山歩き:御池岳詣2021秋
山歩き:御池岳詣2021秋
長い長い自粛期間を経て今年初めての県外の山は鈴鹿、御池岳。
行き帰りの車の運転、山での歩き方など、まるで初めてのようで高揚する。
時季は例年と同じ、紅葉の秋には早いのか、それとも行けるだけで儲けもの?
【山行日】2021年10月24日(日)
【山 域】鈴鹿北部:御池岳
【天 候】晴れのち曇り、風は少し冷たい
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】鞍掛峠東側駐車地、起点
P6:55--7:10コグルミ谷登山口--7:53カタクリ峠--8:15八合目--8:35丸山--
--散歩・定点観測・淵・池めぐり--10:42鈴北岳11:05--11:42鞍掛峠--11:55P
鈴鹿の山で困るのは駐車場、どこの山でも同じだが御池岳は特に。
もともと狭くて少ない場所に皆が集中するのだから場所取り合戦は熾烈。
朝7時前にほぼ埋まるそうだから、家を早出してより早い到着を心掛ける。
なんかゆったり遊びに来ているのに自分からせちがらくしてみっともない限り。
遅く着いたところで、めそめそ泣いてそのまま帰ることなんて絶対ないのだから。
6時40分に到着、でもほぼ満車状態。
周囲を見わたし合法的な空き地になんとか滑り込む。
すぐその後に何台も車がやってきたので、人生はいつも運だけなのかも。
「山渓」や「岳人」でも紹介されていて人気の山なのはわかっている。
地元の三重や名古屋以外の県外ナンバーの車が多いのもわかる。
だけど大阪や和泉ナンバーという近畿圏が一番多いとは、なんばしよると。
古参の威信にかけても彼らの横暴を阻止せんとあわてて用意し、出発。
まずはコグルミ谷登山口へ、車道を下っていく。
ふとガードレール下の急崖を見ると、廃棄物がいっぱい。
見ないふりをする。
登山口に来る。
いつも1~2台は停まっている特等席の駐車地が、今日は空いてる!
薄暗い中、谷に沿った道を上がっていく。
よく整備はされているものの、急で、粘土質なので滑りやすい。
時々、息を整えつつ、山登りの辛さを思い出す。
長命水を過ぎてからジグザグに整備された道はシマリスの舞台。
あえぐ人間どもなど知らん顔で彼らは冬準備に忙しい。
動き回る彼らに対峙できるのは、息をひそめてじっとすることのみ。
カメラを構えたとたん、視界から消えていた。
モデル慣れしているとはいえ、暇な人間の相手をするヒマはない、てか。
カタクリ峠が近づくと光があふれ出し、木々の葉が青々しい。
えっ、そうじゃないって。
少しは黄色っぽいし、赤いのもあるけど。
紅葉には早かった、でもここの木立はすがすがしい。
県境稜線尾根を乗り越えて真の谷に下りていく。
瑞々しい苔にびっしり覆われた枯谷。
今年もやっと御池に来られた。
丸山への分岐からは泥んこで滑りやすい単調な道になる。
最後の上りだからがまんするしかない。
被写体を求めて夢中になりすぎて、こちらの姿を見て驚くカメラ女子。
よほど早い時間に山へ入ったらしく、もう下りなんだとか。
丸山山頂へ寄るのは、これから始まる散歩の合図のようなもの。
北への視界に、養老山地、笙が岳がはっきり見えた。
空が青いなあ。
遠くの景色が見えるのは、やっぱりうれしい。
奥の平へ。
今や昔、オオイタヤメイゲツが話題になったのはいつの話。
でも、健気に佇むブナもいいもんだ。
霊仙や伊吹山の山体と、際立つその横っ腹の見事さ。
えっ、鈴北岳にいる人がこんなにはっきり見えるんだ。
向きを変えれば名所のボタンブチと天狗ノ鼻、天狗堂。
みんな、ここはデジカメる。
奥の平南峰からアリジゴクに取り込まれるように進んでいく。
対するむこうには、丁字尾根から上がってきた人が似た動き。
お互い遠くの相手を意識して無視する。
右手に上がって、深い底をのぞく。
東池。
ボタン岩も紅葉にはまだ早く、ここにきて空が曇ってきた。
駐車地から車道を歩いていた時は快晴だったのに。
がっかりしつつ次の定点観察池、まゆみの池へ。
ロケーションにがまんしつつ、でも赤い実がまだ残っていた。
