山歩き:東北の山々

2018年10月 9日 (火)

山歩き:宝の山、会津磐梯山

山歩き:宝の山、会津磐梯山

火山の代表的ジオパーク、タモリも絶賛の宝の山へようやく行き、歩く。
胴沼のむこうに広がる火口壁と櫛ケ峰こそ垂涎の景色、火口原のシラタマノキ群生。
頂上周辺は紅葉で覆われ、午後から出発の少し無理した歩きが報われる。
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【山行日】2018年9月28日(金)    
【山 域】福島県、会津磐梯山
【天 候】晴れ時々曇り、風強し
【形 態】周回ほんの一部往復、 軽装
【コース】裏磐梯スキー場駐車地、起点
P12:20--12:35スキー場上部分岐--12:40胴沼12:52--13:23八方台分岐--14:27弘法清水--
--14:50山頂15:00--15:15弘法清水15:20--15:45櫛ケ峰鞍部--16:12火口原--
--16:38スキー場上部分岐--16:51P

東北の山々の豪華な紅葉を観光パンフで見た相棒が、それらは簡単に見られるものと早合点。
見られたらいいねと賛同しつつ、スキマを縫って山歩きも可能だろうとアッシー君は作戦を練る。
ただ東北はとても遠くて広いし名所もたくさんあるが、なによりも天気に左右される。
宿泊ホテルを押さえてからも台風の接近や天気予報に左右され数回予約を取り消す。

好天が予想される唯一の日を活かし、ダメなら温泉があるとやけっぱちで挑んだ今回の旅行。
会津地方で所を変えて5泊、アッシー君の山は安達太良・磐梯・吾妻と豊富にある。
火山フェチに目覚めた自分にこんな素晴らしい土地はない、どこも観て周りたい。
ただ好天が1日だけなので、時間や体力を考えて今日のような計画になった。
とにかく、火山といえば磐梯山、しかも表ではなく絶対に裏磐梯、と。

午前、安達太良山で急ぎの2時間歩き。
沼の平という立派な火口を山頂から少しだけ見て、後ろ髪を引かれつつ下山し、移動する。
急いでいるときには往々にしてある道路工事の一方通行、じっと我慢してとにかく裏磐梯へ。

朝方は晴れていたのに、どんどん雲が出てきて下り坂だ。
それでもあの、本体が大きく欠けた双耳峰?のような磐梯山の姿が少しだけ拝めた。
登山口から少し奥に入った裏磐梯スキー場へ、未舗装の道を車で走る。
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たくさんの人が駐車し登山口とする磐梯山ゴールドラインの八方台ではだめなんです。

建物があり、いかにもスキー場らしいなだらかなスロープの端にはリフトがある。
このスロープが1888年の小磐梯の噴火、山体崩壊の岩なだれなどでできたとは!

時間がない、とりあえず急ぎ、胴沼(あかぬま)を目指し出発。

歩きやすいようで石がごろごろすべり転がるゲレンデを早足で上る。
すすきが秋の風情を出しているが、なぜかまだ暑い。
振り返ると、下っていくスキー場のはるか先に桧原湖が見える。
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火口原との分岐の手前右手に胴沼へむかうショートカット道があるのでそれを利用する。
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ジオパーク看板『岩なだれ』があり、火口壁の上に磐梯山が少し顔を出している。
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樹林帯になりしっとりとした空気の中、道は湿っていてぬかるみがあらわれる。
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それらを避けつつ、ぽっかりと明るい場所が見えてくるとそこらしい。
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求めていたものが看板のすぐむこうにあるのを確かめつつ、荷をおろしてカメラを取り出す。

ずっと雨が続いているのになぜか少ない水量で、干上がっている感じでもある。
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もちろん、ふだん見えないものがこうしてさらけ出されているほうがありがたみが増す。
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沼のむこうに櫛ケ岳の鋭鋒とはだけた火口壁がすさまじい。
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蒸気らしい噴煙がふたすじあがっている、注意だ。
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温泉露天風呂がそのまま大きな沼池になったようだ。
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すばらしく異様で贅沢なものを見た。
これで当初の目的は充分に達成したので引き上げてもいい、のだが。

足は先へ進んでいく、おお、まだやる気が残っていた。

ぬかるみを避け、小沢を渡り、急な階段状の道を上がっていく。
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すると大きなザックを背負った高校生の一団が下りて来る。
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道は狭いので寄ったり避けたり。
彼らはとても統率のとれた集団で、指導者が指示を出すとすぐに従う。
道を譲ってくれてありがたいが、小心者の自分は先を急がねばとあせってしまう。
最初はそれでよかったが、かたまりの集団はずっとつながり、途切れる事がない。

なんと総勢180人余とかで、福島県の高校山岳部のイベントだった。
初々しい顔立ちながら大きなザックを背負った猛者連中をずっと見る。
最後のほうになって小柄なJKの一団があらわれた時にはほっと救われた。

喘いで上がった先で、八方台からの登山道と合流する。

整備された道には一般登山者が増え、火口壁の側面をトラバースするように進んでいく。
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左手に、数箇所視界の開けるところはあるが、上下動だけがやたらと多い。
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高度も稼がないまま、ずんずん下っていくのには困った、上り返しがいやだ。
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たくさんの人とすれ違い、面白味を感じないまま、お花畑分岐をやりすごす。
東北の山の紅葉が出てきたことが救い。
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ようやく弘法清水へ。
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冷たい水のでる清水には先客が数人、近くには山小屋が2軒。
冷水をごくごく飲み、空になっていたペットボトルに水を満たす。
足がだるいし疲れも出ていたのでこれは助かった、でもここは四合目弘法清水。
冗談はよしこさんだなあ、なぞの四合目表示。

さあ、さいごの踏ん張りどころ。
元気よく下ってくるみなさんがうらめしい。
そのみなさんの背後や横を見ると、紅葉が出ている。
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あらまあなかなかのもんじゃ。

「えっ、これから上るの。あなたが最後の登山者だよ」

時間的に遅いのだから仕方ない、山頂は独り占めってことか。
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あと少し。
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振り返って見る裏磐梯は霞んではいるが見事な眺めだ。
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ガスってきて山頂の360度の展望はどうか。
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風があたり、岩がごろごろ積もっているのは、どうも山頂らしい。
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ガスの切れ間、ずっと見てきた桧原湖や櫛ケ峰が見下ろせる。
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反対の南側といえば、大きな猪苗代湖が見えるはずだけど。
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どうも表には縁がなさそうで、わずかに湖らしいものが少し。

風当たりが強いし、ここは寒くて休憩には無理そうだ、ユン・ゲサン。

弘法清水までは一気の下り、でも上れてほっとする。
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自分が最後だと思っていたら、ぽつんぽつんと若いのが上がっていった。

弘法清水ではふたたび冷水を飲み、白アンパンを食べて休憩。
さて次はもうひとつの見どころをしっかり押さえないと。
ちょうど営業小屋の方が仕事を終え下山するところに出合う。
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火口原への道の状態を尋ねると、しっかり整備されていて近道でもある、とのこと。
なんとか夕暮れ前に戻れそうで、今一度装備や体調を整える。

いきなりの急坂だが、ここはまだお花畑への通り道なのでよく利用されているはず。
突き出た天狗岩が臨め、平坦なお花畑は八方台コースでは唯一の見どころではないか。
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黄金清水を過ぎ、眼前に櫛ケ峰の雄姿を見ながら進む道は気分がいい。
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左手が火口壁のすぐ縁なので少しの気も抜けなさそう。

その急崖を覗くと、エメラルドと白と茶色の胴沼が見えた。
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この稜線歩きに表からの道が合流し、そちら方面には気になる山上池がある。
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来た道を振り返れば、そのずっと上に磐梯山がすがたを変えてちょこん。
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眼前には、横からの明るい太陽光がますます櫛ケ峰のマッチョな姿を目立たせる。
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双耳峰の磐梯山の大磐梯はともかく、もう片耳の櫛ケ峰の存在感にはずっと心を奪われる。

鞍部が近づいてきて、あらためて櫛ケ峰を見上げる。
レポにはみなさん、結構上っておられるが、上り口の岩の×印はなんざんしょ。

さて、ここからが今日一番の急な下りの噴火口部分。
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ただ、道には足場がしっかりとつくられ、途中からは鉄の支柱がずっと並ぶ。
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それをつかんでいくと、まるで吊り輪をあやつるシャハリンになった気分。

あまりに急で膝はがくがく、爪先はつんのめって痛い。
裏磐梯の登山コース、往きはこちらから時計回りにというのが一般的だがそれに納得。

かつての火口原の荒地は苔むした樹林帯になり、自然の復元力に驚く。
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右手に時折、太陽光に照らされた火口壁がまぶしい。

胴沼から見るよりもずっと近いので、数十万年に及ぶ火山活動の積み重ねが明確。
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火山研究の教科書に、火山内部が見られる断面として貴重なんだそうな。

さらに下っていくと、岩なだれが扇状地のように広がった火口原の中心に来る。
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1888年の山体崩壊以降も、火口壁はなんども崩れているそうでその爪跡。
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道が分かりにくくなるので、赤マークがしっかりとつけられている。

