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2019年11月

2019年11月26日 (火)

山歩き:晩秋のダイラ周辺

山歩き:晩秋のダイラ周辺

時季は晩秋、今年は遅いという山の黄紅葉もさすがに退場したか。
会いたい樹木と歩きたい古道、あのダイラはどうしているか。
急登、ヤセ尾根、トラバへつり、ゆったり逍遥に急下降の歩きに満足する。

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【山行日】2019年11月24日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:阿蘇谷、烏帽子岳・三国岳
【天 候】曇り
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】時山、清内橋付近の路肩駐車地、起点
P7:57--西北尾根--9:16烏帽子岳--県境尾根--10:14ブナ将軍10:24--
--11:04三国岳--11:57ダイラ12:35--13:20ビワ池--13:50P

このところ所用が多く体調もよくないまま時が過ぎ紅葉を愛でる山歩きはあきらめていた。
それなりに天気のよい土曜日もぐだぐだ、翌日の日曜日は雨予報で望みなし。
そんな夜、何気なく天気予報を聞いていたら日曜の日中はなんと晴れらしい。
捨てる神ばかりではなかった、準備用意。

まだ暗い朝方、外に出ると湿っぽくて、水溜りができている。
夜半しっかり雨が降ったようで、雲がどんより重いままだ。
雨天も泥んこも願い下げだが、そんな風だとますます山が遠くなってしまう。
なんとかなるかもしれない、とにかく出発。

休日の朝はどなたも早いようで、23号線は速い車がいっぱい。
三重県に入り、桑名から員弁に来るとうんと静かになってくる。
今日は藤原・御池を横目に岐阜県に進む。
目的地の時山は今でこそ大垣市だが上石津でも特に山奥の印象がある。

烏帽子岳の山裾を大きく回りこんで、狭い道を抜けていく。
川沿いの道にはフェンスのある建造物が多く、目立つのは「立入禁止」の表示。
時山養魚場に入る赤い橋(清内橋)が目印で、手前の空き地に駐車する。

烏帽子岳と三国岳へは数回来ているがダイラは2回、記憶はまるで薄い。

初めて来たときはガイドブックを見て唯一の登山道の「鐘釣谷」を利用した。
登山道は表示も含めてすぐにあやしくなり、行きつ戻りつしながらなんとか烏帽子へ。
途中、身体を上げようとつかんだ岩が、力をかけた途端にくずれてきてびっくり。
ひとかかえ以上の岩は幸運にも自分の体を避けて、でも転げ落ちていった。
ただその音はずっと聞こえつづけ、人がいればとんでもない事故になっていたはず。

その後、いつのまにか「鐘釣谷コース」は立入禁止になっていた。

今日は烏帽子岳の西北尾根(新)コースを利用する。
コースの約7割が鉄塔巡視路という(新)コースだがもう20年は経っているはず。
「鐘釣谷コース」に代わる道でその後「細野道」や「南尾根道」が整備された。

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清内橋を渡り、道を養魚場へは行かず左折すると登山口はすぐ。
暗い植林帯の急斜面を歩きやすい斜度で道は造られ、プラ階段が整備されている。
道はなんでも人工的だが、このプラ階段巡視路は便利だが味気ない。
造るのも大変で維持するのも手間だが作業では資材荷物担いで通るわけだ。
遊びでちんたらへいこらしている人間が文句言ってはバチがあたる。

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単調だがどんどん高度を稼いでいく道にすぐに息があがる。
鉄塔を通り過ぎてまもなく尾根が開けてくると雰囲気が変わる。
道は潅木の間を右に左に抜けていくのだが上りはよいが下りは外すかもしれない。

三国岳への県境尾根道分岐を過ぎると展望岩があり今日のコースを確認する。

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前方に山姿が見えてくるが双耳峰の烏帽子岳のどちらとは少しわかり辛い。

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右に狗留孫岳への巻き道分岐を見てすぐに最高点の山頂。

もう少し進むと南東に視界の開ける、いわゆる烏帽子岳山頂。

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時集落に来てここまで、誰にもあっていないので思わずひとり言。
「烏帽子、山頂だ」
すると右手の木陰から人が現れ細野方面へ逃げるように下山していった。

こんな朝早くに上ってもう下山!?
人にはそれぞれ事情があって当然だが・・・。
結局この日、見た、会ったのはこの人が最初で最後になった。

今日の目標をここで設定。
あわてずあせらず、見たいところはじっくりと。

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といいつつ遠くを眺めるともう用はなく、三国岳への分岐へと道を戻る。

