山歩き:硬漢嶺(觀音山)
台湾淡水に行くと河の対岸にいつも気になっていた山がある。
觀音山(標高616㍍)で、姿もよく、気楽に登れそうにみえた。
前回、対岸の八里に渡り、登山口を探したが見つけられず、断念。
ならば今回、下調べをしてと思ったが、何の準備もしないまま現地に来る。
【山行日】2012年12月27日(木)
【山 域】台湾:新北市八里、觀音山
【天 候】曇り時々晴
【形 態】単族 往復 自転車利用 軽装
【コース】米倉路より無極宮を経て牛寮埔登山道
紅樹林9:20--関渡橋--10:20龍米路口--11:00無極宮登山口--11:10牛寮埔歩道--
--象牙石--11:35観景台--11:40硬漢嶺11:50--12:20無極宮--八里散策--紅樹林
觀音山登山を含めて、淡水・八里近辺の観光のため紅樹林に三泊する。
淡水や淡水河右岸は、台北から電車の便が大変良い。
だからあえてこの地に宿泊する必然性はないが、諸般の事情というヤツ。
紅樹林駅は終点の淡水の手前の駅で、穴場的とでもいえる。
この時期、淡水地方の天気はあまりよくない。
自分の少ない経験でも、からっと晴れた日はほとんどなかった。
だから名物の「淡水の夕焼け」は今回も結局三日間とも見られなかった。
ところで主題の観音山だが、日本に帰ってからネットで見つけたのが
「Taipei Hiker」さんのページで、在台の日本人の方だ。
その方の紹介によると、
~~~引用~~~
觀音山は、台北市街から近くて登りやすい山だ。
標高616mの硬漢嶺を最高峰とする觀音山は、
占山までの縦走路が一番長く健脚向けであるが、
それ以外はよく整備されている道で、
牛寮埔登山道を八里渡船頭から登るのを除いて、登りもそれほどきつくない。
また、硬漢嶺からの展望は、独立している山塊だけにとても広い眺めがあり、
老若男女さまざまな登山客が訪れる人気の山だ。
~~~引用おわり~~~
だそうで、要点がきちんとまとめられている。
登山難易度、体力度も「軽」評価で、ファミリー向けの山といえる。
普通は台北からバスで、反対側南の凌雲寺登山口に来て、起点にするらしい。
そんな下調べもしないまま来た自分は、初志貫徹で、見たままに向かう。
宿泊ホテルで借りた自転車を使い、快適な自転車専用道をひた走る。
自転車は、保証金を含めて一日60元(200円以下)。
ジャイアントのMTBをサドルのみママチャリ風にアレンジしている。
ブレーキも前後は左右で日本とは逆になる。
18段変速でいいと思ったが、実際使えたのは3段ぐらいの整備不良。
どこにもある貸自転車店だと一日100元だからたいした差ではないし、
色んな種類のから選べるから値段以上の差があるのだが、諸般の事情で。
出発してすぐに最初の難関、目茶交通量のある道路の横断がある。
信号で渡るだけだから簡単そうだが、狭い歩道を含めてすべてが
自動車優先、スクーター天下の国だから、まったく気が抜けない。
通り道の歩道に平気で駐車してあり、傍を通り過ぎるのも困難、
そんな歩道をスクーターがすごいスピードで乗り上げていく。
それらを無事通過して、鉄道の下をくぐり、専用自転車道に入る。
なかなか快適な道だが、歩行者や犬もいるので注意は必要。
対岸の観音山を見ながら走っていく。
ここをいつも利用する方や、貸し自転車の旅行者でにぎわっている。
次の難関は赤い鉄橋もあざやかな関渡橋。
高さがあるので長いスロープを必死に漕いであがることになる。
橋の上は専用道の道幅が狭くなるのは仕方のないことか。
ただ、橋から下りていくのは楽チンで自転車の利点。
ここからは先回通っているので、登山口を確認しながら進む。
淡水から対岸を見ていると、八里繁華街からすぐにありそうに思える。
今回もそんなあてにならない自分の勘だけで進みそうになったが、
ホテルの日本語の分かるスタッフが、気を利かして調べてくれた。
ネットの大雑把な地図だが、いくつかの登山コースの概要と、
登山口の道路や地名など、大事な点はよくわかった。
ホテルの貸し自転車が盗難にあっては困るので、停める所も指定された。
ただその地点は標高221㍍なので、登山や自転車のことには疎そうだ。
こんな思いつきのお客も相手にするホテルマンて、大変なんだろうな。
