山歩き:鈴鹿

2023年5月14日 (日)

山歩き:釈迦・三池岳稜線のシロヤシオ

山歩き:釈迦・三池岳稜線のシロヤシオ

釈迦が岳から八風峠・三池岳を結ぶ稜線の山歩きは楽しい。
鈴鹿では一番シロヤシオの多いここで、満開の花見を味わう。
今年は当たり年のシャクナゲやピンクのシロヤシオはどうか。
岩が峰から上がり、三池岳から下る周回のフルコース。

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【山行日】2023年5月11日(木)    
【山 域】鈴鹿北部:釈迦が岳、仙香山、八風峠、三池岳
【天 候】晴れ
【形 態】一部往復の周回、単族 軽装
【コース】堅木橋付近の駐車地、起点
登山口7:05--7:58北山--8:30岩が峰--8:54稜線合流--
--9:03釈迦が岳9:20--10:39北仙香山11:03--11:21八風峠--
--11:33三池岳--三池岳東尾根--12:35登山口

昨年の鈴鹿、釈迦が岳の各尾根歩きに浸り、満足していた。
今春の花見でもアカヤシオの御在所に続いて再びお世話になる。
シロヤシオといえば竜が岳だが、樹木の数は釈迦がずっと多い。
竜の子羊の便りも少ないので、雨天の休日をさけて平日に来る。

宵っ張りの朝寝坊には辛いが、朝は5時前に起きて出動。
はたらく車の多い国道23号線を申し訳なくも小さくなって通る。
岩が峰登山の駐車地にはそれでもすでに4台駐車していた。
神戸ナンバーもあり、愛好者の意欲はとどまることがない。

久しぶりの岩が峰だが、本日のコースの上りではここしかない。
堰堤をいくつか通り越してから渡渉する、忘れていなかった。
すっかり人気コースになっているので踏み跡はしっかりしている。
記憶を確かめながら、きつい上りをこなしていく。
時折、シャクナゲやシロヤシオが見られ、新緑がまぶしい。
北山に来ると、アセビが多く、さながら馬酔木庭園。

きつい上りは続くが、遠くに見える尾根の記憶が救いになる。
鏡岩を右下に見て、岩のへつりを進むのも以前と変わらず。
喘ぎながら上がった先にさらに広い庭園を認める。
そんな馬酔木庭園に見事なシャクナゲが加わるのが岩が峰。

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池はほぼ干上がっていたが、かつての道跡らしきは健在。
稜線に向けてさらにやせ尾根を上り、最後に少しロープを頼る。
せっかくなので釈迦が岳に寄る。

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かつてはつまらない山頂と言われたが、笹が弱ってからの印象は違う。
山頂付近はシロヤシオの天下だったのだ。
このところ釈迦の山頂付近に親しみを覚えているので散策する。
東側に開ける展望は見事だし、樹木にも品がある。

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今日はここへ来て、本当によかった。

そして目的の稜線漫歩に入る。
右手、眼下に青い新緑の岩が峰尾根を見る。
左手には、赤坂谷源流の広い針葉樹林帯。
往く先々に今や盛りのシロヤシオの並木。
ほんの十数年前、笹が繁茂するヤブで、右手に展望はなかった。
笹が弱り出しとともに、一気に視界が開け明るくなった。
今を生きていると忘れそうになるが、この変化は大きい。
大平尾根に近づくと明らかにピンクとわかるシロヤシオが。

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花びらにピンクの筋が入っている、言わば矮性のもの。
こんなに簡単に見つけられるとは、今日の楽しみが増える。
そこを過ぎるとこの稜線の白眉とも思える仙香山の連山。

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紅葉も良かったが新緑の今日も。
色彩で言えば、シロヤシオはアカヤシオほどの派手さはない。
はっきり言って白は、白飛びするし地味だ。
でも竜が岳の子羊しかり、仙香山の斑白だってそれなりに。

この界隈のシロヤシオの密度の深いこと白いこと。
その真っ白の中、南峠付近で頭抜けたピンクを発見。
木の下に行って見上げると、ピンクの筋がさらに濃かった。
中峠辺りでも薄いのを見る。
ここら辺、アセビの新芽とシロヤシオと花崗岩の庭園だわ。

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ちょうど段木尾根から上がってきた婦人たちも歓声をあげる。
彼女たちも花見に興じ、明日は竜が岳へ赴くとも。

頃合いもよし、このところ贔屓の北仙香山で休憩とする。

すっかり寛いでいると、スタイルの麗しい尾根遺産が来る。
石榑峠から釈迦を往復するトレランさん。
鈴鹿三百山も目指しているそうで、お疲れ様です。
ここは三百に入っていないと答えると、先を急がれた。

休憩後も、シロヤシオトンネルをくぐっていく。
通りすがりの道すがら、数本の薄いピンク木を見る。
その気で見ると、いくらでもある。

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この北仙香山の中腹あたりで見られた。
それにしても不思議なものだ。
ピンクは白の中のごく一部に過ぎない。
多様性の時代とはいえ、ごく一部といえば、希少で異端。
ふつうの多数派の人間はいつも彼らを偏見で差別してきたのでは。

希少や貴重でなくてもいい、ふつうに平静にと。

八風峠に来る(最初の写真)。
ここもシロヤシオ天国。
どこから見ても、朱色の鳥居を引き立てる。

なんか今日は元気だ、調子がいい。
いつもは八風峠から峠道で下りるのだがまだ行けそう。
三池岳まで足を延ばす。

そしてここで、今日一番のピンクシロヤシオに出会う。
山頂のすぐ西側にそれはあった。
遠くから見てもすぐに分かった(この小さな写真ではどうか)。

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近くだと当然の如く濃い。

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そして左の木もそのとなりもピンク、薄いけど。
ここは、ピンクシロヤシオの名所になりそう。

ということで、満足して三池庭園を味わいつつ、急下降した。
三池岳東尾根は、その急すぎる登山道で避けていた。
常緑樹の落葉は厚くて滑りやすいことこの上ない。
だけど登山道の整備がしっかり行われていて歩きやすい。
本当にありがたいこと。

登山口に戻ってくると、駐車地はほぼ満車。
平日なんだけどな。
車中泊しながららしい、ゆっくり車を走らせている年配も多い。
面白いというか、人生は楽しんでなんぼ、やな。

 

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2022年11月29日 (火)

山歩き:東尾根から釈迦が岳

山歩き:東尾根から釈迦が岳

紅葉に惑わされないこの時季、普段はできない長い歩きができる。
尾高山から釈迦が岳へ続く東尾根は長くて緩やかな尾根である。
南東のかつては人気の松尾尾根と繋げると長い周回コースになる。
一般登山道とかバリルートという、その違いについて考えた。

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【山行日】2022年11月27日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:釈迦が岳、尾高山、県民の森
【天 候】曇り時々晴れ、稜線では寒風
【形 態】周回、単族 軽装
【コース】三重県民の森大駐車場、起点
P7:34--8:01尾高山登山口--8:30尾高山--東尾根--10:40釈迦が岳11:20--
--松尾尾根--12:55下山口--車道(東海自然歩道)--13:30P

釈迦~三池を結ぶ稜線を歩くのは楽しい。
その稜線を支える東側の尾根は、おおまかに言って5つ。
釈迦が岳東尾根、岩が峰、大平尾根、段木尾根、三池岳東尾根。
岩が峰と三池岳東尾根はほとんど一般登山道として利用されている。
それ以外の3つの尾根との違いは何なのか、とつまらぬことを考えた。

釈迦が岳東尾根は以前から気になっていた尾根である。
長いコースなので、あの楽しい稜線歩きを組めるルートがない。
ロングで少し無理をするか、往復で我慢するのも悩ましい。
起点が尾高高原なので一番近い一般道の松尾尾根と組む。

尾高山は鈴鹿山脈の前衛峰として有名だが歩きの対象ではなかった。
近くて低い山なので敬遠する、というあるまじき理由による。
里山なので登山道はたくさんある。
今回、周回するにあたっては南側からが合理的なので起点も決まる。

人気の朝明駐車場と違って県民の森のそれは大容量でしかも無料。
これはとてもありがたいことで、朝も焦らなくていい。
開放時間は8時半から17時までだが、それより早く開けられている。
朝一番の1台として駐車し、登山口を目指す。

地形図では立派な車道だが、その理由はすぐに分かった。
朝明は国定公園であり有名観光地として昔から開発されている。
それは決して登山者用にあるのではない、という単純なこと。
いくつかの立派なキャンプ場も、ブームになるずっと以前からあったのら。
そんな有料施設の中を朝早くから山ヤにウロウロされては迷惑なのだ。
随所に侵入禁止の鎖が渡された道を小さくなって通り抜けていく。

