山歩き:両白山地

2018年7月23日 (月)

山歩き:酷暑、花の白山室堂に泊まる

山歩き:酷暑、花の白山室堂に泊まる

集中豪雨のあとすぐに梅雨明けで、それからとてつもなく高温の夏になっている。
身体も心の準備も整わないまま、山の上は涼しいだろう、と白山に向かう。
毎年恒例の白山山歩きながらいつも日帰りばかり、初めて室堂で泊まる。
一晩を山の上で過ごすと時間の流れが大きく変わる、不都合や戸惑いも。
残雪と雪渓、お花畑と景観、それはもう素晴らしいばかり。
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【山行日】2018年7月17・18日(火・水)    
【山 域】白山、御前峰・大汝峰、砂防新道・展望歩道
【天 候】晴れ、室堂の気温は10~20度
【形 態】周回 単族 中装
【コース】別当出合駐車場起点
1日目
P6:56--7:15登山口--8:44甚之助小屋8:51--砂防新道--9:53黒ボコ岩--
--10:21室堂10:48--11:26御前峰11:37--13:00大汝峰13:25--14:24室堂
2日目
室堂4:05--4:30御前峰5:05--5:25室堂,
室堂6:45--展望歩道--8:15南竜ケ馬場8:40--9:19甚之助小屋--10:48登山口--P

今年の白山、豪雨被害で平瀬と石徹白という岐阜県側からは無理だそうな。
1時間以上遠くなるが、表玄関の石川県側登山口の別当出合まで車を走らせる。
先の三連休は市ノ瀬の駐車場に収まりきらず、臨時に受け入れたという別当出合P。
さすがに連休明けなので余裕がある、しかし翌日は満車になっていたからなんという人気。

それにしても暑い、準備して登山口のセンターまで450mを上がっていく。
登山センターにはトイレがあり、登山届を提出して、歩き始める。
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室堂泊の計画で届けるが、心中は体力との相談というか葛藤がある。
白山登山をはじめて十数年、毎年恒例だがずっと日帰りで通してきた。
ここ数年、体力や行動範囲に不安を感じるようになり、内容にも変化を求めてのこと。

慣れない小屋泊装備で少し重くなったザックと、シーズン始めの不安な歩き。
天気がよくても展望は望まないから皆さんと一緒に楽な砂防新道へ進む。
上り下りが分かれている箇所は急な石階段で、これは納得の分ける必要あり。
そこからは遊歩道のようななだらかな道が続くのだが、思ったほど楽ではない。
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ふだんからできるだけ足をあげず引きずるように歩く自分には少しきつい。
ペースは上がらなくても順調に進んでいく。
休日あけの平日の今日、若い人は少なくてほとんどが年配とかグループが多い。
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いわゆる健脚さんはあまり見かけず、新しい装備の人が多いのは最近始めた方とか。
一昨年同様、虚弱な自分が抜かされることは一度もなく、逆にどんどん抜いていく。
久しぶりに使用するハイドレーションプラティパスの給水がかび臭いのもその時と同じ。
下ってくる人や元気そうな会話を聞きながら甚之助小屋にようやく到着、少し休憩。
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歩く道の両側には期待通り花が咲いていて、ところどころで景観も広がる。
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砂防新道のメインに入ると傾斜が増し、少しガスが出てきている。
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きれいな花が目の前に見えればそれでいいので文句はない。

それにしてもここの道、もうほとんど谷川の様相。
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運動靴なので濡れないよう、ドボンしないようにポイントを見つけていくので大変。
油断のできない道がずっと続く。

水が豊富なので、急斜面はほとんどが花畑になっている。
そんな花と景観を楽しみながらも、案の定、足をあげるのがどんどん辛くなってくる。
急な上りが多いから気も抜けないし困った。
でもまあ花と景色、すれ違う人が多いので、変化と刺激があって気が紛れる。
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延命水があり、十二曲がりのここらへんが一番の花畑らしい。

前方には黒ボコ岩が見えてくる。
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なんとか黒ボコ岩の門をぬける。

ここからは木道の平坦な道になるので、ようやく楽ができる。
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いつ来てもこの弥陀ヶ原の雄大さはいい。

前方の室堂や御前峰の前にどっしりとした雪渓があり、積雪が多かったようだ。
歩きやすい木道とこの雄大さをずっと味わいたかったら、エコーラインだったかな。
弥陀ヶ原から五葉坂になるととたんに負担がふえて遅くなるが、あわてる気持ちはない。
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ゆっくり、ゆっくり、そしてようやく室堂。
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登山口からやっぱり3時間以上かかってるがこれはもう仕方のないこと、想定どおり。
くたばっていないし、それなりに気力もあるので予定通り山小屋泊とする。
宿泊の受付は午後1時からなので、まだ充分に時間はある。

いつも少しの休憩で御前峰に向かっていたが今日はここのベンチで昼食休憩とする。
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ぼんやり山頂を見上げながら、まわりのベンチで休憩する人を見る。
近くで生ビールをうまそうに呑んでいるおじさん、えっ、もうこの時刻で本日終了なの?
それもありかと思う、でも宿泊なら行動時間はまだ充分にある。
ここらへんが考え方の分かれるところ、もちろん体調や体力のこともある。
自分としてはここ数年、日帰りでは行けなかったところへ寄ってみたい気がするのだが。

とりあえず荷物を持ってゆっくりと御前峰へ行く。
室堂から御前峰へのよく整備されたなだらかな参拝道。
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毎度のことながら、これが余裕をもって味わえない。
途中からじわじわと足に来て、一歩一歩上げることの辛いこと。
高天原で休憩するのもひとつの逃げの手だが、それもめんどい。
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止まるともう動けそうにないので無理やりそろりと進む。

なんとか御前峰へ。
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あれま、人はあまりいなくて吹き抜ける風がヒヤッとしていい。

いつもの剣が峰・大汝峰の景観が広がるのを味わう。
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すこしガスというか、雲が出てきた。
お池めぐりの池は一部をのぞいてしっかり雪に覆われている。
じゃあ最初の目的地のお花松原へ、と。

すっかり雪に埋もれたように見える紺屋ケ池と、接水面が美しい油ケ池。
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剣が峰は崩落の危険アリで登山禁止だ、と。
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大汝峰の残雪の落ち込んだような円が少し気になる。
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宙に浮かぶような天空の池、翠ケ池はどうか。
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残念、ガスが出てきて背景が灰色では映えない。
でも、雪渓から割れ出た小さな氷山モドキがいい味を出している。

お池めぐりコースから外れて、お花松原へはショートカットで直進する。
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振り返ると、御前峰と剣が峰、そして池の残雪が連なっている。
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これって雄大な氷河のようだ(単なる雪渓だけど)。

お花松原はどうか。

ガスが湧き上がりまるで見えない。
時々うっすらと見えるのだが、残雪の縞模様の緑にお花畑を想像するのは難しい。
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しかもヒルバオ雪渓がまだ元気なので横断も気を使いそう。
ガスがなかなか切れないから少し下ったところで待つのもじれったくなる。
お花松原まで下ることはその分の上り返しがきちんとあるので・・・って逃げる心。

ええい、やめだ。
行ったところで単なるお花畑、それなら周りのほかのところにだっていっぱいある。
結局あほというか、自分に楽なだけの結論を出してほなさよなら。

次に気になるのは、大汝峰の本体とその雪渓や残雪のこと。
ここもまた最近は来ていない。
元気な頃ならまだしも、ここ数年はとてもそんな余裕がなかった。
お花松原をパスした罪滅ぼしに寄っていくことにする。
目の前の大汝神社に突き上げる尾根を一気に行こうと少しだけ思ったが、やめ。
ちゃんとした登山道を通りましょう、ということで分岐へ。
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しばらく来ない間に踏み跡がはっきりしてマークまでついている。
一見急なようで、みんなが歩く道はそれなりに歩きやすい、ということ。

気になっていた残雪の黒い円模様はといえば、下から見たら
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のぼりがてら見ていくと
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うーむ、遠くからみるほど劇的ではなさそう、ということで。
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大汝峰でいいのはやはり御前峰と剣が峰がきちんと納まる景観。
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御前峰から大汝峰と剣が峰を見るよりはずっと安定した構図になる。

しばらく休憩、じっくり味わっていく。
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次は、お池まわり。

残雪が多いけど、融雪の早い部分もある。
そして周囲に花畑が広がるのもナイス。
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室堂へ戻るのにはショートとロングのふたつのコースがある。
今日のみなさんは下のロングへ向かっていく、じゃあショート。
それなりにクロユリやハクサンコザクラが咲いている、どこでも花畑。
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あらま、自衛隊まで。
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室堂に戻るとここで正式に小屋泊の手続きをする。
夕食と朝食を加えての宿泊は9000円。
プラスティックの食券にそれぞれの食事の時間帯が示されている。

今日の宿泊棟と部屋へ案内される。
団体・個人や性別で分けているようで、自分は単独の男ばかりの部屋。
2段構造で上下別れるが、今のところ全部、下段で納まりそう。
60センチ幅のマットがあり、ひとりに毛布が2枚。
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横になって休憩をとるのも山小屋らしい過ごし方だし、散歩をするのもよし。
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ボランティアの環境指導員さんが花畑観察会をしてくださるので参加する。
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翌朝の御来光のあとにはお池めぐりの観察会もあったから、なかなか貴重な機会にもなる。

ところでその夜、外は涼しくて冷えてくる感じ。
ただ室内、皆さんは毛布にくるまってお休みだが、自分にはとても無理だった。
日中の汗で皮膚がねちねちしていて身体はいつまでも冷めないし、苦しいばかり。
毛布はやめて持参のドライシーツだけで寝ていても寝苦しい。
身体を拭いて清めるシートを持たないので、起きて水場でタオルを濡らして拭くことにする。
そういえば夕方、シャツなどを水洗いしていた人がいたが、場合によってはありかも。

御来光を目指す人は多く、翌朝は真っ暗な3時過ぎから動き始めていた。
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日の出は4時50分頃、4時過ぎに上り始めれば間に合うが、これも人それぞれ。
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山頂で夜明け前から待つ時間はとても寒い、と聞けばダウンや雨具を羽織る人も多い。

気象条件に左右されることばかりなので準備万端なら文句はない。
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神主さんが数人参加の山頂でのイベントはそれなりの時間を盛況にすぎる。
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折角の山頂ということで、立ち去りがたい人も多い。
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室堂に下ればちょうど朝食にはよい時間。

ごはん・味噌汁にちょっとしたおかずの朝食はシンプルといえばそれだ。
ただ開放的な食堂から、別山の見えるテラスに出てゆっくり食べる。
こんなにうまい朝食って、うれしいなあ。
おかわり自由だけどぐっとがまん、梅干と熱いお茶だけはいっぱいたべる。

山小屋をあとにユン・ゲサン。

一般的なコースは展望とお花畑の「観光新道」か往きとおなじ「砂防新道」。
ちょっとひねってドライで豪快な「エコーライン」。
まだ時間もあるし通ったことのない「展望歩道」から南竜へ下りることにする。
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平瀬道が使えない今こそ、あまり人もいなさそうだ、と。