登山口は、米倉公園の近くで、八里渡船場からはかなり離れていた。
ここで登山道入り口の表示板を確認する。
何よりも最も重要なことだから、これだけでスタッフの資料は効果絶大だった。
ほぼ海抜0㍍から登山口までの標高差200㍍の急な車道を上がっていく。
登山だけではなく他のことでよく使われている道をえっちらあがる。
車やバスだとなんとかなるが、急坂の自転車はかなり辛いものがある。
ほとんど曳いて歩いていくので、歩くよりずっときつい。
登山道はそんな車道を串刺しに、石の階段で上がっている。
そこを自転車で上がるのはもっと辛いので我慢がまん。
でも我慢の限界、登山道に入り人の気配のない所に自転車を停めロックする。
石段の道、車道を交互に歩き、立派なお墓の団地の横を通り過ぎる。
牛寮埔観光果園手前には、車道を離れて趣のある立派な遊歩道がある。
おう!バナナがびっしり、青いけど熟れても取ってはいけないのだろうな。
そんな樹林帯の鬱蒼とした道を上がっていくとむこうに無極宮が見えた。
立派なものだが、台湾ではどんな田舎へ行ってもこういうのがある。
道は間違っていないし、あの横を通っていけばいいと安心する。
何が書いてあるのかわからないが登山口の表示銘板石。
そして観光果樹園の中を通り過ぎていく。
この時季は柑橘類が中心らしく、固くてすっぱそうなみかんがなっている。
色鮮やかな鳥や、蝶も飛んでいるが、速くて写真には無理だった。
ものの10分も行くと、いよいよ専用登山道の石段に入る。
確かここからおよそ1300段あまりの石段が山頂まで続くらしい。
だから大変ですよ、とホテルスタッフに言われたのだった。
なるほどきちんと角張って同じ高さの石段がずっと続いていく。
こういうのは台湾の他の場所でも経験しているので驚かないが、
何度も見ると、昔ネパールで聞いたあの話が本当に真実味を帯びてくる。
曰く、中国人なら何百年かかってもエベレストの山頂まで石段を作る、と。
さて登山道は面白みに欠ける針葉樹の中をどんどん上がっていくだけ。
途中、涼亭という中国人が好むというかどこでも見かける東屋があり、
周囲にビニールをきちんと張り巡らして、そこで料理する人がいた。
名所らしい象牙石は、なんとも印象に薄い場所としよう。
周囲に南国らしい花や灌木があらわれ、なんとなく高みに来る。
そして一瞬頂上かと思ったら観景台で、何人かの人がくつろいでいた。
鞍部交差点に来ると門構えがあり、硬漢嶺へと更なる石段が続いていた。
人工物が続くほとんど神社仏閣の参道を進んでいく感じで山頂へ。
山頂はばーんと展望が開け、人気があって当然の雰囲気だ。
休憩する人、行き交う人、体操する人、その他。
眼下には淡水河と淡水ほかの高層ビル建物群。
その向こうに大屯山群。
三度訪れた台北の星ともいえる七星山もうっすらと見えている。
河の上流には赤い関渡橋、基隆河と台北市街がきらめいている。
近くには、この観音山山域の占山と恐竜の背のようなピーク群。
宿泊しているホテルもなんとか見つけられた。
空気というか天気がすっきりしないことだけが残念。
平日のこんな時季だから仕方ないが、ふだんは露店もでるのだろうか。
猫もうじゃうじゃ住み着いている。
さてと、石階段を下ることにしよう。
速いはやい、まじめに高度をぐんぐん下げていく。
果樹園を抜け、無極宮に寄る。ここのテラスからはこんな感じ。
お墓の団地を通り、隠しておいた自転車の無事を確認する。
下りは一気だ、ブレーキばかりだけど。
自転車専用道に復帰した後は、八里を再び観光する。
人は相変わらず多いし、専用道はさらに整備され延びていた。
なんだから十三行博物館も再訪する。
道はずっとよくなっていた。
ぐるり館内をまわって、狭い出口の階段を降りる。
こんな注意が活きるような日だと、面白かったかもしれない。
時刻も押してきたのでふと渡船で帰ろうかとも思う。
乗船代金と自転車持ち込み料で50元ぐらい。
もったいない、初志を貫こう。
自転車専用道をたらりたらりと戻っていった。
三日間の滞在を終えて発つ日、初めて天気は晴れ。
その日も立派な観音山が見えた。
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