山歩き:木曽・御嶽

2023年5月25日 (木)

山歩き:南沢山・横川(湯舟沢)山・富士見台高原

山歩き:南沢山・横川(湯舟沢)山・富士見台高原

南沢山から横川(湯舟沢)山を経て富士見台高原まで縦走し、往復する。
距離は約18km、標高差は約700mほどだが累積すると約1200mほど。
展望の尾根歩きだが朝は天候に恵まれず、雲の切れた時の喜びや良し。

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【山行日】2023年5月21日(日)    
【山 域】南信州:南沢高原・富士見台高原、阿智村
【天 候】濃霧と強風、曇りのち晴れ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】ふるさと村自然園せいなの森キャンプ場登山者用駐車場、起点
P7:58--8:08登山口--9:37南沢山--10:05横川山--11:18富士見台11:46--
--12:58横川山--13:21南沢山--14:34登山口--14:40P

絶好の展望スポットとして人気の富士見台高原だが、ずっと敬遠していた。
昨秋に初めて訪れ、いくら観光客が多くても避けては勿体ないと知る。
ツツジ祭り(アカヤシオ・シロヤシオなど)の賑わいも過ぎた今日この頃。
初夏、新緑に最適で、とっておきの山域として再訪する。

宵っ張りの朝寝坊爺が早く床についても習慣は急には変えられない。
ほとんど眠れないまま夜明けを迎え、車を走らす。
晴天予報なのに暗い雲り空で時折雨がぱらつく、どうなっとると。

今日の山の登山口駐車場は余裕があるので高速ではなく地道で行く。
するとそこは国道153号線、いつも通り、心労を積み重ねてくれる。
早朝から我が道を行くたらたら車、そして女子ゴルフ大会だった。
方々に「ギャラリー駐車場」の案内がある。
意味が分からなかったが、ギャラリーになる人々の駐車場ということね。
以前、イ・ボミの絶好期はギャラリーが1万人を超えていて大渋滞だった。

天気はずっとさえず、濃霧注意報も出て、前の車はゆっくりさん。
平谷を過ぎ治部坂峠では思わず大川入山に変更しようと思った。
となると、まったく今まで通りの代わり映えのしない生活、それはダメ。

ぐったりうんざり、3時間かけて「ふるさと村自然園キャンプ場」に来る。
登山者専用駐車場があり、第1Pはほぼ満車でぎりぎりセーフ。
準備してすぐ近くの受付で入山届、駐車代金、整備費用を払う。

きれいに整ったキャンプ場の中の道を登山口まで歩いていく。
バンガローや別荘のような建物、そしてトイレがある。
登山口にも広い駐車場があり、これはキャンプ場利用客のもの。

案内と注意書きを読み、入山する。
道は普通以上によく整備されていて下草もない。
このところの雨で湿っぽいが、充分地面に浸透している。
よく考慮された勾配で、歩きやすい優しい道と感じる。
尾根に乗るとなだらかになり、古木倒木の姿形が楽しい。

ガスガスなので視界のないままクマザサに囲まれた広いところ。
南沢山1564mの山頂はそんな感じ。
先客2人が話し込んでいたが、各々進む、帰るの別行動へ。
「阿智7頂上」用に自撮りを試みるも無残、先へ進む。

ゆったり下っていくがすぐに山道らしい急な上りになる。
えっちらおっちらで次の山、横川山(湯舟沢山)1620mに着く。
長野県側では横川山、岐阜県側では湯舟沢山と。
県境に位置する山なので歴史や生活環境を踏まえた呼称。

ここも開けたところらしいのだが、分からないので先へ。
 帰りにここから富士見台方面を見たのが最初の写真。
 雄大な稜線の向かう先に目的地という感動的構図。
とにかく前方は白い世界で、冷たい横風がビュンビュン。

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少し樹林帯に入り右往左往するが、すぐに下りになる。
そしてこの下りは結構なもので、どんどん下る。
で、再び上り返しでちょっとしたピークにこの標示がある。

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ここは・1578mで、もちろんこれは誤った山頂標示板。
誤った情報でこれを付けた人は、よかれと思ってやったんだろうな。
横川山(湯舟沢山)の山頂標示下の注意書きは文字が多いから。

ガスだけでなく雨もパラパラ、でも前へ。
沢音がよく聞こえる、鞍部らしいところへ。
左下を見ると苔の緑も鮮やかな沢。

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横川川の源流で、流れ着いて天竜川に至る。
その先の湧水を横切るところには大きな苔岩。

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 これは帰りに思わず撮ったもの。
 同じく帰りに、鞍部から来た道を振り返る。

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 源流部周囲の樹林帯、そしてクマザサ。

ガスの中でも源流部の樹林帯はふつうの世界。
少し洗われたような気分で先へ上がっていく。
道はしっかりざれていたが、仕方ないことだろう。

クマザサの高原を上がっていくと、池塘を発見。
山の上や稜線で池を見ると気分は上がりますね。
当然のように道はぬかるんでいるので、ずぶっに注意。

石がゴロゴロと崩落している箇所もある。

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ここに傘を忘れた、もとい突き刺した人に何があったのだろう。
そんなことを思いつつ上がっていくと、空が明るくなってくる。
前方、上の方から声が聞こえる、ってことは富士見台?

開けた山頂に上がると同時にガスが切れる。
どうした自分、俺って持ってるのか。
そんな馬鹿な、偶然にも程がある。

ただそこは別世界。
360度の展望を期待しているたくさんの人がいた。
ずっとここまで数人の人にしか会わなかったのに。
またそこで見る人々は、スタイルが全然違っていた。
衣服はカラフルで折り目が付いているし、ザックも綺麗。
皆さん、アウターを羽織り、少しの風にふるえている。
もちろん靴や裾には泥もついていない。

そうだよな。
ここでもガスガスなら、富士見台高原に来た意味がないかも。
ガスの中で見える景色って、どこで見ても同じだもんな。
そんなことを今日はずっと思いつつ、ようやくここまで来たのだから。
標高差はそれほどではないが、天気は悪く、距離は確かにあった。
風が強くても汗はびっしょりで、膝や腰の蝶番が痛い。
どっしりと腰を下ろして休む。

天気は快方、暑さに注意で、長い道を戻る。
視界の開けた下り道は、身も心も軽い。
往きに見たものが姿を変えて現れる。
ザレ場や池塘を過ぎて、鞍部に下っていく。

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この横川山(湯舟沢山)の山体がいい。
一番右が本峰で、よく似た高さの2峰、3峰、4峰と並ぶ。
登山道は横っ腹を巻いていくので救われている。

さらに下っていくと、鞍部の向こうに下界が見える。

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源流部の樹林帯と、その向こうの陰が湯舟沢なんだろうか。

後頭部へしっかり暑さを感じながら、横川山(湯舟沢山)への上りはきつかった。
そういえばここまでずっと南沢山は見えず。
横川山(湯舟沢山)へ来てようやく眼下に南沢山を見る。

「南沢山~富士見台高原」縦走コースというが・・・。
不安に思いつつ、南沢山へ着く。
そこから振り返っても見えるのは横川山(湯舟沢山)の壁だけ。
そこから少し移動してようやく富士見台高原が見えた。

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ここまでも、ここからも、とてもよく整備された道が続く。
安心の下山道。
疲れた足にはちょっと長くてきつい歩き。

今日も、とても満足度の高い山歩きになった。
これで前半戦の山歩きは終了。
個人的事情でしばらく山へは行けず、次は7月から。

 

 

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2022年11月 1日 (火)

山歩き:紅葉の富士見台高原

山歩き:紅葉の富士見台高原

紅葉の山歩き第2弾は誰でも手軽に登れる人気スポット、富士見台高原。
山頂からは日本百名山が23座一望できる360度のパノラマ視界が広がる。
阿智村の整備の行き届いた「古代東山道」は紅葉も道も素晴らしい。
交通アクセスもよく、楽をして今さらながら、なんか申し訳ないみたい。

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【山行日】2022年10月29日(土)    
【山 域】南信州:富士見台高原、阿智村
【天 候】快晴、少し冷たい風
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】神坂神社駐車場、起点
P6:22--ブナコース--7:21分岐--7:58萬岳荘--8:24富士見台9:02--
--寄り道--萬岳荘--10:17分岐--ブナコース--11:09P

紅葉の山歩きは一番好きなもの。
例年なら鈴鹿に向かうところ、ネット情報ではまだ遅れているらしい。
標高と交通アクセスを鑑み、観光地ながらまだ未踏の地へと決める。

富士見台高原や神坂峠は何度も耳にしつつ、関心外だった。
何しろ車で神坂峠まで上がれてしまう、ピクニックのようなところだ。
峠の駐車地はキャパオーバーもひどいらしく、ますます後ろめたい。
ただ阿智村が何年か前に登山道ほか整備をすすめ改善している、と。
「古代東山道」を利用する神坂神社からのコースは魅力的でもある。

登山口の神坂神社への交通アクセスも調べてみる。
下道の153号は先週の大川入山でも利用していて便利な唯一の道。
ただ利用者も多く何十年と使っていていつも忍耐を強いられる道である。
そこを高速に変えれば、圧倒的に楽になるらしい。
神坂神社の駐車場のキャパにも対応できて少し安心。
冷静に考えれば、みんな条件は同じなのに・・・。

ふだんから普通人とは異なる夜の遅い時間帯で生活している。
だから、朝の早い、遠征の山歩きの日は大変。
結局、床に入ったのに寝付けないまま出発時刻になる。

暗い夜道を車で走る。
知立を有料道路で抜け、豊田南ICから高速に入ると園原ICまでの早いこと。
そこから神坂神社までは10分もかからず。
世の中、金さえ払えば、なんと便利で楽にできているのだろう。
ということを今頃、思い知らされるのだった。

神坂神社駐車場は2~30台といったところ。
あらまあ、数台の先客が大きく間をあけて停めている。
準備しつつ、説明看板を読む。

由緒ある神社に参り、その奥から登山道に入る。

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はじめはブナコースとカラマツコースに分かれている。
ブナコースは沢沿いからゆったりと歩く道で、3.2km。
一方、カラマツコースはジグザグの直登で、1.5km。

往きはカラマツコースで、帰りはゆったりブナコースと決める。
しかしどこで見逃したかいつの間にかブナコースに入っている。
広い林道は簡単なようで歩き辛くもある。
途中から斜面に取り付き、それなりの登山道になる。
朝日が樹林帯で遮られた日陰をもくもくと進んでいく。
左手のブナを含む自然林の向こうにうっすら山肌も見えて、いい。
長い道だなと思う頃、カラマツコースと合流する分岐に着く。

ここからは道幅が少し広がり、勾配はゆったりとなる。
稜線の歩きで、背後から朝日を受けてルンルン歩きになる。

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視界も広がり、恵那山へと続く山肌の色合いにしっかり秋を感じる。

向かう先の高度にもあまり変化がないようなので気も楽。
笹原に浮かびあがるコブ山の姿に、求めていた高原を感じて昂揚する。

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と、前方に突然建物が立ちはだかり、階段から二階の廊下に導かれる。
へえ、これが萬岳荘。
ていうか、苦しい上りを感じないまま、もう着いたのだ。