そこから再び起伏のある明るい樹林に入る。
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山体崩壊のくずれ流れた先にできた「流れ山」のつらなりがそれだそうな。
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雰囲気は白砂青松、ただ根元に咲き乱れる白い玉の花「シラタマノキ」がいい。
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このツツジ科の低木が、数百メートル続く道の両脇に群生する。

ぐったりと歩き疲れていたのに、なんか見どころばかりで、最後まで気がもてた。

はじめの分岐に出て、あとはスキー場ゲレンデをくだるだけ、長いけど。
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なんとか日暮れ前に戻る、充実の4.5時間歩き。

山は逃げない、無理は禁物というけれど、残り時間が少ない時は跳ばないと。
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2018年10月 5日 (金)

山歩き:あの空の安達太良山へ

山歩き:あの空の安達太良山へ

智恵子のほんとの空だといふ、その山の上に出ている青い空を見に行く。
台風24号の接近により天気予報の好天は今日一日のみ。
折角の東北遠征第2弾は移動のあわただしい山歩きになる。
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【山行日】2018年9月28日(金)    
【山 域】福島県、安達太良山
【天 候】晴れ時々曇り、風強し
【形 態】往復 途中まで同伴 軽装
【コース】奥岳~安達太良エキスプレス~ゴンドラ山頂駅、起点
ゴンドラ山頂駅8:43--9:35安達太良山9:50--展望台--10:50山頂駅

四方に登山口があり、火山と樹林帯が楽しめるコース選択の多い安達太良山。
まる1日をあてて一般的な周回コースを計画したが、天気はそれを許してくれなかった。
5泊5日の計画で、3日は山歩きにあてる予定が好天は1日のみ。

往きの昨夜の高速道路は事故検分で強制的に出され、ホテルインが深夜1時半すぎ。
明けて唯一の好天日、福島西のホテルの駐車場から見える山の姿に気分が盛り上げる。
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無理は禁物だが遠路で折角だから一日に2山を詰め込むことにして行動開始。

安達太良山の奥岳というスキー場ゴンドラ駅に向かう。
時間短縮もあるが、楽ができるならなんでも利用しようとする浅ましさ、ああ。
往復1700円、ゴンドラの始発は8時半で、すでに数十台の車が来ている。

次々に乗り込んで運ばれる先のゴンドラ山頂駅の標高は1350m。
安達太良山の標高が1700mなので残りの標高差は350m、なんともありがたい。
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山は歩いてなんぼ、などという青臭いたわごとはとっくに忘れてしもうた。

歩き始めの低潅木の樹林帯には木道が敷かれている、さすが有名観光地。
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紅葉はそれなりに始まりつつあり、天気も徐々に回復しつつある。
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すぐに観光展望台へ道を分けるが、さすがにそれだけでは恥ずかしいので先へ進む。

山の初心者の相棒もこれぐらいの道ならなんとかなるとのことで、行けるところまでと。
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ふと見ると樹間のむこうに安達太良山らしき頭が飛び出している。
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はたして相棒が期待する、あの観光パンフ掲載の絢爛豪華な錦秋が見られるのだろうか。

そのうち木道はなくなり、徐々に傾斜が増し、岩がごろごろする道になる。
お互いのペースを大事にするということで、先行する。
視界が開ける潅木帯になると、休憩によさそうな空き地があらわれる。
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ただ平地になったことでここ数日の雨の影響か、水たまりのぬかるみ道になる。
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ちょっと厄介。
折角、安達太良山が見え、紅葉もなんとか少しずつなのに。
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下ってくる人とのすれ違いがむずかしい。
もう下ってくる人というのは、朝早く登山口から歩いて上った人なのだ。

水たまりをよけつつ、坂道になるとそれも解消され、上り一辺倒に。
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振り返ると福島の町と平野が広がっている。
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石ごろごろの道、階段の道。
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そして視界が開けると稜線にぽつんと飛び出した(残された)ような山頂部分。
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確かに智恵子の見たほんとの空が広がっている。

取り付きのハシゴを使って山頂へ。

視界は360度、火山らしい絶景、ただ風が強い。
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しばし滞在。

何人かの先客に頼まれて注文の写真を撮る。
お礼にと、自分も撮ってもらう。
足跡の証拠を残さないのがモットーの自分には珍しいこと。

帰ってから見て、なんともみっともない格好で写っている。
馬子にも衣装というけど、俺ってこんなに似合わない色使いなの。

以前、知り合いの商業デザイナーの言った言葉を思い出す。
一緒に行ったクロカンスキーで、お互いの装備や格好を見ながらある人物に言い放った。
「俺もデザイナーの端くれとして、お前の格好は許せん」
その人物の上下の服の色使いがあまりに合っていないので、思わず口に出たのだろう。

今の自分もまったくその通りだ。
上がドラウトエア(紺)にドラウトセンサー(黒)、下がカミノパンツ(紺)。
ファイトラックの服はとても品質がよくて満足しているけど、色あわせがむずかしい。
というか、基本になる色が最初から濁っているようで、上下や重ねがうまくいかない。

それに比べると自然の色使いはまさしく天然色であるがまま。
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智恵子のほんとの空も見たような感じがしたので満足してユン・ゲサン。

さすがの唯一の好天の今日は人が多く、高校生や小学校の遠足になっていた。

観光展望台にも人があふれ、それなりの景色が見られた。
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山頂往復という最短で急ぎの山歩きながら、いいところだけはしっかり捕獲。
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まだ午前中ということに少し安堵しつつ、次へむけて車を走らせる。
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2018年8月20日 (月)

山歩き:犬倉山から黒倉山

山歩き:犬倉山から黒倉山

岩手山のふもと網張温泉に滞在しているのに、その岩手山がとても遠い。
網張ルートの魅力に富んだコースを活かして、雰囲気だけを味わいに行く。
火山の迫力と地熱にあぶりだされる地形の荒さにひりひりする。
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【山行日】2018年8月3日(金)    
【山 域】岩手県十和田八幡平NP、犬倉山、黒倉山
【天 候】晴れ、猛暑
【形 態】往復 途中まで同伴 軽装
【コース】休暇村岩手網張温泉からスキーリフト利用、起点
休暇村岩手網張温泉--9:10リフト9:54--10:22犬倉山10:38--11:12姥倉分岐--
--11:38黒倉山11:44--12:07分岐--12:11休憩12:31--13:21リフト13:58

岩手山は南部片富士の愛称があり、聞きしに勝る雄大で存在感のある山塊である。
岩手県に入ってからすぐに見えたその姿は実に魅力的で、浅間山を髣髴とさせた。
ふもとの網張網泉に宿泊しているのだから、その岩手山に登らないで何をする?

岩手山網張コースは変化に富んだロングコースで歩行時間は11時間半。
ただ最初の標高差500mを3つのリフトを乗り継ぐことで稼ぐことができる。
リフトの平日の運行時間は朝8時~夕方4時で、それにあわせると結構きつくなる。

おそらくこの東北遠征の5泊をすべて休暇村で取った時点で怠け心が生まれていた。
朝食と夕食がバフェスタイルなので食事の誘惑に釣られた自分はすっかり肥満状態。
その気になれば朝食・リフト抜きの早朝出発で網張コースを往復できたかもしれない。
すべては妄想で言い訳。
それは昔の自分の歩き方で、膝に痛みを抱え体力も持久力も衰えた現状では無理すじ。

ということでその日の朝も飽食し、同伴するならリフト代を持つ、という相棒に従う。
ちなみにリフト代は往復1600円のところ、休暇村宿泊者は1200円に割り引かれる。

冬季でも夏季でもリフトを動かすのは大変で、乗り降り両地点に人員が配置される。
3つのリフトが運行しているということは、少なくとも6人以上の係員が必要ということ。
岩手山登山者には、朝8時の開始(休日は7時)というのは遅くて不満が多いはずだ。
ただ、いつ利用者が来るかわからない夏季リフトの運行は、それだけで大変だと思う。
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リフトに乗る。
背中にザックを背負っているので前に押し出されるような感じで不安。
降りる際には、逃げ去るようにという感覚を忘れていてあわてる。
降りてから次のリフトへは、冬季と違って自分の足で歩いていかなければならない。
2つ目のリフトがとても急で長く、ここを歩いていたら大変だったな、と思う。
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3つ目も急で長いが、稜線にどんどん近づいていく感じで、楽な味を覚えるとあとがこわい。
3つのリフトを乗り継いで40分ぐらい、歩けば(登れば)1時間半とのこと。
健脚さんならどうってことはないが、衰えを自覚する人には悩む以前の問題か。

リフトを降りて、岩手山から大松倉山を経て三ツ石山への縦走路分岐までは十数分。
最初の見どころは展望台で、そこから岩手山や網張温泉の元湯などを見る。
そこから少しの山登りで犬倉山(1408m)になり、0.3kmの周回路がはじまる。
リフトを利用する休暇村宿泊者の多くは一応、ここまでは足を運ぶそうだ。