すぐに自分の選択がよかったことに気がつく。
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なんといってもハクサンコザクラやコバイケイソウの花畑がよくて、白山石楠花もある。
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いつも平瀬道から見えていた急な下りにかかると、逆からの展望というのがいい。
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ふだんは当たり前のようにみていたエメラルドグリーンの白水湖が貴重に感じるなんて。
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だれにも会うことなく下っていくと、汗びっしょりの一団に遭遇する。
昨日は遅かったので南竜泊、朝一番でここを上って室堂・白山を目指す、と。
南竜テント泊だってそういう方法を取りそう、ただ朝日に照らされっぱなしがきつそう。

ハクサンコザクラがとにかく多い。
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南竜の柳谷から広がるこの谷間は別天地といってよさそうだ。
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お花畑の広がる囲まれた平和な世界。
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立ち去りがたし、でも足はすたすたと砂防新道方面へ向かっていく。

エコーラインが合流し、砂防新道も合わさり、がしがし下る。
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甚之助小屋で少し休憩。
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これから上がっていく人は一様に暑さにまいってる。

お疲れ様です、でも山上にはきっと素敵な時間が待っていますけん。
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帰りは市之瀬の白山温泉こと永井旅館に寄る。
ここの木の風呂は本当に温かい感じがする。

帰りは高速をやめてゆったりと時間をかけていく。
これが郡上や美濃・岐阜の高温遅滞で、とんでもない地獄を味わう事になった。

今回の反省
膝を痛めて歩けない時期が長かったことを思えば、再び白山に来られるなんて。
上り下りの負担や行動時間や考えて、身の丈にあった山歩きをさらに追及すること。
山小屋泊はその解決策になるが、小物を含めて必要な装備を見直すこと。
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2017年8月30日 (水)

山歩き:ヨレヨレながら遅い夏の白山を楽しむ

山歩き:ヨレヨレながら遅い夏の白山を楽しむ

花の季節にはそれこそ百花繚乱、秋の黄紅葉も見事な白山。
その間のちょっと中途半端な時にはどんな顔を見せるのか。
体力や気力を測りつつ、何よりも身の丈にあった山歩きが大切、と。
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【山行日】2017年8月27日(月)    
【山 域】白山、平瀬道、お池めぐり
【天 候】晴れ、時に涼しい風が抜ける
【形 態】往復、一部周回 単族 軽装
【コース】平瀬道、大白川駐車場、起点
P7:21--9:06大倉小屋--10:36室堂10:59--11:34御前峰11:43--お池めぐり--
--大汝峰分岐--12:51室堂13:11--14:19大倉小屋--15:36P

この夏は、というかここ数年はずっと同じような天候不順の夏が続く。
ここやあそこへ行きたい、という計画は良い天気待ちだとほとんど妄想に終わってしまう。
気力も何もかもそろう好条件など今の自分にはもうありえない。
そんな晩夏の休日、白山の記念の年に、待ちに待った晴れが訪れた。

準備万端、勇んで出かけるはずだった。
早く床に就いたのにずっと眠れず、朝は1時間以上の寝坊とは、子どもか。
4時半に出発、道路は順調、ただ東海北陸自動車道は軽自動車には辛い。
大白川登山口までの林道は時間がかかるが軽にはありがたい。

こんな天気のいい休日はこの夏初めてでは、だから駐車場は混雑。
登山口の休憩所で登山届を出す。
岐阜県だから御嶽と同じで、登山届と下山届用カードの二本立て。

平瀬道はよく来ている慣れた道なので、ペース配分もわかっているつもり。
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いきなりの急登だが、環境省による丸太階段の歩道の整備がしっかり。
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往きはともかく、帰りの下りにはそのありがたさを実感する。

日の出はとっくに過ぎているのでじわっと暑さを感じつつ、ブナ林の道を上がっていく。
おなじみというか、ここは歴史があるのでブナにもしっかりと切りつけがある。
木肌への切りつけ、鉈目なら貴重な資料だが、新しいのは勘弁してもらいたい。

体調はといえば、睡眠不足でぼーっとして、ふらっとする。
足も上がらず、重い。
でもこれって、ここ最近というかずっといつも同じ状態だから反省も進歩もない。
なんやかや言いながら、いつも苦しみ無理をしつつ、終わったら忘れている。

7月から8月初旬の花、9月下旬から10月初旬の紅葉、がいつもの白山。
今日のような8月下旬の中途半端な時季だとどんな顔をみせるんだろうか。
緑が主体の夏の山、というのはしっかり感じられる。
秋の花が主体だがさすがに花で有名な山、なんでも取り揃えている。
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大倉尾根に上がるまで、ネマガリダケのうるさいところなどもよく整備されている。
ブナからダケカンバに変わっていくところなんぞ、これぞ平瀬道だと思う。
下りてくる人は室堂泊だろうか、元気がある。
澄み切った青空の、谷のむこうに別山の稜線がくっきりと見える。
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尾根に出てしばらくすると樹間に双耳峰の白山が姿をあらわす。
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左手前が御前峰で右奥が剣が峰。
これぞ岐阜県の白山の姿、平瀬道の白山は秋の黄紅葉だと特にサマになる。

毎回、同じところで似たような写真ばかり撮る、仕方のない習慣。
今日の言い訳は、紅葉の時季との比較とでも。
少し進んではその構図配置を確認し、デジカメる。
左側のダム湖、白水湖のエメラルド色や緑も鮮やかだが、崩落もあり高度感もなかなか。
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ここでぼんやり余所見をしてバランスを崩したり、躓いたら大変な事になりそうで注意。

大倉山避難小屋に到着、というか通過。
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この大倉尾根は秋の黄紅葉がいいのだが、午前中の光線ではそれが目立たない。
それらを愛でつつここら辺からは上りが辛くなる時間帯でもある。
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息を整える回数が増え、そのずっと前からすでにいっぱいいっぱい。
子どもの団体さんが下りてきて、すれ違いは交互通行。
元気な子どもの声に対するは、濁って沈んだ声でしか返せない。
辛い辛い、とてもきつい階段の坂道を下ばかり見て上がる。
あんまり下ばかり見ていたので首が痛くて仕方がない。
カンクラ雪渓の周辺の登山道は、いつもそんな印象が強い。

ここを登りきると道は徐々に平坦になり、展望も落ち着き、ほっとする。
左に少し薄汚れた残雪と、どでんと羽根を広げた別山。
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右に緑の草原、真っ白な残雪のずっと上方に白いガレの御前峰。
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室堂の建物がずんずんと近づいてくる。

やっとのことで白山室堂に到着。
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たくさんの人が休憩し、記念の年を新しい社が守り立てる。
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お水返し。

ここで休憩し、水を補充する。
水の量はいつも気をつけているが、頂上直下のここで補充できるなんて、すごい。
とりあえず軽食をとってから御前峰に向かう。

白山へは何度来てもいつもこの御前峰への上りが鬼門。
たいして急ではないし、道は十分過ぎるほど整備されている参道だ。
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ヨレヨレの歩みに息も絶え絶え、しかも途中で必ずへたって止まる。
それにひきかえ、軽い荷物の室堂組や若い連中の元気のいいこと。
それ以上に困るのが、元気よく駆け下りてくる頂上からの下山組。
登り優先とは言わないが、少しは気をつかうとか、もっと歩いてこいよ。

奥宮、そして山頂。
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わんさかの人々や記念撮影待ちの方々。
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だれもかれもが登頂の喜びにあふれているのがいい。

さてと、この後はどうするか。
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ここまであんなに苦しんだのに、足は反対側に向かっている。

山頂にはあれだけたくさんの人がいたのに、ぐんと少なくなる。
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疲れでお花松原は無理でもお池めぐりぐらいはできるのではないか、という安易な考え。
こんな天気の良い日だから、さぞかし山と池が映える、と。

別山だってここからだとずいぶん大きく見える、下は室堂。
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飛行機雲と大汝峰に油が池、どんずまりの紺屋が池。
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剣が峰にも数人の人影が見える。

油が池と御前峰。
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翠が池と血の池は左右で対称的。
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空中に浮く翠が池は人気が高いが、一番の撮影ポイントに居座る年配者がいる。
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ぐるっと回り越して、大汝峰分岐へ。
氷河による擦り傷も痛々しい岩。
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そこから百姓池と五色池へ。
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涼しい風に一面のお花畑、今日はここに楽園ができていた。
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なんかのんびりできて、余は満足じゃ、これでいい。
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千蛇が池を横目に、少しの上り返しも気にならず、室堂に戻る。
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やっぱ、白山はいい。

疲労のたまった固い筋肉では、下りこそ要注意だ。

でもまあ、行きに取り損ねた夏秋の花などを撮りながらのんびりと。
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花には蝶がよく似合う。
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ここの紅葉は見事なはず、乞期待。
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ブナの切りつけ(正確にはブナの木肌への切りつけ)を観察する。
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地名がしっかり出てしまっているけど、その土地の人には迷惑だろうな。

帰りは当然、高速道路は使わず、一般道でこちらもたらたらと帰った。

今日の反省

山は、自分の体力や体調をよく観察して歩くこと、その再確認。
白山は奥の深い山で、いろんな楽しみ方がある、その再確認。
今より筋力や体力が伸びることはない、身の丈にあった山歩きを、と。
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8月のブログ記事、最後にようやくひとつ。
充実した日々を送っていると、立ち止まるのが難しい。


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2016年7月21日 (木)

山歩き:梅雨明け、花の白山へ

山歩き:梅雨明け、花の白山へ

海の日の18日、地元東海地方でも梅雨明けだそうでまた暑い夏のはじまり。
天気が安定するなら、遠くの山へ行っても外れはない、いざ花の白山へ。
もたもた準備して次の日、平日の恩恵をいっぱい受けて別当出合へ急ぐ。
睡眠不足のまま夜中に出発、高速を使えば4時間余でなんとか到着。
便利な世の中、ここまではいいのだが、自分の虚弱な体調が足を引っ張る。
でもそこは人気の白山、そこかしこにたくさんの花畑を広げて待っていた。
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【山行日】2016年7月19日(火)    
【山 域】白山、砂防新道・エコーライン
【天 候】晴れ
【形 態】周回 単族 中装
【コース】別当出合駐車場起点
P6:30--6:44登山口--8:18甚之助小屋8:28--砂防新道--9:30黒ボコ岩--
--9:55室堂10:06--10:49御前峰11:53--12:16室堂12:38--
--エコーライン--13:43甚之助小屋13:48--14:46登山口--15:00P

白山の表玄関、石川県側登山口までは、自宅から約250kmで微妙に遠い。
岐阜県側の大白川の方が近くていいが、コースが制限されるのが弱点。
夏の花畑を見るなら石川県側がいいのかもしれない、と思って来たわけだ。
別当出合の駐車場は余裕で広いのに、いつも路上駐車の多いこと。
準備して、登山口のセンターまで450mを上がっていく。
登山センターにはトイレがあり、登山届を提出して、歩き始める。
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今日はとにかく早く室堂へ行くことを考えて砂防新道へ進む。
下りでは2回利用したが上りは初めて、さてや具合はどうか。