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ここだって尾高山登山ルートなのだが進入できないのでパス。
その先の「見晴らしコース」という、南登山道口から入山する。
植林の中の少しえぐれた道をただもくもくと上がっていく。
見晴らしをうたいながら展望はなし。
つい先日、この山で遭難死があったことを思い出す。
谷で発見されたそうだから、このコースではなさそうだ。
少しだけ釈迦方面などに視界が開けたがその後は山頂までなし。
山頂付近には三色の三角旗ロープが連なり観光地らしい装いだ。
山頂からは踏み跡が薄くなるが尾根芯に沿ってそれなりに下っていく。
最低鞍部の手前で、樹幹の遠く向こうに釈迦が岳の姿が望まれた。

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お釈迦さまの寝姿といわれる山姿の、最近はキレットと呼ばれるところ。

進む足元は砂地というか花崗岩のざれた道で白い。
松の木も多いので、白砂青松という雰囲気。

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これがゆったりとずっと続く。

鎌が岳の馬の背尾根や雲母尾根の白砂青松を思い出す。
湯の山三山(鎌・御在所・国見)を歩いている時の休憩場であった。
西尾寿一「鈴鹿の山と谷」では「砂禿」と紹介し、交差点になっている。
それがずっと続く。
その分、高度は上がらず緩やかでゆったりとした道。
やがて松葉がぎっしり積もった道になる。

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右隣の岩が峰尾根を見ても高度が低いのは明らか。
否、岩が峰にはとてもで、北山の高さにすら近づかない。
道というか尾根ははっきりしていて釈迦が岳へはまっすぐ。
それなりに上りが続くようになり前方にクラジャンのような山姿。
相手はクラシではないのでシャカジャンダルムと言うべきか。
急な上りになる。

そこで人の話し声を聞く。
ここまで誰にも会わなかったので、突然の人の声にはびっくり。
しかも女性の二人連れで、年季の入った装備からベテラン。
尾高観音から入山し、釈迦から稜線を歩き、置き車してある八風へと。
なるほど、合理的で納得のコース取り。
現在地を、岩が峰を基準にとらえているのも同じ。

シャカジャンもどきは2つ続き、急な上りでどんどん釈迦に近づいていく。
左前方にはキレットがはっきり見えて、稜線が近いことが分かる。
樹間にこちらに近づいてくる人が見えると、一般道に合流。
そこから山頂まではすぐ。
ふもとでは晴れだったのに稜線では寒風が吹き抜ける。

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こんな日でもたくさんの人が来て、記念ポーズの順番待ち。
皆さん、装備も装いも垢抜けていてステキだ。

以前はこの山頂付近を見どころがないと思っていたが、今は違う。
覆いかぶさるようなササが弱体化し、開けた展望の良いところだ。
まずは、今日歩いてきた尾高山からの東尾根を見る。

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うねりながらぐるっと回りこみ、そして突き上がってきた。
長かったが、満足。
それをおかずに休憩する。

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背中を通っていく人はみな、南から来る。
中尾根や庵座谷で上ってきたのだろう。
それがこの山の一番ふさわしいコースだと思う。
そして猫岳から羽鳥峰経由で下りれば満足の周回になる。
上りは急だが、下りはゆったりで見どころも多くて理想的だ。

さて自分の今日の大きな周回コースは、松尾尾根を下る。
まずは、最高地点。
ここも人が多い。
なぜか安堵している感じの人が多い。
理由はその後、すぐに分かった。

一般コースと思い油断していた。
劇下りで前向きは無理、所々で後ろ向きに。
そうだ、ここは大蔭、というキレット。
次に鞍部で突風に襲われる。
思わずすくみ込む、ヤバすぎる。
オタオタしながら這う這うの体で松尾尾根の頭にたどり着く。
そこからも右手は切れ落ちていて、少しの岩場で後ろ向きに。
この一般コースの手厚いお出迎えにビビる大木。

先ほどすれ違った幼児を連れたお母さん、大丈夫か。

途中、尾根をまっすぐで県民の森への道があるが、パス。
「エキスパートの人」用で、万年初心者は無理できない。
その後も踏み跡は落葉で隠れているし、急坂が多い。
コース表示も上り専用で、下り向きではないので注意が必要。

なんとかかんとか下るが疲労で足の踏ん張りがきかないことが多い。

途中の、ちょっとした石門もどきは面白い。

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鎌のカズラ谷道に似た雰囲気のよい、でも長い尾根下り。

残りの紅葉もいい。

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一か所、co550で右に間違えて下ってしまう。
しばらく進んで踏み跡が見当たらないので引き返して気が付いた。
危ない所だった。

なんとか車道が見え、松尾尾根登山口に下りる。
ここからは東海自然歩道という、立派な車道を歩いて戻っていく。
ずっと下りなのはいいが、距離はある。

三重県民の森に入ると、たくさんの人がいる。

ここではまだ見ごろだったのだ。

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2022年11月 5日 (土)

山歩き:大平尾根から釈迦が岳

山歩き:大平尾根から釈迦が岳

釈迦~八風峠~三池岳を結ぶ稜線の山歩きは楽しい。
視界がずっと開けていて適度にアップダウンがあり磐座がある。
紅葉の山歩き第3弾は稜線を支える尾根のひとつ、大平尾根から。
段木や岩が峰に比べると長くて緩やかな印象だがはたしてどうか、初歩き。

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【山行日】2022年11月3日(木)    
【山 域】鈴鹿北部:釈迦が岳、仙香山、八風峠、大平尾根
【天 候】晴れ
【形 態】一部往復の周回、単族 軽装
【コース】八風登山口付近の駐車地、起点
大平尾根登山口7:38--8:39七九四峰--9:21稜線合流--9:57釈迦が岳10:12--
--10:44稜線合流点--11:21北仙香山11:52--12:01八風峠--12:59登山口

今年4月に段木尾根からこの稜線に上がり、次の課題としていた大平尾根。
まず、おさらいから。
釈迦~三池の稜線を支える尾根はおおまかに5つ。
釈迦が岳東尾根、岩が峰、大平尾根、段木尾根、三池岳東尾根。
三池岳や岩が峰は、その尾根が人気になり今の山名を頂戴したと思われる。
標高も目立たないのに名付けられた三池岳などは一番出世の山というところか。
次いで岩が峰だが、変化に富んでいて三池岳以上にずっと人気を維持している。

とにかく、釈迦~三池岳稜線が目当てだと駐車地の位置が重要。
その駐車地、釈迦は朝明大駐車場だが、八風はとにかく少ない。
このところの鈴鹿はますます人気が高まり朝の駐車地争奪戦は激しい。
朝7時では目ぼしいところはすでに埋まっていた。
ただ下山は、八風峠道と決めているのでどこでも大差ないのである。

「大平尾根はここから」との登山口らしき表示は記憶にあるのだが。
そこまで戻る気がなく、堅木橋のすぐ近くの尾根末端から入る。
門扉ほかに使われたらしい大きな岩がならんだ屋敷跡がそれ。
奥にも岩がごろごろしていて、枝木や蜘蛛の巣がからんでくる。
どこでも行けると無謀に侵入したのを悔いつつ進んでいくとすぐに壁。

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きちんと積まれた石垣だが、川に沿って結構長い。
上がってみると、幅は狭いが奥へと続き、城跡といえなくもない。
地形図を見ても、記念碑のようでそうではなく住居か、その跡地。
記載もないので、最初からなんかの発見、いいものを見た。

少しずつ尾根芯へ詰めていくと、すぐにしっかりとした踏み跡に合流。
以前は話題にも上らず、レポにも記載がなかったのに。
大体、大平尾根の名前からして、ふもとの地名を付けただけ。
鈴鹿のバイブル、西尾本にも何も書かれていない。

そうは言っても今やヤマレコにも足跡マークが太くついている。
少し傾斜のあるそれなりの登りが続き、他の尾根と大差ない。
尾根は太からず細からず、それなりに変化あり。
ピンクテープや赤ペンキもあり、コブには巻き道まで用意されている。

こりゃだいぶというか、結構な人が歩いている、少し残念。
岩場やヤセ尾根になると緊張もするが、道が確かなので拍子抜け。
・650あたりで調子よくなり、・794はちょっとしたコブ。
岩が峰の北山の相当するのだが、小さいのでちょっと役不足。

黄紅葉はそれなりにあり、三池や岩が峰方面にもそれなりに視界がある。

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以前に何度も歩いているそれらを眺め確かめるのは気分がいいものである。
三池庭園やお菊池、岩が峰のそれに当たるものがあればと探すが・・・。
・850辺でちょっとした庭も見られたが小さくて続かなかった。
急登ではないが、緩やかでもない、それなりの尾根。
最後はさすがにあえぎの登りとなり、眼前に釈迦が岳。

