて上映中の『うるう年の少女』『どうしても触れたくない』についてほか。
40人近い人が集まる。老若男女というか幅広い年齢層。
毎月行われている「映画を語る会」の人もついでに参加とか。
天野さんの人気なのか、映画好きの人がこんなにたくさんいるということになぜかほっとする。
自分は上映中の作品について少し後ろ向きの感想を覚えたので意を決しての参加。

劇場管理人の亀谷さんの司会で天野監督が登場。
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若くて少女のような感じだが最近出産されたとか、地元豊田出身。
5年の会社勤務を経て、映画制作を始められた、と。
2013年『どうしても触れたくない』で劇場長編デビュー。
『うるう年の少女』が2014年作品で、
以前、刈谷日劇で上映された『放課後ロスト』は2013年の3話のオムニバス作品と。
他にも短編やドラマ・音楽ビデオなどがあり、脚本もありのプロの方。

まずは司会の亀谷さんから質問。
『どうしても触れたくない』という男が男に恋をするBL作品の見方(?)について。
何が普通で何が特殊かは人それぞれ、対象を置き換えれば分かりやすくなるけど。
異性に惹かれ、恋するように、同性に惹かれ恋することだってある。
自分が普通と思っている状態に置き換えて観れば、なんだけど。

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《story》『どうしても触れたくない』
『転職先の職場に初出社したゲイの青年・嶋は、エレベーターで新しい上司・外川と出会う。
無遠慮なように見えて気づかいを怠らない外川にひかれていく嶋だったが、
過去のトラウマに苦しむ嶋は素直になることができない。
一方、つらい記憶を抱えながらも前向きに生きようとする外川は、
傷つくことを恐れず嶋に思いをぶつけるが……。』

経験とか先入観、知ってる世界とわからない世界。
こればかりは頭で考えても解決できず、ずっともやっとした感覚。
映画は淡々と進み、ふたりと周囲数人をのぞいては隔離されたような世界。
外川が嶋に別れ際にキスする外の広い階段を数人通り過ぎるのが唯一世間との接点とも。
ふたりがそれぞれ住まうマンションも劇画の世界の見栄えのよい広さで生活感はない。
四畳半や一間にモノがあふれた部屋ではBLは成就できないとでも。
あくまでもファンタジーであり、生々しいのはもうこりごり。
そんな世界を、その中に入り込むのではなく少し引いたところから撮る。

会場では映画やファンタジーに造詣の深い女性の質問や発言が続いた。
へえ、みんな外川課長にほれる、だって。
ぶっきらぼうだが気遣いのできる、そんな彼に男も女もほれる、と。
そうかな?外川は人前で平気でタバコを喫う男だぞ。
決して繊細ではない、というか一見豪放磊落、というか無神経無頓着で自分勝手。
ずけずけと他人の領域(おとなしい嶋)に入り込んでくる。
それがいつの間にか、変っているのだから。
ただ、嶋を覗き込むようにした時に見せた表情があの男に似ていてびっくりした。
橋口監督作品『恋人たち』のあのクールな弁護士で完璧人間・四ノ宮。

どうも世間はというかこの作品は一部で熱狂的に迎えられ、天野監督の出世作になる勢い。
台湾でも歓迎されたとか。
ツァイ・ミンリャンがいて、若い監督も育っているから下地は充分だな。

そしてもうひとつの作品『うるう年の少女』。
《story》
『夢を追って東京に出たものの、いまだ売れない女優のエミは、12年ぶりに帰郷。
田舎の風景は何にも変わってないようで、実はすべてがあの頃とは違っている。
皆いつの間にか、ちゃんと大人になっている。
結婚、出産、金、生活、老い・・・じわじわと迫ってくる現実。
でも私は、他の人とはちがう。
昔から信じている奇跡があるから。私は変わらない。私は老いない。
私はきっと、特別な人間になれるはず・・・。』
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『どうしても触れたくない』で沈んだ気分を次のこの作品で晴らそうとした。
2本立ての映画を観る時、この順番を考えるのはとても重要なことだ。
たとえば先々週まで刈谷日劇2で上映していた犬童一心監督2本立て。
『メゾン・ドヒミコ』と『ジョゼと虎と魚たち』なら、先にメゾンで後にじっくりジョゼとなる。
あくまで個人的な感想だが、久しぶりの『ジョゼ~』の満足感はメゾンよりずっと大きいはず。
そしてそれは予想通りで、観た後の寂しさや悲しさはずしんとその後、数日続いた。

さて、そのお口直しになるはずの『うるう年の少女』。
もうだらだら書かないで率直に、何これ、この痛い痛い作品は。
救いようがないというか、世間知らずの妄想ねえさんにつける薬は、ないとも。
そんな華も才能もない売れない女優さんを、まるでそのまんま演じた女優さん。
地ということはないから、天野監督の人物造形が際立っていたんだろうな。
それにしても彼女の数十年後(50年後)の姿まで描くというか、さらすという念入れ。
孫がいるという設定は?だが、よく家庭がもてたものだという疑問と相殺か。

キャスティングにも異議アリで、渋川清彦さんの登場ですぐに先が暗くなった。
個性派俳優で実際は本当にいい人かもしれないが、色がつきすぎている。
『モーターズ』で格好いいはずの主人公にして、他人の彼女に注ぐあのスケベな視線。
自分の中ではあれだけで作品がひっくり返ったけど、再びあれに会うとはご愁傷さまだった。

と、年甲斐もなくどんどん感情的になってしまって反省。
年齢を重ねていくつになっても知らない世界のことでああだこうだと思い悩む。
映画って本当に面白い。
いつもひとりでうだうだしてるけど、他人様の感想や考えを聞くのもいい刺激になる。
刈谷日劇さんは本当にありがたい存在だ。

天野監督作品2本立て上映は3月18日まで。

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