ぐるっと周っていくと見えました、岩手山(2038m)の雄姿。
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満足した相棒とはここで別れ、合間の時間を利用して自分は行けるところまで歩く。
まずは縦走路へ合流するために犬倉山から反対側の道で下りて行く。
踏み跡はしっかりとあるが、雨天時の沢のようで、歩き辛い。
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合流してからは谷間の樹林帯の道で、平坦なトレイルは歩いていて気持ちがいい。
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なるほど先客もいて、もっと早い時間から活動されているが、岩手山からではなさそうだ。

樹林が開け、空が開けてくると暑くなり、稜線がぐんと近づいてくる。
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上がっていくと、姥倉分岐(岩手山と松川温泉をつなぐ松川ルート上の分岐)。
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ここからはもうひとつの岩手山の姿が臨める。
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正面には岩手山、その右手には険しい鬼ケ城、左手には赤倉岳と屏風尾根。
そして手前にははげ山で一応目的地である黒倉山(1570m)。

その前に注意書き表示。
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ここら辺一帯と黒倉山は地熱が高いので要注意であり立入り禁止区域がある、と。
それを読む間もなく、じりじりと熱いのは地面からくるものか、猛暑からなのか。

稜線に出たから北側の八幡平や松川温泉側にも展望が開け、気分はよい。
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ただ今自分の立っている地点がそのまま熱いというのは不安な感覚である。

黒倉山へ近づいていく。
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要所に目立つ注意書き表示。

少し離れたところから振り返ると、先ほどいた地点はなるほど異状に感じる。
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緑の植物が育つことができず、岩ゴロゴロの荒地になっている。
噴火があるとすれば、こういうところなんだろう。
御嶽の継母岳や草津白根山、ニュージーランドのルアペフ山もこんな雰囲気だった。

とりあえず、おそるおそる黒倉山へ上がっていく。
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上がれば断崖で、その向こうの景色が見られる。
大地獄谷や御苗代湖はどうか。
しっかり覗き込むことができず、岩手山側面のお花畑コースの急斜面だけ見る。
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山頂近くには太陽発電の観測計器が設えてある。
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そういう間も、突然のアレは起こらないようにと勝手に願いつつ、戻る。

岩手山網張コースのここら辺のエスケイプルートになるのはどこなんだろうか。

分岐まで戻り、少し姥倉山へ進んだところで昼食休憩する。
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眺めもいいし、寛げるところなんだが、どこか尻がもぞもぞする。
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下りの谷のような樹林帯の道は快調に進む。
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犬倉山の近づき、その鞍部にある唯一の水場というのに寄ってみる。

沢があり、それはすぐ近くにあった。
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頑丈なひしゃくがあり、それで冷たい水を一杯。

ひしゃくの椀の底に彫られた文字がある。
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へえ、小岩井農場のミルク用だったんだ。

犬倉山へは寄らず巻き道で進み、分岐からリフト乗り場へ。
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あとは楽チンの40分。
リフトの下りは眺めこそいいが高度感がちょっと。
途中うとうとして、これもこわい。

休暇村にもどってまだ時間があったので、ビジターセンターに寄る。
月山もでもそうだけど、センターってとても贅沢な場所でありがたいところでもある。
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役に立つ資料が豊富だし、登山のコースマップだって無料でもらえた。

こここそ、最初に来るべき場所だった。

その後、網張温泉の有名な露天風呂「仙女の湯」に行く。
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混浴露天風呂だがもちろん貸切、ただアブの猛攻撃を受けすぐに退散。
残ったのは数日の痛みと腫れ。

翌日の帰路は約900kmで、ほとんどが高速道路だが首都圏でミス。
少し古いカーナビなもんで、首都高速を選択してとんだ渋滞にはまる。
PAなどに寄りつつたらたらと13時間のドライブ、忍耐そのものですな。
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この東北遠征、往路は朝3時に出て約650kmを日本海側からで10時間。
疲れてはいたけどその日のうちに出羽三山の入口、羽黒山へ行けた。
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膝を痛めてから自分の考えがかわり、とにかく、行けるうちに行きたいところへ行く。
運転も大変だけど、ふさわしい移動手段を考えつつもう少し動くつもり。
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田沢湖で水浴びもいいかも。


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2018年8月17日 (金)

山歩き:人気に納得、秋田駒ケ岳

山歩き:人気に納得、秋田駒ケ岳

秋田駒ケ岳(1637m)は田沢湖の東にそびえ、色彩豊かな高山植物で有名。
最高峰の男女岳を中心に男岳、女岳、小岳、横岳などの総称。
以前、麗人街カヌークラブのN下くんが絶賛していたことはよく覚えている。
いつかは、と思っていたが実際に歩いてみてその箱庭的火山の美しさに納得。
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【山行日】2018年8月2日(木)    
【山 域】秋田県、秋田駒ケ岳
【天 候】晴れ時々曇り、猛暑
【形 態】周回 同伴 軽装
【コース】アルパこまくさからバスで八合目駐車場へ、起点
休暇村岩手網張温泉7:52==8:57アルパこまくさ==バス==9:50八合目P
P9:55--10:27片倉岳展望台--11:06あみだ池--11:20男岳--11:43あみだ池--
--11:52男女岳11:58--12:08あみだ池12:39--12:54横岳--焼森--14:01P

山形県の羽黒から出羽三山湯殿山をパスし、秋田県経由で岩手県網張温泉へ。
その距離は約250km、近くの県だからすぐ着けるだろうと勘違いしていた。

移動日、知識として知っているだけの未訪の地理上の地点をいくつかまわっていく。
学生の頃、名前だけを知っていたものと実物が結びつくうれしいふしぎな感覚。
たとえば新庄や大曲、角館の町、松尾芭蕉の最上川、クニマスのすむ深い田沢湖。
山間の地方の単線らしき線路をモダンな色の車輌が!!?えっ、あれが秋田新幹線。
そこから岩手県に抜ける道がかなり高いところを通り、それが連続したトンネルばかり。
県境からは急な長い下りで雫石、広野をぬけて小岩井牧場そして網張温泉へ。

休暇村岩手網張温泉では三連泊だが、実際使えるのは二日のみ。
なんといってもそこは雄大な山、岩手山のふもと、山へ行くなら当然そこへとなる。
でも相棒が強硬に容易に行ける花畑を所望してフロントスタッフに相談、秋田駒ケ岳に決定。

宿泊地から近い登山口があるのにわざわざ遠回りして、しかも有料バス利用だなんて。
無駄なことが多いが山歩きズブの素人の方の機嫌を損ねたらもっと問題になる。
秋田駒ケ岳の人気コースはマイカー乗り入れ規制があり代替バスなどの利用になる。
上高地や乗鞍の規制と同様、有名な観光地としての宿命。

駐車場のアルパこまくさは収容量十分、規制道路は狭くて急で、規制しないと大変そう。
バスだから感じるのかもしれないが、本当に急坂で狭いくねくね道を上がっていく。
高度をどんどん稼ぎ、やがてちょっとした広場の八合目駐車場に着く。
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あらまあ、なんと雄大な稜線だこと。

八合目小屋で「秋田駒ケ岳自然観察マップ(150円)」を入手し、準備して出発。
そこそこいた乗客の中にはとても山歩きするような格好ではない方もいた。
こちらにも山歩きズブの素人がいてなんだが、なんかちょっと安心、おいっ。

一般コースは新道コースで、駒ケ岳の山腹をぐるりとゆるやかに回りこんで行く。
脇には高山植物が咲き、それなりによく整備された山道を進む。
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どうみても高齢のおばあさんが年配の息子夫婦(?)とともにゆっくり進んでいく。
それよりも遅いペースで足元を確かめながら歩いていく。

片倉岳展望台で一休み。

昨日初めて訪れた田沢湖を眼下に見る。
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新道は男岳と男女岳の間をゆるやかに抜けて行き木道のお花畑に突入。
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そこは山に囲まれた窪地であり、その先にはあみだ池が鎮座し、池の周囲を木道が走る。

なんか地上の、というか山上の楽園、絶好のロケーションではないか。
(しばらくあとで、高い位置から撮影)
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たくさんの観光客はここまで来て花畑や池を楽しみ、来た道を引き返していくのだと。
ということで相棒はここで休憩、合間を利用して自分は男岳(1623m)に向かう。

たったったと少し上がっていくと、その向こうの世界にびっくり。
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正面にはこれぞ火山という女岳(1512m)があり眼下には苔むして深緑の谷底が広がる。
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なんとまあ素敵なロケーション、と下手な形容を連発する。

火山はいいなあ、なのか、これぞ求めていた正しい火山の荒い姿なのか。

「馬場の小路」が正式名称らしいが、最近は「ムーミン谷」が一般的な聖地。

一方、上がっていく男岳は岩ごろごろの歩きにくい道だが、開ける展望は万歳三唱。
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ガスが出てきてくっきりしないのだけが残念。
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半世紀ほど前に噴火した女岳の異様もいいし、先の小さな小岳はプリティだ。
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深緑の中の白い線のように見えるのは木道、ということはまわりは花畑なのだ。

ただあそこへ下りていくと再び上がってこなくてはならず、時間もかかりそう。
ちょっとした合間に行けるところではない、残念至極。
男岳をあわてて下り、あみだ池の木道を通って相棒に再会。
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お花畑は楽しんだか、疲れていてもこの先を少し上がるだけで絶景が見られるぞ、と注進。