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そして、稜線に合流する。
ここで盛んにデジカメる元気なお姉さんに会い、山の話を。
まだ若い(?)のに鈴鹿に詳しくて専門的、熱意が高い。
興味のある所へはとことん歩きつくす、とパワフル。
こういう姿勢はしばらく失っていたものだけに有難い。

何度も来ているからと最近は釈迦を省略するのだが、向かう。
少し進んだところで、今日の目標の大平尾根を振り返る。

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釈迦へはまだまだ上りが続くが、まあがまん。
すれ違う人が増えてきた。
岩が峰からの合流点を過ぎるとすぐに釈迦が岳へ。

記念写真の順番待ちは朝明からの登山者だろう。
崖っぷちで休憩する人に断って、稜線尾根を見る。

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すぐ岩が峰、大平尾根で、段木は見えず三池東尾根、遠く竜が岳。
黄紅葉の真っ盛りに尾根肌も映える。

記憶を確かめつつ釈迦最高点まで足を運ぶ。
その間、たくさんの登山者が思い思いの場所で休憩している。

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これが興味深くて、気に入ってしまった。
かつてはこんなにばらけてはいなかったしそんな場所もなかった。
しかも椅子やテーブル持参というのが今風だわ。
独りもよし、仲間で寛ぐもよし、みんな楽しそうだ。

引き返す。

下り一辺倒で楽だ、というかこんなに登ってきたんだ。
すれ違う人は相変わらず多く、こちらは苦しそう。
岩が峰は見下ろすより、同じぐらいの高さで見る方がいい感じ。

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左手、赤坂谷源流部だって樹林帯で暗いばかりではない。
ほんのりの黄紅葉はかえって趣がある。

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そして大平尾根との合流点に近づいていく。
ここで改めて気が付いた。
樹林帯や黄紅葉の美しさはここら辺からが一番ということ。
だから自分はそれが分かっていて釈迦を省略していたんだと。

「ふりだし」を過ぎて仙香山が見えたとき、それは確信に変わった。
この稜線の愁眉はすべてここにある。
そんなことを思いつつ、池に寄る。

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定点観測やよし。
安堵しつつ休憩は、北仙香山とする。
ここからは三池岳の三つ頭が真正面に見える。
よしよし、今日もよし。

もうこれ以上は望まず、八風峠から予定通り下りる。

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この下りを最近は長く感じるが、それはそれでよし。
良い時季に来られたことを喜びたい。

 

 

 

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2022年4月19日 (火)

山歩き:段木尾根から仙香山

山歩き:段木尾根から仙香山

釈迦~八風峠~三池岳を結ぶ稜線の山歩きは楽しい。
片側が切れ落ちていて視界がずっと開けているのが理由のひとつ。
適度にアップダウンがあり、磐座がゴロンゴロンしているのもそれ。
それらを必死に支える(?)いくつかの尾根の存在も寄与している。
段木尾根は短くて急登の連続だが、段木からは爽快感があってよい。

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【山行日】2022年4月17日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:仙香山、八風峠、段木尾根
【天 候】晴れのち曇り、一時雨
【形 態】一部周回の往復 単族 軽装
【コース】八風登山口付近の駐車地、起点
三池岳登山口7:29--八風峠道--7:52分岐--段木尾根--8:58稜線--
--仙香池--仙香山--9:36八風峠--八風峠道--10:36登山口

八風峠ほかいくつかの峠はかつて伊勢と近江を結ぶ生活道だった。
いつ頃からか、山で遊ぶ人々が現れ、それらの道を使うようになった。
鈴鹿の登山ガイド本は、八風峠道を釈迦が岳への登山道としている。
そのころ、三池岳や仙香岳などという名前は存在していなかった。

釈迦~三池の稜線を支える尾根はおおまかに5つ。
釈迦が岳東尾根、岩が峰、大平尾根、段木尾根、三池岳東尾根。
三池岳や岩が峰は、その尾根が人気になり今の山名を頂戴したと思われる。
標高も目だないのに名付けられた三池岳などは一番出世の山というところか。
次いで岩が峰だが、変化に富んでいて最近はこちらの方が一番人気だ。

段木尾根はごく一部の通が、下りで、仕事が早いと使っていた。
大平尾根は、ずっと自分も気になっていたがそこを上るレポはとんと見なかった。
それが情報社会というかSNSで紹介されて今やバリではなくサブルートへ昇格かも。

本日のコースはずっと気になっていたが、使う機会のなかった段木尾根で上る。
釈迦~三池の山と稜線歩きを考えると、段木や大平尾根は効率が悪い。
下りを八風峠道の一択で決めている自分なので、仕方がなかったのよ。

いつもながら前口上が長くてくどい、すまぬ。

鈴鹿の山歩きをする時は、朝早く家を出なければならない。
道路のこと、駐車場のこと、山歩き時間を考えるとそれしかない。
朝、目覚めても、死んだように重い身体のことを思うと、きつい。

23号線は空いていて早い。
でも問題は、桑名から田光(たびか)への道だ。
ナビを使っていてもいつも違う道で、だまされているような気がする。

田光集落に入り、八風キャンプ場を目指す道は人っ子ひとりいない。
それが橋を過ぎるともう、ぎっしり駐車地が埋まっている。
みんないつから来とるのか、ヒマか。
だからといって泣いて帰るわけにはいかん、適当に停める。

段木尾根へは、自分がいつも下りで使う八風峠道を上っていく。
前方には三人のおねえさんが衣装もよろしく進んでいる。
ちっとも距離が縮まないのは、こちらが体力的に負けている証拠か。

いくつかの碑を拝み、堰堤を越え、谷の出合いに来る。
段木尾根は一般道ではないので、取り付き地点だけが一番の注意点。
なんと、表示板の下に小さく丁寧に書いてあるではないか。

尾根端からきちんと上がるように、踏み跡はわざわざ少し下ってから取り付く。

いきなりの急登である。
そりゃあそうだろ、他の尾根と比べても段木はとても短い。
とにかく短い距離で一気に高度を上げるのだから、急登に決まっている。
そうと分かれば、覚悟して上るだけである。

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左側の大平尾根も右の三池尾根も、随分と高い位置にある。
いつになったらその高さに追いつくのか。
とにかく両手を使って、必死に上がっていく。
遊びはなく下りもない、本当に無駄のない道だ。

そして少し明るくなると、樹林帯を抜け、視界が開けた。

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ささやかながらこれは感動もんである。
ずっと苦しい思いをしつつ、それを抜けた先にある喜び。
山歩きは、こうでなくてはいかん。

左右に尾根、向かう先に壁のような稜線。

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そう、空中回廊なのだ。

振り返ると、パノラマ。

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もう少し進むと、最初に掲げたフォトになる。

さらに進んでもう一段上がったところが、いわゆる段木らしい。
樹木がなくて開けていると視界が開け展望台になる、それだ。
こちらは前回の山歩きで、下りてきて味わっていた。

精神主義のようだが、下りよりも上りの方がずっと喜びがある。
足元には、冷たい風にイワウチワがふるえていた。

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大岩を右から巻いて少し広いところに出ると、稜線道に合流した。
釈迦が岳・大平尾根方面に少しだけ進み、少し考えて逆方向へ戻る。
楽しい稜線歩きとはわかっているが、ガスがわいてきて天気変化が微妙だ。

この道は常に損傷しつつあり、裂け目もできつつある、ヤバい。

右に視界が開けたので見下ろすと、白くハゲた段木が浮いている。

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前方には、道を横切るうぶな沢があり、その向こうに仙香山。

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稜線上の小さなコブだけど、最近は愛着が進み南、本、北と仙香連峰なのだ。
一応山歩きだから、今日の貴重な山頂として踏んでいく。

いつものように、ひょうたん型の仙香池も見ていく、異常なし。

休憩岩を過ぎて、再び段木尾根を見下ろし、自己満足する。

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その向こうに、大平尾根が重なり、岩が峰尾根がはみ出している。
それらとうまく調和しつつ、独特の味わいがあって贔屓したくなる。
自分にとっては、下りで使う尾根ではない、後半がきつくてだめでしょ。
まあ、人それぞれですから何も言いませんが。

八風峠に来ると、竜が岳方面からテン泊してきた若者たちがいた。

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うらやましいような、微妙な感じ。
自分はといえば、三池岳に行くのも面倒で、早いけど八風峠道を下りた。
天気が下り坂だもんね。
こんな短い歩きでいいのか、とも思うが、これが大人の山歩きでしょ。