烏帽子岳と三国岳を結ぶ尾根は岐阜県と三重県の県境でもある。
やせた尾根にはそれなりにアップダウンがあり道も左右にまたぐ。
ぼーっとしていると外すこともあり、ヒヤッと高度を感じるところもある。

烏帽子から三国へ三分の2ほど進んだところに、あの方々が居られる。
「将軍様、またまたご無沙汰しています、ご機嫌如何ですか」
鈴鹿山脈のブナ巨木界ではいわずと知れた伝説的な存在。

並んで立つ似たような2本のブナ。

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手前が「副将軍ブナ」で、下奥が「将軍様」。

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近寄ると違いははっきりとするが比べるのは邪道、無事でなにより。
ただ気のせいか肌のつやがよくないようで、頭部の欠落が痛ましい。

ひとつの大きな目的を遂げたあとは、三国岳への急な上りになる。
一気に上がるのではなく、手頃な大きさのデカコブ平を越えていく。

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ぬた場もあって、この広がりがミニテーブルランド。
その後は、岩場のきつい上りをこなして稜線に上がる。

今歩いてきた県境稜線や烏帽子を確認する。

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そこから三国岳へはもうひとのぼり。

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特に用はないがそこはそれ大人の対応というやつ。
山頂からは御池・鈴北・鈴が岳が見えるが、鞍部のヒルコバがいちばん目立つ。

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三国岳には山頂らしきものが3つあって、三角点、山頂、最高点がある。

ダイラへは道を戻り、急降下していく。
きつい下りでまだ先が長いので、三国岳山頂へは寄らなければよかった。

この下りの先で分岐を左に上がると三角点だが、もちろんパス。
それよりも先のミニテーブルランドと標高が同じだからバイパスが欲しかった。
三国岳へのあのきつい上り下りを経験すると、本当にそう思う。

ダイラというか阿蘇谷へ降りる道はすぐその先に分岐があった。

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左はダイラの頭を経て横根や五僧方面、右へ降りていく。

斜面をへつるようにして狭い道を行く。
谷があらわれそれに沿っていくようになると、踏み跡があやしくなる。

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コケが付きざれて濡れた岩がごろごろですべりやすくあぶないことこの上ない。

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この区間が一番緊張し、苦労した。

そして「ダイラ南口」から侵入。
阿蘇谷道はぐるりとカーブを描くようにしてダイラに入りそして谷へと抜けていく。
ダイラは広く、地形図だと阿蘇谷道はほんの少しかすっていくだけ。

さてと、以前来たのはどこだったか。

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広々としたところで寛いだようだが、どこもかしこも同じように似ている。
三段の縦に並んだ釜跡はよく目立つ。

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うろうろしながらもあたりを見下ろすここぞというところに陣を張る。

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ついこの前までは寒かったのに、今日はしっかりと汗をかいた。
靴を脱いで、と。
そうか、これから昼飯休憩には陣幕でも張ると気分が高揚するかも。

地形図で歩いてきた道を確認しながら、点線の道に疑問や不満を覚える。
この後は、・597を目指してだだっ広いダイラをさまよえばいい。

休憩後、コンパスを頼りにするとその前にひらひらピンクテープが目に入ってくる。
阿蘇谷道でもよく目に付いたがこちらも多そうだ。
尾根に上がれば確実だが、同じ高度をずっと保っていけば楽に行ける。

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広いダイラを、左から右へとゆったりカーブするように行けば、と。
ピンクテープは下、中、上にあり、どちらへ導いていくのか不安にもなる。
ここらへんが地形図とコンパスだけでは判断できない自分の弱さでもある。
結論から言えば、中のテープはうまいことコースを導いてくれた。

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ただ最後に来て尾根の急登があり、もっとなだらかにできなかったのかと不満。
それにビワ池と阿蘇谷のどちらの方面から道を探ったのかでも異なるのでは。
また上中下のそれぞれのテープの付けられた意味もわからないままではこわい。
いわゆる赤テープはありがたいようでミスリードもあるから要注意。

で、峠状の開けたところに出て、その先には池があったとさ。

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名前はビワ池だったと思うが、どうしてそうなのかは不明。
稜線上にある不思議と、その存在がいい感じだ。

