劇団どくんご『誓いはスカーレット』
劇団どくんご『誓いはスカーレット』
旅するテント劇団どくんごの第32番公演『誓いはスカーレット』を名古屋・徳林寺で見る。
場所が変わるというのは交通手段などで多少不便だがその分、世界が変わっていい。
昨日来の雨により沼か泥田のようなところで、いつも通り言葉と肉体の乱舞が花開く。
【公演日】2018年6月23日(土)
【場 所】名古屋・徳林寺、特設”犬小屋”テント劇場
【構成・演出】どいの 【美術・衣装】五月うか
【出 演】五月うか 2B 石田みや 泰山咲美 クヌギタナオヒト
名古屋公演は2年ぶりで、地下鉄沿線だから交通の便もたぶんいいだろう、が勘違い。
田舎からみると大都市で鉄道・地下鉄など交通網はそれなりに整ってはいる。
JRから乗り換える地下鉄が、本数は多くても所詮各駅停車なので時間がかかりそう。
う~んと悩んだ結果、都市近郊の住宅や商店ぎっしりへ車で乗り込むことにする。
夕方の時間帯、ずらーっと連なる車に後悔しながら、会場に最も近い駐車場に入る。
ネットで最寄の駐車場というのを調べたのは初めてのこと、慣れないよその土地は困る。
結論から言うと、こんな都市部で3時間300円って「名鉄協商」さん、えらい。
公共交通機関を使っていたら千数百円の運賃とかなりの時間を要していた。
今更ながら田舎だけでなく都市部でも車の方が便利だなんて、どういうもんだか。
徳林寺へは信号を渡り、濃緑の鬱蒼とした小高い森の丘に上がっていく。
簡易舗装の急な道はすぐに分かれ、さらに急な右には近道の表示板。
車はお断りって、こんな急坂だと前方も見えないので恐怖感に襲われるだろう。
左手に曲がりお寺への序章、そして今まさに鳴らされていた芸術品のような鐘楼。
昨年の知多半島の野間の寺、その前の名古屋の神社と共通するのは異界だということ。
公演会場へ向かうだけでそんなささいな旅ができるんだから、よく計算されている。
そんなことを感じながら寺の本堂や建築物の脇を通り過ぎるとテントが見えた。
あらまあ、これはひどい。
昨夜来の雨が今日の午前、午後に入っても降り続いていた。
夕方になってようやくあがり、雨具や傘の心配だけはなくなったけど・・・。
長靴で来なかったのでドボンだけは避けたい、慎重に行くのだが、無理かな。
そこはそれ、お客様のことを親身になって考える劇団どくんごのこと。
必死に土木工事さながら少ない部材で泥田沼をまたぐ道をこさえてくれていた。
でもこの土地の特性か、半端ない雨の所為なのか。
左側、テント外の演舞場になる部分といえば。
右側も電気配線の漏電ショートが心配、それともすぐに大量発生する藪蚊を撃滅か。
テント内側は?
これって床下浸水でお手上げの被災家屋、自分の家が昔、台風や大水でいつもこうだった。
だからテント会場に来る皆さんも浮島を渡ってくる。
こんな中で嫌な顔ひとつしないで鼻歌まじりに2Bさんが受付を開始する、シュールだ。
そしていつものことだから驚きもしないけど、テント内は満席になる熱気。
はじまりは今回もまた質の高い、どくんご楽団の演奏から。
メンバーはたった6人なのにキレのある音だこと、新メンバーもすっかり溶け込んでいる。
2Bと泰山咲美さんの掛け合い。
2Bのしゃべくり漫談はずっと好調だし、新メンの泰山咲美さんは表情豊かだ。
淡々と、またねちっこく、さらに感度をあげて絡まっていく。
もうひとりの新メン、クヌギタナオヒトさん。
どくんごらしさになじむには年齢を感じさせるけど、それが味になっているのかも。
この人はもうずっとこれでいいのだ。
最後もびしっと楽団で締める、もちろん熱気一番、どいのさんがほえまくる。
会場のみなさんも、いろんなものを持って帰っていく。
ずっと昔と違って最近の人々は、劇団の人との距離がうんと近いのがうらやましい。
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