最初の吊り橋が少し濡れていて、つるんと滑る恐怖感からこわごわのそるのそる。
上り下りが分かれている箇所は急な石階段で、これは分ける必要があると納得。
そこからは遊歩道のようななだらかな道が続くのだが、思ったほど楽ではない。
ふだんからできるだけ足をあげず引きずるように歩く自分には少しきつい。
でもまあペースは上がらなくても順調に進んでいく。
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休日あけの平日の今日は、若い人は少なくてほとんどが年配というか。
山歩きの猛者らしい人は見かけず、素人に毛がはえたような人ばかり。
虚弱な自分が抜かされることは一度もなく、逆にどんどん抜いていく。

給水のとき昨秋以来のハイドレーションプラティパスがかび臭いのにはちょっと閉口。
中飯場と甚之助小屋の水場で持ってきたトマトを洗って食べるのは快感。

歩く道の両側には期待通り花が咲いているし、ところどころで景観も広がる。
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あれっ、一休さんもとい、永平寺の若僧さんが下山していくではないか。
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聞くと、昨日入山し、例のお経ライブを済ませて、今日の下山なんだそうな。
昨年より一週間以上早いではないか。
あの大人数で行われた室堂での読経は、昨年の貴重な記憶だった。
その後もいくつかの班に分かれて、大きな荷物やゴミ袋を抱えた若僧を見る。

砂防新道に入ると道は傾斜を増す。
そして随所でというか、道そのものが沢になっている道を歩いていく。
滑るでも濡れるでもないが、油断のできない道がずっと続く。
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左側に展望が開け、花もしっかり咲き誇っていて豊かな道だこと。

水が豊富で、急斜面はほとんどが花畑になっている。
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そんな花と景観を楽しみつつ、足をあげるのがどんどん辛くなってくる。

歩くのがきつい、急な上りが多いから気も抜けないし困った。

でもまあ花と景色、すれ違う人が多いので、変化と刺激があっていい。
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前方かなたに黒ボコ岩が見えてくる。
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延命水があり、十二曲がりのここらへんが一番の花畑らしい。

ようやく黒ボコ岩。
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ここからは木道の平坦な道になるので、普段歩きの得意な自分にはいい。

ほっとひと息、前方の御前峰とその手前の室堂のある土手を見る。
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その手前の雪渓、話には聞いていたが小さすぎる。
この時季でこの大きさでは、水の豊富なここでも水不足になるのではないか。
変な心配しないで自分のことでも心配しろとも思うが。

弥陀ヶ原から五葉坂になるととたんに負担がふえてのそくなる。
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きついわ、大丈夫か、計画遂行できるのか(ここまで別プランを持っていた)。

ようやく室堂。
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登山口から3時間以上かかってる、これは遅い。
心配していた体調と不安がまぜこぜになり、今後どうするか悩む。
室堂小屋の受付は午後1時からとのこと、まだ3時間はある。
とりあえずゆっくりでも御前峰へ行ってそこで考えることにする。
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室堂から御前峰へのよく整備されたなだらかな参拝道。

何度来ても毎回のことながらこのなだらかさを余裕をもって味わえない。
途中からじわじわと足に来て、一歩一歩上げることの辛いこと。
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高天原で休憩するのがいつもの逃げの手だが、それすらきつい。
止まるともう動けそうにないので無理やりそろりと進む。

なんとか御前峰へ。
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吹き抜ける風がヒヤッとしていい。

甚之助小屋でカトマンズのTシャツを脱いだので、ファイントラックのドラウトエアだけ。
こんなぺらぺらの吸水速乾性に優れた1枚だけでも暑かった。
でも休憩する山頂では汗冷えを防ぐため雨具を一枚羽織ることにする。

眼前にはいつもの剣が峰・大汝峰の景観が広がるが、雲が出てきた。
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しかしようやく山頂に着いたもののぐったりだ。

何かを食べようにも身体が何も受け付けない感じ。
これはとことん疲れたときの状態で、水すら少しずつでないと飲めない。
バカだなあ、というのは自分の歩き方や計画に対して。
じっと背中を日光で温めながら、靴を脱いでシャツとともに乾す。
眠気も出てきたので、うつむきかげんにひたすらじっとする。
少し落ち着いて、ペットボトルの珈琲をゆっくり一口かむように飲む。
行動食のオーレもシリアルバーも無理で、パンを一口。
ぐったり休み、コーヒーをゆっくりもう一口、パンはぱさぱさになっている。

アホなことをしてるな。
だいたい睡眠不足のままずっと運転、朝食がバナナ3本を中心にと。
腹にどんとたまるものを入れなかったことからシャリバテか。
最近の山歩き、長くても3時間で、ほとんど食べずに歩いているし。
いろんなことを思い出し、悔し紛れの反省し、今後の計画変更を考える。
ガスがどんどん沸いてきているのでお池めぐりもパス、ってもう歩きたくないだけ。

それにしても山頂はにぎやかで、次から次へといろんな人が来る。
自然観察員の方々が隅々までゴミ拾いをしている、ご苦労様です。
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山頂の石にはブナの切りつけならぬ、石への落彫りがいっぱい。
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なんか証拠や記録を残したいという人が多いこと。

時間的にしっかりと休憩した、まずは室堂に戻ろう。

下りにはこのよく整備された道のありがたいこと。
そして上ってくる人への声かけは慎重に。
数時間前の自分と同じで、疲れているときは余裕がなくて煩わしいだけだった。
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室堂に戻る前に、花畑に寄る。

クロユリもハクサンコザクラもそれはもう見事なもので、感心する。
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室堂小屋で用事を済ませ、下山する。

沢状態の右・砂防新道はやめて、こんな機会だから初めての左・エコーラインで下る。
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弥陀ヶ原を歩く道はさらにのびのびとしているし、振り返ると御前峰が勇ましい。
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南竜方面への下りがまた見事で、斜面にはニッコウキスゲほか花畑が広がる。
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これはいい道を歩けて、もうけものだった。
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ここを上りに使うと、急坂こそ大変だが、その後のなだらかな接近戦がよさそうだ。

南竜道に合流し、あとはひたすら歩きやすい道をがんがん下った。
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あんなにへばっていたのになんとか復調したのは驚きだが、空元気かもしれない。

最後の巻き道が変更され、急な石階段を下ったが、そこは慎重に歩いた。
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帰りは市之瀬の白山温泉こと永井旅館に寄る。
ここの木の風呂は本当に温かい感じがする。
帰りの長時間運転で、もう一度地獄を味わう事になるが、結果よしと。

今回の反省
 準備不足から体調不良というのは恥ずかしいが、この時季はいつもみたい。
 当初の計画の目的地はお花松原、体力も体調もすべて不足していたので無謀。
 でも、岐阜県側からなら1時間早いのでできたかもしれない、と甘い邪念が。

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2015年10月 8日 (木)

山歩き:白山、お花松原の紅葉

山歩き:白山、お花松原の紅葉

今年の黄紅葉は早いそうで、あせりながら白山の紅葉の名所、お花松原へ。
平瀬道が通れるようになったので、無理をすれば日帰りで歩けるかもしれない。
そんな平日の珍しい場所で、知人に会う偶然。そして、ブナの切りつけを観察。
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【山行日】2015年10月5日(月)    
【山 域】白山、平瀬道、お花松原
【天 候】晴れのち曇り、風は冷たい
【形 態】往復、一部周回 単族 軽装
【コース】平瀬、大白川駐車場、起点
P6:05--7:45大倉小屋--8:57室堂--9:28御前峰9:49--11:02お花松原11:36--
--12:22大汝分岐--12:49室堂13:03--13:54大倉小屋--15:23P

今日のコースは少し長丁場なので、体調や時間を考慮して慎重に計画する。
人気の山なので駐車場の混雑を避けるため、平日、高速道路を使って来る。
自分の畑仕事は休日に済ませ、何かと段取りを整える。
夜中の3時ごろ出発、道路は順調、大白川登山口までの林道が時間がかかる。
平日でも駐車車両はそこそこあり、次から次へと出発していく。
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登山口休憩所で登山届を出すが、ぎゅうぎゅういっぱいで押し戻されそう。

岐阜県は登山届を義務化とか言うが、せめてあふれないように回収してほしいものだ。

平瀬道は毎年来ている慣れた道なので、ペース配分もわかっているつもり。

いきなりの急登だが、環境省による歩道の丸太階段の工事整備中だった。
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立派な資材だが、東海自然歩道のように歩幅の合わないのだけは避けてほしい。
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ひんやりと湿っぽいなか、ブナ林の道をずんずん上がっていく。
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おお、ここのブナにもしっかりと切りつけがあるではないか。
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このブナの木肌への切りつけについては、この夏の飯豊縦走で少し関心をもった。

それまでは自然や樹木に対する傷つけ行為で、単なる落書きだと思っていた。
どうもそれだけで片付けられるような問題ではなさそうだ、と少し感じてきている。

湿った天気を象徴するように、樹間のむこうには雲海が広がっている。
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これはこれでなかなか見ごたえがある。

沖津白波のむこうに浮かぶのは、三方崩島だろうか。
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ところどころで秋の彩りがあり、元気なおじさんたちが上がっていく。
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雲海の上は澄み切った青空で、別山稜線がくっきりと見える。
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ネマガリダケのじゃまする道をすぎ、尾根に上がるとダケカンバの白がいい。

そしていよいよ秋の向こうに白山の双耳峰(御前峰・剣が峰)が姿をあらわす。
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西側石川県の世間一般の道、別当出合からのコースとは異なり岐阜県の白山。

これが平瀬道の特徴で、秋の黄紅葉が特にサマになる。
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毎回、同じところで似たような写真ばかり撮るのだが、その癖は直りそうにない。

少し進んでは紅葉と白山を確認し、その構図配置をみてはデジカメる。

大倉山避難小屋に到着、というか通過。

樹林帯にひっそりとしているとばかり思っていたが、遠くの白山とツーショットできるのだ。
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左側のダム湖、白水湖側の紅葉も鮮やかだが、崩落もあり高度感もなかなか。
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ここでぼんやり余所見をしていてバランスを崩したり、躓いたら大変な事になりそうで注意。
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すぐ近くの紅葉と白山ばかりが気になるが、開けた東面台地の黄紅葉絨毯もいい。
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これは、その向こう側へとつながる広大な絨毯で、そこが今日の目的地のお花松原になる。

よさそうに見えるが、遠くに見えるのと近くで見るのとはまた趣が違うので結論は後になる。

この大倉山尾根は秋の樹林の黄紅葉がいいのだが、午前中の光線ではそれが目立たない。
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それらを愛でつつも、ここら辺からは上りが辛くなる時間帯でもあり、息を整える回数が増える。