ふたたびその合間を利用して今度は駒ヶ岳こと男女岳(1637m)にむかう。
こちらは主峰としての面子なのか、道は階段状にしっかりと整備されている。
歩きやすいから勢いだけでさっそうと山頂へ。
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一応標高が一番高いし、中心にあるので四方に開けた展望は?
なんたる不運、ガスガスで男岳すら見えないではないか。

じれったくもしばし留まり、山頂に付き物のキアゲハを撮り、じっと待つ。
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だめだこりゃ、ふてくされて下りていくと最後の方でようやくガスが切れる。
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あみだ池小屋やその周辺をうろうろし、木道の腰をおろして休憩。
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やっぱりこのロケーション、いい。
全然、飽きないわ。

いつの間にか、駒ケ岳こと男女岳が美しい姿を見せている、なんだ否ありがとう。
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しばらくしたら相棒が戻ってきた。
ずっと女岳とムーミン谷を眺めて昼食休憩していたそうな。
帰りはどうするか相談。
観光客は来た道をもどる、山ヤの多くは横岳経由で焼森からシャクナゲコース。

小さな子ども連れが横岳方面に向かったので、あとをついていく。

上がっていく途中、もう一度あみだ池周辺のロケーションをおさらいする。
浄土平という一段下がったお花畑湿原らしきもよさげ。
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横岳から見る男岳・女岳方面も、お見事。
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横岳から下っていく道は外輪山をまわる稜線歩きで、大きな景色が見られる。

稜線の肌地にはコマクサも見られ、こちらにまわって正解だった。
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ただその後の下りはちょっと難儀する。
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山に慣れていないと踏ん張れない下りはとても辛そうで文句たらたら。
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シャクナゲ樹林帯も長くて、暑さにひりひり。

最後、停まっていたバスにぎりぎり間に合ったことは幸運だった。
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気楽にお花畑が見られる秋田駒ケ岳、その人気のほどがとてもよく分かった。
麗人街カヌークラブのN下くんの見立てはいつもながら正確だ。
コースとしては今回のが気楽だが、国見温泉からだともっと素敵な周回になるはず。
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2018年8月12日 (日)

山歩き:雄大な月山

山歩き:雄大な月山

出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)の中心、霊峰月山(1984m)に参る。
山の大きいこと、なだらかで広大な湿原、よく整備された登山道とお花畑。
視界も方々に開けるから、見ても見られてもともに雄大でなるほど霊峰、納得。
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【山行日】2018年7月31日(火)    
【山 域】山形県鶴岡市、出羽三山・月山
【天 候】晴れ時々曇り、猛暑
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】月山八合目駐車場起点
休暇村羽黒6:06--6:40八合目P
登山口7:10--弥陀ヶ原--8:17九合目仏生池小屋--9:10月山山頂9:48--
--10:34九合目--11:23登山口

前日、羽黒山の三神合祭殿を拝殿したので出羽三山は御参り済み、などとは言うまい。
知人から月山の素晴らしさを聞いているからこその今回の山歩き、三山は後付け。
休暇村羽黒もそんな宿泊者を「月山登山応援プラン」で支援している。
朝食の「幕の内弁当」と昼食の「おにぎり」を朝6時に渡してくれる、というもの。
ありがたいことだが、今回に限っては渡す時刻が遅すぎる、とても山ヤ向けではない。
ただ、出羽三山ならそれでいいし、月山を登る人も山ヤだけではない。

朝一番の6時に弁当をもらい、一路、月山八合目を目指して車を走らせる。
いったんは下っていく月山高原ライン、八合目まで上がるのは結構急なジグ道になる。
よくもまあこんな高度まで車で楽に上げてくれるのか、と申し訳ない気分にもなる。
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今日は、山歩きが全く初心者の相棒がいるので、安心させる意味でも大事なこと。
相棒には、広大な高層湿原に咲く花々が魅せる世界「天空の楽園」で過ごしてもらう。

まず「天空の楽園」月山八合目弥陀ヶ原湿原の木歩道コースをじっくりと回っていく。
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足元に不安がないことを確認し、十分に花々を楽しめそうなので、別れて出発。
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しばらくは木道があり、なければ敷石がきちんと置かれていて歩きやすい。

高層湿原につきものの池塘が随所にあり、花もそれなりにある。
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平坦な湿原から一段高い部分へ上がっていく。
一段上がるごとに、視点が高くなり、視界が広がる。

歩いてきた弥陀ヶ原を少し高いところから俯瞰する。
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遠くに見えるのは鳥海山、憧れの東北の山のひとつ。

笹原が多少は優勢だった登山道脇に花々が目立つようになってくる。
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なだらかな道で前方がよく見渡せるが、月山山頂はその先でガスの中のようだ。
道は広大な山腹を一気にではなく左からトラバースするように大きく迂回していく。
大きな石が並べられたような道は楽ではないが不満もない。
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周囲がすべてお花畑で、その先に青空が広がればロケーションとしては言う事なし。
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アザミに群がるキアゲハ。
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ツガイであたりを飛び回っているのは、頬のあたりが美しいウソだろうか。
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惜しむらくは朝の8時ごろとはいえ気温が高く、太陽光が容赦なく照りつけること。

まもなく数人連れで下ってきた一団は休暇村宿泊者で早朝4時ごろに歩き始めたと。
そうだろうな、山ではやはり早出にかぎる、とくにこんな猛暑なんだから。
ニコニコと休憩している二人連れの人は姥沢口から上り、山頂小屋泊で下りをこちらにと。
小屋泊のよかったことと、なだらかな下りの花畑と雄大な眺めにすっかり満足の様子。
これから上っていく自分だって、歩いていることがとても気持ちいいんだからよくわかる。

行者ケ原と名づけられた湿原も手付かずの自然を満喫しているような感じでいい。
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回り込んでいくとそれまで分からなかった場所に小屋があり池がある。
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九合目の仏生池小屋で、これは雑誌か何かで見た景色だ。
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どーんと平らでだだっ広いだけのような月山だが、近くでみるとそれなりに彫りが深い。
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谷を抜けて向かっていく先の尖っているのが山頂だろうか。

オモワシ山の脇をぬけると、西側に湯殿山方面の尾根や残雪が見えた。
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三山のひとつ、湯殿山は見るだけでいいと思っていたが、どこがそれだかさっぱり分からない。

ふたたび木道があらわれると山頂が近い、ただどんどんガスが出てきた。
山頂付近はそれとなく急峻で、道にはロープが張られている。

高みがあるので寄り道感覚で上がってみると、そこには三角点があった。
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なるほど、三角点を設置しようにもそこには立派な先客があって空き地はここだけ、と。

せっかく高みに上がったのにガスの動きが盛んで視界が開けない。
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大きく回りこんで月山神社に赴く。
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注意書きをしっかりと読み、デジカメをしまい、急遽少しだけ敬虔な面持ちになる。
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ここでのことは「語るなかれ、聞くなかれ」ですけん。

この後、西側の姥ケ岳方面に少し下ってみたかったが、濃いガスの世界であきらめる。

東側にもどり、賽の河原北の月山から流れ出る一の池状の原を見下ろしながら朝食にする。
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休暇村羽黒の幕の内弁当、ここではどうも・・・書くなかれ。

山頂周辺だけガスに覆われ、気分もふさがれた感じなのでユン・ゲサン。

下山道としては申し分のないなだらかで雄大な道を歩いていく。
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すれ違う人が多い。
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さらに容赦なく照りつける猛暑の中、さぞ辛かろう、だがこれも修験。
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登山気分の人にはふつうに、白装束の方にはそれなりに。
グループで、連れてこられて大変そうな人には、自らが招いたこと・・・言うなかれ。

狭い道の真ん中で周りを気にせずへたり込んで休む一団。
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まだ先が長いのに、すぐ先の岩を勝手に山頂と決め付けないでいただきたい。
登山はえらいことでもすごいことでもない、自らの意思と足で歩まれよ。

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弥陀ヶ原が近づくにつれ、花々の種類が減っていくのは普通のこと。
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なだらかな道の往復山歩きとはいえ、見るもの聞くものが楽しくて満足。
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距離も時間も短いが、これぐらいが一番濃縮の味でいい。

縦走とか修験の道にも心惹かれ機会があれば再び、と思った月山の山歩き。

帰り、休暇村近くの月山ビジターセンターの寄る。
近くの池もなかなか趣があっていい。
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2018年8月 8日 (水)

山歩き:羽黒山に参る

山歩き:羽黒山に参る

出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)のひとつ、羽黒山(414m)に参る。
霊峰月山の門前で巡礼の山、かつてはこの季節に松尾芭蕉も訪れたという。
ミシュランの星も並ぶ、多くの人を惹き付けるその魅力にせまる。
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【山行日】2018年7月30日(月)    
【山 域】山形県鶴岡市、出羽三山・羽黒山
【天 候】晴れ、全国的な猛暑にならぶ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】随神門近くの指定駐車場起点
随神門14:36--参道--15:15羽黒山山頂15:33--16:08随神門

