山歩き:晩秋のダイラ周辺
山歩き:晩秋のダイラ周辺
時季は晩秋、今年は遅いという山の黄紅葉もさすがに退場したか。
会いたい樹木と歩きたい古道、あのダイラはどうしているか。
急登、ヤセ尾根、トラバへつり、ゆったり逍遥に急下降の歩きに満足する。
【山行日】2019年11月24日(日)
【山 域】鈴鹿北部:阿蘇谷、烏帽子岳・三国岳
【天 候】曇り
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】時山、清内橋付近の路肩駐車地、起点
P7:57--西北尾根--9:16烏帽子岳--県境尾根--10:14ブナ将軍10:24--
--11:04三国岳--11:57ダイラ12:35--13:20ビワ池--13:50P
このところ所用が多く体調もよくないまま時が過ぎ紅葉を愛でる山歩きはあきらめていた。
それなりに天気のよい土曜日もぐだぐだ、翌日の日曜日は雨予報で望みなし。
そんな夜、何気なく天気予報を聞いていたら日曜の日中はなんと晴れらしい。
捨てる神ばかりではなかった、準備用意。
まだ暗い朝方、外に出ると湿っぽくて、水溜りができている。
夜半しっかり雨が降ったようで、雲がどんより重いままだ。
雨天も泥んこも願い下げだが、そんな風だとますます山が遠くなってしまう。
なんとかなるかもしれない、とにかく出発。
休日の朝はどなたも早いようで、23号線は速い車がいっぱい。
三重県に入り、桑名から員弁に来るとうんと静かになってくる。
今日は藤原・御池を横目に岐阜県に進む。
目的地の時山は今でこそ大垣市だが上石津でも特に山奥の印象がある。
烏帽子岳の山裾を大きく回りこんで、狭い道を抜けていく。
川沿いの道にはフェンスのある建造物が多く、目立つのは「立入禁止」の表示。
時山養魚場に入る赤い橋(清内橋)が目印で、手前の空き地に駐車する。
烏帽子岳と三国岳へは数回来ているがダイラは2回、記憶はまるで薄い。
初めて来たときはガイドブックを見て唯一の登山道の「鐘釣谷」を利用した。
登山道は表示も含めてすぐにあやしくなり、行きつ戻りつしながらなんとか烏帽子へ。
途中、身体を上げようとつかんだ岩が、力をかけた途端にくずれてきてびっくり。
ひとかかえ以上の岩は幸運にも自分の体を避けて、でも転げ落ちていった。
ただその音はずっと聞こえつづけ、人がいればとんでもない事故になっていたはず。
その後、いつのまにか「鐘釣谷コース」は立入禁止になっていた。
今日は烏帽子岳の西北尾根(新)コースを利用する。
コースの約7割が鉄塔巡視路という(新)コースだがもう20年は経っているはず。
「鐘釣谷コース」に代わる道でその後「細野道」や「南尾根道」が整備された。
清内橋を渡り、道を養魚場へは行かず左折すると登山口はすぐ。
暗い植林帯の急斜面を歩きやすい斜度で道は造られ、プラ階段が整備されている。
道はなんでも人工的だが、このプラ階段巡視路は便利だが味気ない。
造るのも大変で維持するのも手間だが作業では資材荷物担いで通るわけだ。
遊びでちんたらへいこらしている人間が文句言ってはバチがあたる。
単調だがどんどん高度を稼いでいく道にすぐに息があがる。
鉄塔を通り過ぎてまもなく尾根が開けてくると雰囲気が変わる。
道は潅木の間を右に左に抜けていくのだが上りはよいが下りは外すかもしれない。
三国岳への県境尾根道分岐を過ぎると展望岩があり今日のコースを確認する。
前方に山姿が見えてくるが双耳峰の烏帽子岳のどちらとは少しわかり辛い。
もう少し進むと南東に視界の開ける、いわゆる烏帽子岳山頂。
時集落に来てここまで、誰にもあっていないので思わずひとり言。
「烏帽子、山頂だ」
すると右手の木陰から人が現れ細野方面へ逃げるように下山していった。
こんな朝早くに上ってもう下山!?