開けた場所なのでこのあとに下る方向はコンパスで慎重に探る。

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テープ表示もここは大事なので多いが、きちんとした固定表示が必要だろう。
ここからは植林帯の急な下りになる。
あいかわらずピンクテープが先導するが、途中から消える。
右手への分岐であらわれ、すぐ下で阿蘇谷道に合流する。

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さいごは害獣除けの柵を開閉して時山養魚場へ戻っていく。

それなりの急登、ヤセ尾根の上下動、トラバへつり、ゆったり逍遥、急下降。
阿蘇谷の源流域、ダイラとその周辺の山をつなぐ歩きはとても変化に富んでいた。
距離や標高差もそれなりで、先を急ぐ必要もないのでじっくりと晩秋を愛でる。
最後の秋になんとか間に合ってよかった。

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車のところに戻るとテントウムシが屋根、窓、タイヤに群がっている。
追っても払っても効果はなく、一部は100km離れた自宅まで付いて来ていた。
生態系とかなんとかでそれでよかったのかどうか、そんなこと知らん。

 

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2019年11月10日 (日)

山歩き:宮指路岳から入道が岳で秋を味わう

山歩き:宮指路岳から入道が岳で秋を味わう

宮指路岳から入道岳への稜線歩きは静かで秋を味わうにはよい。
樹木の黄紅葉、起伏のある稜線、そしてごろごろと点在する大岩。
久しぶりなので新鮮気分、ただ衰えた身体には少し辛い歩きになる。

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【山行日】2019年11月9日(土)    
【山 域】鈴鹿中南部:小岐須峡、宮指路岳・入道が岳
【天 候】晴れ
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】小岐須峡大石橋付近の駐車地、起点
P7:53--7:56登山口--ヤケギ谷道--9:34宮指路岳9:40--9:52小岐須峠--
--県境稜線--11:09尾根分岐--磐座尾根--12:24奥宮12:56--池ケ谷道--14:18P

秋の鈴鹿山脈第2弾は小岐須峡。
宮妻峡への道を過ぎ、椿大社の門前を通り抜けて行く。
高速道路とインターチェンジが新設されてどんどん変わっていく風景。

小岐須峡に入ると途端に道は狭くなりぼこぼこと荒れている。
山の家の駐車場はがらがら、途中、落石もあったがなんとか大石橋へ。
先客が1台、狭い駐車地で傾斜があるので停め方に気をつかう。

駐車地から宮指路岳ヤケギ谷道登山口はすぐで、入山。
何度も歩いているヤケギ谷道だが気分はいつも新鮮、どこでもだけど。
少しの記憶を確認しつつ、味わいのあるヤケギ谷道を上がっていく。

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谷沿いの巻き道には落葉が堆積し、そこに朝日が差し込む。

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ジグザグの登りが続くようになるとどんどん高度を稼いで行くが少し辛い上り。

谷道はそのまま左の主稜へ上がり、この山の名所を通っていく。
道からすぐのところにある大岩「東海展望」、特に表示はなし。

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たぶんいつも同じところから思わずデジカメっている。

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登山道を少し進むと少し離れたところにある大岩「三体仏岩」、表示なし。

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遠くから見て三体の仏様が並んだように見える岩、ということで存在感あり。
先ほどの東海展望は景色を見るための大岩展望台ということ、どうでもいいけど。

宮指路岳山頂へはいったん下ってだらだらと上っていく。

宮指路岳の山頂は展望も何もないさえない通過点だった。
しかし山頂を尊重する人々の努力の結果、視界が少しずつ切り開かれている。
そこから見える「馬乗り岩」と「だるまさんころんだ○○岩」。

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だだっ広い山頂広場からは他にも何かとデジカメ対象によいものが多い。

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山頂広場を右折すると、鈴鹿山脈の主稜線(県境稜線)になり、カワラコバ道になる。
ここの下りは鈴鹿の他のところの下りとよく似ていて、既視観に陥る。

明るく開けた鞍部が小岐須峠。

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右に下りればカワラコバ道で、最近は道も整備されて利用者が多いらしい。
この稜線道の広さと明るさが特長といえばそうで、日向ぼっこにとてもよい。

少し荒れていて、目印もなくなっている下りをやりすごす。
左側(西側)のすぐ下に源流部が迫ってきている。
やがて、その象徴たる仏谷峠。

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ふつうに歩けば、少しきつい下り上りのある単なる峠だ。
でも周囲を少し歩き回れば雰囲気のあるところだと、自分は勝手に思っている。
尾根が入り組んで重なっている右側(東)が興味を惹く。