「こんないい天気だと、朝早くからジジババがうるさくて・・・」

山荘のテラスを通り抜け、再び登山道に入ると驚きの道。
なんとコンクリートでしっかりと舗装されている。
そこには、後ろをまるで気にもかけない老人の集団。

快晴の空のもと、輝く緑の笹原のむこうには山頂へ続く美しい稜線。

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神坂峠からの道と合流すると、避難小屋の神坂小屋がメルヘン。
足元は石ゴロゴロのざれ道に変わるが、広がる景色で気分はいい。
これはレッドカーペットならぬ、白いバージンロードですねえ。
もう上り下りする人もいっぱいだが、気にならないし、それがいい。

富士見台高原山頂は、これこそ「山頂の鑑」。
それなりの広さで、四方に視界が広がる。
北には南沢岳に続く道、その向こうに南木曽岳の大きな壁、そして御嶽。

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西には、眼下に中津川市を見る。

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北東には木曽山脈、東に赤石山脈のいわゆる百名山群。
南東や南には南信州の豊かな山並みと、本命、大きな恵那山。
特に気になったのは、摺古木・安平路への登り竜のような迫力。

ここはじっくりと腰を下ろして休憩。

そこにいるたくさんの皆さん、服装も登山者らしくない人も。
持ち物も豪華というか、くつろぎ椅子持参とは。

先ほど中津川市を見て休んでいた集団が南沢岳方面へ下りていく。

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重い草刈り機を背負う、登山道整備の方々だった。
なるほど、ここまでの道もしっかり手が入っていたのはこの人たちのおかげね。
阿智村の真剣度が分かるというもの。

下山は、この高原をうろつき回って、じっくり味わっていく。

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萬岳荘に来ると、場違いにも、まだまだ車が何台も入ってくる。
山荘の利用者だけかと思ったらそうではないらしい。
神坂峠で停められない車を、阿智村の萬岳荘が受け入れている。
気楽に、平気でここまで乗り入れてくる大きな車もどうかと思うけどなあ。
あの山頂での爽快感を知れば、人は安易にそうなるのかな。

帰路も古代東山道。
晴天の下、昼の光を受けて道沿いの自然林が反射する。

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緩やかな道は楽な下りで、軽やかに歩いていける。
往きには恵那山以外分からなかった稜線の山も、位置関係がつかめる。
ブナコースとカラマツコースの分岐に来ても、迷いはなし。
往きと同じでも、そこは長いブナコースしかない。

ここの樹林も、日差しを受けて気持ちの良いことは言うまでもない。

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まだまだどんどん上がってくる人がいるのも当然だろう。

人気スポットとか観光地とか言われて、人混みを敬遠するのはありだ。
でも、こうやっていざ足を運ぶと、やせ我慢は身体に悪いかも。
そんなことを学んだ一日でもあった。

帰りは153号を使う。
少しの下りや、カーブごとにブレーキを踏みまくるたらたらの車群。
ここはやはりいつもこれ、流れもルールもない。

 

 

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2022年7月28日 (木)

山歩き:御嶽・継子岳でもがき苦しむ、楽園は遠し

山歩き:御嶽・継子岳でもがき苦しむ、楽園は遠し

この時期に継子岳、四の池に出現する楽園を訪れる、山歩き。
コロナ禍やその他いろんな事情で、前回から5年が経っていた。
山は逃げない、とはいうものの周囲や自分の体力の変化は大きい。
それなりに体調維持に励んできたつもりだったが、まったく甘かった。

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【山行日】2022年7月24日(日)    
【山 域】御嶽・継子岳、濁河温泉
【天 候】曇りときどき晴れ
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】濁河温泉下呂市営駐車場起点
P7:26--登山口7:46--9:43八合目--11:10飛騨頂上--12:16継子岳12:49--
--13:16飛騨頂上--13:56八合目--15:31登山口--15:43P

山好きな人にとって梅雨明けのこの時季は待望のシーズンイン。
日頃は近場で我慢していても、遠くの有名な山へ行きたくなるもの。
3000m級の高い山の多い中部山岳地帯がにぎわう季節でもある。

どこへ行くか考え、計画しながらわくわくするのは世間の常。
めんどくさがりの自分はある時から手抜きのロ-テーションを考えた。
自分の三山としておおまかに、白山、木曽・御嶽、八ヶ岳とした。
白山なら御前・大汝・剣が峰、別山や他でもどれでもよしで、どこか。
木曽・御嶽は、木曽山脈のなかのどれか、または御嶽、と。
八ヶ岳も同様で、これなら悩むことなく色んな山々が楽しめる、と。
数年前までの10年ぐらいはこれでうまくいき、それなりに充実していた。

御嶽も、夏と秋に十数回訪れると、いろんな姿が分かってくる。
夏のこの時季はとにかく継子岳がいい。
コマクサの花が一面に咲き、雷鳥の親子がうろついている。
飛騨山頂を起点に、継子岳の広い山頂から四の池を周回する。
そこには夏の小川が流れ、お花畑に蝶が舞う楽園が出現するのである。

そんな淡い期待を抱きながら、本当に久しぶりの遠征登山に向かった。
いつもとは違う朝の早い出発や高速走行、長時間運転。
以前はなんともなかったそれらが、もうとても負担に感じるようになっていた。
見える景色や地名に記憶をさぐり、少しずつ感覚も戻ってきていた。

以前は岐阜県の小坂からの長いくねくね道で結構消耗していた。
今回は距離は伸びても広い道の長野県からで、高速も使用した。
4時間かかるところ、3時間に短縮できた。
開田から日和田、北からの御嶽は継子岳が代表し凛々しい。

大きく回り込んで濁河温泉に来る。
登山口の市営駐車場を目指して急坂を上がっていく。
所々に駐停車輛はあるが旅館などがいくつか閉鎖している。
登山口には係員もいて、満車を告げられる。
人出の多さから納得でもある。

結局、一番下の広い駐車場まで下がって戻る。
その間もかなりの車が入ってきては、駐車場所に悩んでいる。
狭い変なところに停めるなら、どうせ歩くのだし、トレーニングにもなる。
そんな前向きで優等生的な余裕をかましていた。
経験から、登山口から飛騨山頂までは2時間、もたついても2時間半。

準備して出発。
分かってはいてもかなり急坂の温泉街を、きょろきょろしつつ上がっていく。
登山口では規制に厳格な岐阜県のこと、登山届ほか指導を受ける。
災害で橋が流されたことで、登山路のはじめの方が変更されていた。
大まかにいえば、左岸をあがり右岸に渡っていたのが、最初から右岸と。
その分、少し大回りになったが、道は以前からあるような自然なもの。

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豊かな苔に覆われた樹林帯の、湿った泥んこの道を慎重に歩いていく。
御嶽ではどの登山道も森林帯ではみんなこんなもの。
歩道や階段、木道の整備がこのところの雨量に追いついていないだけ。

なんとか湯ノ花峠まで来る。
少し時間がかかってはいるが、あの道では仕方がないと思う。
休むところではないので進み、のぞき岩避難小屋へ。
明るい表情で休憩する人もいて、今時の山の情報交換に少し加わる。
ただ自分はここを、「八合目お助け水」と勘違いしていた。
歩くペースと時間を比べて、なんだ結構順調ではないか、なんて。

八合目に向けて、それなりに急な上りになってくる。
横をさーっと親子連れが過ぎていく。

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少し疲れを覚えつつ、八合目に来る。
ここでも何人かの人が休憩している。
楽しそうに話す人たちに背を向けて、いつものように先を急ぐ自分。

ただ身体の不調はすぐにやってきた。
森林限界を過ぎるころから、腹が出っ張り、胃のむかつきがひどい。
足が重いのもいつものことだと思っていたが、左右の蝶番に痛み。
それでも少しずつ進み、なんとかやり過ごせると思っていた。

しばらく進んでは、苦しさを散らすために伸びをして、息を整える。
そのうち、前かがみになって立ち止まるように。
少し進んでは、もたれかかれそうな岩を求め、倒れこむ。

すぐ隣を何人ものひとが下りてきて、数人の人が登っていく。

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この辺は急に日差しが強くなり、疲れも出てくるころなんだろう。
そんな風に思っても、現実に足が動かないのだから仕方がない。

雷鳥岩を過ぎて、飛騨山頂も見えてきたので、もうなんとか、
とは、全然ならなくて、ハイマツの茂みに倒れこむ。
見上げれば、コマクサの群生で斜面は全ピンク。

しばらく時間をやりすごし、なんとか立ち上がる。
ここはもう牛歩、だけ。

下山方向、すなわち登ってきた道を振り返る。

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この急坂で牛歩は重すぎてふらつきまくった。

飛騨山頂へ。
お参りも何も、くたばってへたり込むだけ。
ここでも時間をとって、少しだけ態勢を整えたつもり。
こんな風でも、継子岳方面へ進もうとするアホな自分。
すぐに眩暈がして、胃が痙攣する。
強烈な嘔吐は、黄色い液体だけ。
いったい、なにをやってるんだ。

確かに、低山での山歩きやトレーニングはそれなりにしてきた。
4月には鈴鹿や養老でそれなりの距離や時間を歩けるようになった。
でもその後、5月、6月の2か月間、家庭の事情で山へはほぼ休んだ。
だからこそ、7月に入ってふたたび必死に体調造りに励んだのだが。
年齢とか、そういうのを言い訳にしだしたら、そこで終わりだと思う。

とにかく、継子岳までは行ってみよう。
道も平坦になったので、あるところまではなんとかなる。
四の池が見下ろせるふちに立つと、なんかやれそうな気に。

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左側の斜面では、コマクサの全ピンクが鮮やかだこと。

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そんな空元気もちょっとした岩場にかかると飛ばされた。
その後は少し進んではぐったりの牛歩に逆戻り。
山頂の手前まで来て、手ごろな岩に座り込む。
これでいい、もうここでいい。
実際は、ゴザでも敷いて、身体を横たえたかった。

その時、山頂から下りてきた人に見覚えが。
相手もそれとなく気が付いているようで。
何年も前まで参加していた、ヤブコギネットのタンポポさんだった。
奇遇だが、しばらく話し込むことで心は軽くなった気がする。

分かれて山頂に行き、やはり寝ころびたかったが、風が冷たい。

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なぜか「眠ると死ぬぞ」なんて声が、どこからか聞こえてきた。
それなりに時間を過ごし、ガスがなかなか晴れないので腰を上げる。
四の池まではとても無理、楽園は遠望するのみ。

ここで引き揚げたけど、この後も苦しい時間だった。
足腰の筋肉と蝶番がパンクしていて上げられない。
踏ん張りも効かないから、何度も浮石に乗り、ヒヤッとする。
ざれた石が多くて、ずるっと滑るのも筋肉の衰えから。
後半は、ぬかるみの泥んこ道なので、慎重の二乗三乗。
こんな道がどんだけどこまで続くんじゃ、と毒づくのであった。