カンクラ雪渓の周辺の登山道は、いつもそんな印象が強い。
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ここを登りきると道は徐々に平坦になり、それまで見えていた展望も落ち着いてくる。

左に草紅葉と別山、ってガスが出てきてだめか。
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右にも草紅葉、ずんと上方に白いガレの御前峰。
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昨日、室堂泊の人がポツリポツリ下山していく。

彼らが立ち止まっていたところに来ると、なんだ、水たまりに氷が張っていた。
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白山室堂に到着、社もかなりできあがってきている。
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とそこで、見たことのある人がすぐ後ろにいた。

なんでも今日は代休だそうで、速足の相棒とともに登山口から2時間ぐらいでここへ、と。
相棒が元気で速いとは聞いていたが、その相手をする彼も健脚というかすごい。

一緒に御前峰に向かうが、とても着いて行けないのですぐに先に行ってもらう。
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白山へは何度も来ていてもいつもこの御前峰への上りが鬼門、途中で必ずへたばる。

高天原で休むことなく、なんとか御前峰山頂へ。
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冷たい風とガスが時折通り抜け、展望がそのたびにさえぎられる。

合間に、撮りなれた大汝峰ほか。
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知人とその相棒と昼食をかねて休憩しつつ、久しぶりの再会を祝し、四方山話をする。

モンベルの各種雨具やウィンドブレイカーの使い方や使い心地の情報交換など。

ザックも同じオスプレイのタロン22L、使い勝手はいいが、内側のコーティングがはがれてくる。

その後は一緒にお池めぐりコースに降りるが、大汝峰に向かう彼らとはすぐに別れる。
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紺屋が池に来ると、剣が峰も御前峰も荒々しい岩の積みあがったものだけに見える。
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となると、池をめぐる周回歩きが俄然、雰囲気をもってよくなる。

神秘的な色の翠が池を眼下に、お花松原へは遠回りになると思いつつ池めぐりコースを。
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大汝峰の下分岐から、大汝の壁のような岩塊を左手に見つつ荒野の道を進む。
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これは、いわゆるひとつの白山の荒野に群れる子羊だろうか。
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そしてのぞきこむように下方を見ると、うーんむ確かに橙色の強い黄紅葉が広がっている。
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ここがとかどこがというピンポイントではないので、とにかくずんずん下っていく。

足場は不安定でスリップしそうなので慎重に選んで歩く。

右手というか後方の剣が峰がとにかく荒々しいし、高度のほとんどを示している。

ざれ場の中腹の中ノ島といった感じのところで周囲を俯瞰する。
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ずいぶん小さくなったとはいえ、ヒルバオ雪渓は存在感を保っている。
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実のなる木々というか中でもナナカマドが元気で紅と橙の中心をなしている。
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お花松原の標柱は倒れていた。
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そこで、別当出合から日帰りで来た方としばらく話す。

紅葉もいいけど、夏の花畑、特にクロユリの群生とその密度はすごい、と。
来年の楽しみがひとつ増えた。
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標柱から少し行ったところに開けた場所があり、ここの休憩場所になっている。

座石を適当な角度に動かして固定、じゃあ午前だけど午後の紅茶を飲みますか。

歩いているときはそれほど感じなかった寛ぎ感が、座るとふしぎにわいてくる。
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いいじゃないか、ここ。
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すると、黒っぽい服装で一眼レフカメラを首から提げた方が近づいてくる。

撮影に熱中しているその方をぼんやり見ていると、見覚えがある、Kさんだ。
なんともこんなところで、周囲にはだれもいないというのに。
紅葉の季節、絶好機を逃してなるものかと年休を使って別当出合から入山したという。
このお花松原も、彼のブログ記事で読んでいた。

今年もというか、毎年、各地の名所をしっかりと歩き回って情報知は高い。
彼もこちらに気がついたようで、久しぶりの奇遇な再会を驚きつつ、しばし情報交換。
午前11時を過ぎた今の時刻から、室堂を経由して下山口までの所要時間のこと。
岐阜県側平瀬道と石川県側の砂防新道でここへ来るには、どちらが優位だろうか。
平瀬道だと、そのまま目の前をつっきってカンクラ雪渓を越えるのはどうかとか。

結論として、往復で単調にはなるが、目的をここにしぼれば、平瀬道ということで。

しばらく話し込み、自然に離れるように別れた。
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西側からどんどんガスが沸き上がる道は室堂まで登り返しがかなりきつい。
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ゆっくり慎重に歩を進めつつ後ろを振り返ると、Kさんはあいも変わらず撮影に没頭していた。

千蛇が池の残雪は例年以上で、ずっと蛇を閉じ込めているようだ。
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ざれてがらがらごろごろの巻き道を室堂へ抜ける。
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室堂では下山をあわてず少し休憩。

おそらく本日、室堂泊まりのお客さんたちだが、今から御前峰に登るかどうかで悩んでいる。
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そんな初々しい若者たちを見てると、まあそれも登山の楽しみだ、と。

下山開始。
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今はどこでも24時間監視カメラが活躍している、少し微妙な気分。

果たしてというか、大倉尾根の黄紅葉は定番だから、お花松原と比べながら下りる。

カンクラ雪渓周辺は、その続きがお花松原だからよく似ている。

その後の、大倉山を含む長い尾根が本命、往きはイマイチさえなかったがどうか。

なんだなんだ、心配も不安も無用で、午後の日差しになると俄然よくなるのだった。
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光線の加減かもしれないし、見る角度にもよるのだろうけど、樹林に限ればここがいい。
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たくさんの色がそれぞれに主張し、その中でも黄色が優勢、それがここの特徴。
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そして、白水湖というか火山湖の池の特色、エメラルドグリーンが映える。
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帰りも往きと同じように、いつもながらの構図でずっとデジカメっている。

稜線からダケカンバ帯、それを過ぎるとひたすら単調で足に辛い下りが続く。

しかし太いブナ林に入ると、本日のもう一つの課題を思い出した。
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ブナの切りつけ(正確にはブナの木肌への切りつけ)を観察する事。
とにかく文字や数字がはっきりと確認できるものはとりあえずデジカメる。
「昭」の字や、漢数字が目立つのは、年月日や日付を表しているのだろう。
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地名は一体なんだろう。
アルファベットやカタカナは、切りつけに触発されたその時の落書きだろう。
だからブナの切りつけとは何か。
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マタギや山林を職業にする人たちの当時の掲示板というか告知板だったのか。
当時、ブナは金になる木ではなかったので安く扱われていたのかもしれない。
そんなことを感じながら、たらたらと下った。
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帰りは当然、高速道路は使わず、一般道でこちらもたらたらと帰った。

今日の反省

少し長いコースも、ペースと時間を考慮して計画すれば、なんとか歩けるようになる。
ブナの切りつけについては、その由来を調べたり、文字や文様の解読をしたい。
秋の黄紅葉の鮮やかさは日本の山の特徴だが、他の名所もしっかりと調べておきたい。
そんないろんなことに、少し欲が出てきて、感心なことだと思う。
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2015年7月31日 (金)

山歩き:白山でお経ライブを聞く

山歩き:白山でお経ライブを聞く

家事の合間なら平日でも可能な山行きは、遠征して白山へ。
登山口も別当出合まで入れて、花の時季を存分に味わえる。
しかし連日の猛暑で夏バテの体調は、休憩ばかりのもたもた歩きとなった。
偶然にも永平寺の修行登山に遭遇し、お経ライブを聞いて救われる。
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【山行日】2015年7月29日(水)    
【山 域】白山、観光新道・砂防新道
【天 候】曇り
【形 態】周回 単族 中装
【コース】別当出合駐車場起点
P7:50--8:09登山口--9:01慶松平--10:09殿ケ池避難小屋10:19--11:13黒ボコ岩11:26--
--11:49室堂12:06--12:35高天原12:51--13:06御前峰13:28--13:52室堂--
--14:09黒ボコ岩--砂防新道--14:52甚之助避難小屋--15:58登山口--16:10P

白山の石川県側登山口までは、自宅から約250kmで微妙に遠い。
今回は体調も考慮して、名古屋市の通過や東海北陸自動車道などで有料道路を利用。
出発は3時、所要予定時間はほぼ4時間、ただ途中のPAで爆睡休憩してしまった。
白山の平日は車線規制を受けず、市ノ瀬より奥、別当出合まで入れる。
ただ路上にも空き地にも、もちろん駐車場は係員誘導で整然としても満車、すごいわ。
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準備して、まずは登山口の別当出合まで、450mを上がっていく。
登山センターやトイレがあり、本当に立派な登山口だ。
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今日のコースは一般的で、観光新道を先に、帰りは砂防新道でというもの。
天気予報がはずれて晴れではなくガスっている、でも花見山行だからいい。
稜線の慶松平まではかなり急なのぼりで、はじめだから我慢できる。
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尾根にあがり観光新道に合流すると、今日は展望こそ開けないがほっとする。
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ここで持ってきたきゅうりをかじることにする。
毎日どんどん生長し、つぎからつぎへと実がなるので、消化できない。
毎回食べているとあきてしまうので、こんな機会だと気が変っていいかもとの算段。
トマトは水分補給などにもなっていいが、きゅうりはさらに水を欲するようになる。

この時間、観光新道は下ってくる人が多い。
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団体やツァー、定例で友人や家族登山といろんな形態がみられる。

歩く道の両側にはちらほらと花が目立つようになってきた。
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昨年初めて来た時、施工中だった殿ケ池避難小屋はしっかり開店中。
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休憩にもいいのだが、ガスで視界がひらけないのが残念。
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すれ違う人は途切れずに多いが、聞くと昨日も天気はよくなかったと。
あれ、ウェブ登山天気だとずっと晴天だったけど、どうもあてにならない、と確信。
それなりの花畑は眼を楽しませてくれるが、足はどんどん重くなっていく。
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花の写真を撮りながら、動作はたらたらでぐったりもったりとする。

ようやく黒ボコ岩。
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砂防新道から上がってくる人でにぎわい、一様にみなさん休憩している。
黒ボコ岩に元気よく上がっていく子どもたちをみながら、ぐったりと休憩。

ここから室堂までは、平たい弥陀ヶ原の木道をのんびり、そして坂を上がればいい。
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室堂は、石段の坂を上がると、ぽんと目の前に現れる。

あれ、黒い絣のような服で、荷をぐだんと下げているのは、若い坊さんのようだ。
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永平寺からで、修行でもある参詣登山は、遠足みたく楽しみでもあるそうな。

室堂を抜けると眼前には、工事も佳境に入った社、その向こうには御前峰。
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でも、ベンチでの休憩を求めて座り、ザックを枕にごろんとすると、なんと気持ちのよいこと。

そのままここでも爆睡、途中からわき腹に冷たい風を感じ始めて、はっと目覚める。
ふだん、山へ来てごろんと昼寝をするなど、全くなかった。
でも、こんなにも快適なこととは知らなかった。
見るとすぐ隣でも、おねえさんがぐったりと休息中、流行ってるな。