幸助の池はいつも同様泰然とあるのに、光がない。
ぐるり周回してもいっこうに晴れてこない。
人気の観光地へ向かっている途中で風が動き、射す光。
あわてて戻ってとにかく一枚。
ついでに振り返って、観光地の相席写真。
その奥の大きな池ビワコを背景に、ズーム。
来るたびに毎回同じことをして、これが「詣でる」ってことかな。
風池はますますさらされるようになって、すーすー。
丸山からの下りで、びっしり実をつけたまゆみの木に寄る。
道池は薄情。
鈴北岳で休憩。
丸山方面を見ると、左側の禿げたところにまだらに木が数本。
健気なブナだから、奥の平もはっきり見えていたんだ。
同じ山に何回も来ていても見ているものも感じることも微妙にちがう。
自分を取り巻く環境や心境の変化もあるけどそれだけではない。
進歩や工夫、向上がなくても、得られるものがなんかある。
退職後、世間や社会とはできるだけ関わらないように生きてきた。
旅行や山歩き、ふだんの散歩の時以外は家からほとんど出ない。
一日中、人としゃべらないなんて普通のこと。
それでなんの不満も不都合もまったくないし、なかった。
コロナ禍で世間が騒いでも、自粛生活大好き人間の自分にはまるで影響なし。
そんな毎日だったのに・・・。
地域社会が入り込んできた。
順番だと病気がちで動けない人ばかりだから、と自治会の仕事が。
その結果、月に十数日、いろんな仕事や役をすることになった。
人は皆、それは役回りで最後の御奉公なんて言ってるけど、
それまでさんざん避けてきて、人手がない時だけ都合よく・・・。
物理的に忙しく、いくら天気のよい日でも山へ行けないとは。
でも仕事のある人にはそれが普通のことなんだから、でもなあ。
さて久しく訪れた御池岳、どんな人が山に来ているのか。
個人も多いが、グループでワイワイしている連中はそれなりに多い。
団体さんもちらほら目立ったのは日曜日だからなんだろう。
衣装や装備はとてもカラフルで、とにかく目立つ。
山ではとても大事なことで、何かあったときには役立つだろう。
色が際立った帽子やハット、ラメ入りサポーターにサーフパンツ。
蛍光色に煌めくおしゃれな靴、主張の激しそうなマスコットがぶらぶら。
でもその目立ち方があか抜けないというか、なんかちぐはぐ。
芸能人ほかを辛口ファッション批評するあの人、ドン小西氏のようなのだ。
ひとりでも存在感がありすぎるのに、徒党を組まれた時にはもう・・・。
じっとしていても空気がさわがしい。
みんないろんなことを話している。
「御池岳にはずっと来たかったので、先週ようやく。
でも、天気が悪くて、コグルミ谷周辺を少し歩いただけ。
まだヒルがいたけど、今日は大丈夫かしら」
「シマリスさんに会いたい。
それにボタンブチと天狗ノ鼻、夕日のテラス。
広いテーブルランドを自由に歩き回りたい」
「池めぐり。
幸助ノ池とか、水が澄んでるお花池。
ほかにもいっぱい池があるらしいから」
いやはや、スマホ片手にYAMAPとかヤマレコで調べたらしい情報をもとに、
皆さん、意欲満々なんだけど、結局は同じようなコース取りをするらしい。
でも、ひとりで池めぐりをしているらしい人とか、
テーブルランドの草原をやみくもに歩き回っている人とか、
まわりから少し離れた展望地や、樹林帯のなかに座り込んで
独り静かにたそがれているおじさんを見ると、
いつかの自分を見るようでぐっと親近感を覚えるのだった。
鈴北岳から鞍掛尾根を下る。
よく整備されていたけど、オーバーユースにはかなわない。
元池へ続く苔庭の道だって、以前は平均台の幅だった。
でもコロナ禍を経て今は、人の肩幅に拡がっている。
それでどうした、それがどうした。
いえ、私からはなにもありません。
今日一日、この山を歩けてうれしい限りです。
山はいいなあ、ホントだよ。
半年以上、放置していたブログにやっと帰ってきた。
文を書くことや操作を思い出すこと、これは本当にきつい。
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