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なんとか戻れたからいいけど、そうじゃなかったら、いったい。
山ならどこでも歩ける、と調子に乗っていた時もある。
そんな自分に、きつい現実を突きつけられた。
さあ、ここから、さ。

まだ少し、歩きたい山やところがあるんだから。

それはこんな、針の山かな。

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2017年7月23日 (日)

山歩き:御嶽・継子岳で夏の小川と雷鳥を

山歩き:御嶽・継子岳で夏の小川と雷鳥を

この時季、御嶽・継子岳と四の池には夏の小川とお花畑が出現する。
蝶や蜂が舞い、雛を連れた雷鳥が横切り、雲雀がさえずる山の春。
あれから3年、いまだに入山規制のある御嶽をようやく再訪、鎮魂する。
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【山行日】2017年7月21日(金)    
【山 域】御嶽・継子岳、濁河温泉
【天 候】曇り一時晴れ、ふもとでは酷暑日
【形 態】往復と周回 単族 軽装
【コース】濁河温泉下呂市営駐車場起点
P7:46--9:15八合目--10:15飛騨頂上--10:58継子岳--Ⅱ峰--
--11:42四の池12:04--12:29五の池小屋12:39--13:14八合目--14:23P

御嶽の夏のこの時季は継子岳がいい、そして四の池を周回する。
あの年も、夏は継子岳で、秋に剣ケ峰を訪れた。
そしてその十数日後、噴火した。
微動の揺れなど兆候はあったというが、自然に対する人間の知恵はまだ乏しい。
畏怖や尊敬の念、謙虚な気持ちをずっと持ち続けることがせめてもの心掛け。

入山規制のかかる御嶽だが、その山塊はとても大きくて広い。
現在の入山口は、西の濁河、東の黒沢口、そして北の開田と日和田。
継子岳だと一般的には西の濁河口からが便利。
その濁河温泉は高速道路から離れていて、道の選択が悩むほど難しい。

旧来だと41号を使い、飛騨小坂からの長いくねくね山道を選択した。
当然舗装道路だが、約40kmの運転はきつくて1時間は要する。
最近は長野県側から19号を使い、開田・日和田・高根と来るらしい。
山道だがスキー場もあり、道も見通しがいいので運転は容易、と。
今回は、往きは41号で飛騨から、帰りは19号へと下りて比べてみた。
どちらも長い道のりなので運転はきつく、睡眠不足も加わり大変だった。

梅雨明けとはいえ快晴は期待できず、雷雨や崩れなければもうけもの、と。
平日なので濁河温泉下呂市営駐車場は空いていた。
登山口には登山届ポストがしっかり設置され、下山カードとの併用に。
P1100193

朝方は山域らしく湿っているが、天気はよさそう、橋を渡って出発進行。
P1100194

はじめは日陰のうっそうとした苔の森を足元に注意しながら歩いていく。

木道など整備はしっかりとされているが、劣化が進み、とにかく滑りやすい。
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いつも歩いている猿投山とはまるで違って、気を抜けない、足が上がらない。

若い人が足取りも軽く楽しく進んでいくのをうらめしく見送る。
P1100196

左手に滝と沢の音を聞き、硫黄のような温泉のにおいを時々かぎながら歩いていく。
湯の花峠でそのにおいがピークになり、樹間の南に少し展望が開ける。

早足の若い人はここで撮影など、だらだら歩きの自分は休憩もせずぐだぐだ先へ。

樹林帯にサラサドウダン、ゴゼンタチバナやモミジカラマツの道をひたすら上がっていく。
P1100200

P1100201

P1100202

登山口と飛騨山頂との中間点らしいのぞき岩には休憩するヘルメット姿の先客。
P1100203

久しぶりの山歩きで調子がつかめず本格的な山にてこずっている、と彼。
ふだんは600mほどの低山でトレーニングとのこと。

それって、みんな大好き猿投山?

あっはっは。

八合目に来ると、登山道の雰囲気に変化があらわれる。
P1100208

少しあがると森林限界になり、周囲にハイマツが目立ってくる。

それよりも気になるのは、少し前から顔の周りで虫がうるさいこと。
目や口、鼻、耳にさわり、入ろうとする。
とても我慢ができず、帽子をかぶり、その上から防虫ネットをかぶる。
これもうっとおしいけど、背に腹はかえられない。
かぶってもなおうるさくからみつき、遠くからみれば虫柱が立つ、だろうな。

時々ガスが切れると、大きな壁に小さい雪渓のある摩利支天があらわれる。
P1100215

直射日光こそあたらないが、紫外線でじわじわと焼かれる感じ。
ハイマツの上に出ている岩の雰囲気もいいが、疲れも出てきて下向きで微妙。

こんなのを見ると、御嶽に来ている気分になる。
P1100216

足元は石がごろごろで歩きづらいし、段差がきつくて足が上がらない。

ホント、最近はどの山を歩いても苦しくて、るんるん気分にはほど遠い。
熱帯夜が続いて眠りは浅く、睡眠不足のまま4時間近く運転してきてもいる。
たらたらと少し進んでは止まって水を飲み、深呼吸をしては伸びをする。
P1100218

稜線の向こうに飛騨山頂らしきが見えてきても、なかなか近づけない。

えっと、この目立つ岩、以前は「注意」とか書かれていたけど・・・。
P1100219

「雷鳥岩」って、いつからそうなった?
P1100220

ガスが立ち込めることの多い今日の天気、どうも雷鳥に縁がありそうだ。
って、そんなあ、以心伝心か。

目の前の登山道に突然あらわれる雷鳥のすがた。
親鳥のところに右後ろからヒナが近づいてくる。
おっとそのまま、そのまま。
あわててカメラを取り出し、適当にシャッターを押す。
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P1100224

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あっと思う間もなく、かれらは右のカラマツ帯に入っていった。

左手の斜面にはぽつぽつコマクサがあらわれる。
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きちんとしっかり保護され、りっぱな花畑になっている。
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とりあえず、というかようやく飛騨山頂へ。
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天気は晴れもせず、崩れるでもなく、ガスが飛んでいく。
風は少しで全然涼しいわけでもない。

一休みのあとは本日の一番の目的、四の池の外輪山(継子岳)周回歩き。
時計回りでまずは継子岳を目指す。

なだらかな稜線歩きは、あいかわらずガスで視界が閉ざされる。

コマクサの花畑を上からみたり、四の池をのぞきこんだり。
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岩くぐりのあとは別のお花畑に立ち見し、石室をのぞき、針の山を越えていく。
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ガスが少しでも切れるタイミングを逃さず、四の池を撮る。
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このポイントなのかな、あの映画は。
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晴れたら美しい継子岳の美景は残念ながら期待できず。
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御嶽で一番どっしりとした山頂は広く、実際は360度の展望台でもある。
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ぐるっとうろうろするが変化はなし。

ちょっと一服で唯一の贅沢「とろけるミルクティー」の栓を開けて少し飲む。
うまい、と思うやいなや、蜂がボトルの中に飛び込んだ、ドボン。
すぐにでも飛び立つと思いきや、もがいている。
何をしている、早く出て来い、おまえそれでも昆虫か、生きたくないのか。
声援叱咤むなしく蜂は紅茶に浸かったままで、おぼれたようだ。
フツーは気持ち悪いと捨てられそうだが、けちな俺はちがう。
ハチミツエキス入りと思って気をつけながらもぐいぐいと飲んだ、プハァー。

次に継子岳Ⅱ峰へ行く。
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御嶽の全景が見られる絶好ポイントだが今日はイマイチ。

ここら辺はコマクサ保護地域のためロープが張ってある。
両側にお花畑の中を進む稜線歩きは庭の散歩のようで気分がいい。

ここら辺では毎回アレに遭遇するのだが・・・。
何か動くものがいる、なんとふたたび以心伝心。

雷鳥の親が必死に鳴いて、あわてふためいている。
ってことは、まずかったかな。
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ヒナが三羽か四羽、すぐ近くからあわてて移動して行く。
その間もけたたましく動き警戒する親鳥。
ちょこまか歩きのヒナもあれっと思っている間に、向こうのほうへ行ってしまった。

落ち着いたようなので、雷鳥とコマクサの光景をねらってみる。
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うまくいかないなあ、これとこれでばっちりと思ったのに。
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でもまあ、なんという雷鳥との遭遇率。

これはアレですね。
「独り静かに山を楽しむ寡黙なおじさん」族に与えられた唯一の恵み、というか。
静か、というのと寡黙というのがキモ。
時計も兼ねて万歩計をつけているが、山の登りではあまりカウントしない歩き方も。

継子岳Ⅱ峰から見上げる雄大な御嶽の姿は、やはりおあずけか。
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Ⅱ峰からの下り、目指す四の池の残雪の夏の「春の小川庭園」を俯瞰する。

今日もいつもとにかく、ここへ来ることが主目的なので心がおどる。
ここを周回している人にたまに会うが、お互い距離感を保って。

それにしても四の池、あの中心の薄い緑色のサークルが気になる。
まるで口噛み酒を納めにいったあそこのようだ。

四の池は周囲の外輪山(継子岳など)の雪解け水を集めてできている。
その昔は二ノ池や三ノ池のようなしっかりと水をたたえる池だったのだろう。
それが一部決壊して流れ出し、幻の大滝となって木曽側に落ちている。
滝の落ち口とか滝を上から見るのは危険なので今日は省略。

何はともあれ四の池。

雪解け水が何本もの小川をつくり、ひとつにまとまっていく様はまるでミニジオラマ。
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春の小川を渡渉し、せせらぎと花園と背景に雪山を見る。
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四の池を野球場に例えると、ちょうどホームベースの位置でくつろぐといい。

靴を脱ぎ、腰をおろして昼食休憩。

天気は変らず、青空はついに出てこなかった。
でもまあ、時間はかかったがふたたびここへ来られたことに安堵する。
蝶もちょっと少ない、でも耳をすませば鳥の鳴く声がしっかり聞こえる。

蝶が舞い 花咲き乱れる 残雪の 夏の小川に 雲雀さえずる

さてと、重い腰と足、とろけた身体をあげて、たらたらと帰ることにする。
まずは三ノ池との境界までの上り。
疲れたら、四の池と継子岳を何度も振り返って気を散らす。
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三ノ池、ここは神水であり水場でまた神秘な池として崇められている。
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群青の池の水と残雪など、被写体としては申し分ない。

飛騨頂上方面へは辛い上りが続くが、途中の花に癒される。
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ようやく摩利支天への分岐。
元気も気力も体力もないので摩利支天へは寄らない。

五の池、そして五の池小屋。
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展望テラスで少しだけまったりする。

大きく周回して再び戻ってきた。

さてと、この雄大な坂をたらたらと下ることにしよう。
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後半のすべりやすい道は慎重に、と。

今日の反省

万全とは言わないまでもせめてふつうの体調で山に来たいものだ。
計画は余裕を持って、とは当たり前のことだがそれが難しい。
山の後の温泉は、五の池小屋で入手した旅館御岳の半額券。
ふだんの日帰り入浴は千円だが半額、しかもドリンクサービス付とは太っ腹。
有名な混浴露天風呂をしっかりと満喫した、ずっとひとりで。
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2016年10月 9日 (日)