ここまで来たのだから、御前様におまいりをする。

参道をぐるり、クロユリやコザクラの咲く花畑をまわりながら、たらたら上がっていく。
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案の定ここでもすぐに足が上がらなくなり、いつもながら高天原で昼食休憩とする。
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室堂から御前峰へは一気に上がれず、必ず高天原で休憩というのがいつものパターン。

こういう刷り込まれた習慣というやつは、変えれないもののようだ。

見てると、元気な人もよれよれの人もどんどん上がっていく、じゃあ再出発。

ずっとガスがかかっていたかと思いきや、時折、鮮やかに青空が広がる。
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その時だけは、山は晴れてなんぼ、と思ってしまう勝手なもんだ。
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山頂到着、やはりそこはガスの世界で、大汝峰や池はまぼろしの向こうだ。
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どんどん上がってくる人をぼんやり観察する。

機嫌の悪い人はだれもいない。

きまったポーズをとっては、記念に撮りあう人々というのも面白いものだ。
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元気と視界があれば、残氷雪の多いお池めぐりも楽しいだろうが、即あきらめ。

下りは力を入れずできるだけ重力のままに進んでいく。

遠くから、人を呼び出す放送が何度も聞こえる。
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室堂館内放送というのも、恥ずかしいし、考えものだな。

と思ってると、風にのって重層でふくよかな調べがぐわんと流れてくる。
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なんときれいな人の声の重なり。

なるほど、そういうことか。
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心が洗われるような読経、まさしくお経ライブ。
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整列の後ろに、一般人も静粛にしているのがいいではないか。
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疲れ果ててさえない歩きに不満もあったが、これで救われた。

じゃあ、下ろう。
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帰りは予定通り、黒ボコ岩から初めての砂防新道を下りる。

たくさんの人が利用するという砂防新道はどんな道か、それが楽しみ。

なるほど、ジグザグの多い急な道で、いくつもの沢を横切っていく。
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のぼりだと、これはきついけれど、水場の連続は気がまぎれていい、納得。
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道は南竜からの道と合流し、本道をひたすら降りて行くことになる。

先回は、とてもよく整備されていたという印象が強かったが、ふつうの道だった。
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別当出合の登山口にもどり、駐車場へ下りる。
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市ノ瀬まで6キロ車を走らせ、白山温泉に寄っていく。
湯の質とか浴槽などが、いわゆる昔ながらの温泉という雰囲気で気に入った。

帰りは高速有料道路は使わず、一般道を使う。
これはまるで今までどおりなのだが、遅い時間でもあり、順調に走れた。
当初は、テント泊というかツェルト泊を企てていたのだが、天気予報が黄ランプ。
泊用具が31リットルザックでは入りきらなかったことは赤ランプ。
なかなか先へ進めない。


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2014年9月13日 (土)

山歩き:白山・南竜、秋の花

山歩き:白山・南竜、秋の花

白山登山者の七割は別当出合から入山するという。
残りの三割は北や南、そして東の岐阜県側の平瀬からなど。
七月から八月の花、秋の紅葉の時季との間の中途半端なこの時期に、
自分にとっては初めての入山口、別当出合からの山歩き。
こんな時季でも白山はきれいな花畑で迎えてくれた。
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【山行日】2014年9月10日(水)    
【山 域】白山、南竜が馬場
【天 候】晴れのち曇り
【形 態】周回 単族 中装
【コース】別当出合駐車場起点
P7:15--7:32登山口--8:21慶松平--9:23殿ケ池避難小屋9:30--10:13黒ボコ岩--
--10:33室堂--10:54高天原10:59--11:13御前峰11:38--11:58室堂--トンビ岩道--
--12:58南竜ケ馬場13:08--南竜道--13:40甚之助避難小屋--14:48登山口--P

この夏の山歩き計画は天候不順でほとんどできず。
局地的な豪雨で被災された方や地域のことを思えばそれが当然かも。

ところで今回の白山、石川県側からは初めてで慣れない事は緊張する。
なによりも登山口までが約250km、遠くてほぼ5時間かかった。
いつも夜更かしの自分がほとんど眠れないまま夜中の2時に起きて深夜走行。
こんな生活をしていたらそのうち事故か体調不良で破綻する。

平日ということで車は、市ノ瀬ではなく別当出合まで入れる。
道路沿いや上の駐車場は埋まっていたが、下の大きなPはまだ余裕があった。
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準備して、まずは登山口の別当出合までの450mをのぼっていく。

登山センターやトイレがあり、本当に立派な登山口だ。

ガイドブックなどでよく見る吊り橋は、右の沢側で砂防新道のもの。
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天気はいいが午後から下るということで、左側の尾根道の観光新道を選ぶ。
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よく整備されたいい道だが、時に歩幅があり、段差も大きい。

こんな道は上りとしてどちらかといえば敬遠されるが、自分としては上りがいい。
下りに使うと、段差があり膝への負担が大きいからいやなのだ。
逆にそんな理由から、ゆるやかな道はぜったいに下り向きだと思う。

尾根に出たところが慶松平で、観光新道は白山禅定道に合流する。
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視界が開けるので気分的によく、日焼けだけが気がかりになる。
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温度は暑くもなく涼しくもなく、時おりひんやりとした風が気持ちいい。
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遠くで滝の水音や車の音、工事の音、いろんな物音がしている。
どれもが遠くて見えないのでよくわからない。

左側に視界が開け、なかなか立派な山が見えてきた。
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なるほど、御前峰から見たときはなんともさえなかったが、これは違う。

これだけ周囲から抜けていれば標高は関係ない、釈迦の名に恥じない。

右側に、チブリ尾根やほかの尾根、別山を探すがはっきりしない。
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それにしても尾根の稜線上に岩がよくころがっている。

そんな時、行く手に立ちはだかるように大岩があった。
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狭いながらも岩の下をくぐれる自然のトンネルもある。

ここ仙人窟は雷雨の時の避難や緊急ビバークにいいかも、定員3名。

そう思って抜けると標示があったが、地名は書いてない。
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登山口から室堂までの中間点って、分かりやすいなあ。
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歩く両側に花が目立つようになってきた。

期待していなかっただけに、うれしい。

そして今は工事中の、殿ケ池避難小屋が見えてきた。
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作業員さんは泊り込みなんだ。
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で、建造中の小屋の土台現場はこんな感じ。
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そのすぐ近くには臨時のプレハブ避難小屋がある。

作業員さんは親切にも、休憩していくように、と声をかけてくれた。
お言葉に甘えて、ざぶとんありの長いすで熱い飲み物をよばれる。

この殿ケ池の横のプレハブには緊急用のトイレも設置されている。
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小屋を後にして上っていくと、昨夜室堂泊の人々とすれちがうようになる。

聞けば、平日の昨日でも百人近くの人が宿泊していたとのこと。
そして今朝は見事な御来光が拝めたのだそうな、よかったですね。
自分のような日帰り族にはまるで縁のないことで、うらやましい。

するとここで先ほどの作業員さんから大きな声がかかった。
「小屋に避難するか、きちんと離れて待つように」
ヘリコプターが、荷揚げや工事のために接近中とのこと。

すぐに遠くから爆音が聞こえてきた。
ほどよい距離まで離れていた自分は、当然野次馬になる。
デジカメの被写体、シャッターチャンスの練習には最適。
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荷を運んできただけではなく、クレーン作業の代替も行っている。
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稜線の斜度が増し、明るい道の両側に花が映える。Dsc03550

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身を屈めて花の接写に挑む人がこの日は目立った。
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蛇塚の花畑を抜けると黒ボコ岩で、砂防新道が合流してくる。
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この黒ボコ岩という有名な地名、写真で見るのと実物を見るのでは大いに違う。

ふつうの大岩だが、大事な分岐点だからこその命名か。

ここからは行き先の御前峰が見え、一段下がったところに室堂も見える。
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弥陀ヶ原には木道が敷かれ、快適な散歩道になる。
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一気にたくさんの登山者を見かけるようになり、さすがに人気の山らしい。
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坂をゆったりと上ればほどなく室堂へ到着。

道なりに室内に入り、休憩する人々、そして掲示板を見る。
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熊さんの目撃情報がかなり多く、入山者がこんなに多くても四面クマなのだ。

室堂を抜けて、白山奥宮祈祷殿や御前峰に対峙する。
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あらまあここも工事中、ということで鳥居の奥には○○様。
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とりあえず御前峰を目指してだらだらと歩いていく。

案の定、疲れがどっとでてきて足が重いので、高天原で休憩。
しかし、風が冷たくてじっとしていられない。
仕方がない、足を引きずり、疲れをだましだまし歩いて行く。
傍らをトレラン姿の派手な若者がさっと抜いていく。

それにしても白山へはいつきても、この最後の上りがしんどい。
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ようやく山頂、奥宮と御前峰。

大汝山にガスがかかったり切れたりで、天気のいい内に来られてよかった。
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休憩、昼食。

そこへ反対側から別のトレラン姿の人がやってきた。
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聞けば一里野からの加賀禅定道18kmを6時間余で走ってきたとのこと。
いやはや、住む世界が違うとはいえ、なんとも。

この後、今日はとても池めぐりや大汝へ行く気力はなし。
来た道をそのまま戻る、石畳のとてもよく整備された道で歩きやすい。

本日の課題はもう一つ、南竜が馬場の下見。

室堂からの三つのコースの内、真ん中のトンビ岩コースで下る。
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地形図で見る限り、他のエコーラインも展望歩道も似たものだろう。

ここでも花畑があり、まもなく目立つ大岩のトンビ岩に到着。
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トンビというよりは今風のゴジラだが、象徴としての存在感はある。

御前峰とのツーショット。
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その後はどんどん近づく南竜が馬場と別山への道を見ながらお気楽下り。
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崩れやすい道なので整備も大変そうで、丸太のミニ堰堤がすごい。
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初めて訪れる南竜が馬場は、稜線の鞍部であり沢の合流点である。
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その包まれたような地形から花畑あり、キャンプ場にもなっている。
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ここはいつかテント泊したい場所として思案していたが、決定。

その後は、ほぼ水平の南竜道から砂防新道に入り、緩やかに下った。
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甚之助避難小屋などトイレや施設もあり、花もしっかり咲いている。
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最後の吊り橋で少しふらふらしたけど、皆さん無問題なんだろうな。
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あらためて白山の魅力を再認識した山歩きになった。

難点は、ただただ遠いこと、施設や道の整備は本当に素晴らしい。

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2013年10月14日 (月)

山歩き:白山(平瀬道)の黄紅葉と大汝峰

山歩き:白山(平瀬道)の黄紅葉と大汝峰

秋の白山は黄紅葉の山の定番。
猛暑の夏だったが季節は秋、天気に恵まれた三連休。
お膳立てはすべてそろった。

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【山行日】2013年10月13日(日)
【山 域】両白山地:白山(平瀬道)
【天 候】晴れ、山頂は強風
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】大白川ダム辺駐車場

  登山口7:08--8:34大倉小屋--9:39室堂--9:55高天原10:04--
--10:16御前峰--池めぐり--11:40大汝峰12:08--12:46室堂12:55--
--13:51小屋--15:02登山口

