山歩き:酷暑、花の白山室堂に泊まる
山歩き:酷暑、花の白山室堂に泊まる
集中豪雨のあとすぐに梅雨明けで、それからとてつもなく高温の夏になっている。
身体も心の準備も整わないまま、山の上は涼しいだろう、と白山に向かう。
毎年恒例の白山山歩きながらいつも日帰りばかり、初めて室堂で泊まる。
一晩を山の上で過ごすと時間の流れが大きく変わる、不都合や戸惑いも。
残雪と雪渓、お花畑と景観、それはもう素晴らしいばかり。
【山行日】2018年7月17・18日(火・水)
【山 域】白山、御前峰・大汝峰、砂防新道・展望歩道
【天 候】晴れ、室堂の気温は10~20度
【形 態】周回 単族 中装
【コース】別当出合駐車場起点
1日目
P6:56--7:15登山口--8:44甚之助小屋8:51--砂防新道--9:53黒ボコ岩--
--10:21室堂10:48--11:26御前峰11:37--13:00大汝峰13:25--14:24室堂
2日目
室堂4:05--4:30御前峰5:05--5:25室堂,
室堂6:45--展望歩道--8:15南竜ケ馬場8:40--9:19甚之助小屋--10:48登山口--P
今年の白山、豪雨被害で平瀬と石徹白という岐阜県側からは無理だそうな。
1時間以上遠くなるが、表玄関の石川県側登山口の別当出合まで車を走らせる。
先の三連休は市ノ瀬の駐車場に収まりきらず、臨時に受け入れたという別当出合P。
さすがに連休明けなので余裕がある、しかし翌日は満車になっていたからなんという人気。
それにしても暑い、準備して登山口のセンターまで450mを上がっていく。
登山センターにはトイレがあり、登山届を提出して、歩き始める。
室堂泊の計画で届けるが、心中は体力との相談というか葛藤がある。
白山登山をはじめて十数年、毎年恒例だがずっと日帰りで通してきた。
ここ数年、体力や行動範囲に不安を感じるようになり、内容にも変化を求めてのこと。
慣れない小屋泊装備で少し重くなったザックと、シーズン始めの不安な歩き。
天気がよくても展望は望まないから皆さんと一緒に楽な砂防新道へ進む。
上り下りが分かれている箇所は急な石階段で、これは納得の分ける必要あり。
そこからは遊歩道のようななだらかな道が続くのだが、思ったほど楽ではない。
ふだんからできるだけ足をあげず引きずるように歩く自分には少しきつい。
ペースは上がらなくても順調に進んでいく。
休日あけの平日の今日、若い人は少なくてほとんどが年配とかグループが多い。
いわゆる健脚さんはあまり見かけず、新しい装備の人が多いのは最近始めた方とか。
一昨年同様、虚弱な自分が抜かされることは一度もなく、逆にどんどん抜いていく。
久しぶりに使用するハイドレーションプラティパスの給水がかび臭いのもその時と同じ。
下ってくる人や元気そうな会話を聞きながら甚之助小屋にようやく到着、少し休憩。
歩く道の両側には期待通り花が咲いていて、ところどころで景観も広がる。
砂防新道のメインに入ると傾斜が増し、少しガスが出てきている。
きれいな花が目の前に見えればそれでいいので文句はない。
それにしてもここの道、もうほとんど谷川の様相。
運動靴なので濡れないよう、ドボンしないようにポイントを見つけていくので大変。
油断のできない道がずっと続く。
水が豊富なので、急斜面はほとんどが花畑になっている。
そんな花と景観を楽しみながらも、案の定、足をあげるのがどんどん辛くなってくる。
急な上りが多いから気も抜けないし困った。
でもまあ花と景色、すれ違う人が多いので、変化と刺激があって気が紛れる。
延命水があり、十二曲がりのここらへんが一番の花畑らしい。
前方には黒ボコ岩が見えてくる。
なんとか黒ボコ岩の門をぬける。
ここからは木道の平坦な道になるので、ようやく楽ができる。
いつ来てもこの弥陀ヶ原の雄大さはいい。
前方の室堂や御前峰の前にどっしりとした雪渓があり、積雪が多かったようだ。
歩きやすい木道とこの雄大さをずっと味わいたかったら、エコーラインだったかな。
弥陀ヶ原から五葉坂になるととたんに負担がふえて遅くなるが、あわてる気持ちはない。
ゆっくり、ゆっくり、そしてようやく室堂。
登山口からやっぱり3時間以上かかってるがこれはもう仕方のないこと、想定どおり。
くたばっていないし、それなりに気力もあるので予定通り山小屋泊とする。
宿泊の受付は午後1時からなので、まだ充分に時間はある。
いつも少しの休憩で御前峰に向かっていたが今日はここのベンチで昼食休憩とする。
ぼんやり山頂を見上げながら、まわりのベンチで休憩する人を見る。
近くで生ビールをうまそうに呑んでいるおじさん、えっ、もうこの時刻で本日終了なの?