 

 

 

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2021年11月 7日 (日)

山歩き:鎌尾根から鎌が岳・白ハゲの秋

山歩き:鎌尾根から鎌が岳・白ハゲの秋

県外登山解禁し、徐々に身体を慣らすため、秋を求めて鈴鹿に来る。
遅れているとはいえ、聞かれ見える情報は気持ちを急き立てるものが多い。
ここは中央突破、見てよし登ってよし感じてよしの鎌が岳へ向かう。

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【山行日】2021年10月30日(土)    
【山 域】鈴鹿:宮妻峡、水沢・鎌が岳・雲母峰
【天 候】晴れのち曇り
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】宮妻峡駐車場、起点
P7:09--林道--7:44水沢登山口--8:27水沢峠--8:47水沢岳--10:04岳峠--
--10:14鎌が岳10:40--10:48岳峠--白ハゲ--11:58雲母峰西独標--12:53P

宮妻峡駐車場を起点にする周回山歩きは毎年の恒例のようなもの。
入道・水沢・鎌・雲母の山頂やイワクラ尾根・鎌尾根・雲母尾根。
上り下りの登山道もいくつもあり、変化に富んでいて楽しい。

問題は個人的なもので、体力と気力と安全に留意して今回は挑む。
大好きな宮妻新道とイワクラ尾根を略すと時間と体力も温存できる、と。
後ろ向きの計画はすぐに欠陥を暴露し悩むも、変更はうまくいった感じ。

今回も普段より早くの到着を目指す。
しかしここでも先週の御池同様、たくさんの車がすでに駐車している。
しかも静か、ということはみなさん、もう出発している、てか。

山歩きが人気急上昇中なのか、鈴鹿が流行の真ん中にいるのか。

出発。
はじめは長い林道歩きなので気分的には楽。
ここを歩いたのは何年も前のことなので、記憶は乏しくて新鮮。
それなりに高度を上げていくので足に負担は感じる。

水沢登山口からは普通の登山道になる。
これが地味というか単調で、山歩きはこうしたもので成り立っているのはわかる。
元気のあるうちはこういうのをわすれるぐらいのペースで行けるのだ。

枯れ沢を横切り、巻いて、峠への最後の上りになる。
そういえば昔、この沢をそのまま登ってしまったことを思い出す。
前にいた子連れの連中が行くので無意識に続いたのだった。
途中で切り立った岩場に身動きが取れなくなり困り果てる一同。

水沢峠手前から紅葉が目立ち始める。
景色はいいが自分の足は疲れをおぼえ、汗もしっかりかいている。
入道を省略してもあまりショートカットになっていないことにがっくり。

すぐに水沢岳への急な上りにかかるのだが、アレを思い出す。
秋の紅葉見物なら、この水沢岳南斜面こそ眼福のひとつだった。
だったら奥ノ沢道からイワクラ尾根に上がるコースの方がよかった。

今日は前にも後ろにも人が多い。
水沢岳周辺で休憩する人はともかく、すれ違う人ってどこから?
キノコ岩の下り、巻き道の広がりと荒れ様に今さらながらびっくり。

そこからはいつものルンルン稜線歩きになる、はず。

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山頂や稜線上に訪れた秋を、太陽を背に受けて味わっていく。
主峰を遠くに見ながらどんどん接近していくこの尾根歩き。
昔も今も変わらずにある、鎌尾根の醍醐味。

衝立岩は、岩峰と岩肌になんと紅葉が映えること。

いつも同じところで同じような写真を撮る。
花の写真もそうだけど、撮ることで感情を確かめているのか。
撮る行為そのものがそのままがめつく取り込む欲望のあらわれ。

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何度も下り、そのたびにおっちらへっつら上がり、じわじわくる疲れ。
先を急ぐ自分とはちがって、きゃっきゃと仲間内でさわぐ人々。
衣装装束は洗練されてはいるが新しいので初めての人もかなり。

鎌尾根では岩峰やコブからの展望がいいので方々で歓声があがる。
何よりも大事なのは、そこにいる自分らしい。
でも山歩きをこんなにも楽しんでいる人々っていいものだ。
感情表現って大切だなあ。

鎌尾根を眼前眼下に見られる鎌が岳の南の山頂。

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鎌尾根を歩いてきた人が自分の足跡を味わう場所だと以前は思っていた。
よく見ていると、武平峠から来た人がとても多い。
危ない岩の外れに陣取ってくつろぎつつ、時折、スマホ自撮りに余念がない。

鎌が岳山頂周辺は紅葉の被写体として本当にいい。
季節を問わずここだけはとにかく画になるところ。

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人が多いのは確かだけど、人そのものが絵に動きをつけてくれる。

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下りはかずら谷道で下りるには早すぎる。

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今年は遅いと思っていた紅葉が、額縁の絵のように味わえた。
雲母峰でも黄色い紅葉が、しかも静かに見られると期待する。

かずら谷道に入ると一気にひとけがなくなる。
雲母峰方面に道を進むとさらに静かな世界になる。

まずは白ハゲ。

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ここも墨絵というか山水画の世界なのだが。

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光線の具合が難しい。

馬の背尾根への道と分かれて雲母尾根方面へ。
道はぐんぐん下るが踏み跡は以前と比べて随分明瞭でよく歩かれている。
そのはずなのだが、ここで人と会ったことはほとんどない。

白砂青松に来る。

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馬の背尾根にも同じ高度にこれと同様の場所がある。
太古の時代、同時期の造山活動で地質が同じというのだろう。
いい雰囲気だと思うが、足元はざれて滑りやすいので要注意。

稲森谷道分岐をすぎて・791の上りに入る。
おお、道が整備されている。
上がった先には以前と違う表示板がある。
へえ、「雲母峰西独標」ねえ。
西峰だと、有名な1峰、2峰の次に離れた西にそれはあった。
今後はこの名前で利用しよう。

先へ進む。
ところが色が悪い。
まるで紅葉感がない。
残念だけどこちらはまだ早すぎた、ということで西独標へ引き返す。

そこからは下りが急だけど、駐車場へは便利なちょっとバリルートを利用。
最初はそれなり。
途中、植林帯と自然林の境を下る場所はつかめる樹木が少なくて苦労する。
その後もピンクテープ表示がそれなりにあるのでなんとか安心。
そろそろ駐車場が見えてきても、なのにそうならない。
道は以前とは少しそれていく感じ、でも上手に作られている。
なんとまあ、かずら谷道にソフトランディング、合流した。
そこから登山口、駐車場へは少しの歩き。

鎌が岳と鎌尾根の秋はそれなりに楽しめた。
それらを楽しむ人々を見ると、自分が忘れていた感情に気づく。
今の自分が歩くには、それなりにきついコースになったが、よしや。

 

 

 

 

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2021年10月27日 (水)

山歩き:御池岳詣2021秋

山歩き:御池岳詣2021秋

長い長い自粛期間を経て今年初めての県外の山は鈴鹿、御池岳。
行き帰りの車の運転、山での歩き方など、まるで初めてのようで高揚する。
時季は例年と同じ、紅葉の秋には早いのか、それとも行けるだけで儲けもの?

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【山行日】2021年10月24日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:御池岳
【天 候】晴れのち曇り、風は少し冷たい
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】鞍掛峠東側駐車地、起点
P6:55--7:10コグルミ谷登山口--7:53カタクリ峠--8:15八合目--8:35丸山--
--散歩・定点観測・淵・池めぐり--10:42鈴北岳11:05--11:42鞍掛峠--11:55P

鈴鹿の山で困るのは駐車場、どこの山でも同じだが御池岳は特に。
もともと狭くて少ない場所に皆が集中するのだから場所取り合戦は熾烈。
朝7時前にほぼ埋まるそうだから、家を早出してより早い到着を心掛ける。

なんかゆったり遊びに来ているのに自分からせちがらくしてみっともない限り。
遅く着いたところで、めそめそ泣いてそのまま帰ることなんて絶対ないのだから。

6時40分に到着、でもほぼ満車状態。
周囲を見わたし合法的な空き地になんとか滑り込む。
すぐその後に何台も車がやってきたので、人生はいつも運だけなのかも。

「山渓」や「岳人」でも紹介されていて人気の山なのはわかっている。
地元の三重や名古屋以外の県外ナンバーの車が多いのもわかる。
だけど大阪や和泉ナンバーという近畿圏が一番多いとは、なんばしよると。

古参の威信にかけても彼らの横暴を阻止せんとあわてて用意し、出発。
まずはコグルミ谷登山口へ、車道を下っていく。
ふとガードレール下の急崖を見ると、廃棄物がいっぱい。
見ないふりをする。

登山口に来る。
いつも1~2台は停まっている特等席の駐車地が、今日は空いてる!

