日記:初めての東京旅行、覚え書き
日記:初めての東京旅行、覚え書き
東京へは数回行ったことはあるが限定された目的で旅行とは言いがたかった。
海外や国内旅行にも慣れてきた今、ロンドンやパリ、NYへと同じ感覚で臨む。
ガイドブックや案内地図ほか使われている言語が分かるというのはとてもありがたいこと。
新聞やテレビでふだん見聞きする地名や距離が少し実感を伴ってきて素直にうれしい。
それにしても日本の首都は文化や芸術など何でもあり実に恵まれたところだと思った。
【訪問期間】2018年11月30日(金)~12月4日(火)
【地 域】東京:上野・鶯谷、京葉・潮見
【天 候】晴れ時々曇り、気温はふだんより高い
海外旅行をキャンセルして残った名古屋~成田(羽田)の航空券をパアにするのは悔しい。
東京での宿泊費などが余分の出費になるがこんな時でないとまとまった機会は取れない。
物見遊山旅にするには見どころが多いし広い、ということで美・博物館見学を中心にする。
美術館・博物館の場所と行き方、開館日や開館時間・料金などを調べる。
とにかく東京は日本の中心・玄関ということで、国立の代表的なものがたくさんある。
訪問期間の曜日と照合し、無駄なく上手に回れる方法を悩み考え、計画。
この作業がとにかく大変で、何をどのように見てくるか下調べも当然必要になる。
場所や行き方(アクセス)も一応調べるが、スマホなどを持っていないので不安だった。
30日(金)、成田に16時到着、京成本線で移動、京成上野は18時から活動開始。
金曜日は20時まで開館という『国立西洋美術館』へ。
入館時刻が遅いこともあり、料金は無料という恩恵を受ける。
昔、美術や図工の教科書で見たことのある絵が多い、それなのだ。
鑑賞後、宿泊地の鶯谷へ夜の散歩移動。
鶯谷ミュージックホールこそ不明だが派手なイオンの中にある普通(?)のホテル。
上野恩賜公園への移動基地としては申し分なし。
翌1日(土)は連泊なので荷物を置いて、少し離れた世田谷区の個人美術館めぐりとする。
山手線で渋谷へ、東急田園都市線に乗換え、駒沢大学駅へ。
『向井潤吉アトリエ館』を目指して住宅街を歩く。
10時開館にぴったり、うわさどおりずっと居たいと思わせる場所で、展示や応対に満足する。
次は同じ路線で用賀駅へ。
『世田谷美術館』は駅から遠く、砧公園を目印に行く(プロムナード道は知らなかった)。
砧公園は歴史があり樹木が見事な立派な公園で区民の憩いの場所という感じ。
収蔵品が豊富で見たいものもあったが、常設展は別のものだった、でもよし。
帰りは用賀駅までプロムナード道を歩く。
次へは二子玉川駅で大井町線に乗換え、自由が丘駅へ。
地図では線路伝いに行けば分かりやすそうだったのに方角を間違えもたつく。
道行く人や郵便配達人に尋ねても、ここは目黒区でとなりの区のことは分からない、と。
世田谷区と目黒区はとなりあわせで道一本隔てた向こうは知らない世界になるらしい。
その世田谷区の『宮本三郎記念美術館』へはようやく到着。
「花と裸婦は、私にとって生の喜びのすべてを託するに足るモティーフである」
と語った宮本三郎、とても正直な姿勢で男の鑑なのだが、
彼の描く裸婦は、美しくてスタイルのよいモデルさんではなくまったく昭和の女。
一部眼球のないモディリアーニ風、写実というならクールベのように描いてほしかった。
人出の多い自由が丘駅から大岡山駅で東急目黒線に乗換え、JR目黒駅へ。
最後の個人美術館は目黒駅前の一等地のビルの8階にあった。
黒田清輝とも交流のあったという功績の親子の『久米美術館』。
世田谷区の個人美術館は世田谷美術館分館として周辺施設めぐりの一つでもある。
入館料はいずれも200円、65歳以上の自分は半額で文化に囲まれている感覚。
目黒区の『久米美術館』は500円で割引はなし、とても静かに見られるのが特徴。
JRや東急を乗り継ぐのに交通系ICカードは本当に便利。
JR東海のトイカはポイントも付かず割引もない殿様商売品だが、使えるだけよしとしよう。
東京乗り物旅でなんとか動けて満足、山手線で鶯谷へ戻る。
時刻は15時、少し休憩後、本命の『東京国立博物館』へ向かう。
以前、奈良や京都の国立博物館へは行って満足、東京も来ているのだが記憶がない。
公園内は休日で人出が多くインバウンド隆盛、それでも『東博』は別格。
旗をもったガイドさんに団体さんがぞろぞろと並んで続く。
黒田清輝館を先に、入館してからはまず先に閉まる庭園へ。
台風被害なのか異常気象かはここでも顕著で、紅葉の趣はがっくりんこ。