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別に何があるわけでもないが、道を外れてそこら辺をふらっとしたくなる。
窪地に落葉が堆積し、ちょっとした空き地があって、それだけのこと。
新たな発見は何もないけど今日の目的、秋をじんわりと感じる。

鈴鹿山脈の主稜線に三重県と滋賀県の県境が定められているらしい。
愛知県人の自分にはどうでもいいことだが、ボーダーはいい。
特に登山道が設けられているわけではないが、人が歩いて踏み跡がある。
最近は目印テープがいっぱい、でもそれが一定しているわけではない。
テープに指図されるのがイヤなら、太い尾根芯を外さないように行けばよい。
潅木が繁茂しているところでは注意も必要。

ほら、ぼやっとしていたら迷い込んでいた。

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右手に立派な巨大な大岩、そのむこうに入道ケ岳。

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今日は大岩への寄り道は、気分がのらないのでパス。
先へ進み、小岩というか定員ひとりのプッチ岩を確認していく。

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眺めはそこそこ、独り静かに山を楽しむ寡黙なおじさん族専用。

そして県境稜線は、イワクラ尾根分岐に至る。

樹間から水沢岳の秋と、鎌が岳の一部を見る。

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イワクラ尾根に入ると途端、一気の下りとなりせわしい尾根歩きになる。
ただ秋を感じる樹木や見所は多く、何ごとでも外れのない尾根だ。

県境稜線では誰ひとり会わなかったのに、ここではすれ違う人がままある。

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といっても元気な若者であり、孤独なおじさんがぼちぼち。
とにかくアスレチック尾根よろしく、下っては上りという動きがずっと続く。
ゆったり稜線漫歩というのがまったくない。
これは弱ってきた足にびんびん疲れを与え、痛めつける。

イワクラの本体、磐座こと仏岩もゆっくり眺める余裕なし。

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重ね岩も同じく。
とにかくへろへろになりながら最後の急登をこなすことを考える。

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ようやく馬酔木と低い笹原を抜けて、入道庭園に。
もう先に進む体力はなく、奥宮へ。
荷物をほおり出して、入道山頂を遠望する。

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なんだ、あのたくさんの人は、祭りか。

そこへひとり、ふけたおじさんが来る。
奥宮に向かってかなり長い時間、御参り(願い事)している。
離れた山頂からは、にぎやかで華やいだ声が風にのって届く。
落ち着かず、今どきのきれいな尾根遺産でも見学しようか、と迷う。
そこは信仰心や疲れがまさって、すなわち長い休憩となる。
その後、自分としてはけっこう長居したが、奥宮はずっと静かなまま。
おじさんと思えた人はよく見るとモダンな若者だった、失礼。

重い腰を上げてふたたび山頂方面を見れば、ますます人が増えている。

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「みんな集合、つぎは動画を撮りますよ」
おいおい、遠足か。

鈴鹿ではここ数年、御在所岳の一本人気で、次いで竜や御池。
高速道路の整備で自分は仙が岳南尾根あたりが人気になると予想したが、外れた。
時代は、入道ケ岳だった。
きつい登りはあるものの、鈴鹿のどの山よりも展望がよくてしかも広い。
流行や世相というのをよむのはむずかしいものだ。

休憩後、山頂に用はなし、ではなくてもう行く気力なし。
あとは下るだけ。
今日は手短に、池ケ谷道に入る。

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はじめこそ岩がれの道をたんたんと下っていく。
蛍光ピンクのテープがこれでもかというくらい付いている。

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谷から離れ高巻きになると、けもの道のような幅で気をぬけなくなる。
しかも下りは急ですべりやすく、踏ん張りがきかないとヤバイ。
分かってはいたがこれが池ケ谷道の特徴で、じわじわと後悔の念が高まる。

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道も一部変わっていて、へつりが崩れた箇所に変更とは、何。

今日の大きな反省点はコース選択、池ケ谷道の扱い。
ここは上りならきつい上りで我慢できるが、下りにここは使うべきではない。
イワクラ尾根で体力、筋力の疲れた自分には少し辛い最後の歩きになった。

記録と経験から、比較的軽めのコースと思っていたのに、思わぬ疲労度。
秋を味わう目的はなんとかなったけど、体力の衰えが少し早すぎる。

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2019年11月 6日 (水)