天気のよい三連休はいろんな祭りや行楽にも都合がいい。
通り抜ける町の人出や道路の渋滞には本当にまいった。
白山も同じで、広い大白川駐車場が多くの車で埋まっていた。

歩き出しはいつもながら、いきなりの急登。
ブナ林ほか樹林帯を歩いていくので多少は気持ちも安まる。
時に背後から日光があたるが、空気はひんやりだからいい。
駐車場では涼しかったが、すぐにしっかりと汗をかく。

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それにしてもたくさんの登山者なこと。
でも、なぜにそんなに厚着なんだろう。
ほとんどがアウターを羽織り、その下はフリース!
もう一つ不思議なのが、ザックの外にカップをぶら下げてること。

苦しい上りだが、森林浴、展望、紅葉刈りで気分がいい。

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大倉尾根に乗るとなだらかな歩きに変わり、目に黄紅葉が飛び込んでくる。

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高さ2000メートルを超えたここから大倉山周辺、その後のしばらく。
白山平瀬道の黄紅葉の愁眉だろう。

そして、白山の双耳峰(御前峰と剣が峰)が見られる。

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日帰りだと光線の関係で、往きは山、復路は黄紅葉が映える。

今日のめあての黄紅葉と白山をデジカメる。
おそらく毎度、同じ場所で同じように撮っている。
意識したりしなかったり、後で見て感心したり呆れたり。
自分が見て、感じたものをひたすらカメラで記録する。
まったく懲りずに繰り返している。

それにしても人が多い、さすがに人気の山。

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木の階段を上り詰めるとなだらかな道になり、賽の河原に出る。

期待した草紅葉はといえば、もう枯れていた。

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夜か朝方の雪が残り、水たまりには氷が張っている。

定点観測用カメラはたくましく。

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室堂まで進み、鳥居のむこうに御前峰を仰ぎ、参拝する。

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今日もなんとかなりそう、休む間もなく御前峰へ向かう。

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なだらかな石畳の道を歩いていくが、すぐにあえぎ始める。
やっぱりだめか、ということでこれまたいつもの高天原で休憩する。
ところが今日は風が強く寒い。
とてもじっとしておれない。
先があるので、たらたらでも御前峰を目指して上がっていく。

その御前峰、人は多いのだが少し様子が違う。

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風がとても強くて休まるところがない。
ここで初めてアウター(単なる合羽)を着る。

ではということで、さっさとお池めぐりと大汝峰へ向かう。

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歩き始めたとたん、吹き飛ばされそうになる。
うずくまって岩にしがみつき周囲を見ると、他の人も同じ。
カメラなんかとても取り出せない。
いつまでもそうしてはいられないので、一気に進む。

この温度と気象の変化こそ高い山の特徴か。
おそろしいものが体験できた。

「お池めぐり」は、いつもながらのこと。

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でも毎度のことでもいいものはいい。

こんな見事な池つき庭園、見ないでどうする、と思う。

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今日はこれにプラスして黄紅葉の名所「お花松原」の下見を少し。
翠が池から中宮道へは近道があったはずなのに、×印が。
仕方がない、大回りだが交差点へ下りてずるりと回っていく。
中宮道は初めてだから、ほんの少しでも新鮮に感じる。
道は翠が池へすぐのところを通っていた。
でも×印には、植生の保護とか崩落防止の意味があってのことだろう。

中宮道はそこをすぎると一気に下っていく。
そんな時、ガスがぐわーんと湧き上がってきた。
下のほうの窪地がお花松原らしいが、よくわからない。
ガスが切れるのを待って、デジカメる。

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なんとか黄紅葉できれいだが、驚くべき様ではなさそう。
そこへ下りていって、再びここへ上り返すのは、きつすぎる。
そんな体力はもう、ない。
そんな時、テント泊重装備の方たちが斜面を上がってくる。

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感心するが、自分はまたの機会として、そこで切り上げる。

こちらから見る大汝峰はまた横広で屏風のようだ。

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今日も結構な人が上がっている。
頂でもあり、通り道でもあるからか。
表示ははっきりしていて、最初の急登をこなすとすぐになだらかになる。

稜線をゆったりと頂へつめていく。

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石積みの要塞が山頂で、大汝神社。

今日は冷たい寒風が吹き荒れているから、それを避けたい。
それが丁度要塞の南側で、御前峰と対峙する位置になる。

この眺めが、とてもいい。

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昨年、ガスのせいではっきりと見られなかったこの風景。
御前峰からよりも落ち着くではないか。

今年も白山詣が無事できた。

ゆっくり腰を上げる。

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残りの池をめぐり、近道で室堂へ戻る。

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室堂にはずっと人が多いままで、みなさんずっとくつろいでいる。

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小屋泊で御来光ほかゆったり詣でるんだろうか。
来年あたり、自分もやってみたいものだ。

平瀬道の下りはただ単に帰っていくのではない。
午後になってしっかり日光があたる黄紅葉を再び見ていく。

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なんども足を止め、味わいながら降りていく。

いくら撮っても所詮同じだとしても、今度こそはとデジカメる。

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そんな自分と同じような人々と抜いたり抜かれたり。

そして、これから白山を目指すたくさんの人とすれ違いながら。

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さすがに最後は、足の筋肉やスジがぴりぴりしてきた。

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往きに4時間、しかし帰りは5.5時間。
美濃から関そして岐阜、その後の一宮までずっと渋滞。
時間帯もあるが、あれではほとんど都市機能はマヒではないか。
それは、自分のようなものが車で通り抜けているからだが。
だからといって、高速は絶対使わないし。

今日の反省
 昨年と同じ時期で、所要時間もまるでコピーの様。
 白山の黄紅葉は長い、しかも平瀬道のあそこはいつも期待通り。
 今年こそ市ノ瀬から歩きたかったが、駐車場のキャパであきらめる。
 今日も下山後、頭痛。目の奥からの頭痛、犯人は紫外線か。

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2012年10月 9日 (火)

山歩き:秋の白山(平瀬道)

山歩き:秋の白山(平瀬道)、快晴の黄紅葉

各地から聞こえる今年の黄紅葉は、当たりらしい。
なのにテレビでは、乗鞍岳畳平の初雪(昨年と同日)を映していた。
黄紅葉、年々少しずつ遅くなっているのに、少し焦る。
天気は快晴、言うことなし、でもフライングかな。

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【山行日】2012年10月8日(月)
【山 域】両白山地:白山(平瀬道)
【天 候】快晴のち曇り
【形 態】往復 単族 軽装快速
【コース】大白川ダム辺駐車場
  登山口7:32--8:59大倉小屋--10:12室堂--10:31高天原10:42--
--10:54御前峰--池めぐり--11:48大汝峰12:05--12:48室堂12:54--
--13:45小屋--14:46登山口

花でも紅葉でも白山は素晴らしい、近場の数少ない名所。
片道200㌔余は遠いし運転もきつい、でも旬の山の魅力は味わうべきだ。
連休最終日、早いけど体育の日?、天気は上々。
午前3時、深夜のFMは1局だけ、岐阜の地域局の放送。
えっ、岐阜国体?盛り上がっている、交通渋滞とか・・・しまったなあ。
山は関係なく、大白川駐車場は当然多くの車で埋まっていた。

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歩き出しはいつもながら、いきなりの急登だ。

ブナ林ほか樹林帯が日陰をつくり、目にもやさしい。

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時々、直射日光があたると暑い、じりじり焼かれる感じがする。

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でも、すーっと通り抜ける風はひんやりで、秋なのだ。

大倉尾根にのって上がっていくと、左手ダム湖のむこうに別山。

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壁のように立ちはだかる。

背後には三方崩山を見る。

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これで高度を感じることができる。

ずっと遠くには乗鞍や御嶽が雲の上に見えている。

苦しい上りだが、森林浴、展望、紅葉刈り、飽きることがない。

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三方崩山と高さが同じになった頃、なだらかな歩きに変わる。

そしてすぐに、目にも鮮やかな黄紅葉が飛び込んでくる。

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結論から言えば、最初に感じたここが一番よかった。

紅葉よりも黄色、これが光り輝いていた。

同時に、白山の双耳峰(御前峰と剣が峰)が見られるようになる。

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これがこの平瀬道の一等優れたところだと思う。

山の姿は見る方角によって様々に姿を変える。
その山の代表的な姿、と聞かれたら白山はこれかな。

もう一つは頂上付近の、御前・剣・大汝峰のトライアングル。
でもそれは、空高くから俯瞰するので登山者の足と目では無理だ。

黄紅葉と白山、今日のめあてが眼前に広がる。
どんな風に額縁に入れるといいのか、悩む。
黄色を強調したいのだが、いい角度がない、がっくり。
何枚もデジカメる、数を撃てばいいでもなし、みな同じ。
自分の目で見て、その時感じたのが一番良かった。

大倉小屋を過ぎると、周辺の黄紅葉が素晴らしい。

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たくさんの色が単品で主張し、混ざり、彩度と奥行きを出す。

これがまた、切り取れない。

光の強さ、角度でも微妙に変わるから、よい撮影場所も決まらない。

ここら辺、上りが急になるところで疲れも出てくる。

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いい息抜きにデジカメるのだから、上手くはいかない。

最後の木の階段を上り詰めると道はなだらかになり、賽の河原に出る。

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ここの賽の河原は、地獄へ向かう河原の印象はない。

そこが御嶽や乗鞍、八が岳、浅間山のそれとの違いかな。

草紅葉というのだろうか、夏はお花畑で、どこまでもやさしい場所だ。

草紅葉のむこうに青い別山がちょこんと顔を出す。

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右手には、なだらかな裾野の先に御前峰がどっしり。

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一気に人が増え、高価なカメラを手にみなさん表情がいい。

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室堂まで進み、鳥居のむこうに御前峰を仰ぎ、参拝する。

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なんとかなりそう、休む間もなく御前峰へ向かう。

整備された石畳のなだらかな道を歩いていく。
これが楽なようで、それまでに結構足を使ってきているので、かなり辛い。
すぐ前方のおしゃれな山ガールが足取り軽く上がっていく。
距離は縮まらず、少しずつ離れていく。

だめじゃん、ということで、高天原で休憩する。
最近、白山でのいつものパターン。

今日は、室堂や別山を見下ろすのではなく、御前峰を仰ぎ見ながら休む。

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なだらかそうに見えるんだけどなあ。

どんどん登っていくのは、室堂泊の人だろうか。
それにみなさん、服装が厚手だ。
しっかりとしたアウターを着ている、暑くないのかな。

みかんを食べ、パンを少しに紅茶、軽い昼食はいつも通り。
勢いはもう全然ないが、なんとか頂上へ休まずに上がる。

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御前峰の山頂は横に細く長いのだが、これはこれで頂らしい。

しばし、晴れやかなみなさんの様子を見、展望を眺め、ゆったりする。

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さてと、剣が峰も気にはなるがそれよりも向こうの大汝峰か。