本館見学。
お宝がいっぱい並んでいるが、その価値が分からない、嗚呼。
見るだけというのは辛いもの、予習した藤森さんの本も活かせなかった。
ぐったりしつつ、夕食休憩。
なにかと満腹でもう止めればいいものを、土曜日は20時まで開館がもうひとつ。
『国立科学博物館』へ行く。
ニューヨークの自然史博物館やロンドンの科学博物館も出色だったから夢よもう一度。
がっつりしっかり見たいところだが体力が続かない。
日本列島の自然と私たちをメインとした「日本館」を主に見て、一旦切り上げる。
そんな贅沢な見方ができるのも、18歳未満と65歳以上は無料という恩恵があるから。
翌2日の日曜日、朝から再び『国立西洋美術館』へ繰り出す。
気分を変えて何度も見ないと身体に受けるものがはっきりしない。
それは何度も書いて申し訳ないが、65歳以上無料という制度のお陰。
最近はEU離脱問題でとかく話題になるUK、ロンドンでは
『大英博物館』や『ナショナルギャラリー』『科学博物館』など、誰に対しても無料だった。
文化・芸術は見るのも味わうのも、するのもとても金のかかるものである。
それらが人類共通の遺産で宝物であるなら、見る機会は誰に対しても公平でないとね。
ちょっと余裕をもって鑑賞したあとは、上野の御山こと上野恩賜公園をめぐる。
芸大へ行き、不忍池をまわり、アイドル集会を横目に『下町風俗資料館』に入る。
西郷どんや上野大仏ほか。
そして再び『国立科学博物館』へ繰り出し、今度は地球生命史と人類の「地球館」へ。
なぜに、とんびはいないのじゃ。
見るだけではないので、変化があり、時間がいくらあってもきりがないところ。
でもって夕方、次の宿泊地の京葉・潮見へ移動する。
JR東京駅で、同じ構内の京葉線への移動がかくも時間のかかるものとは、既述。
予定された乗換えの時間が少ないととんでもないことになりそうで、充分に余裕の時間を。
しかし最近、エスカレーターでは歩かずに停まってつかまる、だそうで階段を走る体力が必要だ。
翌3日(月曜日)は既述の通り、「東京都民の山、高尾山」。
最終日の4日(火)、羽田発の飛行機は19時で充分に時間がある。
連日、これでもかというぐらい忙しい時間を過ごしてきたが、この日も同様になった。
どうしても行きたいのは『東京国立近代美術館』で千代田区にあり、最寄りは竹橋駅。
アクセスが問題で路線図と地図をずっと見る。
JR京葉・潮見駅から東京メトロ東西線竹橋駅へ、迷子にならない行き方は。
東京駅や大手町駅での乗換えが目についたが、見えた(スマホ持たない情報難民の感想)。
JR京葉・八丁堀駅でメトロ日比谷線に乗換え、茅場町駅で東西線に乗り換える。
八丁堀=中村主水や日本橋というなつかしい名前がいい。
『東京国立近代美術館』はこれまた素敵なところで感動と安寧。
さすがに工芸館へはぐったり気分で、北の丸公園で晩秋を味わう。
武道館のいちょうは高くて今が盛り、でも彼らの見つめるものは違う。
この日、1万人以上の同志を集めたらしい。
最後は皇居東御苑から東京駅へ抜けて歩く。
だったら、最初からちんたら乗換えなしで歩いていればよかった、とは後の祭り。
いやはや東京は大きな町で、田舎者にはとんでもなかと。
でも文化・芸術の宝物はいっぱいあるので、そこだけは見逃してはだめさ。
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コメント
お久しブリーフです。
鶯谷ミュージックホールと上野オークラをはずさない所がすばらしい。
砧や高尾山はボラで行ったことがあるけどあんまり覚えていないなあ。
私が東京に行くときに時間があれば行くのは寄席に神田の古本屋街に浅草です。
寄席も浅草も今は盛況すぎて見向きもされなかった頃がなつかしいです。
今度東京に行かれる時は神田の「悠久堂」によってみてください。
2階の回廊に山の厳選された古本が並んでいます。
昨日、中三の時にコンサートに行ったクイーンの映画を見てきました。
投稿: わりばし | 2018年12月28日 (金) 11時08分
わりばしさん 返事が遅くなり申し訳ありません。
中3の時にもうクィーンの生ですか、すごいですねってそんなに歳が離れてましたか。
それなのに鶯谷や上野のことがよくわかってらっしゃる。
若いのに相当渋い、お見それ致しました。
再び東京に行く機会がありましたら、神田へ寄ります。
ただ山の本をみつけても歩く体力と気力がどうか、と。
よい性春を いつまでも。
投稿: 本人 | 2018年12月31日 (月) 21時46分