山歩き:権現づるねを歩く

山歩き:権現づるねを歩く

昔あのウェストンは木曽谷上松から木曽駒に上り、権現づるねで伊那谷に下りた。
登山道の整備された今、その軌跡を辿るには距離と時間、置き車など難題が多い。
せめてその気分だけでも味わうべく権現づるね(尾根)を往復する。
久しぶりの遠出とその長い歩きに筋肉は悲鳴をあげ、体力不足を痛感する。
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【山行日】2016年10月7日(金)    
【山 域】木曽山脈、権現山、権現づるね、将棊乃頭
【天 候】晴れ時々曇り
【形 態】往復 単族 軽装
【コース】伊那スキーリゾートトップの権現山登山口の駐車地起点
登山口6:01--7:25権現山--8:40五合目(辻山)8:51--八丁立--10:00勇次郎峠ノ頭--
--11:12将棊乃頭--11:29西駒山荘11:59--12:10将棊乃頭--13:37五合目--
--14:29権現山14:39--15:32登山口

観光地図では五合目以後、八丁立、勇次郎峠ノ頭、長尾根ノ頭などの記載がある。
五合目の標示以外、現地ではそれらしい標示を見つけることはできなかった。

紅葉の山を歩きたいと思いつつ、長雨にひるんでいたら、季節は過ぎていた。
身近な知人のレポやヤマレコを参考にするが、コース自体は難しくなさそう。
ようやく訪れた好天気らしい貴重な日に重い腰をあげて出向く。

中央道駒ヶ根ICを出てからも道は分かりやすく目印は伊那スキーリゾートの看板。
まだ暗かったので交差点角のコンビニで買出しをし、朝食で時間をつぶす。
空に明るみが出てきたので、スキー場横の急勾配の林道を上がっていく。
簡易舗装されてはいるが、途中ぬかるみでタイヤが空転してあせる。
舗装が終わり、すぐに林道が二手に分かれるところが駐車地らしい。
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スキー場のトップは開けていて、眺めはいい。
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権現山登山口はそのすぐ上部にあり、登山届はそこで書く。
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まだ暗くて湿っぽい道をとにかく上がっていく。

先は長い、あわてず息切れをしないペースを心がけていく。
「木曽路をめぐる旅(木曽観光連盟)」のパンフには木曽駒登山マップが紹介されている。
上松A・Bや木曽福島A・Bとともに権現づるねがあり、上り4時間だそうな。
上松コースが7時間以上なので、ちょっと眉唾ものの記載かもしれない。
一応、将棊乃頭までを5時間とみて、最大でも5時間半、11時半を折り返しにする。

地元の小学校が遠足に使用している道はよく整備されている。
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土俵跡という山の中ではめずらしい広場をすぎると、尾根道に変わる。

勾配はきつくはないがやさしくもない、という正当な山道。
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急なところにはロープも設置されているが、これは滑り止めの下り専用。

ウェストンが使った常輪寺からの道をあわせ、しばらく上っていくとようやく開けたところに出た。

真っ先に目にはいってくるのが山腹に枝を広げた岳樺の大木。
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そして地元西春近北小学校の登頂記念板の数々。
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天気予報はよかったのにここまではガスが立ちこめ、湿っぽいままである。

ウェストンの来訪を示す標示もある。
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権現山三角点は、裏側の大岩のもとにあった。
標高1749.3mで、「伊那よくみえる」とは御上手、地元の大切な山なのだ。

ここから権現づるねの尾根道に入る。
歩く人はおそらく非常に少ないが、整備された道跡ははっきりとしている。
勾配もゆるいので普通にたんたんと歩いていく。
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ところがそれは長くは続かなかった。

何よりも蜘蛛の巣が随所に張っている事。
それを避けるために細くて長い枯れ枝を拾って振り回しながら進む。
笹がしっかりと繁茂して道を覆っている。
笹の葉には残念ながら露がいっぱいついていて、それが容赦なくふりかかる。
えいままよと枝を振り回していくが、もわっとかべちょっと顔にまとわりつく嫌な感覚。

ふだんヤブ道などは通ることがないからこんな情況に気分はどんどん萎えていく。
ずっとこれが続くようなら、いい加減なところで切り上げようと弱気がのぞく。

板谷の頭をすぎて左折していくと笹原は弱くなり、尾根も広がり明るくなる。
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樹幹越しに木曽駒の主稜線が、うっすらと遠くに見えるようになる。

左手を見れば、すきまから伊那谷を覆う雲海のむこうに赤石山脈も見えている。
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ほどなくして五合目(辻山)に着く。
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これは木曽駒登山の五合目で、このすぐ先で道は(辻を)直角に右折する。

ここでは左、東側が切り開かれ展望が広がる。
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ずっと樹林帯と笹原の歩きだったので、こんな普通の展望地がとてもありがたい。

ここからはいったん緩やかに下っていく。

それまでとは少し様相が変わり、広い森のなかを歩いていくような感じ。
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ヌタ場があらわれ、倒木を苔が覆う。

二重にも三重にもみえる山稜、線状凹地をゆるやかに上がっていく。

そして壁のような斜面(たぶんこれが八丁立)があらわれると一気に急登になる。

ジグを切る道は強引に進むが、よくみると丸太で階段が作ってあったりする。
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利用者が少なくて、こんなので道かと思うが、地元の人が手を入れているのである。

下りでは時々踏み跡を外しそうになったが、きちんと道に戻らないと厄介である。
人の手(足)の入った道は、ヤブ道とは全然違うということを痛感する。

壁の急登がようやく終わり、ゆるやかになるともふもふの苔道があらわれる。
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高い山にはどこにでもある道だが、これはこれで貴重な場所だと思う。

じりじりとふたたび坂が急になってくると樹林相が代わり、這松があらわれるようになる。
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それはすぐに森林限界になり、背伸びすると木曽駒の見事な稜線が見えた。
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伊那前岳から宝剣・中岳へと続く山並み。

もちろん向かう方向には将棊乃頭も見えてきた。

時間は予定以上にたくさんかかり、長くて苦しいのぼりだったのでほっとする。
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タイムリミットの5時間半には少しだけでも余裕がありそう、まだ救いはある。

観測機器の置かれたここが将棊乃頭。
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伊那谷の平地がぐわんと広がり、しっかり見下ろせる。
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高い山に登れば当たり前のように見ていた景色だが、今日はそれがとても新鮮だ。

振り返り、木曽駒方面は見慣れた景観とはいえ、迫力がある。
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将棊乃頭山は指呼の距離で、窪地には西駒山荘がしっかりと建っている。

桂木場からの道もはっきり見えるが、あれは縞枯れ?
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尾根のそれぞれの頭には白い花崗岩の岩が鎮座、この山脈の特徴。
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とりあえず、西駒山荘まで降りることにする。
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今日、初めて人の姿を見る。

そしてそこでタイムリミットの11時半になる、行動は終了。

できればここから木曽駒とか、濃が池とか、オプションが付けられたらよかった。
はかなくもそんな妄想は木っ端微塵に砕かれた。
時間に余裕があったとしても、せめて将棊乃頭山まで、だろうな。
狭まっていくだけだが、自分の体力の限界というのを自覚しないと。

前々回の2013年に来たとき、建て替え中だった西駒山荘。
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美しい建物で、内装の豪華さには目を瞠らされる。
従前の石室は文化財になっていた。
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ここで昼食とする。

風のあたらないところを選ぶ。
稜線はすっかり涼しさをこえた秋の風が吹いていた。
ぱらぱらと人が通り過ぎ、休憩していく。

帰りはピストンなので気は楽だ、長い距離なのが心配。
4時間あれば、すなわち明るいうちの16時前には戻れそう。
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まずは花崗岩の鎮座するポコポコヘッドに上がり、しばしの稜線漫歩。
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名残惜しいがすぐに這松帯に沈む。
どすんと鈍い痛みが走る。
這松に隠れた太い枝のアックスボンバーを食らう。

注意散漫は危険、要注意で。

上り返しがほとんどないのでずんずんとあわてずに気をつけて下っていく。
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八丁立の下りは特に慎重に下りる。
前述のように、踏み跡を時々見失う。
おかしいな、と思ったら横着はせず、すぐに戻って道に復帰することを心がける。
きつい下り坂なので踏ん張る事が多く、少しずつ足の筋肉がぶれるようになる。
いたわり、だましだまし、ストレッチを入れて進んでいく。

こんな時は少しの上り返しがとてもありがたい。

五合目で休憩を入れる。
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ここからはなだらかなのでがまんしやすいが、笹原は足元が見えないので厄介。

板谷の頭から権現山までが本当にとても長くていやになる。

権現山で休憩。

ここまで来れば先はよめる、休んでさいごに備えよう。
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ここの象徴の大木、岳樺への日当たりが変わってさらに神々しい。

ここはやっぱり、いい。

ただし、ここからの下りはきつかった。
しっかりとくたばった自分の足の筋肉は、この急坂に悲鳴をあげ続けていた。
最後はロボット歩きでようやく登山口(下山口)に着いたのだ。

駐車地(スキー場ヒルトップ)からの景観も秋を感じさせ、そこに充実感が加わった。
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山上の紅葉こそとっくに終わっていて空振りだったが、しっかり歩けてよし、と。


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2015年10月 1日 (木)

山歩き:錦秋の木曽駒が岳

山歩き:錦秋の木曽駒が岳

ずっと体調不良で山への意欲もわかなかったが、錦秋の山だけは愛でたい。
近場の木曽駒が岳を、いつもは日帰りだがとてもそんな自信はなく、小屋泊で歩く。
時間と体力に余裕がもてると、素晴らしい錦秋で山は応えてくれた。
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【山行日】2015年9月27・28日(日・月)    
【山 域】木曽山脈、木曽駒が岳(福島Bコース周回)
【天 候】曇り、晴天
【形 態】周回 単族 小屋泊装備
【コース】木曽福島コガラ登山口駐車場起点
1日目 登山口9:31--9:59丸木橋--10:12四合目--11:53七合目避難小屋12::01--
--14:00九合目玉ノ窪小屋--14:30頂上木曽小屋泊
2日目 小屋6:52--木曽駒が岳--7:40宝剣岳--8:19伊那前岳--9:38濃が池10:22--
--11:04将棋頭山--11:55茶臼山12:04--13:54正沢川渡渉--14:14登山口

直前まで日帰りにこだわっていたが寝付けず、睡眠が2時間で出発するのは危険だ。
ということで再び寝床に入り、ぼんやり頭で計画を変更し、出発間際に装備を付け足す。
一般道でたらたらと車を走らせ、木曽福島のコガラ登山口に来る。
天気は曇りで午後から晴れる、とはいうがそこは休日、10台ぐらいの駐車、多いなあ。
三回目の慣れた登山道なので余裕をもって出発。
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出発時刻があまりに遅くても、今日は上にあがるだけなので、あせりはまるでない。