今回の旅行は休暇村羽黒に二連泊、休暇村岩手網張温泉に三連泊する。
宿泊地が先に決まり、旅行の合間をぬって、できるなら山を歩くという計画。

出羽三山を目指すなら宿坊に泊まり神社をめぐるのが一般的だが俗に浸る。
聖地であり観光地でもあるので駐車場の心配をしたが、十分な広さがある。
たくさんの参拝客が入れ替わり立ち代りに来るが、回転が早くて滞在時間は短い。

入口の鳥居である随神門、荘厳な雰囲気である。
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樹齢の高い木が並ぶ参道を、まずはどんどん下っていく。
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たくさんの参拝客の皆さんも神妙な面持ち。

橋を渡り、大きな枯れ滝を眺め、巨木の爺杉を仰ぐ。
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そして徐に上がっていくと左手に国宝の五重塔、ここまで門から300m。

寄らずに先へ進むとふたたび五重塔を別の面から見ることになる。
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そこらへんから有名な長い階段が本格的にはじまる。
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まっすぐにぐんぐん上がっていくところ。
少し楽になり、もうすぐかな、と気をゆるめそうになるところ。
なだらかにカーブを描き、更なる先を期待させるところ。

疲れたころにあらわれる茶屋。
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ずっと樹林の中を歩いていたのにふと振り返るとそこだけ視界が開け下界が見える。
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長い石段ももう終わりだろう、と思わせてからもきつく長い。
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そしてようやくあらわれる山頂(?)広場の祭殿群。
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ふだん当たり前のように山歩きしている山ヤなら少しきついぐらいに思う石段。
それが日頃は普通の生活を送っている人や、運動に背を向けている人にはきつい。
途中で何度も息を切らして立ち止まり、呼吸を整えるしかない。
石段という階段だから足を上げなければならない、これはどんどんきつくなる。
そんなこんなの苦労の末たどりつくのだから、苦しさの深さほどありがたみが増す。

三神合祭殿の大社、茅葺の屋根の重厚さ。
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たくさんの神様がなかよく(?)居並ぶ様もおどろき。
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往きの上りがあれば、帰りは下りが連続する。
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足元がふらつくと危険なので筋肉疲労を感じる人はさらに慎重になる。
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そして最後に上り返しがある。
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これだけ短時間で一気に筋肉をいたぶられれば、疲労度以上に感慨も沸くというもの。
地元愛知県だと鳳来寺山参道がよく似ている。
「奥の細道」古道(昔の月山登拝路)が羽黒山有料道路に沿ってあるが敬遠した。
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2016年8月11日 (木)

山歩き:飯豊連峰、丸森尾根から朳差岳

山歩き:飯豊連峰、丸森尾根から朳差岳

夏真っ最中、遠征山行は昨年に続き飯豊連峰へ、稜線遊歩縦走を目指す。
稜線までは辛い上りが続くが、上がってしまえば好展望とお花畑の世界になる。
一度訪れているから計画も少し欲張りなもので、北部の朳差岳を含める。
しかし天気その他や、自分の都合だけで事は運べないものと、がっくり。
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【山行日】2016年8月7・8日(日・月)    
【山 域】飯豊連峰北部、長者原・丸森尾根・梶川尾根・朳差岳
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】一部往復の周回 単族 重装
【コース】長者原(飯豊山荘)登山口駐車場起点
第1日目 P4:34--丸森尾根--6:30夫婦清水--8:12丸森峰--9:11地神北峰9:37--
--10:15頼百木小屋11:11--11:38大石山--12:13鉾立峰--12:48朳差岳13:25--
--13:50鉾立峰--14:28大石山--14:58頼百木小屋(宿泊)
第2日目 小屋5:58--6:37地神北峰--7:17扇ノ地神--7:42門内岳8:06--8:30扇ノ地神--
--9:03梶川峰9:14--10:05滝見場--10:40湯沢峰11:01--12:06下山口P

夏は平地の暑さから逃れて高い山地に限る。
遠くまで伸びる緩やかな稜線を、咲き乱れるお花畑の中を、たらたら歩きたい。
それなのに飯豊の夏は平地と同じぐらい暑く、太陽が容赦なく照り付ける。
みんなそれがわかっていても重い荷物を背負って汗をいっぱいかきながら集まってくる。
まるで飯豊はイイデなんて文句の当然さのほかに何がある、というように。

家から600キロあまり、高速を利用しても移動だけで丸一日使う。
当日の朝は市の住民検診があり総合病院へ寄っていく。
準備とか体調や移動の事で何かと不安があり、検査も高血圧でメタボ体型だと。
高速走行中も数件の事故を目撃し、その影響から時間が余計にかかる。

なんとか登山口の山形県小国町へ入るが気温は30度を越えている。
それは宿泊した長者原、飯豊山荘でも同じで、蒸し風呂のような部屋で眠れずに過ごす。
とにかく夏の飯豊連峰は暑い、少しでも涼しい夜中から動き出すに限る。

4時には準備も出来たが真っ暗でまずい、ということで少し明るくなった4時半過ぎに出発。
丸森尾根登山口は山荘のすぐ前にあり、いきなりの急登で喘ぎながら上がっていく。
そのままずっと急坂が続くが、暑くはないし、少しずつこなしていけばなんとかなりそう。
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振り返ればどんどん高度を稼いでいる、でも対岸の梶川尾根ってもっと急なんだ。
そして日の出の明かりが谷間に差し込むようになるとじわじわと暑くなって来る。
ざれ石の痩せた尾根道は緊張感が少し必要。
道端になんとか腰がおろせるような倒木があり、朝食タイムとする。
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その後もまじめに上がっていくが、樹林帯に入って日陰があり、緩やかな歩きになる。
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丸森尾根は梶川尾根と兄弟のようなものかと思いきや、そうでもなさそう。
どんどん高度を上げている梶川尾根に対して丸森は中弛みがながくゆったりしている。

唯一の貴重な水場、夫婦清水に来る。
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ちょっと冷やかしのつもりで寄るとすぐ近くだったので、水を飲んでいく。
小さな沢の流れから水を掬い取るもので、足場が不安定なので要注意。
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冷たい水で、担いでいる水よりはずっと気持ちがいいのは当然、それがいいのかどうかは微妙。

大きな沢音がすると眼下に滝や急な沢が見えた。
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はるか遠くにはたおやかな稜線の横腹が見えて、まだまだ歩く距離の長さを感じる。
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そこら辺から丸森尾根の上りが本格化してくる。

ぱらぱらと下りてくる人にも出会うようになる。
ダイグラ尾根を上がり、稜線をずっと縦走して丸森から下るお姉さん二人組には参った。
そのコースは自分も最初に目指していたものだが、弱気から前日に急遽変更したのだった。
なにせダイグラ尾根には水場がないので担ぐ水が多くなる。
その装備でザックを担いでみると、数歩でよろけてしまって、とても無理と判断したのだ。
最近のお姉さんや若いのは、何かと挑戦的だし、実践力にも感心させられることが多い。

丸森峰を過ぎても道はまるで楽にならず、どんどん斜度を増していく。
ほぼ稜線歩きのような感じになっているのに、がれがれの道は歩きづらくて仕方がない。
そこに容赦なく照りつける太陽。
樹林帯を抜けたところで帽子に、手ぬぐいのぴらぴらサンバイザーを付けたのに。
救いは道端の花と遠くの景色。
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丸森尾根の詰めは地神北峰だが、とにかくずっと先の方に見えて遠い。
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ふらふらになりつつようやく地神北峰に到着。
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ここでようやく南側の稜線と西側の世界が開ける。
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そして北西には、飯豊連峰の北側稜線が連なり、朳差岳と思しき山も見える。
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そこで休憩していたテント泊三人男組と少し話しながら、ぐったり休憩とする。
それにしても皆さん、テントまで担いで装備がでかくて重いのに元気のあること。

ぼんやり稜線の先を見ていると、何人もの縦走者が連なって歩いてくる。
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彼らがやってくるまでもう少しここで休んでいよう。

まず来たのは若い夫婦でこれまたテント組、頼百木山方面へすぐに降りて行った。
続けてきたのはヘルメット五人組で、石転び沢を上がろうとして警察に止められたとか。
いやはや皆さん、元気いっぱいでこの交差点を通り過ぎていく。
頼百木方面は1組だけでほかはみな丸森方面か、では自分はその少ない方へ。

よろよろと下りて行くと、道端には花が多い。
あれ、イイデリンドウではないか。
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花は少し小ぶりだがそこかしこにある、やったね、これこそ飯豊に来た気分。

頼百木山までも緩やかな歩きで、ようやく花畑が広がる稜線漫歩。
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先の夫婦がそこで休んでいたので、先に進むことにする。
頼百木小屋はすぐ眼下に、アルプスの少女的背景で見えていて、近い。
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ここで自分のプラティパスの水が切れた、あぶないところだった。

小屋の水場が先に見えて、そこに人影がいる。
ここまでしっかりと歩いてきて疲れているが、時刻はまだ10時すぎ。
あまりに早い感じもするが、今晩の小屋泊を申し出る。
ここの水場の良さは聞いていたのですぐに水に手を出し、飲む。
冷たくてうまい、生き返った感じ。
この冷たくてうまい水をがぶ飲みしながらおにぎりを食べ、そしてパンを流し込む。
少し気も落ち着いたので、先客の若者と話す。
彼は自分の2倍以上の重さのザックを担いでは新潟側から日帰りをしているそうだ。
食材をたくさん持ち上げ、それらをいろいろ調理して食べるのがいいのだと。