薄暗い中、谷に沿った道を上がっていく。
よく整備はされているものの、急で、粘土質なので滑りやすい。
時々、息を整えつつ、山登りの辛さを思い出す。

長命水を過ぎてからジグザグに整備された道はシマリスの舞台。
あえぐ人間どもなど知らん顔で彼らは冬準備に忙しい。
動き回る彼らに対峙できるのは、息をひそめてじっとすることのみ。
カメラを構えたとたん、視界から消えていた。
モデル慣れしているとはいえ、暇な人間の相手をするヒマはない、てか。

カタクリ峠が近づくと光があふれ出し、木々の葉が青々しい。
えっ、そうじゃないって。
少しは黄色っぽいし、赤いのもあるけど。
紅葉には早かった、でもここの木立はすがすがしい。

県境稜線尾根を乗り越えて真の谷に下りていく。

瑞々しい苔にびっしり覆われた枯谷。

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今年もやっと御池に来られた。

丸山への分岐からは泥んこで滑りやすい単調な道になる。
最後の上りだからがまんするしかない。

被写体を求めて夢中になりすぎて、こちらの姿を見て驚くカメラ女子。
よほど早い時間に山へ入ったらしく、もう下りなんだとか。

丸山山頂へ寄るのは、これから始まる散歩の合図のようなもの。

北への視界に、養老山地、笙が岳がはっきり見えた。

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空が青いなあ。

遠くの景色が見えるのは、やっぱりうれしい。

奥の平へ。

今や昔、オオイタヤメイゲツが話題になったのはいつの話。
でも、健気に佇むブナもいいもんだ。

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霊仙や伊吹山の山体と、際立つその横っ腹の見事さ。

えっ、鈴北岳にいる人がこんなにはっきり見えるんだ。

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向きを変えれば名所のボタンブチと天狗ノ鼻、天狗堂。

みんな、ここはデジカメる。

奥の平南峰からアリジゴクに取り込まれるように進んでいく。
対するむこうには、丁字尾根から上がってきた人が似た動き。
お互い遠くの相手を意識して無視する。

右手に上がって、深い底をのぞく。

東池。

ボタン岩も紅葉にはまだ早く、ここにきて空が曇ってきた。
駐車地から車道を歩いていた時は快晴だったのに。

がっかりしつつ次の定点観察池、まゆみの池へ。

ロケーションにがまんしつつ、でも赤い実がまだ残っていた。

幸助の池はいつも同様泰然とあるのに、光がない。
ぐるり周回してもいっこうに晴れてこない。
人気の観光地へ向かっている途中で風が動き、射す光。
あわてて戻ってとにかく一枚。

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ついでに振り返って、観光地の相席写真。

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その奥の大きな池ビワコを背景に、ズーム。

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来るたびに毎回同じことをして、これが「詣でる」ってことかな。

風池はますますさらされるようになって、すーすー。
丸山からの下りで、びっしり実をつけたまゆみの木に寄る。

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道池は薄情。

鈴北岳で休憩。
丸山方面を見ると、左側の禿げたところにまだらに木が数本。
健気なブナだから、奥の平もはっきり見えていたんだ。

同じ山に何回も来ていても見ているものも感じることも微妙にちがう。
自分を取り巻く環境や心境の変化もあるけどそれだけではない。
進歩や工夫、向上がなくても、得られるものがなんかある。

退職後、世間や社会とはできるだけ関わらないように生きてきた。
旅行や山歩き、ふだんの散歩の時以外は家からほとんど出ない。
一日中、人としゃべらないなんて普通のこと。
それでなんの不満も不都合もまったくないし、なかった。
コロナ禍で世間が騒いでも、自粛生活大好き人間の自分にはまるで影響なし。
そんな毎日だったのに・・・。
地域社会が入り込んできた。
順番だと病気がちで動けない人ばかりだから、と自治会の仕事が。
その結果、月に十数日、いろんな仕事や役をすることになった。
人は皆、それは役回りで最後の御奉公なんて言ってるけど、
それまでさんざん避けてきて、人手がない時だけ都合よく・・・。

物理的に忙しく、いくら天気のよい日でも山へ行けないとは。

でも仕事のある人にはそれが普通のことなんだから、でもなあ。

さて久しく訪れた御池岳、どんな人が山に来ているのか。
個人も多いが、グループでワイワイしている連中はそれなりに多い。
団体さんもちらほら目立ったのは日曜日だからなんだろう。

衣装や装備はとてもカラフルで、とにかく目立つ。
山ではとても大事なことで、何かあったときには役立つだろう。

色が際立った帽子やハット、ラメ入りサポーターにサーフパンツ。
蛍光色に煌めくおしゃれな靴、主張の激しそうなマスコットがぶらぶら。
でもその目立ち方があか抜けないというか、なんかちぐはぐ。

芸能人ほかを辛口ファッション批評するあの人、ドン小西氏のようなのだ。
ひとりでも存在感がありすぎるのに、徒党を組まれた時にはもう・・・。
じっとしていても空気がさわがしい。

みんないろんなことを話している。

「御池岳にはずっと来たかったので、先週ようやく。
 でも、天気が悪くて、コグルミ谷周辺を少し歩いただけ。
 まだヒルがいたけど、今日は大丈夫かしら」

「シマリスさんに会いたい。
 それにボタンブチと天狗ノ鼻、夕日のテラス。
 広いテーブルランドを自由に歩き回りたい」

「池めぐり。
 幸助ノ池とか、水が澄んでるお花池。
 ほかにもいっぱい池があるらしいから」

いやはや、スマホ片手にYAMAPとかヤマレコで調べたらしい情報をもとに、
皆さん、意欲満々なんだけど、結局は同じようなコース取りをするらしい。

でも、ひとりで池めぐりをしているらしい人とか、
 テーブルランドの草原をやみくもに歩き回っている人とか、
 まわりから少し離れた展望地や、樹林帯のなかに座り込んで
 独り静かにたそがれているおじさんを見ると、
いつかの自分を見るようでぐっと親近感を覚えるのだった。

鈴北岳から鞍掛尾根を下る。

よく整備されていたけど、オーバーユースにはかなわない。

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東近江市のなんとか十座キャンペーンの成果。

元池へ続く苔庭の道だって、以前は平均台の幅だった。
でもコロナ禍を経て今は、人の肩幅に拡がっている。

それでどうした、それがどうした。
いえ、私からはなにもありません。
今日一日、この山を歩けてうれしい限りです。
山はいいなあ、ホントだよ。

半年以上、放置していたブログにやっと帰ってきた。
文を書くことや操作を思い出すこと、これは本当にきつい。

 

 

 

 

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2020年11月 2日 (月)

山歩き:三池岳・仙香山で秋に浸る

山歩き:三池岳・仙香山で秋に浸る

紅葉の鈴鹿を味わおうと訪れた第2弾は、八風峠周辺。
ここ数年、釈迦~八風峠~三池岳を結ぶ稜線は一部で人気が高い。
ぬけるような青空、黄紅葉は真っ盛り、こんな山日和はめったにない。

018

【山行日】2020年10月31日(土)    
【山 域】鈴鹿北部:八風峠、三池岳、仙香山
【天 候】晴れ
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】八風登山口付近の駐車地、起点
P--三池岳登山口7:36--8:34分岐--8:53三池岳--9:31八風峠--
--仙香山周辺--11:56八風峠--12:56P

この週末、紅葉を求める山好きの人はだれもが行き先で悩んだのではないか。
記憶や記録から計画しても、ネットであふれる情報に心乱される。
正統派の御在所や宮妻峡、竜ケ岳の赤羊、御池・藤原その他奥座敷とか。

例年なら外れのない宮妻峡(入道・水沢・鎌・雲母)を周回していた。
ただこのコースは元気というか体力がとてもいる。
今の自分には4~5時間の歩行時間で限界のような気がする。

そこで、少しは楽そうな穴場の八風に来たのだが、びっくり。
無人の八風キャンプ場を過ぎると、その後の駐車地はどこもいっぱい。
後情報だがこの日の鈴鹿はどこも混雑したらしい、ここだけではないのだ。
だからといってここまで人気になっているとは、要対策だわ。

さてコース、あの稜線を歩くのに一番効率がいいのは岩が峰を上りに、だ。
ただそれだとますます惰性の山歩きになるので今日は逆の三池からにする。

三池岳登山口は早く来た車で見えなかった(ふさがれていた)、困るなあ。
道は元射撃場横を通っていくが、射撃場って一体いつの話なんだ?
疑問は三池岳という山名とか、稜線はずっと高い笹ヤブに覆われていた、とか。
ついこの間までとても歩きづらいところだった、って御池やイブネと同じだったわけ。