長い林道歩きをすませ、丸木橋(丸木はなく、飛び石で渡渉)をわたる。
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無理のないペースを思い出しつつ、じっくり歩いていく。

前回はほとんど流れていなかった力水で一服一口、すっきりとうまい。

ほとんど針葉樹林の霧の中に時々はっとするような黄葉が浮かび上がる。
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久しぶりに本格的な山でなんとか歩けていると安堵していたが、徐々に足が重くなる。

七合目避難小屋に着く頃には、休憩がとても待ち遠しくかった。
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泊まるあてもないのに、小屋内をのぞくのはいかがなものか。
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ここからはトラバ道で少し変化もあり、黄紅葉も増えてくるので気がまぎれていい。
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天気はガスのかかったまま一向に晴れてくる気配はない。

それでもそのガスがぐわーんと上昇したりとばされたりしている。

ガスが切れるとその向こうに、秋の気配の濃い、かなり湿った黄紅葉が広がる。
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なんでもいいけど秋が感じられるからいい、むやみやたらにデジカメることになる。
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山腹をへつる木橋とか、岩ゴロの山姥とか、麦草岳の巻き道は見回す景観も印象深い。
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ガスはどんどん切れかけているし、青空がのぞくようになってきれいな光が出てきた。
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しかし、歩くペースを忘れてしまったように、ずるずるのそのその歩きになっていく。

八合目周辺の少し開けた場所で、五人ぐらいの人が休憩している。
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疲れ果てた自分に対して、「今日は泊まり?」と聞かれる。

そりゃあそうだ、こんな時間から上がって戻れば闇下だろう。

そんな彼らはみんな日帰りのようで、しっかり歩いた爽快感のようなものが漂っている。
「このコースは穴場だね」

いつもなら、そんな会話に喜んで加わるのだが、今日は口をきくのも辛い。

「玉ノ窪小屋は今晩は営業していないけど、頂上木曽小屋はやってるよ」
予約すらしていない自分の心を見透かすようにアドバイスをくれる。

とにかくこのすり鉢の底からはいずりあがらなければ、九合目は遠い。
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玉ノ窪小屋のある九合目は遠くからちらちらと見えていたが、この最後の上りが苦しい。

途中、腹も空いてきたが、休憩すると長居しそうでそれがこわい。

といいながら、小屋を目前に倒れこむように、遅い昼食休憩とする。
ミニパンをいくつか食べ、午後の紅茶で流し込むと、胃がきりきりと痛む。
何をやっているだか、最悪だな。
これ以上はとても食べられないのでやめて、たらたらと進み、やっとこさの九合目。
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確かに玉ノ窪小屋が休業で開いてない。
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でも、この「お知らせ」は、親切なのか、冗談なのか。
非難小屋(避難小屋ではない)っていったいどこのことだろう。
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天気は、ガスがあがって少しはすっきりとした展望が見られるかと思いきやうーむ。
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頂上というか、その直下の小屋を目指して上がっていく、あと少し。

すると急にすれ違う人が幾人もあって、珍しい。
木曽前岳にあがっていく二人組、今から上松Aコースを降りるという重装備の人。
こんな時刻だから闇下だと思うが、他人の心配より自分の今だな。

すぐにまた、ガイドさんらしきがツァー客を引率して、散歩しているの光景。

そして自分は、今まで傍らを通るだけだった頂上木曽小屋に着く。
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人の気配がないので、指示通り玄関外の板木を木槌でこんこんと叩く。
しばらくしてあらわれた管理人さんは自分より一回り以上年配の方だった。
予約していないことを告げると一瞬表情が曇ったが、以後は宿帳の記入など。
簡単な注意のあと部屋に案内され寝場所を指定される。
この小屋は、山頂直下に建つだけあって大地にへばりつくように低くかがんでいる。
その分、天井が低くなり梁も低くなっているので、頭をぶつけない注意が必要ということ。
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そのあとすぐにお茶と、菓子盆にいっぱいの黒糖かりんとうのもてなしがあった。
考えてみれば管理人のおじいさんはひとりで夕食の準備など、多忙な時間だったのだ。
当日の宿泊者は13人、夕食も朝食も何もかも全部ひとりでこなしている。
大原、キビオ登山口から麦草岳経由できた重装備縦走の若者にも細かい気遣いをされていた。
リタイアして家事だけしていて、やれ体調不良だと言ってる自分が恥ずかしくなった。

今宵の宿も決まればあとは安心、自由な時間。
夕方の山頂周辺をのんびり歩き回る。
おそらく昼間の山頂は大勢の登山客でにぎわったことだろうが、それを感じさせない時間。
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またこの日は十五夜で、次の日が中秋の名月なのだそうで、そんなことも知らずに来た。
夜には最初は星空が、その後にはくっきりと満月があがり、朝方まで残っていた。
ただ予想外で驚いた事は、とにかく寒かった(ほぼ2900mの高地にある小屋だもんな)。
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宿の夜具に毛布があって、これでどれだけ救われたことか。

ほかの宿泊者のみなさんは準備よろしくダウンやハードシェルをしっかり着こんでもやはり寒いと。

翌朝の日の出は5時半、折角の機会だから5時ごろから頂上に繰り出す。
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西を見ると、満月が木曽前岳に上方にまだ残っていた。
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みんな考える事は同じで、下の頂上山荘からもぞろぞろ人が集まってくる。
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寒い中、風を避けながら待っていると、無情にもガスが立ちこめたり。

でもなんとか日の出を拝み、本当に久しぶりのその事に新鮮な気持ちになれた。
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とにかく、天気は上々になりそうだ。
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西を見ると、朝日に照らされた木曽前岳と麦草岳のむこうに御嶽が浮かぶ。
もちろん手前の大きな影は木曽駒が岳。

今日のメインは黄紅葉を愛でること、なかでも濃が池のそれをしっかりと味わうこと。
以前、コガラ登山口から茶臼山・福島Bコースの周回では寄れなかったその場所へ行く。
出発。

小屋を出て、木曽駒が岳山頂から中岳を越えて行く。
朝のこの早い時間に山頂に上がる人々を見ると、頂上木曽小屋の優位を感じる。
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テント泊の人の朝は早い。
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まずは宝剣岳に寄っていこう。
余裕のあるこんな時だからこそ、日頃は渋滞する山にも行けるわけか。

十数年前に一度だけ登っているが、記憶は怪しい。
岩場を上がっているときはたいしたことない、と思っていたが、トラバの鎖場だった。
鎖をつかんで力をあずけた瞬間、ずるーっと鎖が延びたのだった(当然だけど)。
あの鎖はバランスを維持するためにつかむだけで、力をかけるものではなかった。
そんなことも知らず、ビビッてしまった、トラウマ。
帰りにはそこで渋滞し、待たず譲らない人もいて、すれ違いでヒヤッとした。

さて、ひとりの先客さんにモデルになってもらって、今日はどうだか。
最初こそすいすいと上がっていけるが、あそこに来るといやな記憶がよみがえる。
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山頂に直立する大岩?
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もちろんここはパス。

千畳敷の紅葉を確認し、宝剣から南に続く道を俯瞰する。
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ヘルメットをしっかりとかぶっている人、今はこれが常識なんでしょうね。
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次は、伊那前岳に行く。

ほぼ平坦な道で、ほとんど苦労もなくいける距離。
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なのにロープウェイで上がり、乗越浄土に来たほとんどの人には見向きもされない。

途中、宝剣岳のいい姿が撮れるし、千畳敷ほかをしっかり俯瞰できるのに。
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自分にとっては、これだ。
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伊那前岳まで行かないと、濃が池周辺の鳥瞰写真は撮れないのだ。

この山は伊那谷の登山口から上がってここへ来たときこそ真価を発揮するのだろう。
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伊那前岳から木曽駒の中心へ戻っていく。

九合目の表示のある乗越浄土手前のコブも見事なものだが名前すらつけられていない。

途中、木曽駒方面を見ると、この山はほとんど白い岩でできているのがわかる。
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平日とはいえ天気の良い日なので、登山客・観光客がどんどん増えてくる。
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表示に従い、駒飼ノ池を経由して、濃が池へ降りて行く。

何度も木曽駒へは来ているが、この道を歩いたことは一度もなかった。

まずは駒飼ノ池。
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ほとんど貯水はなく、秋の小川の一部分状態で惜しい。

少し下って、あとは濃が池への巻き道というか水平道。

遠くから見ていたのとは違って、近くだと何かと足を止めさせられることが多い。
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次から次に現れる黄紅葉が光に輝いて文句なし。

こんなところがあったんだ、知らなかった自分がうらまやしい。

同じような場面で、何回でも足を止め、とにかくデジカメる。
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吸い込まれるような青空を背景に、あざやかな黄紅葉の中の白(岩)が特徴。
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足元が水の流れで歩きにくくなると、いよいよ池の末端になり、平坦な濃が池に来る。
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これはいい。
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今まで見た錦秋というか黄紅葉でも出色、なにせそこにプラス池があるんだから。
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ここで少し早いしまだ午後ではないが「午後の紅茶」で昼食休憩にする。
岩に腰掛け、とにかくリラックス、日頃はしたこともないのんびりだらり。
時間と体力に余裕をもつということは、こんな時間を産み出す事ができるんだ。

再び二年前のことを思い出す。
登山口から茶臼山へ上がり、周回縦走してきて将棋頭山周辺でbiwa爺に会った。
あの時、彼が親切にも言ってくれたこと、「濃が池に寄っていくといいよ」。
でも、茶臼山への上りで疲れ果て、馬の背を前に余裕のなかった自分はそれを断っていた。
今にして思えば寄り道に使う時間は往復ほんの15分ぐらいだ。
余裕がない、ということはなんと愚かな判断をすることだろう。

ちなみに小屋に同宿のみなさんはコースこそ違うがみんなここに寄っていた、当然か。
さてと、あとは縦走し、茶臼から延々と下るのみ。
立ち去りがたし濃が池、少し上からもう一枚(くどい)。
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たそがれ高洋が紅葉に昂揚し、ピークハンターに豹変するの巻。

木曽駒が岳には主峰を中心に前衛峰や衛星峰があり、そして脈打つ稜線がある。
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将棋頭山(竜ケ峰)から茶臼山への稜線にも分水嶺・胸突八丁ノ頭・行者岩だ。

それらは辛い上り下りはほとんどなく、逆に展望がずっとあるので楽しい縦走路ともいえる。
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時折振り返ると、木曽駒が岳の峰々というかオールスターズがそれぞれ主張する。
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登山と軽い岩遊び、紅葉の池鑑賞と縦走まで楽しめる豪華な山域。

分水嶺から行者岩と茶臼山を見る。
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稜線歩きもあと少しで終わる。

茶臼山に来る。
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ここでもう一度、最後の展望を味わい、下りに備えて呼吸を整える。
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ここからはとにかく視界の開けない下山路が延々と続く。

とにかく我慢、道は迷いようのないぐらい目印がある。
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おっと、これはでかい、熊のふん?
びっくりしたぞ。
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四合目ぐらいから足元がごろごろ石で歩きづらくなるが、それまでは落葉でふかふかだ。