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こちらから見ると大きいし、ずっと存在感がある。

それでもって山頂には、あまり人がいるように見えない。
岩間道ほかむこうから登ってくる人は、大汝峰を巻くともいう。
自分にしても未踏だ、ならば行ってみよう。

「お池めぐり」の途中で外れて、寄ることにする。

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まずは池めぐり、この時季、水量がずいぶん減っている。

でもまあこんな山上で池が見られるだけでうれしいものだ。

同好の士も多い、やってみれば分かる。

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御前峰の往復だけでは、本当にもったいない。

山上で、池付きのこんな美しい庭園はめったにあるものではない。

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池めぐりコースで回ってると、遠回りをしているような気もしたが、
大汝峰への分岐があり、目指す。

あれ、今日は結構人が上がって行くなあ。
そんなに踏み後がしっかりとしているわけではないが、道もある。
最初の急登をこなすとすぐになだらかな稜線歩きになった。

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これは気分的に楽だ、ゆっくりと頂へつめていく。

山頂には遠目に、石積みの要塞がある。

その石積み要塞は、白山の他の峰の頂上と同様、神社だった。

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それよりも大汝峰山頂の広さにびっくり、テーブルランドだ。

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もう一つの要塞は緊急避難小屋。

これはまた、気候の激しさというか、歴史を感じさせた。

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で一番見たかったのが、ここ、こちらからの御前峰と剣が峰。

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ところががっくり、ガスがどんどん出てきて、切れ目がない。

しばらくいて、二度目の昼食としたが、変わらない。

そのうち入道雲のように大きく悪くなり、みなさん腰を上げだした。

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残念だが降りよう、でもいい場所をみつけてほくほく。

残りの池をめぐり、近道で室堂へ戻る。

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人はさらに増えていて、なんかみなさんずっとくつろいでいる。

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ベンチでごろ寝していると、そりゃあ寒いでしょうな、風邪ひくぞ。

黄紅葉を再びなんども味わいながら降りていく。

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途中、若いのに抜かれ、もう一人にも抜かれそうになった。
どうでもいいのだけど、他の下山者のペースに合わせることもない。
彼に付いていくように、歩を早めた。
すると、どんどん先行下山者に追いつき、抜かすことになる。
まったくキリがない。
膝横の筋肉が熱を帯び、膝が重力をびんびん感じる。
確かに時間は早まった、いわば高速下山。
少しあわてたが、あとで時間をみると、わずかでしかなかった。
車で制限速度を越えてとばしても、到着時間があまり変わらないのと同じか。

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今日の反省
 白山の紅葉、自分の予定では来週だった、フライングと思うがどうか。
 山頂トライアングルもいいかも、気力と体力の問題だが。
 往路4時間はともかく、復路5時間のタラタラ渋滞運転は我慢の限界。
 今日も下山後、頭痛がした。目の奥の頭痛、犯人は紫外線か。

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2012年7月17日 (火)

山歩き:上小池から三ノ峰、別山平

山歩き:上小池から夏の三ノ峰、別山平

この時季の白山山域は、花が見事だという。
白山室堂付近はまだ少し早いが、別山付近は見頃ではないか、と。
ということで、先々週から毎週末、天気のよくなる日を待っていた。
先週の天気予報は雨時々曇、でも山は雲の上でよかった、と。
今週の天気予報は晴れ、待った甲斐があった。

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【山行日】2012年7月16日(月)
【山 域】両白山地:三の峰、別山
【天 候】曇り時々雨、のち晴れ
【形 態】往復 単族 軽装準急
【コース】上小池駐車場
P8:44--8:56登山口--9:49六本檜--11:23三ノ峰避難小屋--11:33三ノ峰--
--12:26別山平12:43--13:27三峰--13:37小屋--14:47六本檜--15:33登山口--15:50P

久しぶりの遠出、朝は少し寝坊して出遅れる。
4時過ぎに家を出、22号線をひた走り156・158号へとつなぐ。
往路200㌔超、高速は使わず、地道を行く。
朝の天気は曇りだったが、郡上八幡周辺からずっと雨になる。
福井県に入ってから70㌔余、長いが道は空いていて走りやすい。
上小池駐車場にはすでにたくさんの車が入り、静かだった。
夏の山へ入るのにこの時刻では遅い、本当に遅い。

簡単な登山届を出して、出発する。
天気は霧雨になったり、ぼわっと日差しが出たり。
暑い時季なので、濡れるのは気にならない。
困ったのは、たくさんの雨の後でぬかるみが多いこと。

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それは登山口からのいきなりの急登やトラバースですぐに感じる。
滑りやすいし、道が川になっているから慎重に進む。
樹林帯なので雨も日差しも遮られるのが好都合である。
とにかく蒸し暑い、汗がだらだらふきだしてくる。
道端にはササユリが出迎えてくれ、稜線までは少しの我慢となる。

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六本檜のある稜線は、ブナ林も見事で一気に緑が濃くなる。

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これが本当に見事なもので、谷側の山腹は深い森である。

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さらにうれしいのは、風が吹き抜けていることである。

これで少しは快適に歩けると思った矢先、イヤな奴が来た。
ぶーんとうなりながら周回し、時に接近してくる。
アブではなく、スズメバチか。
こいつが自分の領域を荒らされたとでも言うように、うるさい。
音が聞こえない時は、こちらの身体に止まっているのだ。
こんなのを怒らせて、攻撃されたらたまったものじゃない。
不用意に手や腕を振り回さないように気をつける。
しかしうるさい、しかもずっとまとわりついている。
これが数十分間も続いた、まったく運が悪い。

天気はさえないが、ハチ以外の昆虫はよかった。

ナツアカネの大集団が乱舞するのはいいながめだ。
ヒョウ柄の蝶も我が世の春、夏を謳歌している。
彼女たちにとってアザミがいちばんのごちそうのようだ。

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花もササユリの次はニッコウキスゲとはよくしたものだ。

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行き先の別山も三ノ峰も雲で見えないが、険しい登山路が延びている。

この登山路の稜線はしっかり見えていてこれまたすごい眺めになるはずだ。

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ただこの頃から雨が激しくなってきた。
前を行く夫婦はそろって傘を出していた。
風も吹いているし、暑いので濡れるままに自分はまかせる。

福井県の山は、道も標識もよく整備されている。
本当にその通りだが、この急坂は整備が追いつけない。
急坂すぎて、冬を越すともう崩落している。
歩幅が広く高くなるので歩きづらいし、下りは滑らない注意が必要だ。
それにしてもあそこまで行けば、とそこまで行くと道はさらに上に延びる。
そんなニセピークまたはニセ稜線に何度もはぐらされ続ける。
何度も足が止まり、息を整える回数が増える。
朝早い人や、南竜が馬場などで泊した団体さんが下りてくるのはいい機会だ。

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早めに脇に空き地を見つけて、譲るのが楽しく、楽になる。

目的の花畑は、三ノ峰というより越前三ノ峰(打波の頭)の急斜面に出てくる。

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よくもまあこんな所にお見事に、でも人が入れないから荒らされない。

石がごろごろの歩きづらいトラバース道を進むと避難小屋に出る。

ここでこの鳩ヶ湯新道は石徹白からの美濃禅定道に合流する。

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小屋前はいつも休憩する人、昼食する人が多いところだ。

霧雨は止むことなく続き、ガスはまるできれない。
稜線を強い風が吹き抜けるので一瞬一瞬で眺めがどんどん変わる。
三ノ峰へ向かうと、背は低いが笹原の抵抗に合う。
頂上周辺では足元が見えず、ぐちゃぐちゃ泥濘におぼれそうになる。
山頂はもちろんまったく展望なし(写真も撮らない)。
ここの見所は、ばーんと広がる別山と大平壁なのに。

疲れも出てきたし、こんな天気ではこれ以上はどうなのか。
しばし逡巡し、この稜線の花畑だけを確認することにする。

すたすた、でも慎重に下り始める。

おお、なるほど、まずはトドマツ。

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そして、すぐの斜面にひろがるちょっとした花畑。

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これならまあ、いい。

もう一段、どんと最低鞍部まで下がり、そこからは長い平坦な稜線になる。
そこそこ、という感じ。
稜線を跨ぎ超える風がガスをともない強く、それどころでもない。
とにかく、楽園の別山平だけは目指そう。

歩みはたらたら。
この辺から、別山から下ってくる人とすれちがうことが多くなる。
みなさん、元気だなあ。
聞いてみると、折角行ったのに、ガスで展望はなし、とのこと。
となると、都合のいい言い訳ができた。
壁のように立ちはだかっていた別山平へののぼりもトラバで緩やかになり、
はっきりしないが平へのったようだ。

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うん?花畑ではない。丈は低いが、笹原だ。
所所に少し咲いてはいるが、一面の花畑にはなりようがない。
下手をすると、昔のイブネになってしまうかも。

もちろん、正面に美しく見えるはずの別山は全然見えない。

人声がするが、ガスの中から突然あらわれる感じ。

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御手洗池まで行き、そこで休憩とする。

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池はガスの中でより幻想的だが、それだけだ。

池を見下ろす地点で食事とするが、風が強く冷たい。

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数分いるだけでどんどん身体が冷えていく。

そうか、動いているときはいいが、休憩するとこうなるのだ。
ある意味、動けなくなった時が、遭難への一歩かも知れない。

来た道をもどる。

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時に、ガスの切れ間、まだ残っている雪渓が見える。

きれいに見えた花に目星をつけていたが、はたしてどうか。

018 020 022 037 040 038 041 055

半分は忘れていた。

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帰りはさらにたらたら歩きで行く。

三ノ峰へ登る人。

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三ノ峰から下りながら小屋を見る。

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小屋からのトラバ道、その後の急降下は緊張する。

その頃から、ガスがきれ、日が射すようになってきた。
それとともに、ぐわんと暑くなり、ひりひりしだす。
すべりやすい足元、言うことをきかない筋肉。
じりじり日に焼かれていく皮膚。

見下ろす稜線の眺めだけはとてもいい。

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もちろん、振り返って見上げるのも、いい。

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いつの間にか、正体の全部は見せなかったが、別山や白山も。

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六本檜からの樹林帯も慎重に歩き、最後の所。
そこで気をつけていたのに、ふんばりが効かなかった。
ずるっ、あおむけに転がる。
とっさに手が身体を支えようとして、無理な位置に。
その瞬間、いろんなことが頭をめぐった。
ひねったかな、折れてはいないよな、痛い。
尻はどろんこだろうな。
立つと、肩と腕に違和感がある。
やっぱり、疲れているんだ。
別山まですら行かなかったが、疲労度の高い道。

夏山の最初は身体も慣れていないから慎重に、という教訓。

ついでに参考として、過去ログで秋のもの。

山歩き:上小池から秋の三ノ峰、別山

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【山行日】2008年10月19日(日)
【山 域】両白山地:三の峰、別山
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】往復 単族 軽装快速
【コース】上小池駐車場
P8:06--8:30山腰--9:09六本檜--10:34三ノ峰避難小屋--10:42三ノ峰--
--11:23別山平11:37--12:05別山12:21--13:18三峰--13:25小屋--
--14:27六本檜--15:20登山口--15:50P