計画ではすぐにでもここから朳差岳を往復するのだが、下ろした腰が重い。
天気は晴れのまま、日差しは真昼間でがんがん照りつける炎天下というやつ。
でも先のテント泊夫婦が朳差岳に向かうというので、後を追うように自分も出発する。
ガイドブックでは往復4時間という、辛くて長い時間と距離。
プラティパスにはしっかりとここの冷水を2リットル入れる、安心だね。

小屋から朳差岳を見ると、小屋と山頂との標高差はあまりない。
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それよりも露払い、太刀持ちといった感じの前衛峰があって上り返しがきつそう。
花畑の稜線をほぼ下りながら進んでいくと、小屋に向かう人とすれちがうことが多い。
新潟県側の足ノ松尾根を上がって来た人たちで、それがほとんどともいえる。
大石山までは問題なし。
そこで回り込むようにして朳差岳方面にむかい、進行方向を見ると・・・。

目的の朳差岳は見事な山っぷりでいいのだが、その前に鋭い山が邪魔をしている。
大きく下ってからその鋭い山、鉾立峰に上がり、どうもその後にも大くだりがあるようだ。
若い夫婦は軽やかに進んでいくので、なんとか離れないようについていく。
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鉾立峰への上りは壁を上がっていく感じ。

ようやく鉾立峰の狭い山頂に立つと、案の定、再び大下り上りがあるが行くしかない。
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それにしても朳差岳、自らも格好いいし、簡単には登らせないなんて、憎いね。
ずんずん進むにつれてどんどんお花畑が広がっていく、これまたまた。
偉人のレリーフを過ぎると山頂テーブルランドに上がったようで、こりゃあ別世界だ。
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避難小屋がその広場の中心に建てられ、山頂は少しだけぽこんと抜けたところ。
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噂には聞いていたけどこの山の人気のほどがわかる。

とりあえず狭い山頂に急ぎ、そこでしばらくの間、ぐったりとする。
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ここへ来るまでとても大変だったが、そんなことはすぐに忘れ去らせてくれる場所だこと。

ただ心の奥底ではこれからのことを考えてブルーになってくる。
小屋からここまで来たが、どう考えても帰りのほうが上り返しがきつそう。
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そこはたくさん担ぎ上げた冷たい小屋の水の威力もあって、なんとか時間内に戻る。

前日は30人で繁盛の人気小屋は、この日もどんどん人を集めていた。
新潟県側から来た人が多く、そのまま帰っていく人が多いのも特徴のようだ。
飯豊連峰は南部の福島県、北部の新潟県、中央の山形県で色んな楽しみ方がある。

夕方からは少し風が出てきて、台風の影響ではないか。
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小屋の管理人さんによると、次の日の夜からその翌日にかけて影響がありそう、とも。

次の日の自分の計画は、飯豊本山まで縦走し、翌日ダイグラ尾根を下るというもの。
変更して明日すぐに下山しても、そこは納得の今日の歩きだったから。

夜、小屋の中は稜線上にあることを忘れる温度で、シーツだけで充分、シェラフは不要。

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山小屋の朝は本当に早い。
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夜明けごろにはほとんどの人が準備を終わり行動開始していた。
これにはいつものことながら参る、夕方頃のもたもたとはえらい違いなんだから。
そんな中、あのテント泊の若夫婦だけがのんびりしている。
新潟県側へ下るだけとはいえ、歩きに自信があるから余裕をもって楽しんでいる。
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心のゆとりからくる時間の味わい方というか、本当に感心する。

今日で下山と決めた自分は、だらけて出発が遅れ、6時ごろ出発。
折角だから稜線の縦走を予定の三分の一ぐらいやってから下ることにする。
何せ楽しい稜線漫歩、苦しい上りもないから進む進む。
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下りの梶川尾根、扉ノ地神を通りすごし、門内岳へ。
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門内小屋は改修中。
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どぎついトリカブトの色鮮やかな周辺のお花畑は健在。
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門内岳の社の赤い屋根は目立つが、ガラス扉もいいもんだ。
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北股岳まで行くときりもよさそうだが、中途半端が自分流。
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稜線歩き気分をなんとか味わったので心置きなく下ることにする。

ニッコウキスゲ畑に少女のまま婆になったヒメサユリがいたりして。
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ここの尾根、上りも大変だが下りもきついのは予想通り。
ずるっと滑ったり、必死に両手を使って下りたり、と。
がんがん下って高度をどんどん下げているはずなのに時間がかかる。

楽しみ(?)といえばブナ樹林帯の「切りつけ」か。
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いやあ、この歴史遺産は程度の差がありすぎ。
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丸森尾根が眼下に見えたのは少しの間で転げ落ちるようにして登山口のたどりつく。
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2015年8月13日 (木)

山歩き:憧れの飯豊連峰 後編

山歩き:憧れの飯豊連峰 後編

前編は初日、梅花皮小屋に泊まった所まで

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【山行日】2015年8月2・3・4日(日・月・火)    
【山 域】飯豊連峰、天狗平・梶川尾根・大日岳・飯豊本山・ダイグラ尾根
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】周回 単族 重装
【コース】長者原(飯豊山荘)登山口駐車場起点
第1日目 P5:13--6:35湯沢峰--7:13滝見場--7:54五郎清水--9:03梶川峰9:29--
--10:19扇ノ地神--10:45門内小屋11:17--12:28北股岳12:59--13:25梅花皮小屋
第2日目 小屋5:38--6:18烏帽子岳--御手池--8:35御西小屋--9:44大日岳10:17--
--11:29御西小屋12:27--13:20駒形山13:32--13:51飯豊本山14:26--14:38飯豊本山小屋
第3日目 小屋5:10--5:22飯豊山--6:54宝珠山ノ肩--8:47千本峰--10:10檜山沢出合--
--10:41梅花皮沢出合--温身平--11:03P

 ~前編からの続き~

夜は、シュラフは必要とせず、ドライシーツで過ごす。
明くる日、縦走組は4時過ぎには起きててきぱきと出立、遅いのは下るだけの人。
なぜか自分はその後半組と一緒になって、朝からのんびり山の話をしている。
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山には少しガスがかかっているが、今日の縦走は花畑だからいいかと思うことにする。

立ち去りがたい梅花皮小屋を後にして、梅花皮岳へと登っていく。
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上はいつも行動着だけの2枚だが、昨日からベースレイヤーの長袖1枚にしている。
肌寒いかと思ったが今日もすぐに暑くなってこれで十分だった。
およそソフトシェルとかの出番というのをいつも感じたことはない、雑誌の記述通りではない。

梅花皮岳の北側はすっぱり切れ落ちていて、先へ進むとほどなく烏帽子岳に着く。
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ここら辺からガスが切れるようになり、広がる視界に花畑や縦走する道が見えてくる。
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先は長いがそのなだらかな縦走路に、つぎつぎに現れる景色に期待は広がるばかり。

左手の尾根の高みが飯豊本山、右手に離れたなだらかな尾根が大日岳。
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このふたつの今日の目的地がしっかり見えてくる。

そして目の前には右に左にくねりながらどんどん高度を上げていくなだらかな縦走路。

道の両脇には草原と花畑、少し離れて雪渓が見られる。
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こんな道を散歩気分で歩いていく、ほかに何を求めようというのか。

前を見ても気分は高揚するし、振り返っても気分はいい。
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お花畑、雪渓、道型、遠くの山、そして湿原あり池もあり。
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何度も自撮りを試みるが時間だけ使ってこれはうまくいかない。
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ずいぶん遠くに見えた飯豊本山から大日岳へのなだらかな稜線に、御西小屋が見える。
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ここは縦走と往復の要所とみえて、行き交う人、休憩する人がとにかく多い。
最初は自分もこの小屋泊を考えていた、どう考えても便利なのは位置だ。

さて、ここで一旦道は外れるようになるが、大日岳に寄らないわけにはいかない。
飯豊連峰の最高峰でもあるが、昨日も今日も稜線からずっとその美しい姿を見せていた。
あいさつしないのは無礼、失礼というものだ。
ずっと見えていた大日岳へ到る道はとてもなだらかな曲線で、足にも優しそうだった。

向かう尾根道はまっすぐでなだらか、最後の方だけぐんと上がっていく感じ。
左から来ている尾根が急峻で牛首とかなんとか言われている。
大日岳に寄っていく人も多くて、まずはずんずんと下っていく。
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途中、眼下にかなり大きい文平ノ池が臨まれる。
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この池に寄らなかったのがひとつの後悔だが、仕方ないというか、そんなことの繰り返しだな。

眼前に大日岳の威容さが目立ち、急な上りにかかるころ、一気にガスが立ちこめてきた。
急な道は、今までとは異なり荒れていて、すれ違いも多少苦労する。
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ガスで覆われたことで、上りの辛さが薄まった感じはする。

ということで一番高いところに来た感じがして、少し下っていくと、そこに標識があった。
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ガスにともなう風もあって少し肌寒くなってきたので、風を避けるべく休憩場所を探す。