山歩き:三筋山の海すすき

山歩き:三筋山の海すすき

海辺の稲取の町から三筋山へは125haの広大なススキ原、細野高原がある。
この高原の特徴は海の見える草原で、相模湾や伊豆七島が一望できる。
イベント参加の行楽観光は運にも恵まれて、納得のゆく展望山歩きとなる。

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【山行日】2019年11月1日(金)    
【山 域】東伊豆:稲取細野高原、三筋山821m
【天 候】晴れ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】細野高原駐車場を起点、山頂往復
出発点10:35--11:20約八合目--11:28山頂11:52--12:56出発点

今回の旅行の後半は伊豆半島、休暇村南伊豆に宿泊する。
朝、弓ヶ浜を散歩したあと、東伊豆まち温泉郷「秋のすすきイベント」に参加する。
宣伝文句は「黄金に輝く世界を散策、まだ見ぬ絶景!海すすき」だそうな。
イベント期間は10月7日から11月8日まで、シャトル送迎ほか各種催しがある。

海沿いの道路から見えた風力発電の風車が林立するあたりがそれらしい。
起伏のある道路から山域に入ると、時に狭いくねくね道になる。
すれ違いも難しい山間の生活・作業道はイベント期間中、車線規制をして対応。
随所に係員が案内に立ち、地区をあげての大事な観光になっている。

広い駐車場に車を停め、近くの入山受付で入山料600円を払い説明を受ける。
スタンプラリーもあって、楽しみながら観光山歩きができそうだ。
イベント広場や売店ほか臨時トイレも随所に設けられ、力が入っている。

出発地点の標高は約400m、目指す山頂までの標高差は約420m。

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それなりの上り下りがあってちょっとした、というか立派な山歩きである。
そんな山登りはイヤ、というたくさんの参加者のためにはシャトルバスの送迎もある。
マイクロバスでゆっくり遠回り、およそ八・九合目付近まで行ける。
そこから絶景ポイントまでは徒歩10分、山頂までは残り5分で、至れり尽くせり。
スタンプラリーについても、バス降り場から歩いて下れば達成できるというもの。

ということで、出発。

苦労は買ってでもする自分は歩いて、自分以外のほとんどの人はバス乗り場に直行。

はじめこそ沢を渡るため、下ってから上がっていく階段歩き。
そこからはカートが余裕で通れそうな幅の舗装されたコンクリート道になる。

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足の上げ幅が必要ない分、ふつうの道を歩く感覚でどんどん進んでいける。

周囲には面積が125ヘクタール、東京ドーム26個分というすすき野原が広がる。

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パンフによれば箱根仙石原の7倍という、東京近郊観光地の比較基準が面白い。

これから歩いていく道や目的地が一望できるのはなんとなく安心感がある。

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ふと香港のいくつかのロングトレイルを思い出す。
コンクリート舗装で幅も同じぐらい、海が見えるのもよく似ている。

前方の先を行く人は同類?否、生態というか植生を観測する調査員の方だった。
ススキ原とはいえ足元をよく見ればリンドウやセンブリ、リュウノウギクが咲いている。

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ヒョウモンチョウやシジミチョウがひらひら、ヤマカガシの幼ない蛇があわてて逃げる。

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暑い日ざしのもと、ずんずん歩を進める。

草原の合間に山並みが見え、なかなか美しい稜線だ。

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途中から勾配のあるジグザグの道になるが、舗装道なのできつさは軽い。
上りつめたところが約八合目のシャトルバス降り場で、係員やバスの乗降客がいた。

そこからは一応だれもが徒歩ということでえっちらおっちらと階段道を上がっていく。
左手におすすめ絶景ポイントがあらわれるが寄るのはあとにして山頂へ向かう。

山頂も明らかに開けた場所らしく、先を急ぐ。

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到着する前からどんどん広がる視界はいわゆる360度の展望というやつ。
展望台もありここまであけっぴろげだと苦笑。

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風車は稜線を北へと続き、そこで東西に横たわるのが天城連山だという。

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先ほどから見えていたのは万三郎岳や万二郎岳という有名な百名山だった。

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山腹に点在する家々が異様だが、土地が少ないというよりも別荘感覚での開発なのだろうか。

おすすめ絶景ポイントに下って行く途中の眺めもいい。

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絶景ポイントから山頂方面を振り返っても、いい。

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約八合目へ下っていくと、行楽客がどんどん上がってくる。

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さてその下りには、行楽客の一部の人が加わることになる。

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本当はここに一番の問題というか難点がある、と思う。
舗装された道は歩きやすくてちょっと油断するとスピードが出る。
それでなくても速度を抑えながらのつんのめる歩きなのだ。
コンクリート舗装の固い道は膝や足のいろんな部位にじわっとダメージを与えてくる。
みなさん、元気に楽しそうにしてるけど、明日は如何?