林道は途中、登山者は迂回路へまわれ、の表示で尾根に取り付く。
ここからはそれはもう、山らしいぐんぐん登っていく山道になる。

002

特徴としては急であること、岩が多く花崗岩特有の白いざれざれ道なこと。
一部、白砂青松の趣のあるところもあるがずっと息の切れる急登が続く。

ひたすら上り続けると、左手の樹間から遠く釈迦が岳が見えてほっとする。

005_20201102190001

そしてなだらかになると分岐表示があり、片や福王山へ下りる道(難路)。

目の前には、美しい三池庭園が現れる。

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ずっと急な上りのあとでこれがあるから、山歩きはやめられない。
しばらくはゆったり右に左に、そして落ち葉に隠れたお菊池などを味わう。
山頂へは、いったん尾根芯を外れてざれ場に出る。

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右手には、竜ヶ岳の広い山頂が見える。

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今日もたくさんの人で盛り上がっていることだろう。

向かう先の紅葉の枯れた華やかさがいい。

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左手を見れば、ぎらつく陽光に紅葉が映える。

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やるじゃないか三池庭園。
山頂は、あと少しだ。

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三池岳山頂は三角点表示と山頂が異なっている、がどうでもいい。
肝心なのはここで広がる眺望。

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釈迦へ続く稜線っていいのよね、うっとり、なのか
それとも視点が少し右にずれて、稜線の幅とふくらみににんまりなのか。

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思わず足はそのまま直進。
西へ向かっているようで実は北進で、竜ヶ岳への縦走路に入る。
高いピークがふたたびあらわれ、下っていくと別のコブがある。
ここら辺でもたもたしていると、何人もの人が通り過ぎていく。
竜というか石ぐれ峠方面からこんなにも往来があるとは驚いた。
引き返してふたたび三池岳へ、そして八風峠方面へ向かう。

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このちょっとしたコブ越えの道のなんと美しいこと。

途中、竜と釈迦を往復するという人やトレランさんが抜いていく。

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八風峠を過ぎて高みから何度も三池岳を振り返る。

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朝、国道から見るとあんまり判然としなかった三池岳。
こうして角度を90度変えてみると、双耳峰ならぬ三目峰だった。

北仙香山や休憩岩、中峠をすぎて仙香山へ。
ここまで来たら寄らないわけにはいかない。

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風弱く、陽光よし、いいじゃないかひょうたん池こと仙香池。
ということで周囲を歩く、これが今日の主たる目的。
以前も来ているけど記憶がないのはいいことだ。

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開けたここで一服しよう。
ふつうは稜線上の開けたところから平野や伊勢湾を見る。
こちとらはあの鈴鹿の奥座敷稜線を目の栄養にしよう。

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独り静かに山を楽しむ寡黙なおじさん族の矜持、というやつだ。

南仙香小山、いいじゃないか。
注意して下りていけば、小川も楽園もありそうだ。

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ここは全部、赤坂谷の源流部。
沢ヤはこういうのを知っているからやめられないのだろうな。

釈迦・三池の縦走路に戻ってから、段木尾根に少しだけ入る。
ここから見るワイドビューというのが八風周辺の魅力を語る。
3枚のフォト、左から右へ脳内変換してくだされ。

046_20201102185901 047_20201102185901 048

さてと下りは悩むまでもなく、八風峠道の一択。
釈迦東尾根、岩が峰、大平尾根、段木尾根、三池岳では足膝に辛い。

人気の稜線縦走路を戻っていく。

053_20201102185801

時折左手を見ては、こんなところの先に楽園があるのだな。

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八風峠からは歴史と先人の歩みを味わいながら道を下る。

055_20201102185601

かなり下ってきてから、正面の高いところに段木尾根を見る。
随分な標高差を一気に下る、そんな変化を年寄りは求めませぬ。

 

 

 

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2020年10月27日 (火)

山歩き:御池岳詣2020秋

山歩き:御池岳詣2020秋

一年ぶりの鈴鹿、紅葉を求めて恒例の御池岳詣をする。
なんだか病で気分が乗らないまま惰性で来ることについては反省。
晴れの天気予報にも逆目で翻弄され、濡れた泥んこ道を歩く。
奥ノ平から南部を右回りに淵に沿って散歩し記憶の上書きをする。

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【山行日】2020年10月25日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:御池岳
【天 候】ガス曇り霧雨のち薄晴れ
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】鞍掛峠東側駐車地、起点
P7:21--7:36コグルミ谷登山口--8:23カタクリ峠--9:07丸山--散歩、奥ノ平・
南部エステイト・淵や池の定点観測--11:22鈴北岳--11:56鞍掛峠--12:11P

御池岳で困るのは駐車地のこと、竜と御在所とここはいつも三密。
もうひとつの心配事は天気、下界で晴れていても山の上は気分屋。
滑りやすい土壌と濡れた笹や草原はローファー靴には辛いのだ。

鞍掛峠東の駐車地はぎりぎりなんとか空いていた、単なる幸運。
それにしても変な間隔や横着な駐車が多く、後の車のことを考えてほしいな。
両隣の車のナンバーを見ると、「神戸」「香川」ほかに「堺」とか!
下山時には路駐がたくさんあったから、人気の山はおそるべし。

用意して出発、まずは車道をコグルミ谷登山口へ下っていく。
三重県側から入山する御池岳、コグルミ谷コース。
人は多くても静かでそれなりに整備された急な道を上がっていく。
粘土質の土と石灰岩と木の根っこの道は湿っていてとても滑りやすい。

五合目を過ぎると急斜面になり、登山道はジグザグになる。
秋は足元に凝集されていて、栗の抜け実や落葉がたまっている。

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人気者の君だけはモデル慣れしてお疲れ、もとい元気様です。

六合目カタクリ峠を過ぎると緩やかな尾根道になり御池の秋を感じる。

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七合目・八合目もそれなりの黄紅葉で、積もった落葉を踏んでいく。
そして、ここ。

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ここを通るといつも、御池に来たんだという気持ちになる。
苔の谷道を過ぎて三叉路の分岐を丸山に向けて上がっていく。
苔だけは青々しているが、滑りやすい道は泥濘そのものでぐちゃぐちゃ。
ぬかるみに足を取られ、気を抜くとずるっと滑り落ちる。

ガスの中とりあえず山頂の丸山へ、一応、御池岳の最高点。

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石積みの山頂は、ふだんは北に展望が開けるが今日はなし。
先客はみなさん同じ道を下っていくが、何を急いでいるのか。

ここからはいつも通り、御池テーブルランドの散歩に移る。
霧雨で濡れた草が汚れた靴とズボンのすそをさらに湿らせていく。

奥ノ平方面へ向かうと左下から先ほどの若者たちがあらわれる。
わざわざいったん下らなくても、すぐに行けるのに。
見れば、彼らの手元にはスマホ。
そしてすぐ先の開けたところでもう腰を下ろしてザックをあけている。
小物や火器と食材など、キャンプ調理か?

奥ノ平の象徴はオオイタヤメイゲツより健気な1本ブナだ。
てっぱん君が言ってたな。

奥ノ平南峰から見わたしてもよどんだ天気でいまひとつさえない。

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道があるようで薄い踏後だけの、濡れたシダ類の繁茂する草原。
ここ数年はすぐにまゆみ池方面へ向かっていたが惰性はだめ。

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南部エステイトもとい南部不動産もとい御池ワンダーランド。

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しっかり開発されている。
すぐにでもタワマン並の展望絶佳、豊かな自然生活ができそうだ。

庭も花壇も、両肘ついた盆栽もあるでよう。

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土倉岳を見下ろす。

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下り口というか、御池への上り口からは道ができている。
おお、日が出てきた、映えるね。

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ボタン岩の紅葉は趣があるのに、また曇ってしまって残念。

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まゆみ池も遠目でないとさえないんだから。

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定点観察重要地点の幸助の池。
ここで再び光に照らされる、太陽のめぐみ、もっと光を。

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ボタンブチ、天狗ノ鼻に孤影。

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ボタンブチから臨む秋色。

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琵琶湖方面。

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そしてずるずる滑る道をおそるおそる進み、道池慕情。

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鈴北岳に来るとそれなりの天気になり360度の眺望だが、遅い。

最後は鞍掛尾根をちんたら下る。

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鞍掛峠からの下りは急で要注意だが、傘やんの休憩場に寄る。

今年もなんとか御池詣できたが、喜ばしいで済ませては遺憾と。

 

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2019年11月26日 (火)