今日はここでゆったりと昼食休憩の予定だった。
窪地をさがし、雨具を着てなんとかゆったり気分になろうとする。

山頂方面を見ると、ガスの向こうに人影が浮かんでいる。
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地形図では、大日岳は広い山頂を持ち、西大日岳までテーブルランドのはず。

しかし、それらしい道はすぐにハイマツに覆われ、そのハイマツの広大な地のようだ。
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しばらくの間、ガスが切れるのを待ったが願いは通じず、あきらめて下る。

案の定、途中からガスは切れたが、大日岳山頂付近はずっと覆われたままだった。
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それでも大日岳に来る人は途切れることはない。
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御西小屋に戻ってから、飯豊本山へ向かう前に、やるべきことがあった。

命の水の補給、ここは梅花皮小屋とならぶよい水があるとの情報、ただ少し遠い。
だから最初は躊躇し、しばらく縦走してから考え悩み、戻ることにした。
確かに水場は、道から外れ、荒れた道を五分以上下ることになる。
雪渓の融けた水を当てているのは同じだが、ここはとにかく冷たかった。
水を補給するのが面倒なのは、ザックの荷物を全て詰めなおさなければならないから。
でもまあ、それをして重くはなったが心は安心、飲む水も旨いから文句はない。

ここからは飯豊連峰一番といわれる縦走路なんだから、心置きなく歩きたい。

最初、御西岳を巻いていくなだらかな道は広いだけで特になんでもない。
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大きくカーブして、正面むこうに飯豊本山の連峰が見られるようになると期待が高まる。
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ふだんなら飯豊本山までまだ遠いし、かなり登っていくんだな、と思う。

すぐにそれがつまらない悩みと思えるようになる。

なにしろこの縦走路は広くてなだらかな尾根をこれまたゆったりのんびり上がっていく。

傍の雪渓は今までの何倍もの大きさで、広い草原は当然のように花畑。
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これっていったい何。

花畑で埋もれるように休憩しているふたりの御婦人。
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おそらく両人ともふだんは時間に追われて歩き、予定のコースをこなしているのだろう。

今日だって、泊まる予定の御西小屋を目指していた。
途中、ふとここで休みながらも、道を歩いているみなさんには申し訳ないような気分でいっぱい。
でも今日、彼女たちは知ってしまったはずだ。

予定通り歩く、先へ急ぐ、それは大切だが、一番気持ちのよいところで休憩する快感を。

そんな御婦人たちの表情がずっと消えることのない一日だった。
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後ろ髪を引かれつつ、その後、駒形山と飯豊本山で我々もじっくり休憩。
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この我々というのは、昨日の梅花皮小屋から大日岳そして本山までずっと同道の者。

その後はなんと、次の日、ダイグラ尾根を下るのも一緒というふしぎな運命の結びつき。

単独の自分、大阪の夫婦、新八王子山の会の三人組で、学び感じることが多かった。

そして、ゆっくりめに飯豊本山避難小屋に入る。
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情報ではそんない混まない、から、団体さんが入っていっぱい、とか。
予約はほとんどあてにならず、小屋の管理人さんもよくわからないので困った表情だった。
結局はひとり60センチ幅のぎゅうぎゅうづめに近い状態になり、混雑を極めた。

福島県側からの往復登山と、山形県側からの縦走・周回登山が交錯する要だから当然だが。
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飯豊連峰では切合小屋以外は避難小屋で自炊が普通だが、一部サービスはある。
そんな食事サービスを当て込んだ人が、混雑のさなかなのに主張するのは如何なものか。
ここでも熱中症間近で予定の狂った方が暗くなってから到着して一悶着ありと。

あわただしい山小屋の夕方・夜に関係なく外は更けていった。
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ふたたび、山の朝は早く、あわただしい。

小屋のきまりで起床は4時とのこと、それを待ちわびた人々が一斉に活動を開始する。
ひとりひとりの狭い領地で朝食の準備と荷物整理が同時に行われ、そこを人が移動する。
これはたまらんと、朝食を外に逃げたら、雨具の収納袋がなくなっていた。

まるで久しぶりの山小屋泊はいろんな感覚や行動方法を思い出させてくれる。

小屋の中はいつのまにか、気がついたら人の気配も荷物もなくなっていた。
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こりゃいかん、また出遅れた。

今日はダイグラ尾根を下るだけとはいえ、2Lの水と10時間は覚悟せよと管理人に言われた。

みなさんとあいさつを交わし、小屋を離れ、ふたたび飯豊本山をめざす。
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早朝の本山は影飯豊を御西方面に広げ、その向こうには大日岳の姿が見えた。
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山頂に並んだみなさんの後姿は、しばし立ち去りがたいという意思を表しているのだろうか。
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ダイグラ尾根は本山の右側にすそを伸ばす北尾根で、コブがぼこぼこと連なっている。
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下っているのか登っているのかわからないような尾根、というのがその特徴のようだ。

なだらかな斜面をくだっていくと、最初の鞍部にむかう大阪の夫婦の方の姿が見えた。
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道は薄い踏み跡で、朝露が多くて、濡れた岩が滑りやすかった。

振り返ると、急斜面の向こうに飯豊本山の頂が見える。
向かう先は、三角錐の姿が美しい宝珠山の前衛と連峰といったところか。
道は巻いている部分も多そうだが、アップダウンも避けようがない。
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下っているようですぐに上がりになり、狭い巻き道をへつり、山を上っている。

ところがピークをいくつも通っているのに、どこが宝珠山か分からなかった。
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次のピークが格好いいからそれかと思っていたら、そこは上がらず巻いていた。

向かう先へ道ははっきりしているが、コブは続いているので気はやすまらない。

東側の巻き道が多いので、そこは日をあびて花畑になっている部分が多い。

この山はどこへ行っても花畑が広がり、種類も豊富で暑さを忘れさせる。

このまま下るだけかと思うと、顕著な大岩があらわれ、どうやって越えていくのか、とか。
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左手、西側を見れば、昨日歩いた稜線が美しい。
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振り返れば、飯豊本山からこんなにも濃蜜な尾根を下ってきたのかと感心する。
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そんなこんなもいよいよ下り一辺倒になってきた。

この急な下りの長さは覚悟ができているので一気に行くのみ。

途中、モーター音が聞こえたのは、登山道の草刈をされている方だった、お疲れ様です。
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何本もの太いブナには、模様なのか、読めそうで読めない「切りつけ」がいっぱい。
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沢音が聞こえてからも時間はかかったが、ようやく出合の吊り橋に到る。
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ここに来たら、沢で水浴びでもしようと楽しみにしていたが、林道歩きがまだ1時間はある。
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ぐっとがまん、という悪い流れのまま、緑の濃い森に突入。
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温身平になるとそれは森林セラピー基地として整備されていた。
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どんどん暑くなる夏の日中、とにかく早く下る事ばかり考えてはいたが、終点に近づく。
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自分にとっては初めての東北で、久しぶりの小屋泊縦走とあってなれない事が多かった。

でも、念願の稜線を歩けた事で満足感は大きいし、山はしばらくはもういいかとも思った。

コースの取り方や歩き方、装備ふくめて山への考え方を見直すよい機会にしたい。

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2015年8月 9日 (日)

山歩き:憧れの飯豊連峰 前編

山歩き:憧れの飯豊連峰 前編

ずっと憧れていた山塊、飯豊連峰に、ようやく行ってきた。
是非行きたいと思ってから十数年、遠くて日数がかかるから敬遠していた。
現地まで1日かけ、2泊3日の短縮縦走登山だが得られたものは非常に大きい。
大きな目標を達成して、思い出に浸り、ここ数日間は呆然としている。
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【山行日】2015年8月2・3・4日(日・月・火)    
【山 域】飯豊連峰、天狗平・梶川尾根・大日岳・飯豊本山・ダイグラ尾根
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】周回 単族 重装
【コース】長者原(飯豊山荘)登山口駐車場起点
第1日目 P5:13--6:35湯沢峰--7:13滝見場--7:54五郎清水--9:03梶川峰9:29--
--10:19扇ノ地神--10:45門内小屋11:17--12:28北股岳12:59--13:25梅花皮小屋
第2日目 小屋5:38--6:18烏帽子岳--御手池--8:35御西小屋--9:44大日岳10:17--
--11:29御西小屋12:27--13:20駒形山13:32--13:51飯豊本山14:26--14:38飯豊本山小屋
第3日目 小屋5:10--5:22飯豊山--6:54宝珠山ノ肩--8:47千本峰--10:10檜山沢出合--
--10:41梅花皮沢出合--温身平--11:03P

この山塊はどこをどのように歩くといいのだろうか、適期はいつなんだろう。
はじまりは今から十数年前の剣御前小屋でのこと、そこで聞いた老人の言葉だった。
とかく山小屋での会話は自らの経験の自慢話合戦になりやすい。
だれもが聞きたいのは、一番よかった山の話で、他人の知らない世界の情報だ。
有名どころなら本や雑誌で知っている、そこに書かれていない冷徹な比較が知りたい。