行者水をすぎて、くだんの正沢川の渡渉さえ無事にできればあと少し。

正沢川の橋はしばらく流失したままだったが、最近、丸太橋がかけられた。
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ありがたいことだ。

足の指や足の裏がひりひり痛みを感じる頃、ようやく登山口にもどる。
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振り返ると、かすかに木曽駒山塊が見えた。
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今回の教訓

ほんの少しでも、もちろん充分でも、時間と体力に余裕のある計画は大切だ。
それこそ現在の自分にはとても必要なこと、と思い至った。
歩く事だけで精一杯ではなく、オプショナルツァーをこなす余裕があってこその山歩きかな。
最初は道型の美しい上松Aコースを考えていたが、また今度でいい。
周回コースが設定でき、いろんなことのできるコガラ登山口って貴重だわ。
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木曽駒からこのコースを見ると、正面向こうに乗鞍が見える。

上松Bやキビオ道の通るここ、牙岩の崩壊部分。御嶽と麦草岳のツーショットはいいのに。
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2014年9月16日 (火)

山歩き:御嶽(黒沢口)、紅葉にはまだ早い秋

山歩き:御嶽(黒沢口)、紅葉にはまだ早い秋

長雨の夏が過ぎ、朝晩は涼しい秋、でも紅葉にはまだ早い。
久しぶりに好天気の三連休の最終日に出かける。
たくさんの入山者をいつものように受け入れる御嶽。
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【山行日】2014年9月15日(月)    
【山 域】御嶽、黒沢口・中の湯
【天 候】曇り、山上は肌寒い
【形 態】周回 単族 中装
【コース】六合目旧中の湯付近の駐車場起点
P6:47--7:23七合目行場山荘--8:02八合目女人堂--9:05九合目覚明堂--
--9:33剣が峰9:43--10:01西峰--10:29二ノ池11:01--賽の河原--
--11:43三ノ池避難小屋11:50--横手道--12:47女人堂--13:49P

この夏の山行はみんな不十分だから天気の良いこの三連休はにぎわう。
そんなことを考える人がたくさんいて、混雑するのもわかっていた。
でも行ける時に行かないと後悔するのもいままでの反省から。
ということで準備し、前日は少し早く床に着いた。
しかし3時起きはほとんど眠れないまま、動悸息切れ状態で出発。
原因は明瞭、不眠や疲労が高血圧ほかを刺激している。

よく知っているいつもの道路だから、ということだけが救い。
自宅から約175kmを予定通り3時間半で旧中の湯付近の駐車場に到着。
泊駐車もあるのに、駐車車両は意外と少なく、人の気配もない。

出発。
枕木で作られたような階段状の道を黙々と上がっていく。
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朽ちて一部苔むした木や石の道がこの登山道の歴史を物語っている。
人に会うことはまれなので、変化のない道は準備運動と割り切る。

七合目行場山荘の手前でロープウェイからの人々が合流する。
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ここからは一気に人声がするにぎやかな登山道になる。

下ってくる人は山上で泊まった人、朝早くから忙しいなあ。

ところで行場山荘のトイレが新築、駐車場のトイレも建造中。
御嶽の方々で、標示やトイレ、ロープなどが新しくなりつつある。
この前、整備の行き届いたゴミのない白山を見ているので納得だが。

八合目女人堂に来る。
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ここで一気に視界が開けるが、天気は曇り空で残念。
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東の空や山並みはきれいなんだが。
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少し歩みを進めたところで北の方を見ると乗鞍岳が見えた。

もっとはっきりと見える地点があるのだからあわてなくてもよいのに写真を撮る。
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でも見た時が撮る時、この日はその後ガスがかかってもう見られなかった。

一旦視界が開けて明るい登山道になるが、ハイマツ帯の中は気分がめげる。
ざれた道は歩きづらく、なかなか高度を稼げていないように思われる。
森林限界を過ぎてもざれ道は続き、先方や周囲を見ては気をまぎらす。

そんな時、下山する人を観察するのも楽しみのひとつになる。
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たくさんのあいさつが返ってくる団体さん、無視する孤高の人。

おそらく無視ではなく、声に出せないぐらい追い込まれているとか。

こんなおしゃれなコーディネイトをするなんて、モデルさん?
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ザックとハットとスカートを水玉と同系色で合わせる。

山ガールというよりも、大人の女はここまでするのか。

石室山荘を横に見て、覚明堂を目指し、目の前の壁に迫っていく。
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覚明堂を過ぎてもうひとのぼりすれば稜線というか御嶽の山上になる。
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剣が峰が前方に見え、周囲に視界が開けるので、気分的にも楽になる。
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あくまで気分的なだけで足が重いのは変わらないので、最後は惰性か。
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剣が峰山頂へ、立派過ぎる最後の階段。
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振り返ると田ノ原登山口から王滝頂上への道、たくさんの登山者。
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御嶽の入山では一番多い田ノ原、白山の別当出合と同じぐらいの割合か。

ここがゴールとくつろぐみなさん、お疲れ様です。
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そして山頂からのおなじみの景色。

まずは北側の二ノ池から遠く継子岳、そして御鉢こと一ノ池と西峰。
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少し前から風が冷たくて肌寒かったのでここで雨具を着る。

いつものように御鉢周り。
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まずは地獄谷をのぞく。
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昨日9月14日は1984年の長野西部地震で御嶽の山体が崩落した日。

歩きながら、この御鉢こと乾いた一ノ池を見る。
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うーん、どうみても野球場だ。

ここで草野球したら楽しそうだけど、高山病で頭痛になるかも。

上がっていくと、継母岳が見下ろせるようになる。
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御嶽の山上から継母岳が見えるのはここと摩利支天山や王滝など。

ということで、継母岳はその存在すらあまり知られていない。

この前、スカイウォークさんが使ったのはどのルートなのか、目印はどこ。

剣が峰の反対側、標高約3030㍍の西峰から剣が峰を見る。
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いつもはここで昼食休憩するのだが、今日はそんな高揚感はない。

御鉢周りを続け、二ノ池にはすぐに下りないで、その先の出っ張りへ行く。
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剣が峰と一ノ池の枯れ滝の落ち口。
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北に寄ると、二ノ池が真上から見下ろせる大岩、すぐに足はガクガク。
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ざれて滑りやすいジグザグの道を二ノ池へ下りていく。
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すれ違う上りの人は踏ん張りどころで結構つらそうだ。

二ノ池と小屋周辺では昼食というよりピクニック広場になっている感じ。
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少し周囲をふらついて適当な空き地を探すがなかなか見つからない。

外国の人は重厚な雰囲気で、よくぞここへ来られましたなあ。
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若者は調理器具以外に椅子まで用意して、くつろぐ事に貪欲なのだ。
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自分はといえば、いつもながら食欲も少なく、この景色だけでいい。
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ただ今日は、寝不足・高血圧による体調不良からごろっと寝たかったのに、残念。

休憩後、コースを短縮してここから下りるという気の迷いも感じたが、覚醒。

いつものように賽の河原から三ノ池に下り、横手道を通って女人堂にもどった。

賽の河原には変化があるのかないのか分からないが、ふしぎなところだ。
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ゆっくり上がって縁から見下ろせば三ノ池、と思ったらガスがかかりだした。
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ざれた道を、ここは特に気をつけながら下りていく。
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ガスがはれ、三ノ池がその神秘な姿を現す。
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二ノ池同様この湖畔も人気があり、拝む人訪れる人が多い。
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ずっと池の傍でたたずむ人を見ているとまるで別の世界に来ているようだ。

三ノ池避難小屋付近の分岐から横手道に入る。

ホシガラスが食を求めてすばしっこく飛び回っている。
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横手道は全般に水平道だが、沢を越えていく時に上下動する。

しっかりと整備はされているが、落石も多いので慎重に行く。
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雪渓がなくなっていると思ったら、次の沢にあった。
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前を行く若者二人組はなかなか慎重に歩を進めている、大事なことだ。
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無事に女人堂へ戻って来られてここからは単調な長い階段状の下りになる。
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剣が峰で見た人にここで再び会うふしぎを感じたりしながらずんずん下る。

往きの時とは違って、七合目からPへの道が長く感じられるのはなぜだろう。
誰にも会わないはずの静かな道に突然、それも大人数の団体さんが現われた。
今から上がって八合目の女人堂泊まりだそうで、こんな時刻それもありなのだ。
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帰り、19号線は案の定渋滞で、行楽と仕事帰りが合体してたらたら数珠繋ぎ。
寝不足と疲労で眠たかった、これが一番辛かった。
ルーティンワークのような御嶽の山歩きはそれなりに満足のいくもの。
ただ体力も気力も何もかも衰えてきているので対策を講じないと・・・。


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2014年7月28日 (月)

山歩き:御嶽・継子岳で春の小川を

山歩き:御嶽・継子岳で春の小川を

この時季の御嶽、継子岳のコマクサやお花畑は見逃せない。
四の池の外輪山(継子岳)を周回し、初夏に春の小川を愛でる。
難点は、濁河温泉までの道のりとかかる時間、猛暑にくらくらめまい。
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【山行日】2014年7月25日(金)    
【山 域】御嶽・継子岳、濁河温泉
【天 候】曇りのち晴れ、酷暑日
【形 態】往復と周回 単族 軽装
【コース】濁河温泉下呂市営駐車場起点
P7:09--8:36八合目--9:42飛騨頂上--10:23継子岳--Ⅱ峰--
--11:16四の池12:01--12:28五の池小屋--13:06八合目--14:11P

御嶽のこの時季は継子岳がいい、コースも飛騨側からが楽だ。
不安材料は、家からの道のりが他より遠いことと時間がかかること。
なにしろ飛騨小坂から濁河温泉までの約40kmの道の運転がきつい。
山腹沿いのぐにゃぐにゃ道はとばせないので1時間は覚悟しないと。
そんなこんなでなんとか登山口までやってきたが、4時間以上の運転でぐったり。
良かったのは登山口に市営の駐車場があり、平日で余裕で停められたこと。

天気予報は快晴で暑くなりそうとのこと。
しかし道中の41号線、途中から20度を下回る気温で涼しかった。
登山口でも涼しくて、山の上はもっと下がるからとFTのフラッドラッシュも着る。
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朝方で湿っている中、橋を渡って出発進行。
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最初は、うっそうとした苔の森を足元に注意しながら歩いていく。
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木道など整備はしっかりとされているが、古くて、なにしろ滑りやすい。

左手に滝の音を聞き、硫黄のような温泉のにおいをずっとかぎながら歩いていく。

湯の花峠でそのにおいがピークになり、樹間の南に少し展望が開ける。
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途中、家族連れや若いカップルの登山者、単独行の人を見るがこれはどこでも同じ。

樹林帯に、ゴゼンタチバナとモミジカラマツが多い道をひたすらのぼる。
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のぞき岩で休憩、汗びっしょりでたまらずFTの肌着を脱ぐ、やれやれ。
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もう少し進んだ先でほぼ道半ば、百mごとの表示板でもそんな感じ。