それもありかと思う、でも宿泊なら行動時間はまだ充分にある。
ここらへんが考え方の分かれるところ、もちろん体調や体力のこともある。
自分としてはここ数年、日帰りでは行けなかったところへ寄ってみたい気がするのだが。
とりあえず荷物を持ってゆっくりと御前峰へ行く。
室堂から御前峰へのよく整備されたなだらかな参拝道。
毎度のことながら、これが余裕をもって味わえない。
途中からじわじわと足に来て、一歩一歩上げることの辛いこと。
高天原で休憩するのもひとつの逃げの手だが、それもめんどい。
止まるともう動けそうにないので無理やりそろりと進む。
なんとか御前峰へ。
あれま、人はあまりいなくて吹き抜ける風がヒヤッとしていい。
いつもの剣が峰・大汝峰の景観が広がるのを味わう。
すこしガスというか、雲が出てきた。
お池めぐりの池は一部をのぞいてしっかり雪に覆われている。
じゃあ最初の目的地のお花松原へ、と。
すっかり雪に埋もれたように見える紺屋ケ池と、接水面が美しい油ケ池。
剣が峰は崩落の危険アリで登山禁止だ、と。
大汝峰の残雪の落ち込んだような円が少し気になる。
宙に浮かぶような天空の池、翠ケ池はどうか。
残念、ガスが出てきて背景が灰色では映えない。
でも、雪渓から割れ出た小さな氷山モドキがいい味を出している。
お池めぐりコースから外れて、お花松原へはショートカットで直進する。
振り返ると、御前峰と剣が峰、そして池の残雪が連なっている。
これって雄大な氷河のようだ(単なる雪渓だけど)。
お花松原はどうか。
ガスが湧き上がりまるで見えない。
時々うっすらと見えるのだが、残雪の縞模様の緑にお花畑を想像するのは難しい。
しかもヒルバオ雪渓がまだ元気なので横断も気を使いそう。
ガスがなかなか切れないから少し下ったところで待つのもじれったくなる。
お花松原まで下ることはその分の上り返しがきちんとあるので・・・って逃げる心。
ええい、やめだ。
行ったところで単なるお花畑、それなら周りのほかのところにだっていっぱいある。
結局あほというか、自分に楽なだけの結論を出してほなさよなら。
次に気になるのは、大汝峰の本体とその雪渓や残雪のこと。
ここもまた最近は来ていない。
元気な頃ならまだしも、ここ数年はとてもそんな余裕がなかった。
お花松原をパスした罪滅ぼしに寄っていくことにする。
目の前の大汝神社に突き上げる尾根を一気に行こうと少しだけ思ったが、やめ。
ちゃんとした登山道を通りましょう、ということで分岐へ。
しばらく来ない間に踏み跡がはっきりしてマークまでついている。
一見急なようで、みんなが歩く道はそれなりに歩きやすい、ということ。
気になっていた残雪の黒い円模様はといえば、下から見たら
のぼりがてら見ていくと
うーむ、遠くからみるほど劇的ではなさそう、ということで。
大汝峰でいいのはやはり御前峰と剣が峰がきちんと納まる景観。
御前峰から大汝峰と剣が峰を見るよりはずっと安定した構図になる。
しばらく休憩、じっくり味わっていく。
次は、お池まわり。
残雪が多いけど、融雪の早い部分もある。
そして周囲に花畑が広がるのもナイス。
室堂へ戻るのにはショートとロングのふたつのコースがある。
今日のみなさんは下のロングへ向かっていく、じゃあショート。
それなりにクロユリやハクサンコザクラが咲いている、どこでも花畑。
あらま、自衛隊まで。
室堂に戻るとここで正式に小屋泊の手続きをする。
夕食と朝食を加えての宿泊は9000円。
プラスティックの食券にそれぞれの食事の時間帯が示されている。
今日の宿泊棟と部屋へ案内される。
団体・個人や性別で分けているようで、自分は単独の男ばかりの部屋。
2段構造で上下別れるが、今のところ全部、下段で納まりそう。