ということでその後、フォッサマグナ縦走で飛騨・木曽・赤石山脈を通して歩いた。
生意気にもウラヤマからヒマラヤ、香港からニュージーランド・タスマニアへと足を伸ばした。
そんなうろちょろしつつ心の奥底ではいつか絶対にと、飯豊・朝日連峰をねらっていた。
すぐに行かなかったのは、近場の山や楽な山を先に済ませてしまおうという、邪な心。

そんなこんなでこの遠征のために今頃ようやく車にETCを付け、機会を伺った。
日頃の弾丸登山のように一日完結ではすまないので、縦走避難小屋泊の準備も面倒だった。
そして梅雨明けの晴天続きに熱帯夜がはじまり、涼しい山の稜線に逃げ場を求めていた。
当地から発信される情報では、登山口天狗平で22度、日中でも27度で別世界という報告。
通過に支障のある残雪や雪渓も微妙に解けつつあり、花畑は今を盛りとのこと。

現地までは600キロ以上、高速利用で8~9時間とのこと、登山口に宿泊する。
天狗平にある飯豊山荘は標高400mで、着くと暑くて30度を越えていた、おかしい。
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ずっと熱帯夜でバテていたので、登山口のここで休養をとって明日に備えようとしたのに。
夜になれば大丈夫と思っていたら、気温は下がらず、窓をあけたら大量の虫攻撃を受ける。

山の朝は本当に早い。
宿泊者はほとんどが山ヤで、団体さんは4時前に出発していた。
いつもながらもたもた準備の自分も、引きずられるように5時過ぎに宿を出る。
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そんなにあわてなくても、今日は稜線までの標高差1500mを上がるだけなんだから。
静かな車道を少し歩き、梶川尾根登山口に取り付く。

するといきなりの急登で、足だけでなく手も使って上がっていく事になる。
これならまじめに高度を稼いでいくので意外と楽なのでは、と思い始めていた。

鈴を鳴らしながら上がっていく先行者が見えたのに、すぐに見えなくなってしまった。
息を入れるために振り返ると、谷の向こうに丸森尾根の登山道がくっきりと見えた。
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新緑はまだ鮮やかで、立派なブナの木も多く、登り始めはどこでも急なので文句はない。
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人の声がすると、ロープが垂れた岩場で団体さんが手こずっていて、渋滞している。
あぶみから足が抜けずにとまどう人の足を持ち上げ、ついでに先へ行かせてもらう。

少し開けたところに出ると、そこが最初の目標地点の湯沢峰だった。
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ほら、コースタイムより早いし、順調そのものではないか、と少し安心。

そこから見上げる稜線は美しいし、飯豊本山や、下りのダイグラ尾根も見えていた。
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なんとかなると、先へ進む。
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滝見場からは梅花皮滝こそはっきりしないものの、稜線上の小屋がしっかり見えた。
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梶川峰らしきものも急崖の向こうに見えているのか、ニセ前衛峰なのか。
ここら辺から暑さのため給水する回数が増え、それとともに徐々に歩みが遅くなる。
とにかく暑い、数歩進んでは休み、水を飲み、たらたら歩くのくりかえし。
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五郎清水というこの尾根唯一の水場でも、数十メートル下りるという気力はもうなかった。
しかし暑い、樹林帯はすでに消え、潅木帯の木陰にわずかな涼を求め、牛歩する。
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上からは、結構な重さの荷物を背負った登山者が途切れずに下りてくる。
聞くと、稜線に上がり小屋へ行けば、水は十分にあるとのこと、それを朗報として進む。
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勾配が多少ともゆるくなってくると、尾根にしっかりとあがり、ようやく梶川峰らしい。
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長かったなあ、でも、梶川尾根から本稜線までのなだらかな道を見ると、やっとほっとする。

休憩、ここからはもう楽そうだ。
それにしてもすごい汗で、ズボンはおもらしをしたようにびしょびしょ、少しは乾かさねば。
ずっと自分の前にいた鈴ならし人は、水場に寄っていたので、ここで対面する。
地元、村上市の方で、かつては弾丸登山もしていたそうで、今日も日帰りとか。
彼には先行してもらい、ゆっくり休んでから、稜線漫歩に移る。
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それまでは見えなかった飯豊連峰の主稜線が開けて見えるので、気分はいい。
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ちょっとした山上池にオニヤンマが集い、花畑もちらほらと見られる。
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道は、土砂の流出が激しいらしく、しっかりと整備されている、ありがたいことだ。
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照りつける太陽、しっかりと残る雪渓、健気に咲く花。
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ニッコウキスゲの横の桃色は、ひょっとしてヒメサユリ?まだ咲いていましたか。

扇ノ地神で主稜線に合流すると眼下には別世界が開けてきた。
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でも、眼が向くのは主稜線の山々のつながりで、人工物の門内小屋をさがす。

ナツアカネが乱舞する中、次のコブには胎内山の山名表示があった。
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ちょっと地味だが、眼下に広がる地域が胎内市なんだから大事な山なんだ。

日本海東北自動車道のICの名は「荒川胎内」だったし、胎内って惹きつけられる名だ。

門内小屋はずっと見えていたのだが、素晴らしいロケーションにある小屋といえる。
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よくもまあこんな傾斜のある稜線上に、それ以上に花畑のど真ん中にあるなんて。
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そんな地に造ったのか、小屋を建ててから周囲を整備したのか、感心だなあ。

ここは水が豊富と聞いていて、まだ先が長いし、水も切れかけていたので当然に寄る。

窪地をともなった地形には池と空き地や笹原もあるが、貴重な水場はいったいどこだ。
赤旗で導かれるそれは、多少歩くことになり、雪渓から垂れる水だった。
先の村上氏や他の方も来ていて、こんな高い位置にあることの不思議さも感じた。
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でもここの水は、しっかりその勤めを果たしてきた最後のもので、すぐに場所変更になるらしい。

近くでは、ハクサンコザクラが咲いていたのには少しおどろいた。
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丸森尾根で下るという村上氏とはここで別れることになった。
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小屋から赤い社のある門内岳はすぐで、そこからは北股岳への長い道のりが見えた。
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遠くからずっと見えていた北股岳だが、稜線から見るとそれは非常に立派で、辛い上りを覚悟した。

本格的(?)な稜線歩きは飯豊に来ていることを実感させるもので、じりじり上がっていく。
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この北股岳というのは、どこから見ても飯豊連峰の主峰のひとつで、一日目の最高点になった。
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山頂も広く、大日岳を眼前にして、ここでようやくじっくり休憩し、昼食を取る。
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眼下には、人気コースの石転び沢の雪渓の全体像を見ることができ、急峻ながら花畑も見事。
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鞍部の梅花皮小屋への下りは、ごろごろの滑りやすい道で、気をつかわされた。
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そういえば今日の宿、梅花皮(かいらぎ)小屋はずっと遠くから見えていた。

稜線のふたつの峰の狭間、鞍部にあんなにもくっきりと乗っているのも不思議だった。
登山道交差点の重要地点で、人気もあるので宿泊には多少、躊躇した。
まだ早い時間だが、すぐにくつろぎつつ、この小屋の快適さには驚くばかりだった。

なによりも水場の水の冷たくてきれいで豊富なこと、これ特筆もの。
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思わずごくごく飲むのは当然だが、プラ浴槽にためられているので、利用もしやすい。
手ぬぐいを何度ももみあらいしつつ、簡易水浴びができる幸せに浸った。

小屋横に適当な広場があり、石転び沢側と大日岳側に視界が広がるのもうれしい。
小屋の設備も避難小屋のレベルをはるかに超えていて、水洗トイレとは唖然とする。
ビールはなんと氷雪できんきんに冷やされている。

ふだんの弾丸登山ではまるで味わえない十分すぎるほどのゆったりとした時間をすごす。
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そんな間も、今日の宿泊予定の方が来ては一様に安堵の表情を示す。

今日上がってきて縦走を始める人、ここで縦走を終え明日は下るだけの人の弐様。

小屋の管理人の齋藤さんは、何度も北股岳中腹に上がり、石転び沢を歩く人を確認する。
あそこを歩いている人はあの歩き方から何時ごろ到着かを予測しつつ寝床の割り振りを考えている。
石転び沢は雪渓歩きで人気のコースだが、歩く技術ほかピッケルとアイゼンが必要になる。
尾根上がりも暑さに苦しんだが、雪渓コースも雪渓前の歩きで熱中症に苦しむ人が多かったようだ。
最終は暗くなった夕方で、そのがんばりに宿泊者から拍手が起きたのもこの小屋の特徴のようだ。

管理人の齋藤さんのi-phoneで撮った写真は、小屋のブログで見られるが、実際に見て感動。
なるほどシシウドは高山植物としては目立つが、花としては決してきれいなものではない。
でもシルエットとして活かすとこんなにも劇的な世界を創ることができる。
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そんなこんなでほんと、久しぶりにゆったりとでも濃密な時間を過ごす事ができた。
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ただ稜線上のこの小屋でも気温はそんなに下がらず、涼しいというよりは暑かった。

もうひとつ、短パンになり肌をだしていたら、風のない時間帯に虫の攻撃を受けてしまったこと。
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次の日は、飯豊主稜線の縦走、大日岳、そして飯豊本山だから一番の核心といえる。
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 ~続く~

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