そんなイベント参加の行楽観光だが自分には納得のいく展望の山歩きになった。
こんなのは山歩きの風上にも置けない、とはまったく思わない。
むしろ人が多いからこそその隙間で静かなひとり山歩きができてありがたいこと。

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2019年11月 3日 (日)

山歩き:長者ケ岳から富士山を見る

山歩き:長者ケ岳から富士山を見る

富士・伊豆へ四泊5日の観光旅行、宿泊地から近場の山へ向かう。
一日中雨の翌日その裏山から、足元さえ我慢すれば絶好の展望が広がる。
富士山が見られるのは当然のように思っていたが、運に恵まれただけ。

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【山行日】2019年10月30日(水)    
【山 域】静岡・山梨:天守山地、長者ケ岳1336m
【天 候】晴れ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】休暇村富士を起点、山頂往復
休暇村富士8:00--8:10登山口--8:41分岐点--東海自然歩道--
--9:26山頂9:42--10:13分岐点--10:36登山口

富士・伊豆へそれぞれ2泊ずつ、四泊5日の観光旅行をする。
宿泊が一番の観光だが、合間をぬって宿から最寄の山へ向かう。
休暇村は日本全国どこでも立地に恵まれているが、ここも秀逸。
眼下には田貫湖が広がり、正面に富士山という絵葉書のような景色。
そして背後の西側に天守山地が連なり、長者ケ岳や天子ケ岳がある。

荷物をまとめ、ビュッフェ形式の豪華な朝食もそこそこに登山口へ向かう。
休暇村の駐車場から奥へ進む感じで林道をつめていく。
水溜りが各所にあり、道全体にあふれているので避けていくのに神経を使う。
大きな靴跡は登山靴のそれで、朝早く山に入った人がいるらしい。

登山口からは植林帯の暗い道で階段状の歩きにくいところを上がっていく。

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ジグザグの道をしばらく進むと徐々に自然林が増え明るくなってくる。

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東海自然歩道の通る稜線の道に合流するまではひたすら高度をかせぐ。

あたりが開けてくるとすぐ合流できそうなのに、なぜか下がっていく。
分岐点は休憩所になっていて、それなりに素晴らしい展望が広がる。

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富士山と田貫湖や朝霧高原、なだらかな裾野のむこうに越前岳も。
ただその越前岳の高さにはもくもくと雲が湧き始めている。
こりゃ急がないと、ガスがどんどん上がってきて富士山だって見えなくなる。

稜線の道、東海自然歩道に入ると斜度が緩くなり広くて歩きやすくなる。

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おそらくこのまま一気に山頂までつめていくのだろう、と思わせる雰囲気いっぱい。
途中の杉木立は4車線以上の歩道だから人気のほども分かるというもの。

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樹幹越しに近くの山並みが見え、東海自然歩道らしい階段やベンチもある。

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登山道なのか遊歩道かは関係なく、歩いていて気持ちのよい漫歩コース。

人の声が聞こえてきたから山頂は近い。

すぐに少し開けた場所で、交差点でもある長者ケ岳山頂に着く。

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左手には、ぐわんと大きな富士山。

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下の分岐点で見ていたので予想はついていたが、絵に描いたような景色。

そして真ん中たてに、大沢崩れ。

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富士山はここでぱっかりと割れるんじゃないか。

そこには先客で外国の若者が3人、あの大きな足跡は彼らだった。

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別れ際に聞くと、アイルランドから、と。
ラグビーW杯の応援なのか、それとも選手?
天子ケ岳方面へ向かっていった。

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別れてからもっと会話すればよかった、と後悔。
ルーク・ケリーとダブリナーズの「私の愛した街」なら少し歌えたのに。
Luke Kelly & Dubliners "The Town I loved so well"

西側に行くと、こちらの展望もいい。
雪をかぶった赤石山脈のオールスターズが勢ぞろいしている。

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そこへ日本の若者がひとり、地元だそうな。
彼が言うには、富士山はともかく赤石山脈がはっきりと見えるのは珍しいそうだ。

天気予報頼りの今日の山歩き、ビギナーズラックというか運に恵まれただけとも。

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いやはや「富士山の見える山歩き」というガイドブックもあるが展望の山歩き万歳。

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