下ってくる人とすれ違うようになる、早いお帰りなこと、もったいない。

八合目に来ると、登山道の雰囲気に変化があらわれる。
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もう少しあがると森林限界になり、周囲にハイマツが目立つようになる。

時々、ガスが切れると小さな雪渓のある摩利支天があらわれる。
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剣が峰ほかの御嶽の峰々は摩利支天で隠されている。

直射日光こそあたらないが、紫外線でじわじわと焼かれるような感じ。

ハイマツの上に出ている岩の雰囲気もいいが、疲れも出てきて微妙だ。
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それにしても上りがきつい、立ちくらみがしてふらふらっとよれていく。
ホント、危ないところだった。
夕べというかこのところ、夜は暑くて眠りが浅い。
まったくの睡眠不足のまま4時間近くも運転してきているのだから。

たらたらと少し進んでは止まって水を飲み、深呼吸をしては伸びをする。

稜線の向こうに飛騨山頂らしきが見えてきても、なかなか近づけない。
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高齢ながら足取りも軽くハイカラな方たちがくだっていく。
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左手の斜面にコマクサ畑があらわれると飛騨山頂は近い。
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天気はというか、気象の変化が激しくてガスにおおわれてしまった。

とりあえず飛騨山頂へ。
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この風とガスでは身体が冷えるので、着替えして雨具を着る。

一休みしたら本日の楽しみ、四の池の外輪山(継子岳)周回歩き。

まずは継子岳を目指す。

なだらかな稜線歩きなのに、ガスで視界が開けない。
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岩くぐりをしたり、お花畑に立ち寄ったり、針の山を越えていく。
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ガスが少しでも切れるタイミングを逃さず、四の池を撮る。
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一気にガスが切れて、晴れて、継子岳が美景をさらす。
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山頂周辺は広く、360度の展望台でもある。
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ぐるぐるうろうろする。
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大きなチョウが風に煽られながらも健気に飛んでいる。

アゲハだが、10cm以上のとても大きな固体で、岩に着陸。
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こんな高所までいったいどこから飛んできたのか。

しばし見惚れる、いいものを見た。

次に継子岳Ⅱ峰へ行く。
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御嶽の全景を見たり、路肩に寄って四の池外輪を見下ろす。
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ここら辺もコマクサ保護のためロープが張ってある。

こんなのを見ると、あらためて火山の岩だと思う。
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路肩に寄って今度は、下界を見下ろす。
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この稜線歩きは、お花畑の中を進んでいくようでもある。
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何か動くものを発見。

雷鳥の親子で、三羽、見分けられますか。
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こちょまかと動き回るヒナたち、周囲を警戒しながらの親鳥。
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あれあれっと思っている間に、向こうのほうへ行ってしまった。

継子岳Ⅱ峰から見る雄大な御嶽の姿。
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剣が峰から見下ろす御嶽もなかなかなものだが、どっちがいいか。

Ⅱ峰から下り、目指す四の池の「春の小川庭園」を俯瞰する。
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今日はとにかく、ここへ来ることが主目的なので心がおどる。

先客がいたみたいだが、すぐにこちらへ上がってきている。

結構きつい上りだと思えるけど、お疲れ様です。
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四の池を流れる春の小川はひとつにまとまり幻の滝となって木曽側へ落ちる。

滝の落ち口だから覗き込むのはもちろん危険だ。
幻の滝と言われるが、別の位置から少しだけ見られる。
その滝の落ちる先も、また別の位置から見られる。
流れる順番に見ていくとこんな感じ。
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これだけだとそんなに高さも感じられないが、これ以上は危ないのでやめ。

春の小川を渡渉し、せせらぎと花園と背景に雪山を見る場所をさがす。

野球場の、ちょうどホームベースの位置でくつろぐことになる。
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ここで昼食休憩。

靴を脱ぎ、汗で濡れた衣類を乾かす。
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先ほどまでのガスや風はなくなり、強い日差しに照らされる。

あらまあ、ハチがいっぱいやってきてシャツにまとわりつく。

さんさんと紫外線を浴び、じりじりひりひりとしてきた。

さてと、重い腰ととろけた身体をあげて、たらたらと帰ることにする。

まずは三ノ池との境までの上り。
疲れたら、四の池と継子岳を何度も振り返って気を散らす。
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三ノ池、ここは神水であり水場でまた神秘な池として崇められている。
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辛い上りの途中で、花に癒される。
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ようやく分岐へ、摩利支天をめざす人。
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五の池小屋と飛騨頂上。
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大きく周回して再び飛騨山頂に戻ってきた。
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数時間前の朝方と違って、天気はまぶしい空に変わった。

さてと、この雄大な坂をたらたらと下っていく。
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暑い夏の午後、照りつける太陽はまぶしい。

それでもこんな時間に上っていく人が結構いる、人それぞれ。
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今日の反省

万全とは言わないまでもせめてふつうの体調で山に来ること。
計画は余裕を持って、と当たり前のことで。

この夏の山歩きのシーズントップはコース計画で前日まで迷う。
いつも日帰りの御嶽だが、山の上で泊まりこの山を味わいつくすのはどうか。
いつもの黒沢口から上がり広い御嶽をぐるりして、ゆったりと五の池小屋へ、そこで泊。
翌日は継子岳周辺をぐるりして、横手道から登山口にもどる、そんな計画。
日帰りでもできそうだが少しきつくて余裕がない、山の上で夕陽と朝日の贅沢。
しかし、生来の貧乏性というか準備が面倒になり、あえなくいつもプランへ。
もういい加減、時間と金はあるのだからゆったりすればいいものを、アホめ。
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2013年9月29日 (日)

山歩き:茶臼山から木曽駒ヶ岳(福島Bコース)

山歩き:茶臼山から木曽駒ヶ岳(福島Bコース)

茶臼山から将棋頭山を経て木曽駒ケ岳への主稜線の雄大なこと。
右に木曽前岳、左に伊那前岳の尾根が主峰を支える。
すべての尾根が一箇所に集まっていく、その奥まった高所。
どこから見ても木曽駒ヶ岳は木曽山脈の中心で、主峰だ。

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【山行日】2013年9月28日(土)
【山 域】木曽山脈:茶臼山、木曽駒ヶ岳、福島Bコース
【天 候】晴れ
【形 態】尾根周回 単族 軽装
【コース】コガラ登山口駐車地
P6:41--7:01渡渉7:19--7:57五合目--9:54茶臼山10:07--
--10:31分水嶺--12:31木曽駒が岳12:59--13:17九合目--
--14:28七合目小屋--15:07五合目--15:45渡渉--16:16P

今日の周回コースは長いので距離と時間に不安がある、本当に大丈夫か。
まったく年寄りの冷や水、もとい、アラカンのぬるい水。
刺激を求めるのもいい加減にしておかないとそのうち痛い目に会いそう。

先週の御嶽と同様、朝3時に起きて暗い中、ほとんど同じ道を走らせる。
コガラ登山口へは昨年まちがえているので今回は気をつける。
あれ、駐車車両がない。
すぐに大阪ナンバーが入ってきて、少し安心。
福島Bコースはそこそこ歩く人はいるが、多くはない。
これは、木曽側からのコース(上松AB福島AB)全般に言えること。
大体にして、ABなどと名前の付け方が悪く、親しみがもてない。
上松道、麦草道、キビオ道、コガラ道でいいのではないか。

さて今日は、最初に茶臼山へ上り、主稜線をつめて木曽駒へ。
下りはコガラ道を利用する周回コース。

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この時計回りにするか、反対回りがいいのかは誰もが悩むところだ。
自分の場合、知らない道は上りがいいので、必然的に今日の右回りになった。
注意点は、最初の正沢川にかかる吊り橋らしい。
バランスに不安のある、あくまで緊急用の吊り橋で、自己責任でとのこと。

コガラ道から別れ、左の林道を進むと、しっかりした橋で幸ノ川を渡る。
その手前に最初の、例の自己責任の注意が書いてある。
橋を過ぎて林道は右に上がっていくが、すぐ手前に沢へ降りる踏み跡がある。
ひょっとしてここか、と不安に思いつつ林道をあがっていくと再び例の注意。

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いよいよ例の吊り橋かと緊張しつつ、沢の方へ進んでいく。
太いワイヤーロープはあるが、吊り橋らしきが、ない。
えっ、橋がない!

吊り橋の踏み板が一枚だけ水中に没している。

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これではとても渡れない。
仕方がない、渡れるところがあれば岩伝いに行こう。
まあこれが普通の沢を横切る、渡渉スタイルだ。
近くを見渡し、上流へ、そして下流へと歩き回る。
流れに勢いがあるし、渡るには少し幅がありすぎて、ドボンしそう。
靴を脱いで裸足で渡る、この一番基本的な方法か。

靴と靴下を脱ぎ、それらを落とさないように気をつけて、冷水を渡る。
事後、ぬれた足を手ぬぐいで丁寧にふき、再び、履く。
結構、面倒な作業で、時間もかかった。
最初からすぐにそうしておれば、とも思うが・・・優柔不断、難しいところだ。
そんなところへ、制服を着た方たちが四人、現れた。
地元の遭対協の方のようで、登山道の様子見や点検らしい。

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ということは、吊り橋が流されたのは、つい最近のことか、不運。

ここからすぐに茶臼山への急な登りがはじまった。
斜面をジグザグにきざんで、狭いながらもきちんとした登山道だ。
利用者は当然少ないのでコースミスは許されない。
だからしつこいぐらいに赤テープ赤ペンキの指示がある。
これだけあっても、滑りやすい不安定な足元ばかりを見つめていると、
どんなことで道を外さないとも限らない、そのための究極の対策。

また、茶臼山2653m山頂まできちんと合目表示がある。

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五合目で尾根に上がるとそこからは尾根筋に高度を上げていく。
合目表示はていねいだが、時間や距離の感覚はばらついている。
次の合目までの目安時間は、あくまで目安だが、ほめて励ます感じ。
あまりにリアルだと、落ち込む人が出ないとも限らない。
六、七合目から八合目へと単調で急な上りが続く。
樹林帯で、展望はなく、めぼしいものもないから余計にそう感じる。
ほんの少し樹幹越しに麦草岳(2733m)方面が見え、

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その高さから、まだまだ先があることを気づかされたりもする。

前方が明るくなりようやく九合目かと期待するが違っていた。

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ただ、初めて展望が開ける。

今日は絶好の晴れ、御嶽や乗鞍、木曽駒の稜線の壁があらわれる。

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稜線漫歩を期待すると再び樹林帯に入り、ようやく展望のない九合目。

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十合目にはいつ着けるのだろうとの期待は何度も裏切られ続ける。

だから、茶臼山山頂に着き、その雰囲気と360度の展望にはほっとする。

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同時に、ここまでで今日のほとんどのエネルギーを消費してしまった感じ。
もっと短時間で予定していたが、標高からも甘い読みだった。