60センチ幅のマットがあり、ひとりに毛布が2枚。
横になって休憩をとるのも山小屋らしい過ごし方だし、散歩をするのもよし。
ボランティアの環境指導員さんが花畑観察会をしてくださるので参加する。
翌朝の御来光のあとにはお池めぐりの観察会もあったから、なかなか貴重な機会にもなる。
ところでその夜、外は涼しくて冷えてくる感じ。
ただ室内、皆さんは毛布にくるまってお休みだが、自分にはとても無理だった。
日中の汗で皮膚がねちねちしていて身体はいつまでも冷めないし、苦しいばかり。
毛布はやめて持参のドライシーツだけで寝ていても寝苦しい。
身体を拭いて清めるシートを持たないので、起きて水場でタオルを濡らして拭くことにする。
そういえば夕方、シャツなどを水洗いしていた人がいたが、場合によってはありかも。
御来光を目指す人は多く、翌朝は真っ暗な3時過ぎから動き始めていた。
日の出は4時50分頃、4時過ぎに上り始めれば間に合うが、これも人それぞれ。
山頂で夜明け前から待つ時間はとても寒い、と聞けばダウンや雨具を羽織る人も多い。
気象条件に左右されることばかりなので準備万端なら文句はない。
神主さんが数人参加の山頂でのイベントはそれなりの時間を盛況にすぎる。
折角の山頂ということで、立ち去りがたい人も多い。
室堂に下ればちょうど朝食にはよい時間。
ごはん・味噌汁にちょっとしたおかずの朝食はシンプルといえばそれだ。
ただ開放的な食堂から、別山の見えるテラスに出てゆっくり食べる。
こんなにうまい朝食って、うれしいなあ。
おかわり自由だけどぐっとがまん、梅干と熱いお茶だけはいっぱいたべる。
山小屋をあとにユン・ゲサン。
一般的なコースは展望とお花畑の「観光新道」か往きとおなじ「砂防新道」。
ちょっとひねってドライで豪快な「エコーライン」。
まだ時間もあるし通ったことのない「展望歩道」から南竜へ下りることにする。
平瀬道が使えない今こそ、あまり人もいなさそうだ、と。
すぐに自分の選択がよかったことに気がつく。
なんといってもハクサンコザクラやコバイケイソウの花畑がよくて、白山石楠花もある。
いつも平瀬道から見えていた急な下りにかかると、逆からの展望というのがいい。
ふだんは当たり前のようにみていたエメラルドグリーンの白水湖が貴重に感じるなんて。
だれにも会うことなく下っていくと、汗びっしょりの一団に遭遇する。
昨日は遅かったので南竜泊、朝一番でここを上って室堂・白山を目指す、と。
南竜テント泊だってそういう方法を取りそう、ただ朝日に照らされっぱなしがきつそう。
ハクサンコザクラがとにかく多い。
南竜の柳谷から広がるこの谷間は別天地といってよさそうだ。
お花畑の広がる囲まれた平和な世界。
立ち去りがたし、でも足はすたすたと砂防新道方面へ向かっていく。
エコーラインが合流し、砂防新道も合わさり、がしがし下る。
甚之助小屋で少し休憩。
これから上がっていく人は一様に暑さにまいってる。
お疲れ様です、でも山上にはきっと素敵な時間が待っていますけん。
帰りは市之瀬の白山温泉こと永井旅館に寄る。
ここの木の風呂は本当に温かい感じがする。
帰りは高速をやめてゆったりと時間をかけていく。
これが郡上や美濃・岐阜の高温遅滞で、とんでもない地獄を味わう事になった。
今回の反省
膝を痛めて歩けない時期が長かったことを思えば、再び白山に来られるなんて。
上り下りの負担や行動時間や考えて、身の丈にあった山歩きをさらに追及すること。
山小屋泊はその解決策になるが、小物を含めて必要な装備を見直すこと。
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