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上小池、打波川沿い見下ろすとずっと奥には荒島岳。

稜線の途中から振り返ると、赤兎、大長など福井県の有名どころが。

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三ノ峰山頂から別山を見る。

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おなじみの、別山平から別山を見るの図。

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秋になると、御手洗池の水は干上がり、奥の方だけが池の姿。

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三ノ峰からの下りは、全山燃える秋を堪能できる。

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2011年10月 4日 (火)

山歩き:別山、美濃禅定道

『来た道を振り返るのが美濃禅定道の楽しみ方』

山歩き:別山、美濃禅定道

別山は凛々しい山で見て美しく登って楽しい山である。
御前峰や大汝峰とともに白山を形成するが、それらとは別の山だから別山。
立山にある別山は標高こそ高いだけで、魅力に乏しい。
かつて白山にあった三つの禅定道で一番人気の美濃禅定道を歩く。
今回も、一部掟破りがあり、反省点の多い山歩きになった。

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【山行日】2011年10月3日(月)
【山 域】両白山地:別山、石徹白道(美濃禅定道)
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】往復 単族 軽装快速のち鈍足
【コース】石徹白登山口駐車場
P7:48--9:00神鳩小屋--9:39銚子が峰--10:19一ノ峰--10:44二ノ峰--
--11:14三ノ峰--11:55別山平--12:25別山12:51--13:09別山平--
--13:45三峰--14:15二峰--14:39一峰--15:18銚子峰--15:52小屋--16:55P

まずは『今回の山行計画』から。

ジャストインタイムに物事を運ぶのは効率的である。
無駄がないし計画的だから次の段階も円滑に事が運ぶ。

山の計画を立てるとき、過去の記録を参考にする。
知らない土地ならガイドブックの価値は高い。
自分の歩いた記録は、自分だけに対応しているのでさらに貴重だ。
当然といえばその通りで、だから山の記録をとることは大切だ。

今回は、三ノ峰までの過去2回の山行を参考にした。
ひとつは、石徹白登山口駐車場から三ノ峰までの往復山行。
  2009年10月11日(日)実施(過去ログあり)。
  銚子が峰~三ノ峰の間の様子や時間が中心。
もうひとつは、上小池から三ノ峰そして別山までの往復山行。
  2008年10月19日(日)実施。
  三ノ峰~別山の様子や時間が中心。
これらを合体させて、石徹白~別山の山行計画を立てた。
自分の記録が中心なので悩むことはなし、すぐにできた。
往路、石徹白~三ノ峰~別山、3時間半+1時間。
復路、別山~三ノ峰~石徹白、1時間+3時間、合計8時間半。
だいたいの大雑把だが、これがいつでもほどよく決定版になる。
これに、道路行程167㌔の行き帰りの運転時間を加える。
行きは3.5時間~4時間、帰りは4時間~4.5時間。
こちらは道路状況の経験則がものを言う。

という計画で実行したが、最初からどこかおかしかった。

休日出勤したので月曜日が代休の山行日。

駐車場への到着が微妙に遅れ、出発も同様に遅れる。
着いた時、ちょうど大阪からの夫婦が出発していった。
車がもう1台あり、自分のとあわせて3台。
平日とはいえ、山へ入る人がいるものだ。
少し遅れた分を、少しずつ取り戻すべく、石段を上がる。
まずは石徹白大杉。

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巨樹を見上げるといつも荘厳な気持ちになれる。

体調は悪くない、天候もいいし、歩みが進む。
朝露なのか、湿っぽい。粘土質の登山道はやはりすべりやすい。
もう、夏の暑さはなく、このひんやり感がいい。
ダケカンバ、ブナなどの樹林帯を通り、石がごろごろを上がる。
もうそろそろかという頃、神鳩ノ宮避難小屋が現れる。

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とても立派な小屋で、それ以上によく手入れされ、大事にされている。
ただこの小屋の水場は、東に下ったところで足場が悪いから要注意だ。

先は長い、どんどん進む。
先ほどから左手、樹林の向こうに姿形のいい稜線が見える。
こういう眺めは、分かってはいても息抜きになる。

右からの尾根(そんな感覚は全然ないが)が合流してくる。
これは桧峠や大日が岳から天狗山、芦倉山、丸山というもので長い。
白山を開山した泰澄さんはこんな長い道も候補に入れていたとは。

銚子が峰の前衛鋒が見え、近づくと母御石が見える。

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風にたなびく美しい草原らしきは全て笹原で、近づくとまるで厄介者になる。
ここの笹原は青々として元気がいいが、朝露でしっかりと濡れている。

でも前衛から銚子が峰までは開けたなんとも気持ちのいい歩きになる。

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目指す別山も右手に現れ、って別山にはひっきりなしにガスがかかる。

銚子が峰に着く。

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ここからは今日の行程がさらに明確になる。

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別山ははるか向こうにあり、左から大きく巻いていく。

左からの大巻き尾根には階段状に山と道が続く。
一ノ峰、二ノ峰、三ノ峰だ。

まずは下りで、どこまでも少しの上り下りとトラバースが続く。
まるで0.3峰、0.5峰、0.7峰といった感じ。

一ノ峰が近づくと、歩いてきた行程を振り返りたくなる。

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歩いてきた道を振り返ることで成果を確認する。
これが、この美濃禅定道の特徴である。

そして、一ノ峰。

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また下り、上がり、二ノ峰に近づくと振り返りたくなるのも同じ。

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そして、二ノ峰に着く。

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見ての通り、道が山頂からずれている分、標識もずれている。

秋の気配が多少は見られるようになり、眼前に三ノ峰が圧倒的になる。

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再び下り、広々とした所、水呑釈迦堂跡に来る。

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ここは前面に別山と大平壁が見られる。

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三ノ峰への大きな登りになる。

一部ガレたところがあり、疲れが出てきて歩みも遅くなる。

ならば、来た道を振り返ればよい。

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全ては、歩いてきた道を確認することで報われる。

避難小屋の立つ鞍部に近づくと本日初めての人に会う。
小屋の前で学生さんらしきが合羽を着て、濡れたズボンを乾かしている。
沢登りで来たのか、風も確かに冷たいし、こんな時刻だから休憩か。

とにかく今日はどこでも止まらず一気に行く。
三ノ峰への少しの上りは笹が元気になりすぎているようだ。

お決まりの、振り返りで小屋周辺を見下ろす。

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三ノ峰からは、別山だけではなく室堂や白山(御前峰や大汝峰)が見られる。

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うねって続く別山への道。

おいで、早くおいでと、禅定道が招く。

白山を見ると、別山はすぐ近くのようだが、これがくせ者。
ここの下りは今までよりも大きいし、二段階に下る。
道も一部荒れているから、下りは慎重に歩む。
そして、別山平にあえぎながら上がる前に振り返る。

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そしてようやく別山平。

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別山平は楽園だと思う。

別に花の季節ではなくても、この山上の平面台地は貴重で美しい。
何よりも別山平の上に別山が乗っかるこの造形だ。
しかも、池がある。
御手洗池。
しかし寄り道する時間はない、予定計画時刻が迫っている。

”メロスは走った。走りに走った。
 約束の時刻までは、あと少し。
 竹馬の友をどうして処刑台に載せられようか。

 しかし間に合わず、時間切れ。
 ゴールの門は閉まり、処刑が決行された。
 親友との約束を破ったメロスは、王様に蔑笑された。
 裏切り者。”

ここで裏切りに重ねて、掟破りをもする。

単族の山行は自由気ままでいいのだが、だからこそどこかで歯止めがいる。
それを自分は、計画時刻の遵守においている。
あと少しで山頂だとしても、下りの時間を考えて引き返すことがあった。
少し無理をすれば世界は広がったかもしれない。
あそこまで行ってあと少しなのにもったいないことをした、もあった。
でも欲張らず無理することもなく歩いてきたから事故や怪我のない今がある。
自分で自分を律するには、そんな単純なきまりこそ大事なのだ。

さて、裏切り者は汚名を戴いたのに閉まったゴールを目指す。

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初めてならともかく、一度行ってる山になぜ。
まして目指す別山は激しく流れるガスにずっと覆われていた。
舞台が幕引きされ、石で造られた城の門に大きな閂が降ろされたように。
魔性に引き寄せられたのだろうか。

おおざっぱだからではなく、計画が甘かった。
しかも出発時刻からして遅かった。
いくら途中で少し急いだとはいえ、それがさらに無理強いになった。
そこまで分かっていて反省もなく強行するとは!

別山の最後の上りは細い稜線を行く。
吹きさらしの稜線の風は特に冷たい。

重くなった足を上げつつ、楽園の別山平を振り返る。

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御手洗池が輝いている。

そして、別山山頂に近づくと様子がおかしい。

えっ、なんだこの白いのは。

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これって樹氷?霜柱ではないよな。

ということは、さきほどのガスがこれを吹き付けていった。

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頂上付近の草も神社もしっかり白く化粧されていた。

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とにかく着いた。

遅れはしたが、かなり計画通りだ。(考え方が甘いな)

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この山の頂は狭いから、全方位に展望が開ける。

冷たい風に運ばれてきたガス雲が時折、周囲の景色を隠す。

白山御前峰と室堂は、仰ぎ奉る感じで、まだ遠い。

三方崩山と緑の白水湖が今日はきれいだ。

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厚い雲の下は日本海なのか。

でも、一番の景色は歩いてきた美濃禅定道の尾根と峰峰だ。

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はるばるとやって来た感慨。

予定通り山頂に来ていたら、その時はあの時だったのだろうか。
すると今頃自分は氷柱になっていたかも。(また都合のいい甘い考え)

冷風を避けて神社に入り、昼飯休憩はそこそこに引き返す。
あわただしいが、仕方がない。

無理で馬鹿な計画だったな。
計画通りできたとしても、まるで余裕のないつまらないものだった。
そんなことを実感する戻り道。
別山平の御手洗池だけは寄っていく。
これだけは撮りたい。

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二ノ峰から一ノ峰の間には思った以上にイチイがあった。

まるでイチイ街道だ。

赤く熟したイチイの果実はゼリー状の甘いもの。

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目立って大きい実だけ選んで食べていくが、そこここで停まりすぎ。

一ノ峰から銚子が峰の間は、下りでは小数点の入らない峰峰だった。
別山から銚子が峰までの上り下りは大変だがなんとか凌いだ。
順調そのもののはずだったが、全てのつけがそのあとに来た。

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なぜ母御石かって、それは母の怨念。

下る一方の楽な下山はペースが上がらずブレーキがかかり、
急なところではロボットのような足の運びになった。
限界点にくるとなんとヤワな自分の身体であることか。
限界を越えないぎりぎりのところで山歩きを終えられたのは、運のみ。

山の歩き方について、またまた反省点を感じる山行になった。

秋色はもうすぐそこ、でも冬が通り越してもいた美濃禅定道。

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