それにしてもここから臨む木曽駒ケ岳は見事なものだ。

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右手には肩のような木曽前岳、それを支えながら続く麦草岳などの尾根稜線。
左手には屏風のように長い肩の伊那前岳とそれに続く尾根。
手前は、この茶臼から将棋頭山、そしてぐわんと上がっていく何?
そう、これが主稜線で、すべての尾根が一箇所に集まっていく。
もちろん中心にあたる広く高いところが木曽駒ケ岳。
といって、主峰が本当に見えているのかどうかは確かではない。
その壁のむこうの奥まったところにきっとあるのだろう。

茶臼山から木曽駒ケ岳へは稜線漫歩になるはず、でも遠い。
時間も結構かかりそうだ、少し不安になる。

オベリスクこととなりの行者岩へは一旦下っていく。

尾根歩きではこのアップダウンは当然にある、避けようがない。
先ほど山頂の2653mまで上がったのに、再び2600mまで下がる。
もったいないけどこれがないと茶臼山はただの尾根の通り道になってしまう。

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つまりこの茶臼山は、はじめから存在しないということ。

行者岩は見る角度で表情を変える。

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せっかくデジカメったのに、虫の集団がレンズのすぐ前で群れていた。

分水嶺こと桂木場道との交差点からは夏道である巻き道を行く。

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おそらく花の時季にはお花畑になるのだろう。

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前方には、堂々とした尾根が横たわる。

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以前ヤブコギのレポで、ふーさんが書いていた権現づるねの詰め部分。
なだらかで気持ちよさそうにみえるが、ハイマツ他大変なんだろうな。

伊那市西駒山荘は立て替え工事中。

こんな風に、コンボも入って本格的土木工事なのだ。

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ここら辺は広々として、山荘としてもふさわしい場所に思える。

ここからはいよいよ稜線漫歩で、歩いていて本当に気分がいい。

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ここで今日初めて、登山者を見る。

前を行く人は、桂木場から上がってきて、日帰りするという。
この時刻では少し遅いかも、と口にすると、ペースが上がり視界から消えた。

もう一人はテント泊の帰りで、どこかで見た感じ。
茶臼方面からコガラに下りるその人に、吊り橋の話などを伝え、感謝される。
その後は少しだから登山靴のままジャプジャプ渡る、と彼は言う。
声で思い出した、ヤブコギネットの有名人だった。

聖職ノ碑・遭難碑を見ながら、今日の天気との違い他を思う。

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前方には、木曽駒の中核が見えてくる。

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主稜のどんづまり、三角形の中岳がいい味を出している。

それに比べれば、宝剣なんかケルンにしか見えない。

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濃ケ池と馬の背の分岐に来る。

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へろへろ歩きで時間に余裕はない、直登の馬の背を目指す。

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ここに来て、登山者が増えてきた。

うろうろと散策する人、下りてきて濃ケ池を目指す人。
みなさん、足が軽い、装備がはなやか。

見えない主峰を目指して、立ちはだかる壁を登っていく。
少し上がると、左下に池が見えてくる。

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なるほど、濃ケ池はtarnなんだ、見られてよかった。

それにしてもきつい登りだこと。

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数歩進んでは止まって息を整え、ため息をつく。

気を紛らすために一口二口水を飲む。

何度も濃ケ池を見下ろす。

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そしてよっこらしょと上がると、木曽駒ケ岳がようやく姿を現した。

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この奥まった所に鎮座する、これぞ主峰、いいなあ。

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頂上が目の前に見えたところで、歩みはたらたらのまま。
でも、やっとここまで来られた、遅かったけど。

一時はエスケープも考えた。
もう今日は歩くのをやめて、山小屋に泊まる、とか。

主峰の周りには登山者がいっぱい、でも広さには十分に余裕がある。

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東西の社に参り、いつもの静かな西側で腰をおろす。

するとそこには、朝駐車場で会った隣の車の人たちがいた。
少し話をしながら、この後のことを聞く。
彼らは、山座同定などをしながら、木曽前へ寄ってみるとか・・・。

もうすぐ午後1時、明るい内に戻るにはリミットだ。

下り道とはいえコゲラ道の下りは気が抜けない。
玉ノ窪山荘の九合目まではるんるん。

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あり地獄から花畑の八合目、水音が聞こえる水場。

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ここで朝、沢に来ていた遭対協日義班の方たちに会う。
完全装備にプラス長い草刈鎌などを持って、お疲れ様です。

山姥の岩ごろごろ、隙間の残雪、痛んだ木の橋。

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慎重に、気をつけながら下りていく。

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七合目避難小屋を過ぎてからはひたすらの下りになる。

木の根っこをひっかけないようにと思っても、何度も躓く。
あんまり足元ばかり見ていたので、肩と首筋が痛くなってしまった。

四合目半の力水、今年はなんとか保っている感じ。

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最後は、幸ノ川の渡渉で、エアリアにある「丸木橋」はない。

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渡ってから岸辺伝いに歩くのに少し苦労した。

その後の林道歩きがまたとても長いし、所々ざれていていやになる。
予定時間を越えたとはいえ、なんとか明るい内に戻ってこられてよし。

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体力的には、やはり限界だな。

今日の反省点

計画は余裕をもって立てること。茶臼山の登り、主稜線の時間が甘かった。
山小屋を含めてエスケープへの対応装備も考え、持つこと。着替え・防寒具など。
下り時間が昨年と全く同じ。それでいいのだが、伸びシロなどはもう期待できず、か。

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2013年9月22日 (日)

山歩き:快晴、秋の御嶽(黒沢口)

山歩き:快晴、秋の御嶽(黒沢口)

雲ひとつなく360度の展望がひろがる山頂。
暑くも寒くもなく、絶好の山日和。
不安は、気力体力が衰えた自分の身体。

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【山行日】2013年9月21日(土)
【山 域】御嶽:黒沢口(中の湯)
【天 候】晴れ、朝は肌寒いが日中は夏が戻った
【形 態】一部周回で往復 単族 軽装準急
【コース】 御嶽中の湯駐車場
 登山口7:03--8:12女人堂--9:10覚明堂--9:34剣が峰--10:07別峰10:32--二ノ池--
--賽の河原--11:43三ノ池交差点--横手道--12:47女人堂--13:49登山口

久しぶりの遠征山歩き。
以前は喜び勇んで行っていたことが、最近はまるで気力なし。
退職して毎日歩くこともなくなり、体力も衰えた。
天気がどうの、準備が大変、面倒なことはやりたくない。
このまま思い出の世界にひきこもりそうになっていた。
たまたま寄った本屋の雑誌コーナーで山の本を立ち読みする。
PEAKSで、トレイルとかなんとか派手な流行言葉がならぶ。
ちゃらい若いのを見てたら、負けてられない気分に。

すると天気よしの絶好の山日和。
出直しで行ける山域はここしかない。
前夜のうちに準備をし、夜中の3時に起きる。
暗い中、419号から19号へと車を走らせる。
林立する多くの墓群を見ると、帰ってきたような敬虔な気持ちになる。

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中秋の満月が王滝頂上に浮かび、朝の快晴の御嶽が眼前に。

いつも余裕のある黒沢口の駐車場にもけっこうな車が駐車している。
Tシャツでは肌寒く、すぐに尿意をおぼえトイレに駆け込む。
まわりの人はアウターまで着込んでいるが、
吸汗速乾の長袖Tシャツにドライの半袖Tシャツで出発。

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八合目の女人堂までは、とにかくがまんの歩きだ。
よく整備はされているが、痛んだ丸木の階段は歩きづらい。
樹林帯が多くて直射日光があまり当たらないのは助かる。
御岳ロープウェイからの道が合流すると一気に人が増える。

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女人堂手前の数百メートルはだれにとっても苦しい上りになる。
御嶽は山に慣れていない人も多いところだから、なおさらだ。
山登りの最初が富士山、それが御嶽に代わっただけのような感じもする。
ロープウェイで上がると、簡単なような気にもなるのだろうか。

女人堂に来ると一気に視界が広がる。

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今日は、天気も快晴に近いので遠くの山々がよく見える。

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乗鞍や北アルプスがこんなにもよく見えることに感心する。

火山特有のがらがらにざれた歩きづらい道を上がっていく。

徐々に足が上がらなくなり、引きずりながらもたもた。
ここらへんが一番しんどい所か。

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前を歩いている人が石室小屋にむかったので後を追う。

道はそのまま小屋の中?通り抜けできるのかな。

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それは許されていて、小屋の人が温かい声をかけてくれた。

小屋を抜けると、覚明堂へあがり、ざれた道をもう一息。

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二ノ池分岐から剣が峰まではあと少し。

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すぐ眼前に見えているが、ここまでで疲れているので亀足になる。
降りてくる人が多いのは、王滝方面から上った人か。

頂上小屋の前を通って、階段を上がっていく。

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御嶽剣が峰、今年も無事に来ることができた。

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今日の頂上からの眺めはとびきりすばらしい。
これが正真正銘の360度の展望(実は一部は欠けている)だろうか。
なにせ見える視界で雲に覆われているところが、ない。
富士山も見えたが、何よりも乗鞍とその背景である。

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山姿特定というが、こんなに見えすぎると浅い知識ではうろたえる。

さていつもの御鉢めぐりで、反対側の山頂で休憩としよう。

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地獄谷を覗き込む。

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次に再び噴火するのはやはりここだろうか。

大きな野球場スタジアムこと一ノ池。

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いつも控えめな継母岳。

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上から目線で見下ろすからそう感じるのだろうか。

たぶん3030メートルぐらいの剣が峰と反対側の峰。

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こここそ、剣が峰と違って四周見渡せる絶好の展望台。
汗でぬれた背中もしっかりと乾かすことができた。

白山もしっかり見えたが、別山があまりさえないのが少し不満。

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食後は御鉢の残りを歩き、急坂を二ノ池に下りる。

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ここは逆だとかなり辛いものがありそうだ。

花の時期は終わっているが、残雪と池はいつもながら神秘的。

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ここでのんびりくつろぐ人が多いのもよくわかる。

そして、賽の河原から三ノ池へ。

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いつも静かな賽の河原を渡っていく。

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ひとつひとつの石積みはたくさんの人の気持ちがこめられているのだろう。

今日は摩利支天にもかなりの人が入っている。

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池に下りる前に剣が峰方面をしっかりと目に焼き付ける。

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御嶽は頂上台地がべらぼうに広いので方々からこんなことができる。

一番なのは、継子岳から剣が峰方面を仰ぎ見ることだろうか。

三ノ池を見下ろす。

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ここは二ノ池とは違って別の意味で神秘的な感じがする。

周囲を深く囲まれて暗さと寒さを覚える。
急な道を慎重に下りていく。

ここにきてナナカマドほか植物の鮮やかさに気づく。

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三ノ池には以前見落としていたモノがあった。

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ここから南の壁を見上げると、これはこれでひとつの山に思える。

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ここから横手道をとおって女人堂にもどる。

残雪や落石で通行禁止になることの多い道だが、利用者も多い。

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すれ違う人や団体さんが多く、今晩の山小屋は賑わった事だろう。

御嶽は、富士山・立山・白山とは別格の特別の山で魅力にあふれている。

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個人的にもなんとか7時間の山歩きができて少し安心した。
無理をしてでも少し遠くへ足をのばすことは必要かな。

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