人にはそれぞれ事情があって当然だが・・・。
結局この日、見た、会ったのはこの人が最初で最後になった。
今日の目標をここで設定。
あわてずあせらず、見たいところはじっくりと。
といいつつ遠くを眺めるともう用はなく、三国岳への分岐へと道を戻る。
烏帽子岳と三国岳を結ぶ尾根は岐阜県と三重県の県境でもある。
やせた尾根にはそれなりにアップダウンがあり道も左右にまたぐ。
ぼーっとしていると外すこともあり、ヒヤッと高度を感じるところもある。
烏帽子から三国へ三分の2ほど進んだところに、あの方々が居られる。
「将軍様、またまたご無沙汰しています、ご機嫌如何ですか」
鈴鹿山脈のブナ巨木界ではいわずと知れた伝説的な存在。
並んで立つ似たような2本のブナ。
近寄ると違いははっきりとするが比べるのは邪道、無事でなにより。
ただ気のせいか肌のつやがよくないようで、頭部の欠落が痛ましい。
ひとつの大きな目的を遂げたあとは、三国岳への急な上りになる。
一気に上がるのではなく、手頃な大きさのデカコブ平を越えていく。
ぬた場もあって、この広がりがミニテーブルランド。
その後は、岩場のきつい上りをこなして稜線に上がる。
今歩いてきた県境稜線や烏帽子を確認する。
そこから三国岳へはもうひとのぼり。
特に用はないがそこはそれ大人の対応というやつ。
山頂からは御池・鈴北・鈴が岳が見えるが、鞍部のヒルコバがいちばん目立つ。
三国岳には山頂らしきものが3つあって、三角点、山頂、最高点がある。
ダイラへは道を戻り、急降下していく。
きつい下りでまだ先が長いので、三国岳山頂へは寄らなければよかった。
この下りの先で分岐を左に上がると三角点だが、もちろんパス。
それよりも先のミニテーブルランドと標高が同じだからバイパスが欲しかった。
三国岳へのあのきつい上り下りを経験すると、本当にそう思う。
ダイラというか阿蘇谷へ降りる道はすぐその先に分岐があった。
斜面をへつるようにして狭い道を行く。
谷があらわれそれに沿っていくようになると、踏み跡があやしくなる。
コケが付きざれて濡れた岩がごろごろですべりやすくあぶないことこの上ない。
そして「ダイラ南口」から侵入。
阿蘇谷道はぐるりとカーブを描くようにしてダイラに入りそして谷へと抜けていく。
ダイラは広く、地形図だと阿蘇谷道はほんの少しかすっていくだけ。
さてと、以前来たのはどこだったか。
広々としたところで寛いだようだが、どこもかしこも同じように似ている。
三段の縦に並んだ釜跡はよく目立つ。
うろうろしながらもあたりを見下ろすここぞというところに陣を張る。
ついこの前までは寒かったのに、今日はしっかりと汗をかいた。
靴を脱いで、と。
そうか、これから昼飯休憩には陣幕でも張ると気分が高揚するかも。
地形図で歩いてきた道を確認しながら、点線の道に疑問や不満を覚える。
この後は、・597を目指してだだっ広いダイラをさまよえばいい。
休憩後、コンパスを頼りにするとその前にひらひらピンクテープが目に入ってくる。
阿蘇谷道でもよく目に付いたがこちらも多そうだ。
尾根に上がれば確実だが、同じ高度をずっと保っていけば楽に行ける。
広いダイラを、左から右へとゆったりカーブするように行けば、と。
ピンクテープは下、中、上にあり、どちらへ導いていくのか不安にもなる。
ここらへんが地形図とコンパスだけでは判断できない自分の弱さでもある。
結論から言えば、中のテープはうまいことコースを導いてくれた。
ただ最後に来て尾根の急登があり、もっとなだらかにできなかったのかと不満。
それにビワ池と阿蘇谷のどちらの方面から道を探ったのかでも異なるのでは。
また上中下のそれぞれのテープの付けられた意味もわからないままではこわい。
いわゆる赤テープはありがたいようでミスリードもあるから要注意。
で、峠状の開けたところに出て、その先には池があったとさ。
名前はビワ池だったと思うが、どうしてそうなのかは不明。
稜線上にある不思議と、その存在がいい感じだ。
開けた場所なのでこのあとに下る方向はコンパスで慎重に探る。
テープ表示もここは大事なので多いが、きちんとした固定表示が必要だろう。
ここからは植林帯の急な下りになる。
あいかわらずピンクテープが先導するが、途中から消える。
右手への分岐であらわれ、すぐ下で阿蘇谷道に合流する。
それなりの急登、ヤセ尾根の上下動、トラバへつり、ゆったり逍遥、急下降。
阿蘇谷の源流域、ダイラとその周辺の山をつなぐ歩きはとても変化に富んでいた。
距離や標高差もそれなりで、先を急ぐ必要もないのでじっくりと晩秋を愛でる。
最後の秋になんとか間に合ってよかった。
車のところに戻るとテントウムシが屋根、窓、タイヤに群がっている。
追っても払っても効果はなく、一部は100km離れた自宅まで付いて来ていた。
生態系とかなんとかでそれでよかったのかどうか、そんなこと知らん。
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