山歩き:晩秋のダイラ周辺

山歩き:晩秋のダイラ周辺

時季は晩秋、今年は遅いという山の黄紅葉もさすがに退場したか。
会いたい樹木と歩きたい古道、あのダイラはどうしているか。
急登、ヤセ尾根、トラバへつり、ゆったり逍遥に急下降の歩きに満足する。

Dsc06245

【山行日】2019年11月24日(日)    
【山 域】鈴鹿北部:阿蘇谷、烏帽子岳・三国岳
【天 候】曇り
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】時山、清内橋付近の路肩駐車地、起点
P7:57--西北尾根--9:16烏帽子岳--県境尾根--10:14ブナ将軍10:24--
--11:04三国岳--11:57ダイラ12:35--13:20ビワ池--13:50P

このところ所用が多く体調もよくないまま時が過ぎ紅葉を愛でる山歩きはあきらめていた。
それなりに天気のよい土曜日もぐだぐだ、翌日の日曜日は雨予報で望みなし。
そんな夜、何気なく天気予報を聞いていたら日曜の日中はなんと晴れらしい。
捨てる神ばかりではなかった、準備用意。

まだ暗い朝方、外に出ると湿っぽくて、水溜りができている。
夜半しっかり雨が降ったようで、雲がどんより重いままだ。
雨天も泥んこも願い下げだが、そんな風だとますます山が遠くなってしまう。
なんとかなるかもしれない、とにかく出発。

休日の朝はどなたも早いようで、23号線は速い車がいっぱい。
三重県に入り、桑名から員弁に来るとうんと静かになってくる。
今日は藤原・御池を横目に岐阜県に進む。
目的地の時山は今でこそ大垣市だが上石津でも特に山奥の印象がある。

烏帽子岳の山裾を大きく回りこんで、狭い道を抜けていく。
川沿いの道にはフェンスのある建造物が多く、目立つのは「立入禁止」の表示。
時山養魚場に入る赤い橋(清内橋)が目印で、手前の空き地に駐車する。

烏帽子岳と三国岳へは数回来ているがダイラは2回、記憶はまるで薄い。

初めて来たときはガイドブックを見て唯一の登山道の「鐘釣谷」を利用した。
登山道は表示も含めてすぐにあやしくなり、行きつ戻りつしながらなんとか烏帽子へ。
途中、身体を上げようとつかんだ岩が、力をかけた途端にくずれてきてびっくり。
ひとかかえ以上の岩は幸運にも自分の体を避けて、でも転げ落ちていった。
ただその音はずっと聞こえつづけ、人がいればとんでもない事故になっていたはず。

その後、いつのまにか「鐘釣谷コース」は立入禁止になっていた。

今日は烏帽子岳の西北尾根(新)コースを利用する。
コースの約7割が鉄塔巡視路という(新)コースだがもう20年は経っているはず。
「鐘釣谷コース」に代わる道でその後「細野道」や「南尾根道」が整備された。

Dsc06285

清内橋を渡り、道を養魚場へは行かず左折すると登山口はすぐ。
暗い植林帯の急斜面を歩きやすい斜度で道は造られ、プラ階段が整備されている。
道はなんでも人工的だが、このプラ階段巡視路は便利だが味気ない。
造るのも大変で維持するのも手間だが作業では資材荷物担いで通るわけだ。
遊びでちんたらへいこらしている人間が文句言ってはバチがあたる。

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単調だがどんどん高度を稼いでいく道にすぐに息があがる。
鉄塔を通り過ぎてまもなく尾根が開けてくると雰囲気が変わる。
道は潅木の間を右に左に抜けていくのだが上りはよいが下りは外すかもしれない。

三国岳への県境尾根道分岐を過ぎると展望岩があり今日のコースを確認する。

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前方に山姿が見えてくるが双耳峰の烏帽子岳のどちらとは少しわかり辛い。

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右に狗留孫岳への巻き道分岐を見てすぐに最高点の山頂。

もう少し進むと南東に視界の開ける、いわゆる烏帽子岳山頂。

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時集落に来てここまで、誰にもあっていないので思わずひとり言。
「烏帽子、山頂だ」
すると右手の木陰から人が現れ細野方面へ逃げるように下山していった。

こんな朝早くに上ってもう下山!?
人にはそれぞれ事情があって当然だが・・・。
結局この日、見た、会ったのはこの人が最初で最後になった。

今日の目標をここで設定。
あわてずあせらず、見たいところはじっくりと。

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といいつつ遠くを眺めるともう用はなく、三国岳への分岐へと道を戻る。

烏帽子岳と三国岳を結ぶ尾根は岐阜県と三重県の県境でもある。
やせた尾根にはそれなりにアップダウンがあり道も左右にまたぐ。
ぼーっとしていると外すこともあり、ヒヤッと高度を感じるところもある。

烏帽子から三国へ三分の2ほど進んだところに、あの方々が居られる。
「将軍様、またまたご無沙汰しています、ご機嫌如何ですか」
鈴鹿山脈のブナ巨木界ではいわずと知れた伝説的な存在。

並んで立つ似たような2本のブナ。

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手前が「副将軍ブナ」で、下奥が「将軍様」。

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近寄ると違いははっきりとするが比べるのは邪道、無事でなにより。
ただ気のせいか肌のつやがよくないようで、頭部の欠落が痛ましい。

ひとつの大きな目的を遂げたあとは、三国岳への急な上りになる。
一気に上がるのではなく、手頃な大きさのデカコブ平を越えていく。

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ぬた場もあって、この広がりがミニテーブルランド。
その後は、岩場のきつい上りをこなして稜線に上がる。

今歩いてきた県境稜線や烏帽子を確認する。

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そこから三国岳へはもうひとのぼり。

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特に用はないがそこはそれ大人の対応というやつ。
山頂からは御池・鈴北・鈴が岳が見えるが、鞍部のヒルコバがいちばん目立つ。

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三国岳には山頂らしきものが3つあって、三角点、山頂、最高点がある。

ダイラへは道を戻り、急降下していく。
きつい下りでまだ先が長いので、三国岳山頂へは寄らなければよかった。

この下りの先で分岐を左に上がると三角点だが、もちろんパス。
それよりも先のミニテーブルランドと標高が同じだからバイパスが欲しかった。
三国岳へのあのきつい上り下りを経験すると、本当にそう思う。

ダイラというか阿蘇谷へ降りる道はすぐその先に分岐があった。

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左はダイラの頭を経て横根や五僧方面、右へ降りていく。

斜面をへつるようにして狭い道を行く。
谷があらわれそれに沿っていくようになると、踏み跡があやしくなる。

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コケが付きざれて濡れた岩がごろごろですべりやすくあぶないことこの上ない。

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この区間が一番緊張し、苦労した。

そして「ダイラ南口」から侵入。
阿蘇谷道はぐるりとカーブを描くようにしてダイラに入りそして谷へと抜けていく。
ダイラは広く、地形図だと阿蘇谷道はほんの少しかすっていくだけ。

さてと、以前来たのはどこだったか。

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広々としたところで寛いだようだが、どこもかしこも同じように似ている。
三段の縦に並んだ釜跡はよく目立つ。

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うろうろしながらもあたりを見下ろすここぞというところに陣を張る。

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ついこの前までは寒かったのに、今日はしっかりと汗をかいた。
靴を脱いで、と。
そうか、これから昼飯休憩には陣幕でも張ると気分が高揚するかも。

地形図で歩いてきた道を確認しながら、点線の道に疑問や不満を覚える。
この後は、・597を目指してだだっ広いダイラをさまよえばいい。

休憩後、コンパスを頼りにするとその前にひらひらピンクテープが目に入ってくる。
阿蘇谷道でもよく目に付いたがこちらも多そうだ。
尾根に上がれば確実だが、同じ高度をずっと保っていけば楽に行ける。

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広いダイラを、左から右へとゆったりカーブするように行けば、と。
ピンクテープは下、中、上にあり、どちらへ導いていくのか不安にもなる。
ここらへんが地形図とコンパスだけでは判断できない自分の弱さでもある。
結論から言えば、中のテープはうまいことコースを導いてくれた。

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ただ最後に来て尾根の急登があり、もっとなだらかにできなかったのかと不満。
それにビワ池と阿蘇谷のどちらの方面から道を探ったのかでも異なるのでは。
また上中下のそれぞれのテープの付けられた意味もわからないままではこわい。
いわゆる赤テープはありがたいようでミスリードもあるから要注意。

で、峠状の開けたところに出て、その先には池があったとさ。

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名前はビワ池だったと思うが、どうしてそうなのかは不明。
稜線上にある不思議と、その存在がいい感じだ。

開けた場所なのでこのあとに下る方向はコンパスで慎重に探る。

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テープ表示もここは大事なので多いが、きちんとした固定表示が必要だろう。
ここからは植林帯の急な下りになる。
あいかわらずピンクテープが先導するが、途中から消える。
右手への分岐であらわれ、すぐ下で阿蘇谷道に合流する。

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さいごは害獣除けの柵を開閉して時山養魚場へ戻っていく。

それなりの急登、ヤセ尾根の上下動、トラバへつり、ゆったり逍遥、急下降。
阿蘇谷の源流域、ダイラとその周辺の山をつなぐ歩きはとても変化に富んでいた。
距離や標高差もそれなりで、先を急ぐ必要もないのでじっくりと晩秋を愛でる。
最後の秋になんとか間に合ってよかった。

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車のところに戻るとテントウムシが屋根、窓、タイヤに群がっている。
追っても払っても効果はなく、一部は100km離れた自宅まで付いて来ていた。
生態系とかなんとかでそれでよかったのかどうか、そんなこと知らん。

 

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2019年11月10日 (日)

山歩き:宮指路岳から入道が岳で秋を味わう

山歩き:宮指路岳から入道が岳で秋を味わう

宮指路岳から入道岳への稜線歩きは静かで秋を味わうにはよい。
樹木の黄紅葉、起伏のある稜線、そしてごろごろと点在する大岩。
久しぶりなので新鮮気分、ただ衰えた身体には少し辛い歩きになる。

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【山行日】2019年11月9日(土)    
【山 域】鈴鹿中南部:小岐須峡、宮指路岳・入道が岳
【天 候】晴れ
【形 態】周回 単族 軽装
【コース】小岐須峡大石橋付近の駐車地、起点
P7:53--7:56登山口--ヤケギ谷道--9:34宮指路岳9:40--9:52小岐須峠--
--県境稜線--11:09尾根分岐--磐座尾根--12:24奥宮12:56--池ケ谷道--14:18P

秋の鈴鹿山脈第2弾は小岐須峡。
宮妻峡への道を過ぎ、椿大社の門前を通り抜けて行く。
高速道路とインターチェンジが新設されてどんどん変わっていく風景。

小岐須峡に入ると途端に道は狭くなりぼこぼこと荒れている。
山の家の駐車場はがらがら、途中、落石もあったがなんとか大石橋へ。
先客が1台、狭い駐車地で傾斜があるので停め方に気をつかう。

駐車地から宮指路岳ヤケギ谷道登山口はすぐで、入山。
何度も歩いているヤケギ谷道だが気分はいつも新鮮、どこでもだけど。
少しの記憶を確認しつつ、味わいのあるヤケギ谷道を上がっていく。

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谷沿いの巻き道には落葉が堆積し、そこに朝日が差し込む。

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ジグザグの登りが続くようになるとどんどん高度を稼いで行くが少し辛い上り。

谷道はそのまま左の主稜へ上がり、この山の名所を通っていく。
道からすぐのところにある大岩「東海展望」、特に表示はなし。

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たぶんいつも同じところから思わずデジカメっている。

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登山道を少し進むと少し離れたところにある大岩「三体仏岩」、表示なし。

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遠くから見て三体の仏様が並んだように見える岩、ということで存在感あり。
先ほどの東海展望は景色を見るための大岩展望台ということ、どうでもいいけど。

宮指路岳山頂へはいったん下ってだらだらと上っていく。

宮指路岳の山頂は展望も何もないさえない通過点だった。
しかし山頂を尊重する人々の努力の結果、視界が少しずつ切り開かれている。
そこから見える「馬乗り岩」と「だるまさんころんだ○○岩」。

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だだっ広い山頂広場からは他にも何かとデジカメ対象によいものが多い。

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山頂広場を右折すると、鈴鹿山脈の主稜線(県境稜線)になり、カワラコバ道になる。
ここの下りは鈴鹿の他のところの下りとよく似ていて、既視観に陥る。

明るく開けた鞍部が小岐須峠。

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右に下りればカワラコバ道で、最近は道も整備されて利用者が多いらしい。
この稜線道の広さと明るさが特長といえばそうで、日向ぼっこにとてもよい。

少し荒れていて、目印もなくなっている下りをやりすごす。
左側(西側)のすぐ下に源流部が迫ってきている。
やがて、その象徴たる仏谷峠。

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ふつうに歩けば、少しきつい下り上りのある単なる峠だ。
でも周囲を少し歩き回れば雰囲気のあるところだと、自分は勝手に思っている。
尾根が入り組んで重なっている右側(東)が興味を惹く。

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別に何があるわけでもないが、道を外れてそこら辺をふらっとしたくなる。
窪地に落葉が堆積し、ちょっとした空き地があって、それだけのこと。
新たな発見は何もないけど今日の目的、秋をじんわりと感じる。

鈴鹿山脈の主稜線に三重県と滋賀県の県境が定められているらしい。
愛知県人の自分にはどうでもいいことだが、ボーダーはいい。
特に登山道が設けられているわけではないが、人が歩いて踏み跡がある。
最近は目印テープがいっぱい、でもそれが一定しているわけではない。
テープに指図されるのがイヤなら、太い尾根芯を外さないように行けばよい。
潅木が繁茂しているところでは注意も必要。

ほら、ぼやっとしていたら迷い込んでいた。

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右手に立派な巨大な大岩、そのむこうに入道ケ岳。

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今日は大岩への寄り道は、気分がのらないのでパス。
先へ進み、小岩というか定員ひとりのプッチ岩を確認していく。

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眺めはそこそこ、独り静かに山を楽しむ寡黙なおじさん族専用。

そして県境稜線は、イワクラ尾根分岐に至る。

樹間から水沢岳の秋と、鎌が岳の一部を見る。

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イワクラ尾根に入ると途端、一気の下りとなりせわしい尾根歩きになる。
ただ秋を感じる樹木や見所は多く、何ごとでも外れのない尾根だ。

県境稜線では誰ひとり会わなかったのに、ここではすれ違う人がままある。

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といっても元気な若者であり、孤独なおじさんがぼちぼち。
とにかくアスレチック尾根よろしく、下っては上りという動きがずっと続く。
ゆったり稜線漫歩というのがまったくない。
これは弱ってきた足にびんびん疲れを与え、痛めつける。

イワクラの本体、磐座こと仏岩もゆっくり眺める余裕なし。

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重ね岩も同じく。
とにかくへろへろになりながら最後の急登をこなすことを考える。

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ようやく馬酔木と低い笹原を抜けて、入道庭園に。
もう先に進む体力はなく、奥宮へ。
荷物をほおり出して、入道山頂を遠望する。

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なんだ、あのたくさんの人は、祭りか。

そこへひとり、ふけたおじさんが来る。
奥宮に向かってかなり長い時間、御参り(願い事)している。
離れた山頂からは、にぎやかで華やいだ声が風にのって届く。
落ち着かず、今どきのきれいな尾根遺産でも見学しようか、と迷う。
そこは信仰心や疲れがまさって、すなわち長い休憩となる。
その後、自分としてはけっこう長居したが、奥宮はずっと静かなまま。
おじさんと思えた人はよく見るとモダンな若者だった、失礼。

重い腰を上げてふたたび山頂方面を見れば、ますます人が増えている。

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「みんな集合、つぎは動画を撮りますよ」
おいおい、遠足か。

鈴鹿ではここ数年、御在所岳の一本人気で、次いで竜や御池。
高速道路の整備で自分は仙が岳南尾根あたりが人気になると予想したが、外れた。
時代は、入道ケ岳だった。
きつい登りはあるものの、鈴鹿のどの山よりも展望がよくてしかも広い。
流行や世相というのをよむのはむずかしいものだ。

休憩後、山頂に用はなし、ではなくてもう行く気力なし。
あとは下るだけ。
今日は手短に、池ケ谷道に入る。

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はじめこそ岩がれの道をたんたんと下っていく。
蛍光ピンクのテープがこれでもかというくらい付いている。

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谷から離れ高巻きになると、けもの道のような幅で気をぬけなくなる。
しかも下りは急ですべりやすく、踏ん張りがきかないとヤバイ。
分かってはいたがこれが池ケ谷道の特徴で、じわじわと後悔の念が高まる。

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道も一部変わっていて、へつりが崩れた箇所に変更とは、何。

今日の大きな反省点はコース選択、池ケ谷道の扱い。
ここは上りならきつい上りで我慢できるが、下りにここは使うべきではない。
イワクラ尾根で体力、筋力の疲れた自分には少し辛い最後の歩きになった。

記録と経験から、比較的軽めのコースと思っていたのに、思わぬ疲労度。
秋を味わう目的はなんとかなったけど、体力の衰えが少し早すぎる。

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